ビジネス スタンダード ニュース

  • ¥0

    無料

豪華執筆陣によるビジネスからカルチャーまでを取り上げるハイテンションメルマガ。

著者サイト
   
 

このメルマガは現在休刊中です

 
メルマガ名
ビジネス スタンダード ニュース
発行周期
月4回刊(5週目はお休み)
最終発行日
2010年05月26日
 
発行部数
0部
メルマガID
0000098654
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
ニュース・情報源 > 業界ニュース > その他

まぐまぐ!メールマガジンの用語集です。
下記の用語以外の不明な点はこちらをご覧ください。

 
発行周期
週1回、月1回などの発行頻度です。
部数
メルマガの配信数を記しています。
カテゴリ
まぐまぐ!に登録されているカテゴリです。
形式
メルマガには以下の配信形式があります。下部「メルマガ形式」をご参照下さい。
 
最終発行日
最後にメルマガが配信された日付です。
メルマガID
メルマガを特定するIDです。
RSSフィード
RSSを登録すると、更新情報を受け取ることができます。

― メルマガ形式 ―

  • PC向け
    パソコンでの閲覧に最適化したメルマガ
  • 携帯向け
    スマートフォンやフィーチャーフォンでの
  • PC・携帯向け
    PC・携帯どちらでも快適にご購読いただけます。
  • テキスト形式
    文書だけで構成された、一般的なメールです。
  • HTML形式
    ホームページのように文字や画像が装飾されたメールです。
  • テキスト・HTML形式
    号によって形式が変更する場合があります。

閉じる

メールマガジン最新号

●最後の挨拶●
(2010/05/26)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ビジネスの新しいスタンダード!
■■週刊ビジスタニュース■■   
●最後の挨拶●
http://www.sbcr.jp/bisista/   2010.05.26
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
毎週水曜日発行(5週目はお休みします)。

[Index] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.山形浩生「山形月報!」

2.大熊信「フィリピーナから見る日本と国際化」[特別寄稿]

3.編集部の現場から

4.オバタカズユキ「ライターの事情2010」[特別寄稿]
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

長い間お世話になりました。メールマガジン「週刊ビジスタニュース」
は今号が最終号です。

まずご報告ですが、現在バックナンバーなどを掲載しているサイトは
システムの事情がありまして、近日新サイトに移行いたします。
URLが変更となりますので、ブックマークなどをしてくださっている
方々にはご面倒をおかけしますが、よろしくお願い致します。
新サイトのURLなどは現サイトでまた告知いたします。また、なるべく
掲載してあるものは新サイトに移す予定ではございますが、全てを移す
わけではなく、現時点で確定していない点もございますので、その点は
諸々ご了承ください。
http://www.sbcr.jp/bisista/

さて、今号では山形浩生さんの連載「山形月報!」の最終回です。この
連載をブックガイドとして読んでくださっていた方も多かったようです
ので、ぜひ最後までお楽しみを。

そして、ライターの大熊信さんにはフィリピーナを通して日本の国際化
に関する論考をご執筆いただきました。なお、漫画『愛しのアイリーン』
の結末に触れておりますので、あらかじめご了承ください。

大トリはオバタカズユキさんにお願いいたしました。「ライターの事情」
というテーマです。書き手を探すことや世に送り出すということについて
は当メルマガ担当者もよく考えていることです。これからの出版界そして
読者の方々にとっても関係のあるテーマだと思っています。それを考える
きっかけとして読んでいただけますと幸甚です。

続いて告知でございます。

一度お伝えした“W杯を120%楽しむためのスペシャルトークナイト!”
について再度告知をば。「W杯直前!明日の日本のサッカーを考える」
というタイムリーなテーマにぜひ足をお運びくださいませ。
http://tcc.nifty.com/cs/catalog/tcc_schedule/catalog_100512202968_1.htm

Web文芸誌「マトグロッソ」が創刊しました。新しい試みとして非常に
興味深いです。連載陣も豪華ですし、今後の展開に期待したいですね。
(リンク先の右側から入れます)
http://www.amazon.co.jp/matogrosso

速水健朗さんと円堂都司昭さんにバンドを通して組織に関するお話を
うかがいました。聞き手は近藤正高さんです。
http://www.sbbit.jp/article/cont1/21690


