拓殖大学大学院教授 森本敏氏

歪んだ日本を変えるのは次世代の若者 老兵の見聞を新たな時代に役立てたい

森本敏氏
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冷戦が終わって18年になると言うのに、まだ、冷戦後の国際秩序はできず、かえって国際社会は混迷を深くしている。

国内も政治・経済・社会とも不安定で定まらず、多くの人が、豊かで安定した生き方を模索しながら、それは当分、望むべくもないと思い始めている。政権は毎年、猫の目のごとく代わり、経済は金融不安に動かされ、社会では不可解な事件や事故が多発し、食の安全や振込み詐欺・汚職が後を絶たない。

親が子を殺し、子が親を殺し、行きずりの無差別殺人が毎週のごとくである。教育の現場が崩壊し倫理観や道徳観と言う言葉さえ、死語になりつつある。経済改革・社会改革は必要だと皆で賛成しては見たが、その結果はあらゆる格差が広がり、地方や貧者が見捨てられ、地方に行くと商店街は軒並み、昼間からシャッターが下りて人気もない。一泊1500円のDVDショップに寝泊りして放火に巻き込まれて死亡する人が15人もでるような社会はどこか歪んでいる。この残酷極まりない実態が、現実の日本社会なのである。

現在の世界は生き残りの時代である。発展や成長を期待できる人はそうすればよいと思う。しかし、多くは、それよりもいかにして、この困難な時代を生き抜き、会社や店舗の倒産を防ぎ、家庭や親を守り、だまされることなく傷つくことなく日々を過ごすかという、簡単なはずで、難しい問題に直面している。

日本がいつからこのようになったのであろうか。それはたぶん、バブルがはじけてからのことであり、戦後半世紀たった頃であろう。即ち、戦後半世紀で一つの時代が通り過ぎ、その次の時代に見合うようなシステムを新たに作りえなかった過誤を我々は、まだ解消できずに苦しんでいるのかも知れない。

だとしても、我々はいま、次の時代に向けて何を考え、何を求め、何をしなければならないのであろうか。日本を取り巻く国際社会はどうなり、その中で日本はどのような国になるべきであろうか。国内社会はいかなる状態にあるべきなのか。それはできるのであろうか。そして、できなければどうなるのか。

我々が、今日、取り組むべき問題はこのように実に根本的な問題であるように思う。そして、私のように、最早、余命いくばくもない人間は次の時代に向けた指針を示し、若い人はそれを自分なりに解釈して実行できることを進めていく。それが次の時代を作る我々の使命なのであろう。

これから、国際社会や国内社会が直面する諸問題について、いくつかの視点や観点を示してみたい。それを解決すべき政策上の指針を示してみたい。その中から、読者が自分で選択できるような問題提起もしてみたい。それらを通じて自分も、自分という人間を見直してみたいと考える。

発行者プロフィール
森本敏(もりもとさとし)
安全保障(外交・防衛・国際政治・危機管理を含む)のスペシャリスト。防衛大学理工学部卒業。防衛庁、外務省、野村総合研究所主席研究員を経て、現在、拓殖大学大学院教授。大学院の講義・研究所長としての業務の傍ら、国際会議・国内会議にも参加、原稿執筆やインタビューなど様々に活躍中。テレビ・ラジオ出演を年間100~120回、講演を年間150~160回こなす。「たかじんのそこまで言って委員会 」(NTV)、「日曜討論」(NHK)などに出演中。
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こんにちは、森本敏です。
先週の雨模様も一転、本日は良い天気となり
ましたが、花粉症の私には辛い日となりそうです。
とはいえ、傘を持ち歩かなくても済むのは
良いことですね。私の秘書は先日食事をした
レストランに傘を忘れてきてしまったようですから
・・・・。

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森本敏メールマガジン<>
                2009.3.2発行
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北朝鮮のミサイル発射準備
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ミサイル発射準備は事実か

