人文情報学月報

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人文情報学の実態は、哲学・史学・文学を始めとした伝統的人文学から、文化人類学・心理学・社会学など、人間文化に関するさまざまな切り口からの研究分野を含めた幅広い意味での人文学を対象とし、それらをデジタル化するうえでの手法やその意味を問いつつ、実践的なフィードバックを重ねていく螺旋的な研究活動といえます。 人文情報学の現状を少しでもつかみやすくするべく、人文情報学と位置づけることができる様々な研究について、各分野気鋭の専門家の皆さまにご紹介いただくと共に国内外のホットな情報を取り上げていきます。 バックナンバーは下記、「発行者サイト」をご覧ください。

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人文情報学月報
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月刊
最終発行日
2017年11月30日
 
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706部
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教育・研究 > 科学・研究 > その他

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2011-08-27創刊                       ISSN 2189-1621

人文情報学月報
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Digital Humanities Monthly

             2017-11-30発行 No.076 第76号【後編】 701部発行

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 ◇ 目次 ◇
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

【前編】

◇《巻頭言》「デジタル時代におけるディケンズの文体研究」
 (舩田佐央子:福岡大学人文学部講師)

◇《連載》「Digital Japanese Studies寸見」第31回「人文学オープンデータ共同利用センターの『日本古典籍キュレーション』・『IIIFグローバルキュレーション』とつながったデータ」
 (岡田一祐:国文学研究資料館古典籍共同研究事業センター)



【後編】

◇《特別寄稿》「Gallicaにおけるパブリック・ドメインコンテンツの利用規制について」
 (小林拓実:東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専門分野修士課程1年)

◇人文情報学イベントカレンダー

◇イベントレポート「Digital Approaches to Genocide Studies レポート」
 (王一凡:人文情報学研究所)

◇編集後記

◇奥付

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【人文情報学/Digital Humanitiesに関する様々な話題をお届けします。】
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◇《特別寄稿》「Gallicaにおけるパブリック・ドメインコンテンツの利用規制について」
 (小林拓実:東京大学大学院人文社会系研究科西洋史学専門分野修士課程1年)


 一般的に、著作権はその著作者ないし相続人の死後一定の期間が経過した場合消滅し、その利用に関し制限がなくなる、という性質のものとされている。私自身日本でフランス史を学ぶ中で常日頃Gallicaなどのデータベースの恩恵に与っているが、近代以前の史料は相当な時間が経過しているものがほとんどであり、デジタル形式であっても著作権法上その利用に関しては制限がないと思っている節がある。では実際のところどうであるのか?

 本稿はLe'o Besna氏の運営するブログDe'sert de selの 2013年4月12日の記事[1]を抄訳したものである。記事では、Gallicaが自らの所蔵するパブリック・ドメインの著作に対し主張している権利について、法律面から批判を加えている。Gallicaという限られたケースに関してであるが、その理解の一助となれば幸いである。

 なお、この抄訳はLe'o Besna氏[2]がCC BY 2.5[3]のもと2013年4月12日に公開した「Quelle base le'gale pour le copyfraude de Gallica?」[1]を元にしたもので、CC BY 4.0に従う。抄訳にあたって反映しなかった情報や詳細に関しては元の記事を参照していただきたい。




Gallicaの著作権詐称(copyfraude)にはいかなる法的根拠があるのか?

4月10日水曜日、フランス国立図書館(BnF)が、より具体的には話題のデジタル化に関する合意に関する重要な書類が、文化・教育委員会の注目を集めた。SavoirsCom1(訳注:シルベール・メルシエとリオネル・モレルによって創設された団体。デジタル時代の情報資源へのアクセスにおける公共財というアプローチの推進などを目的に活動している)の2人の代表が委員会に召喚され、不透明な運営と、有名なAccordsBnFの、政治的にはスキャンダラスな、経済的には不合理な内容を告発したのである。