前号(小田嶋隆さんの連載、浅子佳英さん、近藤正高さんの特別寄稿を
掲載)はこちら。
http://www.sbcr.jp/bisista/mail/art.asp?newsid=3417


 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 1.山形浩生「山形月報!」
■□              
 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━


ベトナムから戻ってきて、前回予想だけで書いたものをざあざあと
読み流しているけれど、ほぼ予想した通り。したがってそれぞれを細かく
解説したりはしないけれど、田中秀臣『デフレ不況』(朝日新聞出版)は、
日銀の陰湿ないじめの例があれこれ出ていて、エグい内部のいじめ体質が
浮き彫りになっているのは予想しなかったところ。そういうゴシップ的
にも大変おもしろいので、是非一読を。

さて、なんだか多くの人が伊藤計劃評を期待しているそうで、優先度を
あげて読み終えましたよ、『虐殺器官』(ハヤカワ文庫JA)。大変に
楽しめた――ヨハネ・パウロの動機づけと主人公の最後の行動以外は。
そこで急に話がしりすぼみになるのが残念。そういうオチにしたいなら、
前半で先進国のテロの話をもっと書き込まないと。あるいは主人公が
出張先で、昔はアメリカでテロしていたやつに出くわして、
「いまはそれどころじゃないんだ」と言わせるような話をいくつか
伏線で張っておくとか。

ついでに、虐殺器官が多少のプロパガンダで止まらなくなり、身内の
殺しあいになってしまうなら、進化的にはあまりに不利でしょう。
そのままでは説得力を欠く。いま書くなら主人公がヨハネ・パウロの使徒
となってしばらく行動しつつ、不穏な三角関係を保つような展開にして、
あそこはこう書き直してみよう、それと虐殺器官自体があまり前面に
出てこないので不満だな、発動をもっと歴史的に描いて(冒頭のエピソード
は大躍進時代の中国かなんかにするとか)、進化的な必然性に厚みを加えた
うえで、主人公の目の前でそれが突然発動する場面かなんかを出して、
ついでにその器官の停止条件を導入するといいな、すると主人公とママの
うっとうしい思い出話もやめて、語り手はかつてどこかの大虐殺の
生き残りにして、そのうえであれやこれや加筆すると、おおこれは
なかなか……と考え出したところではっと気がついたんだが、そういえば
これってぼくが書いた小説じゃないんだよね。

でも、小説の盛り上げ方もディテールの構築も、なんだか……すごく
既視感があるのだ。ヨハネ・パウロのオープンソース資料の分析、CIAが
現地語も読めないエージェントを派遣するというグチ。戦争のコスト高騰
からくる採算性のなさ、そして何より、本書のテーマになる、言語が
身体器官だというチョムスキー説の解説も。

なんだかぼくのウェブサイトを切り貼りすると、この小説の元型が
できちゃいそう。むろん、著者がぼくのウェブなどを読んでいたという
証拠はないし、ぼくが考える程度のことは頭がいいやつなら思いつける
ことではある。それに英語のことわざに、Great minds think alike
というのがある。かれも似たような関心を持って、似たようなネタを
漁っていたんだろう。

でも「こういうネタならあの話……」と思っているとそれがすかさず
出てくるのを何度か読みながら体験し、なんだかこそばゆいような。
それだけにこの最後は「オレならこのラストにするまでにもう一回
ひねる!」という気がして、たいへんスプランジな感じ。でも、
ぼくもどきの小説だけあって、その知見も世界観も、そこらの
くだらん平和ボケした日本の小説よりはるかに上だ。ぼくのこんな
コラムをずっと読んできたあなた、是非お読みあれ。楽しめること
うけあい。

ちなみに巻末の解説で、解説者は伊藤が本書のために「集めた資料も
おそらく膨大なものだろう」と述べるんだけれど、その例として
挙がるのは、ピンカーにデネット、ガザニガなどの通俗書。
ほとんどこの欄で紹介したような本ばかりで、これのどこが膨大なの、
と鼻白む思いをするのだけれど、一方ではこの欄で紹介した本が、
世間的にはかなり高度なものだということを示しているものでもある。

だからぼくの言うことを信じて、ちゃんと紹介したものを読んで活用
すれば、あなたも今頃は伊藤計劃になれていたかもしれないのに。
そうなれなかったのは、別にあなたに才能がないからではなく、
ひたすらあなたの努力が足りなかったからなのよ、というのがぼくの
最新訳書、マシュー・サイド『非才!』(柏書房)のテーマなので、
興味ある方はご一読あれ。