米国情報筋は北朝鮮が1月末以来、咸鏡北道花台郡
ムスダンリ(舞水端里)の発射基地において弾道ミ
サイルの発射準備を行なっている兆候をつかんだ旨
を明らかにした。その後、韓国の情報機関も同様の
発表を行なった。当初は平安北道のトンチャンリの
ミサイル発射センターと情報が錯綜していた形跡が
あるが、やがて、発射準備を行なっているのがムス
ダンリ発射基地であることが判明した。北朝鮮は周
辺海域に警戒態勢を引いているらしく、先般は、ロ
シア船舶がこの海域に接近して拿捕されている。

このミサイルが如何なる型式の弾道ミサイルかはまだ
、明確ではないがテポドン-2号とも、また、その改
良型とも言われる。いずれ、発射台に取り付けられた
段階で判明するであろう。改良型であるとすればテポ
ドンー2号の射程(推定4300-6000キロ以上、最大射
程は6700キロとも言われる)をはるかに超える射程
(推定最大射程10、000キロ)を有する3段式ミサイ
ル(1段目は液体燃料、2,3段目は固体燃料)であ
る可能性もあり、そうなると米国領域のアラスカ、ハ
ワイは勿論のこと、米本土に到達することになる。

2月末になって発射基地内の燃料注入施設を地下に建
設している兆候が把握され、偵察衛星によって発射準
備を把握することが困難になるという問題も生じてき
た。従来は燃料車両が施設に近づき数日かかって燃料
を注入していたが、地下の燃料注入施設という技術改
良が行なわれたことによって1,2日で燃料が注入で
きる可能性も出てきた。こうなると発射時期を推定す
ることもますます困難になっている。このミサイルは
まだ、発射台に搭載されていないが、搭載されると限
りなく短時間で発射準備が完了する可能性もあり、そ
の時期はまだ、予測がつかないが3月中旬以前になる
であろう。

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ミサイル発射準備の狙いは何か

一方、北朝鮮「朝鮮宇宙空間技術委員会」報道官は
2月24日、(1)北朝鮮は1998年8月に最初の試験衛星
「光明星1号」を打ち上げ軌道に乗せた(2)現在、
実験通信衛星「光明星2号」を運搬ロケット「銀河
2号」で打ち上げる準備を咸鏡北道花台郡の「東海
衛星発射場」で本格的に行っている、と発表した。

北朝鮮は1998年8月にテポドンー1の発射を行なった。
このミサイルは第1段目の推進装置が日本海に落下し、
第2段目の推進装置と弾頭が三陸沖に落下した。北朝
鮮はこれを人工衛星であると発表したが、人工衛星が
軌道に乗った形跡はなく、第2段目の物体から発射さ
れた小物体(弾頭)も衛星軌道に乗るために必要な速
度には達していなかった。その後、北朝鮮は2006年7
月にテポドンー2の発射を行なったが、これは上昇段
階で第1段目の推進装置が爆発し北朝鮮の海岸付近に
落下して実験に失敗した。今回はもし、発射実験を行
なうとすれば3回目の長距離弾道ミサイルの発射実験
になる。

北朝鮮が今回の発射実験を人工衛星の実験だといって
いるのは、北朝鮮として宇宙の平和利用という国家の
権利を明らかにしてミサイル発射であるとの批判をか
わし、日米両国のミサイル防衛システムに迎撃される
のを防止しようとしているか、あるいは、前回のミサ
イル発射時(2006年7月)に国連から受けた国連安保
理決議1718に基づく制裁を回避しようとしていること
などが考えられる。しかし、もっと本質的な狙いは北
朝鮮がオバマ政権誕生を迎え米国の対北朝鮮政策を牽
制するためか、あるいは、前回の6カ国協議から米国
が出て行ったことに鑑み、米国を交渉のテーブルにつ
かせて北朝鮮に有利な立場を維持して交渉に臨みたい
という北朝鮮の常套手段である瀬戸際外交であるとも
受け止められる。クリントン国務長官のアジア訪問
(2月15日―23日)を狙って時期を決めた考えられな
くもないが、いずれにしても米国の出方次第では北朝
鮮がミサイル発射を思いとどまる可能性も排除されず
、それは米国の出方を北朝鮮がどのように受け止める
かによるであろう。米国は既に北朝鮮担当特使として
ボスワース元駐韓国大使を使命して北朝鮮に接触させ
ているが、同特使と北朝鮮側の話合いがどうなるか、
6カ国協議が再開されるかが、注目されるところである。

