鷹戦士の空

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メルマガ名
鷹戦士の空
発行周期
不定期
最終発行日
2010年10月04日
 
発行部数
0部
メルマガID
0000165496
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 小説

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第八章 史上最強の称号
The strongest title in history



 ゲティが夢中で叫ぶ。ブラッドは間一髪舞い上がる。
 ライオンはここぞと爪を伸ばしてパンチを放つ。
 血しぶきが飛び散りブラッドは気絶しかけたが、頭に石が当たり目を覚ます。無我夢中で羽ばたいた。
(ハッ、どうやらうどの大木じゃあなかったようだな、ライオンよお、だがおまえは王ではない、王ではない!)
 正面から飛びかかるライオン、ブラッドの目が血の色に光った。一度捕まったら終わり。今度は垂直上昇は阻まれている。
 それを読んで相手が大きくジャンプして覆い被さるようにきたからだ。ブラッドは逆を突いて今度は前にダッシュした。
 ライオンに恐怖を抱く獲物は後ろへ逃げようとするだろう。
 そしてあえなく捕まる。相手が大きくジャンプしている今、最も、逃げ道となるのは、前なのだ。
 恐怖心というものを、既に克服したブラッドの頭脳は、勝つごとにのみ最大限にさえ渡る。
 ライオンのまたをくぐってブラッドは大空へ舞い上がった。そしてまた急降下、隙をついての蹴りを背中に決める。
 こうしてどれほど時間がたっただろうか。ライオンは血まみれで吼える。そしてとうとう痛みに耐えきれなくなり逃げ出した。
このときブラッドの目は鬼になる。
(貴様を殺す!)
 草原にすでに置いていた大きな石をブラッドはつかみ、舞い上がった。今までの格闘は相手を走らせる為のものだったのだ。
そして再び急降下する。背中を見せて逃げる相手は最も狙いやすい。後ろ向きに飛びかかることは出来ないからだ。
 ブラッドの翼はライオンをすっぽり覆う。石はあの訓練時よりさらに大きい。急降下の勢いをつけて石を背中に投げつけた。
 ドスリと鈍い音がしてライオンはしゃがみ込んだ。脊髄が折れた音だ。
 もう、こうなればただの獲物でしかない。
「おまえの血を食らう!」
 ブラッドが背中に止まりその肉をもぎ取って舞い上がった。
 ゲティは木をおり、もっと近くでその戦いを見ようと、十数メートルの距離まで接近した。
 脊髄が折れれば、もう動くことは出来ない。ライオンの動きを封じたブラッドは、何発も蹴りを入れ傷口を引き裂いていく。
 信じられない光景に、ゲティは石になって平原に座り込んで戦いを見続ける。
 空は黒くなり、辺りは風が吹き始めていた。
やがて雨が降り出す。ライオンの最期の雄叫びは雨音に飲み込まれた。
どす黒く分厚い雨雲、どしゃ降りの雨の中、一頭のオスのライオンの背中にまたがるブラッド。
「俺はやった…。百獣の王ライオンを倒した!俺は最強だ、最強のワシだ!天と地の王、オウギワシのブラッドだ!」
 ライオンの上で彼は全ての動物たちに向かい叫ぶ。雨音が強く、空には稲妻が光る。
 ライオンの身体から流れ出た血は川となり、流れてゆく。
 ハイエナもハゲワシたちも、その姿を遠巻きに警戒し震えながらじっと見ていた。
 ライオンも彼らにとって、死ねばただのエサでしかない。ブラッドはライオンの肉を食った。
 百獣の王の血と肉を食らうことにより、ライオンを追悼し、自らが最強であることを証明するために。
 血にこだわるブラッドの儀式の食事が雨の中で続けられた。
「俺はわが故郷、南アメリカに帰る。さらばだ。アフリカ大陸の獣たちよ」
 ブラッドはライオンの背中で大きく羽ばたく。ゲティは泣いていた。
「ブラッド、ブラッドおーっ!」
 本当にライオンを殺したブラッド。訳も分からないが止めどなく涙があふれ出る。
 止められない涙。自分の挑発にまんまと引っかかったブラッドをバカだと笑った。
 しかし、まんまと引っかかったのは、自分の方だった。
 飛び立つブラッドのあとをゲティは追いかけた。
 飛ぶスピードの遅いハゲワシが、ただ必死に、何度も羽ばたきながらスピードを上げ懸命に追いかける。
その様子に気がついたブラッドは何事かと振り返る。
「どうしたい、何のようだ」
ゲティの顔が涙に濡れている。
「おまえ、すげえよ。天と地の王だよ」
 ゲティは心から相手をたたえたのは、これが初めてだった。
「ハッ、おまえらしくないぜ」
 ゲティは感動で体中をガタガタと震わせながら
「おまえは、おまえは俺の、最高の友だよ!友って思っているぜ、いつまでもな!」
 ブラッドはかすかに笑った。そしてまた、あの故郷を目指して旅立つ。
(ブラッド、俺には分かる、おまえの良さが。…おまえは、男だよ…)
 自分に真っ向からぶつかってくれたブラッド。もうこのアフリカからお前は居なくなるのか。
 あの群れに戻り、ありふれた生涯を送るというのか。
「待ちやがれブラッド!」
 ゲティは叫んだ。もう俺には生きる場所はないんだ。おまえという光を見たときから。そして力の限り羽ばたいた。
加速をつけ一気に追いつくと、ゲティはブラッドと共に夕陽に消え、アフリカ大陸から消えた。

「ハゲ、ずいぶんと強く飛べるようになったじゃねえか」
 あれから一年、嵐の海を悠然と渡る巨大な二羽。
 並のワシなら吹き飛ばされて海に落ちるような風にも、叩きつける雨にもゲティは落ちない。
「俺はあんたについて行くよ。あんたについて行けば自然と俺の体も鍛えられる。
 そして世界中の鷲戦士に皮肉を言ってやるんだ。サバンナの皮肉屋から、世界の皮肉屋になってやらあ」
「いい心がけだ」
「Fって巨大な鷹の噂を聞いたぜ。カンムリクマタカ最強の男だとよ。
ヒョウを殺し、ガインというサバンナ最強のライオンも手玉に取ったという男だ。
まあ、あんたの敵じゃないがな。こう言ってあんたがFとやらに苦戦すりゃあ、あんたへの皮肉になる、ハッハハハ」
 ブラッドは少し口元をゆがめて笑うと、更に羽ばたきも強く、雲の切れ目を突き抜けた。
まぶしい太陽の光は、彼に最強の称号を与えるかのごとく、その濡れた翼を照らし、輝かせた。




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