3分で読める!「落語に見るオモシロ江戸風俗」

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3分で読める!「落語に見るオモシロ江戸風俗」
発行周期
週刊
最終発行日
2017年08月22日
 
発行部数
1,534部
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カテゴリ
エンターテイメント > ジョーク・笑える話 > ユーモア

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━━ら━く━ご━と━お━え━ど━の━━━━━━━━━━━━━━━━━

 3分で読める! 「落語に見るオモシロ江戸風俗」

 平成弐拾玖丁酉年葉月弐拾弐日 其の漆佰伍拾伍號 (2017/08/22 No755)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━お━も━し━ろ━ば━な━し━━

 狸のなんとかは 八畳敷き とか
  上方の お化け噺 でっせ

●狸の化寺(夏のお化け噺シリーズ・十四年目の通算第五十九段)

領五郎「お庄屋はんでござりますかいな。私は黒鍬の連中の束ねをいたしま
   す、火の玉の領五郎と言うもんでございます。」
庄屋「私が庄屋じゃが、この村のきつね川の堤が、この前の大雨で切れてな
  ぁ。黒鍬の皆さんに、あれをきっちりと固めてもらいたいとこない思う
  て。」
領「川筋を下って来ながら傷口も見てまいりました。まぁまぁ、あれぐらい
 でしたら、そぉだんなぁ七日あったらいけると思いますねやが。」
庄「お頼の申します。そこで、お宿じゃ。一行は何人さんじゃ?」
領「私入れて、丁度三十人になります。」
庄「さぁさぁ、宿屋も無いし、私とこも三十人となると・・・」

領「お寺かなんか、ございまへんやろかな?」
庄「寺は有るんじゃがなぁ、化け寺でなぁ。住職が亡くなって跡継ぎが無い
 もんじゃさかい、段々荒れてきてなぁ、何かおかしなモノが住み着いたら
 しぃ。あの寺へ入って行くのんを見たもんは有っても、出て来たのん見た
 もんが無い、と言うよぉなことになって。」
領「化けもんが出るてなことを聞ぃて、この火の玉の領五郎があとへ寄った
 ら、大きな顔してこの街道を歩けんよぉになりますでな。」

 領五郎とその一行、お寺の門をくぐります。もぉ長い間ほったらかしにな
ってましたんで、夏草がビッシリ。鎌を取り出すと、草を刈り、大戸を外し
てその辺の道具をみな運び出し、畳を上げ、阿弥陀はんから何からすっくり
外へ運び出しますと言うと、雑巾がけでございますなぁ、綺麗ぇに片付きま
す。その晩、みんな寝かしまして火の玉の領五郎が一人で、太い真鍮のキセ
ルをパク〜リ、パクリやっておりますと、やっぱり昼間の疲れで眠気がさし
てくる。正面の本尊、阿弥陀はんを祀ったぁる横手にポッと光りものがした
かと思うと、それへポッと飛んで出ましたのが、二八ばかりの小娘。

小娘「領五郎さん、お〜い、お〜い。りょ〜ごろさん、りょ〜ごろさん。」
 そばまで来ると、急にガッと様子が変わって、大きな目をむいて、口を開
けて『噛もかーッ!』と飛びかかった。領五郎も油断はございません。枕元
に有った道中差しをサッと抜くなり、切り付ける。手応えはあったんですが
『ギャッ』ちゅう声を出して黒い犬のよぉなものが祭壇の方へ走って逃げた。

領「おい、皆起きぃ!起きんかい!化けもんが出やがった、噂はホンマやっ
 たわい。てんでに柄物を持って。押入れ開けて燭台出してロウソク立てぇ、
 火を増やせ。その正面の祭壇を取り囲め、こん中に逃げ込みやがったんじ
 ゃ。待て、この阿弥陀はんの数がおかしぃなぁ。確か、掃除したときは三
 体やったやろ、今四体あるで。こん中に化けもんの阿弥陀が居とぉんねや
 なぁ。おい、カンテキ持って来て火ぃくすべ。いぶり出すねん、芳ッ、お
 前そのカンテキこっち持って来い。こっちの端の阿弥陀はんの鼻の先持っ
 て行け。動かんな、よし、次回せ、次回せ。」
芳公「あらっ?いま阿弥陀はんの顔がピクッと動いたよぉな気がしましたが、
  おぉ〜、動いてる動いてるホンマに、阿弥陀はん、オモロイ顔なってき
  た、オモロイ顔なってきた。」

