葛城奈海の森

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自然環境問題への取り組みをライフワークにしている葛城奈海の「森のコラム」。米作りや山歩きの話、予備自衛官補訓練記など。

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メルマガ名
葛城奈海の森
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月刊
最終発行日
2010年01月06日
 
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日記 > テーマ別 > その他

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メールマガジン最新号

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~~ 葛城奈海のメールマガジン 『森のコラム』 ~~

第28号(2010年1月6日)

☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆ ☆☆ ☆

気分は魔女!? ――神秘の芋、蒟蒻(こんにゃく)との格闘

 年の暮れも押し迫ったころ、思いがけず、念願の蒟蒻(こんにゃく)づくりが
実現した。訪ねたのは、山梨県上野原市の西原という集落。農作業を手伝うつも
りでお邪魔したのだけれど、「これだけ人数がいるなら蒟蒻やっちゃおうか」
という農家の中川さんの一言に、「わー、私、前から作ってみたかったんです!」
と反応してしまった私。決して社交辞令ではなく、前々から、蒟蒻にとてもミス
テリアスなものを感じていたのだ。

なぜ、ミステリアスか。子供のころ、肝試しの小道具に使ったから、ではない。
まず、蒟蒻芋という植物は、まだら模様の茎をはじめルックスがおどろおどろし
い。次に、原料となる芋は、薩摩芋やじゃが芋などと違い、収穫までに数年の
歳月を要する。そして、なによりも、その芋がなぜあのように、元の姿とは
似ても似つかないぷるぷるしたコンニャクになるのか、摩訶不思議である。
今では畑に生えている状態で「あれが蒟蒻芋」と識別できる人はあまり多くない
ように思うけれど、初めて識別できるようになった人なら誰しも私と同じ思いを
抱くのではあるまいか。

 かくして、目の前に直径20cmを優に越える蒟蒻芋がふたつ、どんどんと置かれ
た。聞けば、収穫までに3~4年はかかったという。併せて渡されたのが亀の子
ダワシと木ベラ。水を流しながら、皮をこそげ落とすのだ。「かゆくなる人が
いるから」とゴム手袋も貸してもらい、庭の片隅での孤独な作業が始まった。
「ホントは金属のタワシの方がいいんだけどな……」との中川さんのつぶやきが
暗示していたとおり、亀の子ダワシでいくらゴシゴシこすっても、なかなか思う
ように皮がこそげとれない。加えて、芋には丸みとともにかすかなぬめりもあ
り、しっかり押さえることが難しい。仲間たちが、蕎麦や黍(きび)の脱穀に
精を出しているのを尻目に、孤独な作業を続けること数十分。途中から、そも
そも芯や腐っている部分を抉り出すための道具だった木ベラを大胆に使って
皮も削ぐようにしたところ、茶色かった芋がなんとかほぼまんべんなく白く
なった。

 次に、縁側に移動し、フードプロセッサーにかける。中川家ではふだん卸し金
ですり卸すそうなのだけれど、「ミキサーを使うと濃い蒟蒻ができる」と聞いた
とかで、初チャレンジしてみようというのだ。説明書を見ながら、当初はフード
プロセッサーの回転部分にプラスチックの「卸し金」を装填。しかし、試して
みたところ、なかなか量をこなせないことが判明し、「卸し金」を外して、
ミキサータイプの金属の刃に交換。いずれにしても、蒟蒻芋は適度な大きさに
しなければ入らないので、これまたぬめりに四苦八苦しながら、包丁で切り分け
ては、プロセッサーに投入する。この時点で、ほんの少し生の芋を味見して
みた。すると、……特に味なし、と思いきや、しばしの後に、舌の一部が
しびれてきたではないか!! ひーっ。蒟蒻芋おそるべし。後で調べたところ、
このエグ味はシュウ酸カルシウムなんだそう。

 砕いた芋は、ヘラで掻き出し、水を張った馬鹿でっかい金属のボール(なん
と、重さ10.5kg)に入れていく。水と芋を混ぜると、どろりどろりとしてくる。
中川さんはまた脱穀作業に戻ってしまったので、ここでもまた孤独な作業が
続く。少しでも効率を良くしようと、徐々に、プロセッサーに投入する量を
増やしていく。あまり欲張ると、細かくならない部分が残るので、塩梅を
見ながら調整する。すべて終わって再び中川さんを呼びに行き、ボールごと
量りに載せると、今度は18kg。この時点で、とろろ状になった芋は、酸化して
ほんのりピンクがかっていた。

