海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継

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アメリカをはじめとする海外の理系大学院で教育を受けた、次世代を担う27人の科学者の卵が、最新のサイエンス分野を分かりやすく紹介。社会に貢献するトップ科学者の姿とは?また、最先端のサイエンティスト教育と研究環境を誇る、米国での留学生活の成功秘訣を語る。

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メルマガ名
海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継
発行周期
隔週
最終発行日
2018年06月10日
 
発行部数
1,559部
メルマガID
0000220966
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
教育・研究 > 科学・研究 > その他

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_/ 『海外の大学院留学生たちが送る!サイエンス・実況中継』
_/ June 2018, Vol. 105, No. 1
_/ カガクシャ・ネットワーク → http://kagakusha.net/
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- From editors --

カガクシャ・ネットの現役スタッフによる研究紹介の第二回目は、編集担当の向日さん
に繊維科学についてご紹介いただきます。

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Q1. 研究分野の概要を教えてください。
私の研究分野は繊維科学です。「繊維」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。
洋服や服飾雑貨、寝具や絨毯をはじめとした、古来より存在する製品をイメージされるか
もしれません。でも、最近では一見わからないようなところにも繊維材料(広義では細く
て長いもの)が使われています。例えば、下図の自動車を見てみますと(注1)、繊維材
料が車体やフィルタ、ブレーキパッドやタイヤにも使われていることに気がつきます。ほ
かにも、導電性や誘電性に富んだ繊維材料が電子回路の要素材料として利用されたり、生
体適合性に優れた繊維材料が人工臓器を作る際に使われたりしています。繊維科学では、
繊維材料に関する基礎理学研究と機械工学や電子工学、生体医工学等の幅広い分野での応
用研究を取り扱います。

Q2. 具体的な研究テーマと研究目的について説明して下さい。
現在の研究テーマは、布の誘電特性(電圧をかけると電気エネルギーとして蓄える性質)
を利用したウェアラブルエレクトロニクス(具体的には布でできたキャパシタや伝送路、
アンテナ)の開発です。例えば、綿布は吸湿に優れるため、水分含有量が湿度によって
大きく変わります。水分含有量が変われば誘電特性も変わりますので、誘電率(誘電特性
を表す物理量)が湿度依存性を示します。これをうまく利用すれば、一般的な綿布に導電
性繊維を組み込んでおくことで、湿度センサとして利用できるのではないか、というよう
なことに着目し、研究を行っています。

Q3. 日本と留学先での研究環境の違いについて具体的に教えてください。
カリキュラムに起因することですが、米国では修士課程、博士課程ともにコースワークに
多くの時間を割かれます。研究をするためには知識が大切だと思っていますので、私は米
国のシステムが好ましいと思いますが、トータルで研究に費やせる時間は、一般的な日本
の大学院カリキュラムに比べてやや少ないのかもしれません。

Q4. ご自身が研究者を目指された「きっかけ」や、研究の「面白さ」について説明して
ください。
研究者を目指した背景には、ものづくりに対する好奇心が人一倍強く、「理論的背景を
知りたい」や「自分で新しいものを創造してみたい」という気持ちがあります。もともと
私の中では、「繊維科学」というと「すでに確立された古い分野」というイメージがあっ
たのですが、高校の化学の勉強を通して、繊維科学というのは実はもっと可能性を秘めた
分野なのではないかと思い始めたのが最初でした。日本国内の大学に進学後、スマート
テキスタイル(従来は持ちえなかった機能を付加した新しい繊維素材)に関する研究が
あることを知り、大学院から本格的にこの分野に足を踏み入れました。
繊維科学分野の面白いところの一つは、異分野での応用だと思います。先にも述べました
が、繊維に関する研究は様々な産業分野で応用されており、要素技術として用いられるこ
とも少なくありません。無限の応用性を秘めた繊維材料は、大変魅力的な研究対象ではな
いでしょうか。

Q5. これから留学を目指す学生にひとことアドバイスをお願いします。
「人生は選択の連続である」と言われますが、留学における最初の選択は、留学先(国・
大学院・研究室)選びだと思います。大学院進学を志す方は、分野や研究トピックの絞り
込みはある程度されているでしょう。また、国や大学院によって、授業料が違ったりファ
ンディング獲得の難易度が違ったりしますので、これらの条件からある程度志望校が絞り
込めるかもしれません。それでも、世界各地に星の数ほど存在する大学院の中から志望校
を決めるというのは、大変な作業だと思います。なかなか決められない場合には、可能な
範囲で、実際に研究室を訪問してみるのが良いと思います。研究室の雰囲気であったり、
実験施設だったり、あるいはキャンパスや街の様子なんかは実際に行ってみれば意外とす
ぐに良い面や悪い面が見えてきます。私も応募の前には下見をしたのですが、旅費を考え
てもその価値はあったと思っています。修士課程で1~2年、博士課程なら3~5年くらいは
その環境に身を置くことになるでしょうから、現地到着後に「思っていたのとは違った」
というのは避けたいですね。

(注1)この記事には画像があります。
記事の全文はカガクシャ・ネットブログでご覧いただけます。
(http://kagakushanet.blogspot.com/)

○ 次回の更新は6月下旬を予定しております。お楽しみに!
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著者略歴:
向日 勇介(むかい ゆうすけ)
信州大学繊維学部(学士(工学))、ノースカロライナ州立大学大学院(修士(理学))、
ヨークス株式会社カンボジア工場(現地法人)勤務を経て、2016年8月よりノースカロラ
イナ州立大学大学院博士課程在学。専攻は繊維・高分子科学。カガクシャ・ネットには
2016年に編集担当として参加。2018年1月から副代表兼編集長を務める。

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発行責任者: 武田 祐史
編集責任者: 向日 勇介
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