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日米両国の対応ぶり

日米両国は現在、北朝鮮のミサイル発射準備を注意
深く監視し警戒を怠らないが日本海にはまだ、ミサ
イル防衛対処用イージス艦を展開させてはいない。
米軍は現在、ミサイル防衛対応のイージス艦を5隻
、日本は2隻を保有している。警戒態勢が上がれば
、日米両国は協議して日米のイージス艦を調整しな
がら常時1隻以上の艦艇を展開させ、最も効果的に
対応できるように態勢を取ろうとしている。それ以
外に日米両国は各種の情報収集用航空機や艦艇・地
上レーダー・指揮通信用航空機を展開させる計画で
ある。ミサイル防衛対応のイージス艦が日本海で対
応できる状況になっていることや、そのために日米
間では緊密な連携協力の体制ができていること、情
報収集機能が格段に改善されていることが前回のミ
サイル発射とは根本的に異なる点である。

ただ、ミサイル防衛システムをもって飛来する弾道
ミサイルを迎撃するための態勢を整えたとしても、
実際に撃墜する場合には、発射後の影響と対応を考
慮する必要がある。一般論としては北朝鮮が通信衛
星を発射すると言って、明確に発射日時、着地点、
経路などを通報してきた場合に、通告通りに発射さ
れたミサイルなどを撃墜することは国際法上、困難
な点がある。もっとも、発射時にかかる通報がなく
、それが、通信衛星であるか、あるいは、弾道ミサ
イルであるかを判別することが困難である場合に、
しかも、自国領土の方角に向かってくるのであれば
、これを撃墜することは国際法上も問題はない。

他方、撃墜する場合には現場の指揮官に予め、撃墜
の命令を出す権限を委任しておく必要がある。北朝
鮮からミサイルが発射された場合に上昇段階が2-
3分であったとして、弾道を飛翔する期間は3-4
分であり、その間に撃墜するのがミサイル防衛のイ
ージス艦である。もし、それが撃墜できずに自国の
領土に着弾するように飛翔する場合に最終段階でこ
れを撃墜するシステムがパトリオットミサイルのPA
C-3である。ただ、北朝鮮が現時点で日本の領土内に
着弾するようにミサイルを発射するとは考え難い。
もっとも米国の、例えば、ハワイかアラスカか、西
海岸の方角に向かって飛翔する場合にイージス艦の
艦長がこれを日本海において撃墜する可能性は常に
存在する。無通告で発射されたミサイルになんらの
対応も取らなかったら何のためにミサイル防衛シス
テムを配備しているのかという議論が生じるし、日
本に向けて飛来してくる弾道ミサイルに米艦艇がな
んらの対応も取らなかったら日米同盟の信頼性にも
関わる問題に発展する。他方、撃墜できるかという
ことは蓋然性の問題であり、間違いなく撃墜できれ
ばミサイル防衛システムの信頼性を証明することが
出来るという利点があるが、仮に撃墜に失敗した場
合でも技術革新の途上にあるシステムであり問題に
する必要はない。改善すれば良いだけの話である。
なんらの対応を取らずに見逃したということになる
と政治的にも技術的にも許されないであろう。