出版事情についてのグチはあちこちで聞かれるけれど、よい本は
たくさん出ているし、この欄が始まってからも、『虐殺器官』など
で参照されている行動経済学や脳科学や、その他多くの分野の書籍
は以前とは比べものにならないくらい充実してきているのだ。

ベストセラーのリストだけ見ていると、あるいは流行ばかり見ていると、
腐ったタレント本やら扇情本、柳の下のドジョウ狙いの追随本、
返品増加に倒産騒ぎ、そしてこんな有益なメルマガさえなくなる劣悪な
財務状況、さらにはiPadだのなんだのと、本を取り巻く環境は悪化して
いるように見えるし、出版界のレベルは落ちているようにも見えるし、
そしてその通りだという部分も多い。

でも一方で、読める本のストックとして見ると、実は状況はそんなに
悪くないのかも、とぼくは思っている。そしてちょっとそのための
ガイドがあれば、みんなずっと有効にそうした本やら情報やらを使える
のに、とも思う。こんなコラムが、少しでもその役にたてたことを祈り
たいけれど、どうだろうね。ではまたどこかで。


●山形浩生(やまがた・ひろお)
大手シンクタンク研究員、評論家、翻訳家。
著書に『新教養主義宣言』『要するに』(ともに河出文庫)、
『新教養としてのコンピュータ入門』(アスキー新書)、『訳者解説』
(バジリコ)など。
訳書に、ビョルン・ロンボルグ『地球と一緒に頭も冷やせ!』(弊社)、
ポール・ポースト『戦争の経済学』(バジリコ)、イアン・エアーズ
『その数学が戦略を決める』(文藝春秋)ほか多数。
オフィシャルサイト(日本語)
http://cruel.org/jindex.html


 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 2.大熊信「フィリピーナから見る日本と国際化」[特別寄稿]
■□  
 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━


2006年、日本人とフィリピン人の国際結婚件数が急激に増加し中国人を
抜いてトップに立った。90年代から日比国際結婚の数は増え続け、
1992年から2007年の統計で計12万組。特に05年、06年は急激に増加し
年間1万2千組にまでなった。実に日本の国際結婚の3分の1が
フィリピン人になる計算だ。ただしその99%が日本人男性と
フィリピン人女性、いわゆるフィリピーナとの結婚。そして2007年に
なると8千500組に減少し、それ以降急速に減り続けている。この極端
な数字の変化はなぜ起きたのだろうか。

1973年、日本は変動相場制に移行し急激な円高が起こった。
それまで贅沢だった海外旅行が一般化して旅行会社はバブル状態。
そんな中、旅行会社の中には大人気商材としてアジアへの買春を
目当てとするツアーを組むものも登場した。ベトナム戦争以降、
在留米軍に向けの性風俗産業がアジア各国で急成長しており、
それを受け皿にするかたちで流行したのだ。当時は客に買春を斡旋
する旅行会社があったり、“キーセン(朝鮮における高級娼婦)観光”
などと呼ばれるツアーもあった。

72年の戒厳令の布告以降、治安が安定し始めたフィリピンは特に人気が
高かった。そして同時に円を稼ぎに来日するフィリピーナも増え始める。
これがいわゆる“ジャパゆきさん”の始まり。この言葉は戦前九州の
貧しい農村から東アジア、東南アジアへ娼婦として出稼ぎに行った
女性「からゆきさん」からきている。確かにジャパゆきさんの買春が
行われることも少なくなかったが、大多数はフィリピンパブで働く
「タレント」だった。82年になってようやく旅行会社の買春斡旋を
取り締まる法律ができたが、すでに日本人は陽気で人懐っこい性格の
フィリピーナの虜。現地に行けないとなると今度は日本でフィリピン
パブが増え始め、ジャパゆきさんは流行語にまでなったのだ。

72年に興行ビザで来日したフィリピン人は570人。それが87年には
3万6000人と60倍に触れ上がった。女優のルビー・モレノも
そんなジャパゆきさんの一人。83年に18歳で来日した彼女は、
21歳でスカウトされフィリピンパブで働きながら芸能活動を
していた。92年にドラマ『愛という名のもとに』で知名度を上げ、
93年の映画『月はどっちに出ている』で日本国内の主演女優賞を
総なめにした。どちらの作品でもホステス役を演じた彼女は、
当時のフィリピンパブの流行を象徴する存在だ。