この合意は、BnF上層部がパブリック・ドメインとは何か、またその文化的・経済的重要性は何かを理解できないということを示すいくつもの兆候の一つである。

パブリック・ドメインは非常に重要な概念であり、知識や文化を広め高める任を与えられたいかなる機関も特にこれを推し進める役割を持っていると筆者は考えている。

しかしながら、どうやらこれらの文化的アクターのうちいくつかはパブリック・ドメインの作品の巨大な可能性を無視し、むしろ、財産的権利から自由になることでこれら作品が獲得した新たな機会を人為的に制限しようと試みているようだ。

実際のところ、パブリック・ドメインの重大な弱点は知的財産法の中にこれが存在していないことにある。このように法的に(また判例上)存在しないことは、著作権詐称に法律で対抗する上で困難をもたらしている。この問題を解決すべく、カリマク(訳注:Calimaq。Lionel Maurelの別名。SavoirsCom1の創設者の一人で、法律家・司書)は財産権の有効期間が切れた作品の地位を実効的に保護するための法案を起草した。

この法律がついに日の目を見るまで、今の所我々が持っている法的武器で著作権詐称に対抗することを提案したい。もしパブリック・ドメインを守るいかなるテキストも存在しないとしても、これらにのしかかる脅威を骨抜きにさせなければならないのだ。

火曜日、イザベル・アタール議員が文化・通信大臣に提出する書面での質問をActualitte'が伝えている。この質問はBnFが運営する電子図書館Gallicaの利用条件に関して説明を求めるものである。Gallicaは重要な電子図書館であり、その著作の大部分はパブリック・ドメイン入りした、つまり財産権から解き放たれたものであり、(ほとんど)無制限に利用されうるものであることを思い出そう。

それゆえ、BnFがデジタルデータの利用に際して課している制限的な利用条件にアタール女史が驚いたのも全く自然なことである。(強調は筆者):

  1/ Gallicaのサイトにおいてアクセス可能なコンテンツは、BnFのコレクションに由来する【パブリック・ドメイン入りした作品の電子コピーが大部分である。】
  これらの利用は1978年7月17日の法78-753号の枠組みのなかで具体化している。:
  -これらコンテンツの非商業利用は、効力を持った立法及び特に出典への言及が維持されることを尊重する限り自由にかつ無償で行われうる。
  -【コンテンツの商業利用は有料で認可の対象となる。】商業利用とは、再加工品やサービスの提供といった形式でのコンテンツの再販を含む。

パブリック・ドメインの規則の観点からは、事前の認可なくして作品を商業利用することを禁じることは明確に著作権詐称に属する。ではBnFのこのような方針にはどんな根拠があるというのか?

BnFが依拠している法的根拠を見つけ出すために、利用条件で主張されている法的な要素を逐一述べていこう。

  1/ Gallicaのサイトにおいてアクセス可能なコンテンツは、BnFのコレクションに由来するパブリック・ドメイン入りした作品の電子コピーが大部分である。
  【これらの利用は1978年7月17日の法78-753号の枠組みのなかで具体化している。:】
  -これらコンテンツの非商業利用は、効力を持った立法及び特に出典への言及が維持されることを尊重する限り自由にかつ無償で行われうる
  -【コンテンツの商業利用は有料で認可の対象となる。商業利用とは、再加工品やサービスの提供といった形式でのコンテンツの再販を含む。】

問題は、この法(訳者注: 1978年7月17日法。以下同法とする)の11項は公共情報に対して適用されるものでしかないということだ。実際、ジョルディ・ナバロが以下の投稿の冒頭でよく説明しているように、パブリック・ドメインに属する精神の産物を公共情報のようにみなすことは難しい。

  私が自らに課した最初の問いはそれゆえ非常に基礎的なものであった。【パブリック・ドメインの作品は公共情報であり得るのか?】この法の78-753号第10項は私たちに対し明白にこう述べている。「第三者が知的財産権を持つ文書のなかに含まれる情報は、本項の適用に関して、公共情報として見なされない。」つまり問題は、パブリック・ドメインの著作に対する知的財産権を第三者が持つことができるのかどうかにある。