 お昼を挟んで、なぜそんなに大きなボールが必要だったのか、ようやく合点が
いった。なんと、それをそのまま、ドラム缶を半分に裁断して作った手製の炉
にかけるのだ。手製とは言え、煙突までついた優れものの炉に、薪と小枝と
新聞紙を使って、中川さんが手際よく火を熾す。芋をかき混ぜるのも、お手製の
大ベラだ。「焦げ付かないように」とヘラ使いの手本を見せてくれて中川さんは
去り、そこからは残された助っ人と私の二人になった。少しずつ少しずつ、
芋が粘性を増してくる。それとともに、色も次第に鼠色に変わり、ヘラは重さを
増してくる。助っ人は、楽しそうにヘラを操っているが、私には次第に操作が
困難になってきて、交替時間が短くなってくる。小1時間ほど、そうしていた
だろうか。気がつけば、ボールの中は、いつしか見慣れた蒟蒻色に変っていた。
……と言いたいところだったが、よく見ると、ところどころに白い塊が残って
いる。プロセッサーで砕けきらなかった残りだ。まずい。あのエグ味の塊が
そのまま残った蒟蒻になってしまったら、食べた人はどうなるのだーっ?

 再び中川さんに指示を仰ぐと、お湯をこぼし、食用石灰を水で溶いたものを
入れて掻き混ぜ、続いて中身を団子にし始めた。泥団子ならぬ蒟蒻団子だ。
バケツに水を張り、3人がかりで熱々の蒟蒻を丸めていく。冷えて固まって
しまっては団子にならないので、「あつっ、あつっ」と小さく叫びながら、
大の大人が額を寄せ合い、一心不乱に何十もの団子を作る。自然に笑みが
こみ上げてくる。が、握りながら、「この白いところがどうなるかだ……」
と中川さんも心配そう。

 続いて今度は、それをお湯でぐつぐつと煮た。これがまた不気味なのだ。
というのも、色が微妙に茶色がかってきて、どうみても臓物に見えるのだ。
それが数十個、煮え立つお湯の中でぐらぐらと踊っている。そのお湯を、
木ベラで掻き混ぜる。気分はさながら魔女か閻魔大王、といったところ。
「エグ味よ消えろ、エグ味よ消えろ」と念じながら掻き混ぜる内、いつしか、
山の端に日も沈み、あたりに夜の帳が下りてきた。火の側は温かいが、
大分冷え込んできたのがわかる。それでも、魔女の鍋は煮え続ける。

 帰る前にと、煮え続ける鍋からいくつかを取り出し、刺身と油炒めにして
みた。ドキドキしながら、まず刺身を口に運ぶ。果たして、エグ味は……?
煮込んだ甲斐あって、幸い、あの強烈なエグ味はほとんど消えていた。
その場にいた6名も、「ところどころ歯ごたえが……」と言いながらも、
パクパクと食べてくれたのだけれど、途中で恐怖の味見をしてしまった助っ人
と私だけは、その強烈な痺れがトラウマとなって、ほとんど消えているはずの
エグさが口の中で再現されてしまい、正直なところ、あまり心穏やかに味わえ
なかった。それでも、油炒めの方は、それなりに本当においしいと思いながら
食することができたけれど……。

 中川さんは言う。「どの木がどんな性質で何に使うのに適しているか、
どんな農作業にどんなものが必要か、ぜんぶ体を使った経験と、先祖から
受け継いだ知恵で学んでいく。どんなに知識で覚えたって、それだけじゃ
実際には役に立たない」。そういえば、作業の途中で、「塩気のあるものを
使っちゃったら固まらないんだ」と教えてくれたけれど、それだって、
知らされなければ不用意なミスに繋がっていたかもしれない。経験から得た
立派な「知恵」だろう。「今日みたいに卸し金を使わないやり方は初めて
だったけれど、こうやってチャレンジもしながら、失敗もしながら学んで
次に繋げていく。そうやって知恵を継承していくのが、伝統」。つくづく思う
に、蒟蒻を最初に食べようと思った人、そして実際に食べられる状態にした
人は、本当にすごい。きっと、数限りない失敗を重ね、何人もの知恵に
知恵を重ねて、ようやく編み出された手法だろう。その先達があって、私たち
は今、植物としての見た目もおそろしげで、生の芋の味もおよそ食用可能だ
とは思えない蒟蒻を、おいしく頂くことができているのだ。

 皮をこそげ落とし始めてから、実に6時間。長い長い作業に、衣服にも
髪の毛にもすっかり「薪の臭い」が染みついた。それでも、舌に走った
強烈な痺れも含めて、なにかとても大切なことを学ばせてもらった気がした
年の瀬の一日だった。


。・‘ 。・‘ 。・‘  ◇ あとがき ◇ 。・‘ 。・‘ 。・‘

あけましておめでとうございます

みなさん、どんなお正月をお過ごしでしたか?
私はいつもの通り、道場で稽古をしながら新年を迎えました。道場では昨秋、
青少年自然塾の講師になりました。とかく、ワイルドな体験から遠ざかりがちな
子供たちを自然の中に連れ出して、ドキドキワクワク、そして時にはハラハラを
重ねながら、逞しさと情緒を育んでいけたらと思っています。