 顔がピクピクッと動いたかと思いますと「ヘ〜クショ〜ンッ!」と言うえ
らいクシャミをして、阿弥陀はんがそこへバッと倒れますと、大ぉきな大ぉ
きな狸、それへ、ツ〜〜ッと大広間走り出した。「そぉれ、ド狸じゃ。逃が
すな〜ッ」みんなてんでに柄物を持ってまっさかい、それでこぉ突き付ける。
逃げ回ってる狸、大黒柱のよぉな大きな太い柱が両側に立っとりますが、そ
れへスルスルスルスルッと駆け上がったきり見えんよぉになってしもた。
領「ズ〜ッと上を照らせ、上を照らせ、どこへ逃げやがったんやろなぁ、み
 んな明りを上に突き上げて、よぉ探してみぃ。」

 こぉ欄間がありまして、それに天人の彫り物がしてございます。そん中で
一人の天人が横目つこてるやつがある。
芳「あの天人おかしぃんとちゃうか?あいつだけ横目つことおる。あれや。」

 『あの天人を突き出せ』、六尺棒やとか棍棒や、長いやつでズ〜ッと突き
出しますと、突かれた天人だけでなく、ぐるりに彫り付けてある天人が一斉
にそれへさして、ズーッと抜けて出た。一同の頭の上で十数人の天人が、ゆ
らりゆらりと天人の舞を舞い始めました。さすがの火の玉の領五郎もどれが
狸の天人か分からん。呆然と見ておりますうちに、泳ぐよぉに流れてるその
天人の一人が、何やらブツブツブツブツ言ぅてます。『何を言ぅてんのんか
いなぁ?』と聞ぃてみると、こぉ泳ぎながら。
狸「あぁ、金が擦れる・・・金が、擦れる。」



●能書き

 上方のお化け噺で、東京には移植された形跡のない噺です。

 本膳08/05/27や江島屋騒動・壱17/07/14でお話ししましたとおり、江戸時
代の村方三役の一つで、郡代・代官(身分は侍)の下で、身分はお百姓です
が、村政を担当した、現代の村長にあたる身分を、東日本では「名主」、西
日本では「庄屋」、東北・北陸では「肝煎」と呼びます。ですから、上総・
下総(現・千葉県)を舞台とした江島屋騒動に登場するのは「名主」様です
が、噺の舞台が関西である、今回のお噺では、お「庄屋」はん、が登場して
います。

 また、カンテキとは京阪語で、江戸で言う七輪です。いわば、土製のコン
ロで、非常に熱伝導・熱効率が良く、ものを煮るのに炭の価が七厘で済むと
言うところから、江戸では「シチリン」と呼びます。なお、上方では、悪口
で『よく怒る人』の事をカンテキと言います。

 それから、今回のお噺の主人公の領五郎さんが率いる「黒鍬(くろくわ)」
ですが、現代では、まずお馴染みではないと思いますので、今回は、江戸の
黒鍬事情についてお話しします。

 黒鍬とは黒鍬組とも呼ばれる、現代で言う土木請負業者です。その始まり
は戦国時代で、戦国大名に仕えた黒鍬は小荷駄隊に属して、築城・開墾・道
普請・陣地や橋などの築造や戦死者の収容・埋葬などを行い、戦闘工兵の役
割を担っていました。

 語源に当たる黒鍬とは通常の鍬より刃が厚くて幅が広く、刃と柄の角度が
60〜80度に開いている鍬です。そして、柄が太く短くできていることで力を
加えやすく、打ち下ろした時に深く土に食い込むように出来ています。もと
もとは尾張の大野鍛冶が作っていた柄を黒く塗った土木作業用の特殊な鍬で
したが、開墾用の打ち鍬として広く普及しました。別名「たち鍬」とも呼ば
れ、田の土をすくい上げ、畔(あぜ)に塗りつける作業に向くことから「畔
鍬」とも呼ばれます。この鍬を使って作業する人夫ですので、その方達も
「黒鍬(組)」と呼ばれる様になったのは、江戸で鳶口(とびぐち)を持っ
て作業する人夫を「鳶(の者)」と称したのと同じですね。

 やがて、戦国時代が終わり、平和な江戸期に入ると、依頼によって、各種
の土木工事を請け負うグループへと変化し、久六鍬・九六陝(きゅうろくぐ
わ)とも呼ばれる様になります。