  これに対する回答はもちろんイエスだ。パブリック・ドメインの概念は、著作権の相続要素、つまり、著作権者やその相続人の死後70年までの排他的な著作の使用権(著作権法L123-1)にしか関わらない。(すなわち)著作者人格権はパブリック・ドメインに関係しない。

  (中略)

  この法78-753号は「第三者が知的財産権の【全て】を持つ」と言っているのではなく、「権利の【いくらかを】」と言っているのだ。これが全ての違いを生んでいる。【パブリック・ドメインの著作は公共情報ではなく、】それゆえ法の78-753号第2項の枠組みには入らない。

しかし注意しよう、分析を技術的最深部まで進めることで、それ自体として公共のデータではないとしても、デジタル化文書は完全に数的符号(いくつもの1と0)によって構成されているということをジョルディは証明する。

投稿の後半でジョルディは、これらの文書の複雑な地位をこうまとめている。

  電子ドキュメントは二つの情報オブジェクトを含んでいる。生の情報(1と0)と作り上げられた情報(作品)である。電子ドキュメントは事実、二重に表示されている。それはつまり、作品の表示であり、同時に情報データの二進数の数列の表示である。

Gallicaの利用条件の第1条によって課される制限はそれゆえ、十分適用可能なのだ……部分的には。もし同法78-753号第11項を適用しようとするなら、電子ファイルを構成している1と0のみがアクセス制限の対象であり得る。一方で、コインのもう一面、ジョルディの用語を借りるのであれば「作品の表示」「作り上げられた情報」は、そのような制限には従い得ない。

同法78-753号第11項はファイルを構成する0と1の数列を利用することを禁じている。些細なことだ、私たちが使うのは異なる「情報」、つまり異なる0と1の数列なのだ。Gallicaでファイルを取得し、名前をつけて保存、ファイルの「電子情報」を相当に変更するために外部のメタデータを変更すれば十分である。

一度新たなファイルを手に入れれば、心ゆくまで商業利用することもできる。この新たなファイルはBnFによって作成されたわけではなく、その使用に際してBnFが監督権を持っているわけでもない。

Gallicaの利用条件の続きを見てみよう。第2条は以下の通りである。

  Gallicaのコンテンツは公的主体の所有権に関する一般法L.2112-1の条文の意味においてBnFの所有物である。

さて、新たな問題だ。BnFはGallicaの電子ファイルを(苦しくはあるが)公共情報のカテゴリに入れ、全く異なる法制度、公的(行政的)な所有性の財産に統合しようとしている。

私としては第三の道(訳者註:電子ファイルを私有財産でも公的主体の公共財でもないとする道)を選びたい。もしこれらのファイルが「財産」ではなく、一方では知的財産権により保護されうる「表象的な」側面を持つ、同法78-753号に規制されてしまうようなデータであるとすれば、これは一貫した仮説となる。

Gallicaのデジタルファイルが、その由来となった作品を口実にL.2112-1の条文の意味においてBnFに帰属するとみなすことは、少なくとも私にとっては不当なように見受けられる。また結局、行政の保有する(ディスコースと同等の)「論理的な」情報は同法78-753号により規制される。なぜこのようなデジタルの、また同時に「論理的な」ファイルに異なる規則を適用しようとするのだろうか?

Gallicaの利用規則第3項に関しては、特に問題は見当たらない。反対に、私的な複製が、CPI(知的財産法)の122-5条によって計画されているいくつかの例外のうちの一つでしかないのに、著作権の保護下にある作品は「私的な複製を例外として、権利の名義人による事前の承諾を経ずに利用されえない」と言うのはやや単純化しすぎである。

(中略)

第6項を最後に残しておいたが、これは実に滑稽である。

  6/ 利用者は現行の法律、特に知的財産に関する法のほか、この利用条件を尊重する義務を負う。この規定を尊重しない場合は、1978年7月17日法によって定められた罰金を科せられる。