他方、撃墜した場合の影響を考えると北朝鮮の指導
部に大きな打撃となり、北朝鮮が場合によっては、
過剰反応をする可能性がないとは言えない。しかし
、日米は予め、ミサイル発射を行なったら撃墜する
という予告を行なうことによって北朝鮮側のミサイ
ル発射を未然に抑止することが出来るかも知れない
。他方、にもかかわらず発射に踏み切って撃墜され
た場合の責任は北朝鮮の指導部が自ら負うというこ
とになるであろう。在韓米軍を含め緊急事態に備え
る必要があり、北朝鮮のミサイル発射をめぐって日
米韓間の緊密な調整と連携を図り、危機管理の共同
対応をとっておくことが不可欠であろう。


        拓殖大学大学院教授 森本 敏

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こんにちは、森本敏です。
あっと言う間に3月も第2週になりました。
今週末のホワイトデーには、みなさんは何を
お返しに送られるのでしょうか。

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                2009.3.9発行
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小沢民主党は外交・安全保障政策を明確に示せ
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このところ、多くの米国人から決まって「民主党
が政権を担当したら外交・安全保障政策はどう変
わるのか」と聞かれる。そこで、「良く分からな
い」と答えると米国人は変な顔をして「民主主義
国家で最大野党の政策が分らないとはどういうこ
とだ。何か隠すことでもあるのか」と言われる。

民主党のマニフエスト(選挙公約)には「主体的
外交の確立」「米軍再編に国民の理解が不足」
「グアム移転経費反対」「アジア太平洋の米軍の
あり方を検討すべき」「北朝鮮外交の主体的展開
」などと書かれている。これだけでは政策の全て
は分からないが、今まで、インド洋やソマリア沖
海賊への海自派遣に反対し、グアム移転経費、H
NS(接受国支援)、普天間基地建設に反対し、
地位協定改定を主張しているので日米同盟や自衛
隊の海外展開に反対のようである。

小沢代表は核兵器問題について発言し、これに中
国が反発したこともある。イラクへの自衛隊派遣
に反対し、インド洋への海自派遣も安保理決議の
ない活動であり憲法違反として反対した。一方、
アフガンのISAF(国際治安支援部隊)は国連安
保理に基づくので、これに参加することは憲法に
抵触しておらず、「私が政権を取って外交・安保
政策を決定する立場になればISAFへの参加を
実現したい」と雑誌「世界」に書いたこともある
。そして、先般、「日本もグローバルな戦略を米
国と役割分担し、日本が在日米軍の役割をもっと
果たせば、米軍が出動部隊を日本においておく必
要はない」「この時代に前線に部隊を置く意味は
あまりない。第7艦隊がいれば、米国の極東にお
けるプレゼンスは十分だ」という趣旨の発言をし
た。

日米両国は日米安保条約に基づく抑止と対応の機
能を果たすため、日本が領域内での防勢作戦を、
米軍が領域外での攻勢作戦を主として担当するよ
う役割分担してきた。その間、日米防衛協力ガイ
ドラインに基づき、日米は相互に協力する態勢を
充実させてきた。日米安保条約に基づき駐留する
在日米軍のうち、陸軍と海軍は主として、後方支
援部隊であり戦闘部隊ではないが、海兵隊と空軍
の多くは戦闘部隊である。しかし、第7艦隊は洋
上で作戦に従事する海軍と海兵隊から成る統合任
務部隊であり在日米軍には含まれない。

小沢氏の言うように、米軍を撤退させて、代わり
に日本が米軍の役割を果たすということは、日本
が領域外における攻勢作戦をも担当するという意
味であり、そのためには領域外における武力行使
を行い、そうした攻勢作戦を可能とするための防
衛力を装備する必要がある。これはいわば自主防
衛論であり、日本が防衛の役割を主体的に果たす
ためには核武装も必要となる。それを理解した上
での発言ということであれば、日本は領域外の武
力行使をどこまでやるべきか、そのために憲法を
どう改正するかについて議論すべきであろう。