 江戸幕府の組織としての黒鍬組は、目付(めつけ・若年寄に直属して旗本
などを監察する者)の配下に置かれ(江戸幕府の職制事情については、佐々
木政談06/08/22参照)、徳川家が三河松平氏時代からの譜代の黒鍬から構成
されており、若年寄支配で、江戸城内の土木作業や作事(普請)、堀や水路
の清掃などを担当しました。こうした、今で言う3Kの仕事は、誰かがやら
ねばならず、手を抜けば、城内が荒れた感じになってしまうので、重要なお
仕事です。

 さらに、大名が江戸城へ登城する日は、多くの行列が大手門の門前でかち
あい、大変な混雑となりますので、ここの交通整理を行うのも黒鍬組の仕事
です。他にも、幕府から出される諸令伝達や草履取り等、さまざまな雑役が
ありました。しかし、目立たない役職なので、あまり出世はできず、黒鍬組
の俸禄は、一人当たり十二俵一人扶持です。当初は苗字帯刀も許されず、例
外的に護身用の脇差だけを持つ事が許されましたが、三河譜代の家系の黒鍬
については、世襲が許され、後には御家人の最下層格の扱いを受けました。

 定員は江戸初期の天和年間(1681〜84)の定制は二百名でしたが、中期の享
保年間(1716〜36)には四百三十名となり、幕末には四百七十名にまで増員さ
れました。こうした人数の拡大に対応するために、幕末には三組に分割され、
それぞれの組に「黒鍬之者頭」が一人ずつ、計三人いて、役料は百俵でした。
さらに一人の「黒鍬之者頭」の下に、「組頭(役高三十俵一人扶持)」が六
人ずつ、計十八人置かれました。黒鍬組と同様に、目付の支配下に「中間
(ちゅうげん)」「小人(こびと)」「掃除之者」「駕籠之者」がおり、黒
鍬組と合わせて「五役」と呼びます。取るに足りない木っ端役人ですが、も
ちろん(現代の公務員とは違い)やる人がいなければ困る仕事を黙々と処理
していたのです。この「五役」の方たちは、幕末期には新設された役職の補
充員として、見廻組や撒兵へ異動となったり、また彰義隊にも多くが参加し
ました。

 さらに、江戸幕府だけではなく、今回お届けした噺の通り、諸大名や民間
にも黒鍬が存在しました。特に民間においては、道具としての「黒鍬の産地」
の一つで近くに木曽川・長良川下流の輪中地帯を抱えていた尾張知多郡大野
町の土工集団の「黒鍬」組は著名であり、各地に出稼ぎをして土木・治水工
事・新田開発のための土地整備に参加しましたので、今回のお噺で、領五郎
さんが率いる「黒鍬」のグループは、その流れを組む一族かもしれませんね。



●今週の参照バックナンバー

08/05/27 本膳
http://archives.mag2.com/0000107654/20080527160000000.html
17/07/14 江島屋騒動・壱
http://archives.mag2.com/0000107654/20170714160000000.html
06/08/22 佐々木政談
http://archives.mag2.com/0000107654/20060822160000000.html



●跋

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 今日、新暦八月二十二日は、旧暦の七月一日、暦の上では「秋」。そして、
明日八月二十三日は、暑さが止み、新涼が間近い日とされる「処暑」なので
すが、まだまだ暑い日が続く様で、未だに「夏真っ盛り」と言う感じです。
本メルマガの「夏のお化け噺シリーズ」も、本号で終わり。次号からは、通
常の噺に戻します。季節も早く「お化け」の似合わない、涼しい季節になっ
てほしいものです。ご意見・ご感想、お待ちしております。頂いたメールは、
お断りのない限り、メルマガの中で紹介させていただく場合がありますので、
よろしければ、HNを。江戸時代、あこがれます・・・

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時の旧暦・新暦対照表」をエクセルの表の添付でお送り致しております。
表を来年に向け、ちょっと手直ししようと思ったのですが・・・ガーン!表
がありません!二月の下旬に突如パソコンが壊れたので、仕方なくパソコン
買い換えたのですが、思えば「日本の行事とその日時の旧暦・新暦対照表」
はUSBメモリではなく、デスクトップに保存しておいたので、パソコンと
同時にご臨終になっていたのです。そこで、申し訳ありませんが、今年「日
本の行事とその日時の旧暦・新暦対照表」をお送りした読者様の中で、まだ
表を保存されている方がおられましたら、syosuke@mbn.nifty.com まで、
エクセルの表を添付して送っていただけないでしょうか。また表を一から作
り直すのは、辛いものがありますので、どなたか、よろしくお願い致します。

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●お話:落語とお江戸のフリーライター・福々亭 笑助(千葉落語同好会)
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