『愛という名のもとに』で描かれたのは、「金」と「性」という
かみ合わない日本人男性とフィリピーナの関係だったが、実際には
その頃からロマンスも増えていた。象徴的なのが日比の国際結婚。
82年には340件だった日比結婚が92年には5825件にまで増加。
90年、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した久田恵の
『フィリッピーナを愛した男たち』は、そのような都市部に
おける様々な日本人男性とフィリピーナの恋愛・結婚を描いている。

さらに88年の法改正で地価が高い都市部での営業が難しくなった
フィリピンパブが東北地方に広まり、それが農村部の「嫁不足」と
相まって出会いの社交場になった。95年に連載が始まった新井秀樹の
漫画『愛しのアイリーン』は、そんな東北の農家の一人息子岩男と
フィリピン人少女アイリーンの結婚を描いた快作だ。

『愛しのアイリーン』の後半、寝たきりの姑を介護するアイリーンの姿
に象徴されるように、一般的に情に厚く働き者のフィリピーナは多く、
なにより人懐っこい性格は異なる社会にもなじみやすい。近年、群馬の
ブラジル人街や東京西葛西のインド人街が話題になるが、これほど多く
のフィリピン人が来日しているのにも関わらず、フィリピン人街を
作った話は聞かない。フィリピーナたちは日本社会にある意味で
“同化”していくのではないか。『愛しのアイリーン』では
ラストシーンで夫とふたりの子供と公園で戯れるアイリーンの姿が
描かれる。そこでのアイリーンは東北弁を話し、浅黒い肌以外は
完全な日本人だ。

2007年、過疎化が進む秋田県上小阿仁村の村長選挙で当選した
小林宏晨氏は、公約に「フィリピン人女性との良縁推進」を掲げて
いた。実際、今の上小阿仁村では公式にフィリピン人女性との
国際結婚の公募や、フィリピン人対象の日本語教室も行っている。
2010年3月、上小阿仁村では僻地医療のベテラン医師が村人の
嫌がらせを原因に辞意表明したことがニュースになった。それ以前
にも外から来る医者が村人と確執起こし辞めてしまうことが度々
あったそうだ。小林氏がそんな保守的な土地柄で、どこの国でも
なくフィリピン人女性を過疎対策として考えたのは、“同化”
していくフィリピーナの資質を踏まえてのことではないだろうか。

これらの日比国際結婚で生まれたハーフの子供たち「ジャピーノ」
は、現在日本国内に15万人以上いるといわれる。彼らのほとんど
は普通の日本人名で、フィリピン語を話せず、少し濃い顔立ち
くらいにしかルーツを見出すことができない。しかし最近彼らは
ティーン誌のモデルに多く進出し、その濃い顔立ちとスタイルの
良さで人気が高い。ジャピーノたちは『愛という名のもとに』
のフィリピン人像ではなく、もはや憧れの対象。彼ら90年代に
生まれたジャピーノたちが10代後半を迎え社会に進出する時期
を迎え、日本社会にどのような変化をもたらすのかは興味深い
ところ。

フィリピンパブで働く日本人のエピソードを描いた瀧波ユカリの
漫画『臨死!! 江古田ちゃん』が始まったのは06年。急に閉店が
決まり、国に帰るフィリピーナが別れを惜しむ主人公に冗談
めかして「じゃあアコ(私)とケッコンして」と言うエピソードが
ある。

何気ない一コマだが、ここに当時のフィリピンパブをめぐる状況が
詰まっている。04年、アメリカ政府は日本を人身売買要監視国に
指定し、日本政府もフィリピン人への興行ビザの発行を厳しく
制限した。これはイラクのフィリピン人労働者の人質事件をめぐり、
フィリピン軍がイラク撤退を行ったことに対する経済制裁と
いわれていれる。