この条文は同法78-753号18条に言及しているが、利用条件を尊重する義務について刑事的に訴えられる危険性を主張している。しかし、利用者はこの条件を参照するようにも、ファイルを検索・出力する際これを承認するようにも指示されているわけではない。2012年10月31日の判決で破棄院はWebサイトの利用規約は利用者に明確に受け入れられなければならないと判断したが、一方でWebサイトの利用条件への単純なリンクはそれが読まれ同意されるとみなすには不十分であるとはっきりと述べている。

[追記]
ロクサンヌ・ラコントからこの投稿へのコメントで重要な指摘をいただいた。(強調は筆者)

  非商業に関して、このケースはチェックしておくべきだ。「コンテンツの非商業利用に関して、【私は非商業利用の条件を確認したことを認め、また同意する。】」

  (ここでリンクされているのは)商業利用に関してのものなのだ!私は以下のリンクについて試したところである。
   http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k6151981p.image.langFR.r=petit%20journal%20illustre'#

  それゆえ、私は私たちが受け入れているそれがどんなものかよくわかっていない。それは適切な文書ではないのだから。そして、「商業利用に関しては、商業利用の条件を参照してください」という一文をクリックすると、非商業利用に関するリンクにたどり着く。

見ての通り、BnFはそれぞれの商業利用について非商業利用に関する条件を読ませ承諾するよう要求している。商業利用に関して、BnFはデータベースの商業利用の条件を読み承諾したかどうかいかなる方法でも確認していない。

非商業利用の条件は、必然的にそれを読み承諾したのだから、あなた方に抗弁しうるものなのである。しかしこれは商業的利用には当てはまらない。あなた方が承諾し、またあなた方に抵抗できる条件はもう一方の(つまり商業的な)利用に関するものなのだから。Q.E.D.
[追記終わり]

もしあなたがGallicaの作品を商業的に利用して現在捕まっているなら(つまり【本当に運】が悪いのなら)、あなたが言うべきことは一つである。私は利用条件を読んでいないし、つまりそれを承諾していません。これだけである。

この電子図書館はいくつもの創造的な使い方のためにあらゆる人によって再利用されるべきパブリック・ドメインの著作に満ち溢れている。まぎれもなく豊かで、いかなる人にとってもそこから新たな作品を打ち立てることができる共有財産なのだ。




 今回訳したのは利用規約やそれが参照する法律のうち、特に問題とされている部分のみである。なお、Gallicaの利用規約は2017年11月現在改定されている他、参照される法律に変化が生じているが、大枠としては以上で述べられたものとほぼ同じである。

 Besna氏の見解は明確で、Gallicaの利用条件は大きな意味を持たないのである。これは幾分行き過ぎであるとしても、その著作が本来パブリック・ドメインに属しているということは尊重されるべきだというのも事実である。図書館側がどのような意図を持ってこの利用条件(特に商業利用や罰則に関して)を課したかについては不明な部分が大きいため議論としては不十分に感じる部分もあるが、研究に限らずデジタルコンテンツの著作権とその利用について考える糧となれば幸いである。

[1] https://salebeno.wordpress.com/2013/04/12/quelle-base-legale-pour-le-copyfraud-de-gallica/
[2] https://salebeno.wordpress.com/a-propos/
[3] https://creativecommons.org/licenses/by/2.5/deed.en


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◇人文情報学イベントカレンダー(■:新規掲載イベント)


【2017年12月】

□2017-12-09(Sat):
The Book in Transition, the East and the West Symposium
(於・東京都/慶應義塾大学 三田キャンパス)
https://sites.google.com/keio.jp/booktrans/cfp

□2017-12-09(Sat)~2017-12-10(Sun):
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会 じんもんこん2017「人文学の継承と革新を促進する情報学」
(於・大阪府/大阪市立大学 学術情報総合センター)
http://jinmoncom.jp/sympo2017/


【2018年1月】

■2018-01-20(Sat):
漢字文献情報処理研究会 JAET 第20回大会
(於・京都府/花園大学)
http://jaet.sakura.ne.jp/

■2018-01-20(Sat):
情報処理学会 人文科学とコンピュータ研究会第116回研究発表会
(於・北海道/函館コミュニティプラザGスクエア シエスタハコダテ)
http://www.jinmoncom.jp/


