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平成26年8月2日
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目┃次┃
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1.メインテーマ ☆もう一度、為替について「じっくり」考える  後半☆

2.お知らせ


ダイヤモンド社からも闇株新聞プレミアムの配信が開始された記念といたしまして、この無料メルマガで☆もう一度、為替について「じっくり」考える 前半と後半☆を配信いたします。


本メールマガジンの内容は7月28日に作成された「闇株新聞プレミアムVol.119」のメインテーマ1の記事のダイジェスト版です。


●ダイヤモンド版 闇株新聞PREMIUM
http://zai.diamond.jp/dpm/yamikabu?utm_source=yamikabu&utm_medium=yami_text&utm_campaign=DPM


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※闇株新聞PREMIUMは従来の有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」と同じ内容です。


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★☆★ もう一度、為替について「じっくり」考える  後半 ★☆★



 先週末(7月25日)のNY市場終値は、1ドル=101.84円、1ユーロ=136.78円でした。最近はこの辺りの水準(相場)に目が慣れてしまっているのですが、そもそもこの水準がどのような位置関係なのか?から考えてみます。


 先週も書いたのですが、昨年4月に「異次元」量的緩和が導入されてから現在までの円の安値は昨年末で、1ドル=105.45円、1ユーロ=145.66円でした。


 一方で円の高値は昨年6月13日で、1ドル=93.78円、1ユーロ=125.04円でした。バーナンキFRB議長(当時)が初めて量的緩和(QE3)縮小の可能性を示唆し、中国をはじめとする新興国経済の動揺が最大化していたころです。


 つまり、日銀の「異次元」量的緩和が継続されている限りの円相場は、対ドルで93.78円~105.45円、対ユーロで125.04円~145.66円のレンジにあると考えてよさそうです。


 「そんな幅広いレンジだといわれても役に立たないではないか?」といわれそうですが、ここが議論のスタートです。


 かなり非科学的な説明ですが、円の先週末の対ドル相場はレンジの上限(円安)から31%円高に向かったところで、対ユーロでは同じく上限(円安)から43%円高に向かったところです。つまり円は対ドルで対ユーロでも、まだレンジの中では「円安」の方にいることになります。


 従来の考えでは、日銀は「異次元」量的緩和を維持しており、FRBは本年10月に資産買入れ(QR3)を終了すると表明しており、市場では来年の利上げを予想し始めているため、円相場は対ドルでは取引レンジの「円安」水準に近づいているはずで、それを突破する「円安」になってもおかしくないことになります。


 どうもそういう風にはみえません。


 またECBは6月に一部マイナス金利を導入する追加金融緩和(量的緩和ではありません)に踏み切っており、円相場は対ドルより対ユーロでは「円高」となるはずです。


 これは実際にそうなっています。先週末(7月25日)は1ユーロ=1.3430ドルで、これは対ドルで本年の最安値です。ユーロの対ドル相場は、債務危機問題がピークだった2012年7月の1ユーロ=1.2040ドルをボトムに上昇を続け、本年5月8日に1ユーロ=1.3992ドルの高値となっていました。


 さらに従来の考えでは、昨年6月時点のように新興国経済が動揺したり、世界の政治・経済が混乱すると「円高」になるはずです。今年に入ってからの円の高値は2月上旬の、アルゼンチン・ペソ急落をきっかけに新興国通貨と株式市場が軒並み急落した時期で、1ドル=100.74円、1ユーロ=136.21円でした。


 現時点で新興国を含む世界の政治・経済が混乱しているかどうかは微妙ですが(アルゼンチンのテクニカル・デフォルトはこのあとに解説します)、少なくとも世界の混乱で円高になる度合いはだんだんと薄れてきているように感じられます。


 これらの状況から、以下のことがいえそうです。



その1)

 中央銀行の金融政策が為替に与える影響は、絶対的な緩和度合いではなく、緩和を進めている(ECB)、現状維持である(日銀)、将来的にも引き締めに向かう可能性が出てきている(FRB)などの金融政策の方向性によるもので、現時点では弱い順にユーロ・円・ドルの順番になります。


 ところが円とドルの順番が「やや微妙」です。これは現在予想されている金融政策の方向性ではなく、近い将来の金融政策に影響を与える景気動向を「微妙に」反映しているように感じます。


 つまり米国景気は一般的に考えられているほど楽観的ではなく、近い将来の減速懸念があるため、ドルが円に対して一方的に上昇していないとも考えられます。日銀の金融政策と日本の景気動向については、あとで書きます。



その2)

 その1)でいう金融政策とは、あくまでも緩和的であるかどうかが重要で、資産購入(量的緩和)はあまり重要ではなくなっています。つまり量的緩和とはあくまでも金融緩和の方法論の1つに過ぎません。


 したがってFRBは資産購入(量的緩和)を本年10月までに終了させるものの、金融政策は依然として緩和的であり、仮に来年になって予備的に金利を引き上げることになっても(本誌はその可能性は非常に低いと考えますが)、それはあくまでも一時的な対処であり金融政策が緩和的であり続けることには変わりありません。