こう考えると小沢氏の考え方は従来から一貫して
いる。それを推測すれば、日本の防衛は米国に依
存して行うべきでない。日本が自ら憲法を改正し
て自主防衛力を整備すべきである。しかし、憲法
を改正する前にできることは国連安保理に基づく
集団安全保障に自衛隊を参加させることである。
これは湾岸戦争のように各国が国連のお墨付きに
基づいて派遣されるのであって、この派遣された
自衛隊の活動は憲法上の制約を受けない。従って
、国連の集団安全保障に参加することは憲法違反
ではない。日本の安全保障を日米安保条約に依存
する程度は限定的にするべきであり、せいぜい、
第7艦隊が周辺におれば用は足りる、あとは日本
が自ら、その役割を果たせば良いのであり、それ
にとって必要であれば憲法改正をすれば良いだけ
のことである、というものであろう。

しかし、第7艦隊は西太平洋(ハワイからアフリ
カ東海岸まで)を担当する統合任務部隊であり、
常時、日本周辺に展開しているわけではなく、日
本の安全にとって常時、抑止効果があるわけでも
ない。
他方、在日米軍の海兵隊や空軍部隊は中東・湾岸
を含むアジア太平洋全域で活動している。湾岸戦
争やイラク戦争に海兵隊が派遣されたし、空軍部
隊は東南アジアのイスラムテロ作戦に従事したり
している。

小沢氏は、「前線に部隊を置く必要はないし、第
7艦隊がいれば十分」というが、在日米軍の基地
と部隊の存在はアジア太平洋全域における米国の
抑止機能発揮にとって不可欠の存在であり、日本
が代わりに米軍の役割を果たせるはずもないし、
第7艦隊は在日米海軍や海兵隊の支援があって始
めて作戦を遂行できるようになっており、第7艦
隊と在日米軍は切り離せない。

小沢氏の考え方を延長すると、いわば有事駐留論
か、または、再軍備論に行き着く。有事駐留論は
在日米軍の抑止力を過小評価しすぎであり、日米
同盟を危機に陥れることになる。中国や北朝鮮が
喜ぶだけである。

他方、米軍が撤退し、日本がその代わりをするよ
うな再軍備をして核武装への道を選択するという
のなら、アジア諸国はいうに及ばず、米国が容認
しないであろうし、これは日米同盟の離婚を意味
する。間違いなく多くの日本人はこのいずれの選
択も受け入れないであろう。


安全保障政策はリスクを負えない。日本の国家の
安全を危うくするような政策は日米同盟に大きな
亀裂を生む。小沢民主党は政権を担当するとき、
いかなる外交・安全保障政策を進めようとするの
か、国民に明確な形で示す必要がある。また、そ
のためには与党のように政策議論を民主的なやり
方で実行すべきである。代表が一人で決めて党内
でまともに議論もしないような非民主的やり方で
政策を策定すべきではない。民主党が真に政権担
当能力があるかどうかを国民だけでなく同盟国も
注視していることを忘れてもらっては困るのであ
る。



        拓殖大学大学院教授 森本 敏

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こんにちは、森本敏です。
本日は非常に天気が良く晴れ晴れとした空ですが、
安全保障・外交問題は晴れ晴れ、とはいかない
ようですね。

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                2009.3.16.発行
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日本の情報機能の欠陥
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北朝鮮のミサイル発射に関して2月初め、日本の
新聞が米国から日本政府に提供された情報をリー
クしたことで米国の情報機関が大変、不快感を示
していると聞く。

この問題は結局のところ、機密とされる情報に接
触する者に守秘義務がないことによって発生する
問題である。国家公務員は国家公務員法第百条で
、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏ら
してはならない。その職を退いた後といえども同
様とする」となっており、これに違反すると、懲
役一年以下の罰則となる。しかし、公務員が秘密
を漏らさないとは言えず、だからこそ、新聞が毎
日、成り立っているといえるくらいであろう。