90年から99 年のデータでは日本のフィリピン人労働者が計10億ドル以上
の送金をしたというから、外貨頼りのフィリピン経済に対して十分すぎる
制裁だ。親米国のフィリピンがイラク派兵に協力した結果と考えると
何とも皮肉な話である。8万人を超えていた興行ビザで来日の
フィリピン人は06年には8000人にまで落ち込み、フィリピンパブは
慢性的な人手不足になった。『臨死!! 江古田ちゃん』の主人公が
フィリピンパブで働けたのはこの人手不足を補うためだし、
「ケッコンして」というのは、当時ビザを取得できなくなること
を知ったたくさんフィリピーナが日本人との結婚を求めていた状況
に重なる。そして冒頭の日比国際結婚が急増した原因もここにある。

現在日本への出稼ぎが難しくなったフィリピーナたちは、韓国に向かって
いる。貿易黒字が日本を上回った韓国は彼女たちにとってもっとも魅力的
な国なのだ。またオイルマネーで潤う中東でメイドをするフィリピーナも
増えている。日本でもフィリピンパブに代わって上小阿仁村のような
過疎集落での日比結婚推進活動が増えるかもしれない。経済や国家間の
関係に翻弄され、結果として世界に広がっていく彼女たちはこの先
どうなっていくのか。

沖田×華の漫画『こんなアホでも幸せになりたい』では、巻末に作者
の幼少期に出会ったフィリピン人少女とのエピソードが収録されている。
国境のない空の雲の上、楽しそうに遊ぶふたりの姿が描かれる
ラストシーンに、フィリピーナたちの未来を重ねずにいられなかった。


●大熊信(だいくま・しん)
1980年、千葉県出身。
ライター、編集者。
『サイゾー』などで活躍中。
ブログ:ダイナミック大熊
http://d.hatena.ne.jp/die_kuma/


 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 3.編集部の現場から   上林達也
■□   守屋淳
■□『超要点解説とキーワードでわかる・使えるクラウゼヴィッツの戦略』
 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━


クラウゼヴィッツの『戦争論』……。高名な一方で読んだという人を
あまり聞かない本です。ボリュームもあり、当時の情勢の知識もないまま
読むと、途中で投げ出してしまう可能性は高いかと思われます。

本書は「戦略」の観点から、守屋淳さんにその『戦争論』のエッセンス
を抽出したうえで解説していただいたものです。組織やマネジメント
などを考えるうえで資することも多い内容となりました。

名前は知っているけど、敬遠していた人にとっては良い入門書にも
なるかと思います。ぜひご一読ください!


△▼△▼↓↓↓↓ご購入はこちらから↓↓↓↓△▼△▼
http://www.amazon.co.jp/dp/4797357460/wwwsbcrjp-10-22/ref=nosim


 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━
■□ 4.オバタカズユキ「ライターの事情2010」[特別寄稿]
■□              
 ■━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━


実験が許される媒体なので、小さな記録から筆を起こしてみる。

中学生向け月刊誌の連載原稿書きでテンパっていた深夜のことだ。
『週刊ビジスタニュース』の支配人・上林達也氏が当方の事務所に
せかせかとやって来て、「……それから話は変わりますがそろそろ
メルマガのほうを閉じようかと思っていましてつきましては中々
ご執筆なさらないオバタさんにもこの際ですから一つお願い
できたら……」といった内容を、特有のノンブレス話法で言う。

反射的に私が口にしたのは、「えっ、もったいない!」だった。
理由を聞き出し、存続の説得もしかけたが、彼の意向は固い。
メルマガ廃刊は考え抜いた末の判断らしかった。

しばらくして、メールで原稿執筆の正式依頼をもらった。
以下に要点を抜粋する(私信の転記でゴメン)。

…………………………………………………
・電子書籍の黒船(?)を前にして、そもそも雑誌を筆頭として
出版業界に景気のいい話は少ない。
・これから書き手(と読み手)はどう育っていくのか?
ということについて、雑誌がご出身で、ライターだけでなく
編集もなさるオバタさんがどうお考えになっているのかを
うかがいたいと思い、原稿はお願いさせていただきました。
客観的な見解を出すというよりはぶっちゃけてどう思って
いらっしゃるのか、「わからん」ということでもかまいません
のでご執筆いただけると幸いです。
…………………………………………………

電子書籍が黒船か泥船か助け舟になるかはともかく、出版業界は
たしかに景気が悪い。既存の出版市場が縮小に向かっていることは
間違いない。そこで飯を食ってきた者たちのほとんどが、己の生き残り
で手一杯だ。業務歴20年の中堅ライター兼、業務歴4年の編プロ経営者
である私も、哀しい哉、日々に余裕がない。