 これはイエレン議長やほかのFOMCメンバーの発言から、はっきりと読み取れます。


 つまりFRBが近い将来に金融引き締めに転じるとは「誰も言っていない」ことになります。それがドル高(円安)にならない理由だと考えます。もちろん日銀の金融政策の方向性が最重要なので、これはあとからゆっくりと考えます。



その3)

 新興国を含む世界の政治・経済が混乱すると「円高」になるという理論は、もう使えません。これは先週も書いたのですが、世界中で「円売りポジション」が大きく縮小しているため、混乱が起こったときに世界の投資・投機ポジションが縮小しても「買い戻す円がなくなっている」からです。


 もともと円は安全資産でも何でもありません。しかし世界中の「円売りポジション」がなくなっていることのほうが「重大な事実」です。



 それぞれについてもう少しつけ加えます。


 その3)に関連して、アルゼンチンのテクニカル・デフォルトの可能性が囁かれています。詳しくは別の機会に書きますが、あまり大した問題ではありません。


 もともとアルゼンチンは2001年に総額920億ドルものデフォルトを起こしており、一応は2010年に債権者と減額された債務支払いで合意していました。その支払総額が300億ドルといわれていますが、現時点では280億ドルの外貨準備があり貿易収支も黒字で、債務支払いは問題がありません。


 ところが一部のヘッジファンドが合意前にアルゼンチン債権を安値で総額15億ドルも買い集め(もっと多いとの説もあります)、債務減額を拒否して全額支払いを求めていました。


 これだけなら単なる傍若無人なヘッジファンドの要求だったのですが、何と米国裁判所がそれを認めてしまい予定していた合意済みの債権者への支払いまでもできなくしてしまいました。


 ここのところはあまり正確に報道されていませんが、米国裁判所はヘッジファンドの債権への満額支払いを命じており、ドル資金の決済は世界中どこで行われても必ず米国の銀行システム(Fed wire)を通過するため、必ず差し押さえられてしまうからです。


 これは傍若無人を通り越して無茶苦茶な話で、アルゼンチン政府は(合意済みの債権者に対する)支払期限の7月30日には、間違いなくテクニカル・デフォルトになってしまいます。


 ただ理由がはっきりしているので、2月のような騒ぎにはならず、ましてやこれで円高になる心配はありません。


 その2)に関連して、日銀の金融政策について考えてみます。


 日銀の場合、金融緩和と量的緩和が同じ意味に捉えられています。明らかな(意識的な)間違いですが、ここではとりあえず無視します。


 黒田総裁は、2%の物価上昇が安定的に実現するまで「異次元」量的緩和を続けると繰り返し発言しています。この物価上昇とは消費増税分を除いた消費者物価の対前年比上昇幅のことを言っているようで、現状では1%台半ばです。


 本日(7月28日)の日経新聞朝刊に「驚くべき記事」が出ています。


 「黒田日銀の物価観 的中?」「人手不足も追い風に」などと書かれていますが、要するに日本経済にとっては何もプラスにならない円安・エネルギー価格上昇などによる「悪い物価上昇」でも何でも、黒田日銀のおかげで物価が上昇しているという称賛記事です。


 それに最近は人材のミスマッチによる「悪い人手不足」も加わって「悪い物価上昇」がかなり加速しそうですが、それも黒田日銀のおかげという北朝鮮の報道機関顔負けの称賛記事です。


 さらに民間エコノミストの物価上昇予想が大きく外れて、黒田日銀の物価観が的中しているとも付け加えられています。


 これは2%の物価上昇さえ実現すれば日本経済が回復するといってしまっていることを奇禍として(よいことにして)、今年後半に消費増税の再引き上げを確定してしまおうとしているのです。


 何度も繰り返しますが、黒田総裁は旧大蔵官僚だったことを忘れてはなりません。それを知ってか知らずか、日本経済新聞をはじめとする大手マスコミが協力しているのです。


 それでは「悪い物価上昇」で、4月の消費増税分を除いて(これもおかしいのですが)2%の物価上昇が実現してしまったら、これ以上「異次元」量的緩和を続ける必要がなくなることになるのですが、そのときはどうするつもりなのでしょう?


 2%の物価上昇は、今年後半にも「簡単に」実現すると考えます。もちろんすべて「悪い物価上昇」ですが、そうすると今までの黒田日銀の欺瞞のツケが一気に出てくることになります。


 先ほどFRBが慎重に市場に対して「緩和政策は続く」とのメッセージを発信していると書いたのですが、この黒田日銀の「大変に安直なメッセージ」のツケは、今年後半にも「異次元」量的緩和を終了させなければならないというメッセージを市場(特に海外)に自動的に発信してしまうことです。


 これはかなりの円高効果となり、かなりの即効性がありそうです。


 その3)に関連して、日米欧の経済がどのようになるかも考えておきます。長い目でみれば経済回復が遅れると金融政策が再度緩和的となり、その国の通貨安となるはずです。


 最新の国際機関の世界経済成長予想は、7月24日に発表されたIMFの2014年世界経済見通しです。別にIMFに限らず、国際機関の予想が信頼できるとは考えていませんが、世界の市場参加者がみているため金融市場への影響は無視できないからです。