他方、国会議員およびそのスタッフには法的に守
秘義務はなく、国会議員に提供した情報は、その
場で新聞記者に渡されても処罰の対象にもならな
いしそれを未然に防ぐ手段もない。しかし、立法
化については国会議員が反対するし、メデイアや
報道機関もこうした法律の立法化には反対するの
でなかなか実現しない。これが結果として国益を
損なうことになっているのは深刻な問題である。

日米同盟関係のもとで米国から日本に知らされる
機密情報は国家公務員のなかでも限られた人員し
か取り扱うことが出来ないようになっている。

しかし、これを法的に守秘義務のかかっていない
国会議員やそのスタッフには渡すことはできない。
それで日本の政治が出来るのかという疑問がわく。
米国議会は全ての議員とスタッフに守秘義務を課
している。この差が同盟関係に大きな問題をもた
らすことは国会議員が最も理解しなければならな
い問題であろう。米国に出張した国会議員に米国
政府がどのような基準で情報を提供しているかを
理解すれば日本で国家秘密保護法を制定しなけれ
ば、真の同盟関係を構築することが出来ないと考
えるべきである。


ところで、日本の情報機関は複数あるものの、そ
れによって収集分析される情報が国家として十分
に統一的に運用されずに、政府の中枢すなわち総
理と縦に個別に直結しているという問題も再考す
る必要があろう。

例えば、防衛省には情報本部があるが、これは統
合幕僚長の指揮下にある組織で防衛大臣に必要な
情報を提供する目的で運用されている。外務省も
「国際統合情報官組織」という組織があり、統合
情報官がいて対外情報を担当している。公安調査
庁も千五百人以上の要員を抱える独立した機関で
、主として検事が長官を務めている。また内閣情
報調査室は、内閣にある百五十人ほどの機関で、
官房長官に直結し、トップは国家情報官といい、
警察庁から出向している。このように防衛庁、外
務省、公安調査庁、内閣が情報機関をもっており
、警察も独自の情報機関を持っていて、このほか
海上保安庁などさまざまな国家機関が独自の情報
を持っている。これらの情報機関は原則として横
の連絡はなく、それを解決するために「合同情報
会議」が官房長官の下にあるが機微に触れる情報
は出さない。

こうした諸問題を解決する手段は国家としての統
一された単一の情報機関である「国家情報庁」を
設立する以外にはないが、どこの情報機関も今ま
での仕事を手放したくないし、組織を統合したり
、壊されたりするのは拒否するので恐らく国家的
事業を成し遂げる勇断がなければ実現しない。

もっと深刻な問題は情報入手の方法が非常に限ら
れているという点である。このために、情報の入
手を、同盟国を含むいくつかの国、とくに米国に
大きく依存せざるを得ない。しかし、日本は独自
の諜報機関も持たないため、海外からの情報は日
本の国内で入手できるものの他は在外の大使館を
通じてしか入って来ない。ハードな面での収集手
段は、電波、航空機、艦艇によるものの他、いわ
ゆる静止衛星と移動衛星計四基の情報衛星に依存
しているが、この情報収集衛星の解像度は、民間
の商用衛星とほとんど変わりなく、今後、改善を
要する。


日本の情報活動にはこのように多くの問題がある。
しかし、情報機能を維持するためには厳しい法的
な措置が不可欠であり、これを完備しなければ結
局のところ、情報機能を強化することが出来ない。
日本の防空戦力向上のためにF-22の導入が不可
欠であることは自明の理である。しかし、国家機
密を守るにふさわしい制度を有していない日本に
米国議会は新しい兵器システムの情報提供を断っ
ている。情報機能を強化するどころか、情報のリ
ークを防ぐこともできなければ日本の国防も安全
保障も成り立たないのである。



        拓殖大学大学院教授 森本 敏

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