そんな状況下で、若手ライターの育成について本音を書けとは、
えらくヘビーなお題を寄こしたものだ。しかも、拙稿は最終号に
掲載するとの由。荷が重いったらありゃしない。

ただ、結論は「わからん」でも良いらしい。わかった。
思うままに書こう。たとえば、次のような若手ライターがいたら、
と考えてみる。

・それなりに名のある商業雑誌でクレジットつきの記事を振られる
ところまではたどり着いた。「筆力があるから」とたまに言われる。
お世辞とはわかっていても、嬉しいものだ。
・でも、実際に各編集部から期待されている役割は、雛形にならった
文字列を量産するライティングマシーン。客観的にはそうである。
・加えて最近は、同行編集者なしの単独取材が常態化している。
カメラマン代を浮かせるために、デジカメ撮影まで任される
ケースも普通。ようやく書き上げた原稿を送信したって、
「ありがとうございました」のレスすらない。そんな担当編集者
が少なくない。
・さすがに掲載誌は届くが、該当ページを開く喜びは減った。
逆にがっかりさせられるほうが多い。こないだもA誌に失望した。
途中でレイアウト変更があったのか、文章全体が圧縮され、
使った覚えのない「~だそう。」の語尾がやたらと目立つ。
手を入れた人のセンスを疑う。
・支払い明細書が届くとまたがっかり。たとえば、情報をとにかく
大量に詰めこむB誌でページ単価1.2万円は辛すぎる。去年は
最低2万が保障されていたはずなのに。勇気を出して電話を
かけたら、担当不在でそれっきり。知り合いのライターによると
「全社的に制作費の見直しがあった」らしい。
・といった程度の理不尽には、もう慣れてしまったかも。このまま
ではヤバイと焦ってはいる。しかし、仕事があるだけでも恵まれて
いる?

これは極端なひどい例だろうか。否、典型例をまとめたつもりだ。
フリーライターの三十歳平均像を表わしたら、こんな感じになるのである。
なぜかしらん、年下同業者たちの愚痴につきあうことが嫌いじゃない
私が『ライターの事情』2010版を描くと、上記がごとくなのである。
※昔、↑というムックがあった。

むろん、平均像氏は自分が置かれている立場を「恵まれている」と
甘受してはいけない。むしろ「ヤバイ」という焦りに正面から向き合い、
なるべく早くライティングマシーン人材の「次」へ進むべきである。
進む気がないならば、早急に転職の方策を講ずるべし。でないと、
ページ単価1.2万円の理不尽な仕事ですら加齢と共に発注されにくく
なり、経済的に困窮し、いずれ精神的破綻をきたしてしまう。

就業のきっかけは人それぞれで当然だ。成り行きでなんとなくライター
になっただけ、と嘯く者も多い。けれども、そのままなんとなく書き
続けてきたわけではないだろう。理不尽な目には誰もがあう。
そのたびに「いつか見てろよ」と心の中で呟いて、労働意欲を
持ち直してきたはず。若手のうちは根拠なき自信がなにより推進力
となる仕事なのだから。

では、そうした不安定きわまりない自信家たちが、「次」へ進む
には何を必要とするか?

彼らを拾いあげる場と金と人手である。新味や特化で勝負する
署名原稿が書ける媒体と、ライターを干上がらせないだけの報酬と、
原稿の商品力をチェックする編集者の存在だ。媒体は他の編集者の
目にもとまりやすいタイプであるほどいい。

ブログなりツイッターとの連動なりで自己宣伝を図れるライターは、
ごく一部にすぎないと私は思う。そもそも文章を綴るという行為は
陰気なもので、それを得意とする人間の大半は内気なのだ。
個人サイトで自由に表現を楽しむライターはいくらでもいるが、
勝手にやらせたら独り善がりになりがちで、あらぬ方向へ走って
しまう。

どれほどメディア環境が変わろうとも、やはり文才の開花には、
それなりに管理された土壌と、生育をよくする肥料の施しと、
世話を焼く人力が不可欠なのである。紙でも電子でも構わない
のだが、実験農場に似た「雑誌」がないと育ちづらいのだ。
それが減っては、ライターが「次」に進めない。