【2018年3月】

■2018-03-03(Sat):
人文系データベース協議会 第23回公開シンポジウム「人文科学とデータベース」
(於・大阪府/大阪府立大学)
http://www.jinbun-db.com/news/23th_cfp


Digital Humanities Events カレンダー共同編集人
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小林雄一郎(日本大学生産工学部)
瀬戸寿一(東京大学空間情報科学研究センター)
佐藤 翔(同志社大学免許資格課程センター 助教)
永崎研宣(一般財団法人人文情報学研究所)

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◇イベントレポート「Digital Approaches to Genocide Studies レポート」
 (王一凡:人文情報学研究所)


 2017年10月23日・24日にかけて南カリフォルニア大学(USC)で開催された国際会議Digital Approaches to Genocide Studiesに出席した。この会議はUSC Shoah Foundation Center for Advance Genocide ResearchがUSC Digital Humanities Programと共同で主催したもので、同センターが年に一度テーマを定めて開催する大会に今年はちょうどデジタル研究が取り上げられたことのようである。
外気温が40度に達する異例の猛暑となる中、会場となったDoheny Libraryには北米・ヨーロッパから20名以上の講演者が招待され、また常時30~50名ほどの参加者が臨席していた。会議は図書館の講演室1室のみのシングルセッションで進行したが、それぞれのセッションは複数発表者のパネル形式をとり、時間も平均2時間程度と余裕を持って組まれていて、発表者と参加者の間の活発な質疑応答を促す形式であるのが特徴的だった。
デジタル化・デジタルデータについての考え方や扱い方など、一般に人文情報学系の会議ではみられない視点から取り上げられることが多く、新鮮な刺激を大いに得られたように感じられた。

 会議では7セッション、計21講演が行われた。筆者は一日目午前と二日目全日に参加したが、発表は地理情報・ソーシャルマップ・コーパス・VR・3Dスキャンなど多様な切り口がみられ、非常に学際的な雰囲気を醸し出していたと同時に、ジェノサイド研究という共通の関心から発する独特の問題意識や方法論が明白に現れていた。
筆者はジェノサイド研究について全くの門外漢であったが、ジェノサイド研究は一般に証言・体験・記憶などを媒体とするナラティブ研究を中軸に据えており、それらの再現や全体像の把握ということを非常に重視する分野であることを学んだ。デジタル技術の活用も自然とこれらの目的を達成すべく独自の創意工夫が見られ、インターフェイスへの強いこだわりと追求が顕著であった。本稿ではそれぞれの発表内容をかいつまんでご報告したい。

 はじめに冒頭講演として、Presner氏とBothe氏によるデジタル・ジェノサイド研究の理念面を俯瞰的に論じた2件の発表がなされた。Presner氏の発表で印象に残ったのがデジタルデータの性質とジェノサイド研究の思想との関係であり、可視化に従事する研究者の立場から、ややもすれば定量的、抽象的、還元的になりやすいデータからいかに深く完全でリアルな体験を表現していくかということを語っていたが、これは以降の発表にも通底する考え方のようで示唆的であった。

 次いで近年のウェブ社会・文化とジェノサイドの記憶との邂逅をめぐるセッションに移り、3件の発表が行われた。Lysak氏[1]はYouTube動画投稿者のアウシュビッツへの関心、Zalewska氏は記憶にも新しい『ポケモンGO』のポケストップがアウシュビッツ跡に置かれていた問題、Williams氏は旅行サイトのコメントに現れたカンボジアの大虐殺の記憶について取り上げた。

 午後の第1セッションはGISの活用に割り当てられた。発表では地理情報と証言、また証言のコーパス的分析との結合について扱った。続く第2セッションでは過去の証言資料のデジタルへの移行と保存についての発表が行われた。