昨年は、新潟の海岸で北朝鮮工作員の侵入・拉致シミュレーションを行ったり、
年末にシンポジウムを開催したりと、予備役ブルーリボンの会の活動が本格化
した年でもありました。
レギュラーで務めさせていただいているチャンネル桜『防人の道』、TBS
ラジオ『ちょっと森林のはなし』をはじめ、すべての活動を通じて、日本人が
「気高さと雄々しさ」を取り戻せるよう、力を尽くしていきたいと思って
います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


。・‘ 。・‘ 。・‘  ◇ Information ◇ 。・‘ 。・‘ 。・‘

☆『森林の仕事ガイダンス』開催
1月15・16日 名古屋ガイダンス @名古屋国際センター
1月22・23日 大阪ガイダンス @梅田ステラホール
2月5・6日 東京ガイダンス @アキバ・スクエア
今年は、ゲストとして、ダニエル・カールさん(名古屋)、辰巳琢郎さん
(大阪)、菅原文太さん(東京)をお迎えします。林業家や緑の研修生も
交えてステージを進行していきます。
詳しくは、「緑の雇用」ウェブサイトでご確認ください。
http://www.ringyou.net/index.php

☆日本文化チャンネル桜(スカパー217ch) 『防人の道 今日の自衛隊』 
キャスターとしてレギュラー出演中 
基本は、毎週火曜日担当ですが、週によって変更もあります。
詳しくは、チャンネル桜HPでご確認ください。
http://www.ch-sakura.jp/index.html
スカパーでの放送は、翌日の23:00~23:30。(今夜は例外的に21:30 ~)
インターネット放送(So-TV)では、翌日の12:00以降、いつでも視聴可能です。

☆TBSラジオ 『ちょっと森林のはなし』オンエア中
1月は、山形県の森林をご案内しています。
*番組のHPには、前述の私の取材後記(音声)や写真もアップされて
いますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
http://www.tbs.co.jp/radio/forest/
エリア 放送局 放送時間 
東京(関東広域) TBSラジオ 954kHz 日曜日 9:55~10:00
北海道 北海道放送 1287kHz 土曜日 6:25~6:30
秋田 秋田放送 936kHz 土曜日  11:25~11:30
岩手 IBC岩手放送 684kHz 日曜日 8:40~8:45
山形 山形放送 918kHz 土曜日 17:25~17:30
宮城 東北放送 1260kHz 日曜日 11:05~11:10
福島 ラジオ福島 1458kHz 土曜日 8:45~8:50
愛知(中京広域) 中部日本放送 1053kHz 日曜日 6: 55~7:00
大阪(近畿広域) 朝日放送 1008kHz 日曜日 7:05~7:10
和歌山 和歌山放送 1431kHz 土曜日 6:40~6:45
鳥取・島根 山陰放送 900kHz 日曜日 16:25~16:30
広島 中国放送 1350kHz 日曜日 6:15~6:20
愛媛 南海放送 1116kHz 日曜日 8:25~8:30
香川 西日本放送 1449kHz 土曜日 17:15~17:20
徳島 四国放送 1269kHz 土曜日 7:35~7:40
高知 高知放送 900kHz 日曜日 7:00~7:05
福岡 RKB毎日放送 1278kHz 日曜日 6:10~6:15
大分 大分放送 1098kHz 日曜日 7:25~7:30
熊本 熊本放送 1197kHz 日曜日 7:55~8:00
宮崎 宮崎放送 936kHz 土曜日 6:15~6:20

※エリアによって放送日・放送時間が異なります。
  また、局の事情等により放送時間が変更になる場合もあります。
  放送時間等については各放送局へお問い合わせください。

☆『葛城奈海のがんばれ林業』
http://www.ringyou.net/bbs/ganbare/
森林の担い手を応援するお仕事で、上記ラジオもその一環です。
『MIDORI PRESS』という冊子やラジオの取材で、全国各地を飛び回っています。
上記URLのページでは、『木もれ日の部屋』という毎月のコラム連載や、
全国各地の匠との触れ合いの様子、森の暮らしレポートなどをご覧頂けます。

☆『女性が元気になる「守護樹」占い』(大原敬子著)講談社より発売中
30年以上に渡って幼児教育に携わってきた著者が干支ごとに異なる性質や
運勢、守護樹を紹介しながら生き方のヒントを紹介。
私は、葛城奈海の「木と語り合う」というコーナーで12のコラムを綴って
います。  
         
◆著者のHPはこちら→http://www.katsuragi-nami.com
(今回のコラムも、近日中に写真付きでアップ予定です)

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