だから、このメルマガ廃刊は「もったいない!」のである。
「上林君、お疲れ様でした」と素直に言えないのである。

編プロ編集者としての私も、ココで未知の才能を見つけ、他媒体
での執筆依頼につないだことが幾度かある。古臭いプッシュ型の
マガジンであるからこそ知りえた世界もいろいろある。好きな
小田嶋コラムを読んだ勢いで、続く[特別寄稿]に目を通し、
「こんなジャンルもこんなライターが深堀りしていたのか」と
気づくなど、私の関心領域を広げてくれたし(一人の読み手が
育てられていた、という話ですね)。

「ビジスタ」支配人の判断には、さまざまな都合があったの
だろう。これからの上林達也氏にはメルマガ編集ぶんの労働量
を、若手ライターが育ちやすい他媒体の創出へ注いでいただき
たい。あなたの行動力は縮小中の出版業界において稀少価値が
あると、私が判子を押させてもらうので。

でもって、これをお読みくださった方のうち、なかなか「次」
へ進めず苦闘中の若手ライターさん宛に小さな声で申し添えて
おきたい。

四十代、五十代のかつて甘い汁を吸っていたライターたちが、
私の知る範囲だけでも次々と「廃業」している。雑誌の「廃刊」
以上の勢いで。この情勢から何を読み取るかは各人の自由だが、
粘れば世代交代の追い風に乗れるかもしれないね。
ちなみに当方は四十五歳。まだまだ席は譲れない。


●オバタカズユキ
フリーライター。株式会社連結社代表取締役。
著作などは『会社図鑑!』『資格図鑑!』『大学図鑑!』の
各年刊シリーズ(いずれもダイヤモンド社)、『何のために働くか』
(幻冬舎文庫)ほか多数。
このところは、IT音痴にも関わらず、そっち方面の新規プロジェクト
にも参画。
サイト:電子出版ラボ
http://www.epublishing-lab.com/


+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=+=
(編集後記)

さて、最終号です。

5年もの間、私の水曜日を捧げてきたものが終わるなるとさすがに
感慨深いものがあります。原稿がなかなか届かず、一体どれだけ
さまざまな予定をキャンセルしたことでしょう……。

と、愚痴もあるにはあるのですけど、やはりこの媒体で一番楽しい
思いをしたのは私でした。学生の頃からファンだった方に連載を
お願いしたり、一度お仕事してみたかった書き手に原稿を依頼したり、
メルマガを通して多くの他社の編集者や読者の方と知り合えたり、
尊敬していた洋泉社の故・石井慎二さんに褒められたり、そして
この媒体がきっかけで本が生まれたり……いやぁ、編集者として
というか人として冥利に尽きます。良いことばかりで、それらは
思い起こせばきりがないですね。

あと、どれだけつぶやくかわからないのですが、仕事のことなどを
ぽつぽつと書こうかと思いましたので、twitterをこちらでやります。
どれだけ書けるか、また何か呼びかけていただいてもお返事などが
どれほどできるかもわかりませんが、よろしければフォローして
ください。
https://twitter.com/bisista

さて、ここ数号で、書くべきことはほぼ書き終わった。
最後に一番記すべき大切なことは、読んでくださった方々と書いて
くださった方々への感謝と御礼だ。


書いてくださる方々と読んでくださる方々がいなければ媒体に意味など
ありません。ここまで楽しく編集をやってこれたのも皆さまのおかげ
です。


本当にどうもありがとうございました!!

                      上林達也拝
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

□記事内容に関するご意見、ご質問、ご感想などは
bswebmaster@cr.softbank.co.jp までお願いします。
□新製品ニュースリリース等の送信先は
mailto:bspr@cr.softbank.co.jpへ
■本メールマガジンは、「SBPメンバーサービス」と「まぐまぐ」を利用して
発行しています。

●SBPメンバーサービスをご利用の方へ
◇解除はこちら
http://member.sbcr.jp/mail/info/bs.aspx

●まぐまぐをご利用の方へ
◇解除はこちら
http://www.mag2.com/m/0000098654.htm

○編集:学芸書籍編集部 上林達也
○発行:ソフトバンク クリエイティブ(株)
〒107-0052 東京都港区赤坂4-13-13
○無断転載を禁じます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガ全文を読む
 

▲ページトップへ

▲ページトップへ