 二日目午前は可視化の方法論をめぐるセッションと題して3件の発表が行われた。まずKnowles, Steiner両氏による発表では、単純な地図では実現できない、気づきと探求の起点になるようなインタラクティブな表現を目指すことを論じた。続いてトレブリンカ収容所の再現に関わったColls氏による発表では、現代の技術を用いて倫理的な問題から発掘できない遺跡を3Dデータ化するさまざまな手法が紹介された。
これは発表の内容もさることながら、質疑応答での予算の工面の問題(機材は思ったより高くない)やホロコースト否定論者の干渉など、興味深い話題が多く印象に残った。最後にWalke氏による、忘れられつつあるベラルーシの元ユダヤ人村でのホロコーストの記憶の保存についての発表がなされた。

 午後はまずソーシャルマップに関するセッションに入り、Chronakis氏による個々の証言をデータベース化してホロコースト犠牲者間の収容所内での複雑な人間関係を明らかにする研究、Curtis氏による地図、現地の風景の動画、それぞれの証言を統合してクメール・ルージュの虐殺前夜の情勢を再現する研究、Le Bourhis氏による近年発見されたパリのユダヤ人不動産没収の記録を手がかりに人口の動態を可視化する研究が紹介され、いずれもミクロな視点を繋ぎ合わせて実態を浮かび上がらせようとする試みとなっていた。

 最後のセッションではより応用的な取り組みが紹介された。Cham氏の発表では図書館員として共同プロジェクトとして南京大虐殺を扱った際の証言の言語やメタデータ、創発的なリテラシーの養成といった話題を論じた。Muller氏らの発表ではインディアン寄宿学校の記憶を伝承すべくVR内で当時の様子を忠実に追体験するインタラクティブワールドの開発とその理念が述べられた。

 また最後に30分以上にわたる全体討論が設けられ、活発な意見が交わされた。

 発表内容以外に特筆すべきことは、イベント自体のデジタル活用が積極的に行われていたことである。会議ではあらかじめTwitterのハッシュタグが告知されており、一部の参加者が会場の様子や感想を投稿していた。また会場にはビデオカメラと映像スタッフが常駐しており、全講演・ディスカッションが撮影されてウェブ上に公開されている。

https://sfi.usc.edu/cagr/conferences/2017_international/schedule

 本レポートはスケジュールの都合でいささか疎略に失した所があるため、興味を持たれた方はぜひ上記URLをご覧いただきたい(動画再生に要Flash Player)。

 余談であるが会場のケータリングが非常に充実しており、午前はドーナツやカップケーキなどの軽食、午後は簡単な料理が常に会場脇に置かれ、参加者らが議論の合間に手に取っていた。予算の出所や形態の違いもあるだろうが、日本の学会ではまず見ない光景に、彼我の学術文化の違いを目のあたりにしたようで驚きを禁じえなかった。

[1]Lysak氏の「L」の文字はクレスカつき


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 配信の解除・送信先の変更は、
    http://www.mag2.com/m/0001316391.html
                        からどうぞ。

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◆編集後記(編集室:ふじたまさえ)
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 今月の人文情報学月報はいかがでしたか?今回は、コーパスやデータベース、パブリック・ドメインに関する特別寄稿など多彩なラインナップが揃っていたと思います。ご寄稿いただいた皆さま、ありがとうございました!

 個人的にはパブリック・ドメインのコンテンツに関する特別寄稿について、大変興味深く読みました。電子化したコンテンツこそ持っていませんが、サービスを提供する立場にも関わる身なので、とても勉強になりました。次号もお楽しみに。

◆人文情報学月報編集室では、国内外を問わず各分野からの情報提供をお待ちしています。
情報提供は人文情報学編集グループまで...
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人文情報学月報 [DHM076]【後編】 2017年11月30日(月刊)
【発行者】"人文情報学月報"編集室
【編集者】人文情報学研究所&ACADEMIC RESOURCE GUIDE(ARG)
【 ISSN 】2189-1621
【E-mail】DigitalHumanitiesMonthly[&]googlegroups.com
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【サイト】 http://www.dhii.jp/

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