 それによりますと2014年の実質成長率は、世界全体が3.4%(4月時点の予想から0.3%の下方修正)、米国が1.7%(同1.1%も下方修正)、ユーロ圏が1.1%(変わらず)、日本が1.6%(何と0.3%の上方修正)、新興・発展途上国全体が4.6%(0.2%の下方修正)となっています。


 これだけをみれば、日銀の金融政策がFRBに比べて「緩和的であり続ける」とは、とてもみえません。


 これも今年中に消費再増税を決定しなければならないないので、大蔵官僚の天下り先であるIMFに頼んでゲタをはかせてもらったのでしょうが、このような安直な行動が「日本経済は回復している」「近い将来に金融緩和が打ち切られる」「円高になる」との印象を世界に与えてしまいます。


 これもかなりの円高効果となります。


 つまり今年中の円相場は、どこかの時点で現在の取引レンジから「円高方向」に向かうと考えます。その場合の目標値は昨年6月の93.78円ですが、とりあえずは昨年末からの101円~105円のレンジから97円~101円のレンジに移行すると考えます。


 対ユーロでは、すでに昨年末からのレンジである136円~145円の下限(円高)に近づいており、昨年6月の目標値に近づく125円~136円のレンジに移行すると考えます。


 名づけると「黒田日銀の欺瞞のツケが出たことによる円高」となります。


 そうなると当然、日銀の出口戦略に対する議論が出てきてしまいます。これはFRBでも深刻に議論されていませんが、何しろ「大変に心配性な日本の債券トレーダー諸氏」が必ず騒ぎ出します。また日銀生え抜きの中曽副総裁は、盛んに素早い出口戦略が必要と発言しています。


 まずFRBは出口戦略については、「資産購入終了後も、FRBが保有し続ける大量の長期債券が金融緩和の継続を促し、雇用やインフレがFRBの目標と整合的なレベルに回帰していく下支えとなる」としており「FRBは拡大したバランスシートの下でも、短期金利を適当な時期に引き上げ、その後も望ましいレベルで維持していく手段を有している」とも付け加えています。


 つまりFRBは、資産購入終了後も直ちに出口戦略に取りかかる可能性を明確に否定しており、さらに近い将来に予備的に金利を引きあげる必要が出てきても、それが出口戦略の開始につながることも明確に否定して、市場を安心させているのです。


 これに対して日銀は、出口戦略が当面不要であるとの発言すらしておらず、いたずらに市場参加者を不安に陥れる可能性を放置したままとなります。またひとたび物価上昇が目標の2%に達した瞬間に(本誌は今年中にそうなると思っています)、日銀生え抜きから出口戦略の大合唱が出てくる可能性もあり、ますます市場をパニックに陥れてしまいそうです。


 最後に「そもそも円安誘導は日本にとって正しい戦略だったのか?」について考えます。


 アベノミクスの円安誘導が始まってから1年半以上がたちますが、一向に輸出数量が増えません。つまり輸出増加を通じて日本経済を拡大させる効果は「皆無」であるにもかかわらず、円安による輸入金額だけが膨らみ日本経済の足を引っ張っています。


 これはある程度は「結果論」ですが、明確な弊害は「日本政府は円の価値を引き下げる」という明確なメッセージを世界中に発信してしまっていることです。


 これでは世界中で円を保有する動機がなくなることになり、円の国際化を完全に頓挫させたことになります。円の国際化とは、円をドルのように基軸通貨化して「紙切れで支払う」ようにすることも重要ですが、日本にとって何よりも優先しなければならないことは外国人による国債保有を増やすことです。


 円が世界中で保有されるようになれば、その運用手段として必ず外国人の国債保有が増えます。だいたい国債残高が1000兆円に乗せ、今でも毎年40兆円以上の国債を新規に発行しなければならないなかでは、国債を日本人の金融資産で賄えているうちに外国人の保有を拡大させる努力が絶対に必要となります。


 そうしたときに日本政府が自ら「円安誘導」をしていることは、明らかに国策に反する愚策となります。


 例えば、日本の貿易赤字の元凶である中東からのエネルギー輸入代金を円建てにすれば、大量に円を受け取る中東諸国はその運用のために日本国債を自然と買うことになります。


 そのときには、金利はゼロ近辺でも「円が値上がりする(円高になる)」と予想されれば、何の問題もなく中東諸国が日本の国債保有を増やすはずです。


 別に難しいことをいっているのではなく、同じく中東から原油を大量に輸入している中国が行っていることで、中国の対中東貿易における人民元比率は58%にも上ります。日本はほとんどゼロのはずです。


 もちろん中国政府は人民元の国際化を狙っており、ここで人民元が部分的にも国際化してしまえば、円が国際化する(外国人が日本国債を大量に保有する)可能性がますます少なくなってしまいます。


 そろそろ政府主導による「円安誘導」を転換すべきと考えます。まあ転換しなくても、自然とそうなるような気がしています。



メインテーマ完



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