月刊小説クラッシュ

  • ¥0

    無料

著者サイト

作家・歴史研究家の横山茂彦(著書に『軍師・黒田官兵衛に学ぶ絶対に負けない経営術』宝島文庫、『真田丸のナゾ』サイゾー、『大奥御典医』二見文庫など)が発行する、小説と歴史研究のメルマガです。

 

メールマガジンを登録(無料)

※ご登録いただいたアドレスは大切にお預かりし、まぐまぐ!メールマガジン配信にのみ利用します。

他のサイトIDでメルマガを登録する

※ 各サイトのリンクをクリックすると認証画面に移動します。
※ メルマガはサービスでご登録したメールアドレス宛に届きます。

このメルマガを解除する

メールマガジンを解除

他のサイトIDでメルマガを解除する

※ 各サイトのリンクをクリックすると認証画面に移動します。

 

メールマガジン最新号

『月刊小説クラッシュ VOL.17(2017年5月号)』
●本号の内容

連載短編小説「Rの肖像」 前編 グラスマン

ミステリアス官能巨編「危険なボディ」 高輪茂

ブログ
http://07494.cocolog-nifty.com/blog/

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●お知らせ

本誌の編集長・横山茂彦が『情況』という雑誌の編集長になりました。左派系の総合雑誌ですが、来年で創刊50周年。そこまでは何とかもたせろ、ということで編集長を拝命つかまつりました。表紙だけでもお気に召しましたら、どうぞご購読を。
http://situation.main.jp/

楽天ブックスはこちらから。
http://books.rakuten.co.jp/rb/14798650/

『巨影――ほんとうの石井隆匡』(石井悠子・サイゾー刊)
 5月24日発売です。
https://www.amazon.co.jp/%E5%B7%A8%E5%BD%B1-%E3%81%BB%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%86%E3%81%AE%E7%9F%B3%E4%BA%95%E9%9A%86%E5%8C%A1-%E7%9F%B3%E4%BA%95-%E6%82%A0%E5%AD%90/dp/4866250852/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1494747001&sr=1-1&keywords=%E5%B7%A8%E5%BD%B1

『山口組と戦国大名』(横山茂彦・サイゾー刊)発売中。
http://7net.omni7.jp/detail/1106646827

『真田丸のナゾ!』(横山茂彦・サイゾー刊)は、当時の一級史料に典拠した、史実再発見の記事が満載です。
例:「大坂の陣で真田一族は天下を取れていた?」「豊臣秀頼はやっぱり秀吉の子ではなかった!」「秀吉が遺言した淀殿と家康の婚儀は、大野治長の略奪愛によって実現しなかった!」「九度山にあった真田家大奥? 信繁(幸村)の永遠の愛人・きりは女忍者になるしかない」「関白秀次が生きていれば、豊臣家は家康に付け入るすきを与えなかった!」
https://www.amazon.co.jp/%E7%9C%9F%E7%94%B0%E4%B8%B8%E3%81%AE%E3%83%8A%E3%82%BE%EF%BC%81-%E6%A8%AA%E5%B1%B1-%E8%8C%82%E5%BD%A6-ebook/dp/B01DFLY3Z8


以下は既刊です。
 『軍師・軍兵衛に学ぶ絶対に負けない経営学』(横山茂彦、宝島文庫)ご購読のほど、よろしくお願いいたします。
http://tkj.jp/book/?cd=72180501

『体験告白 歳の差カップルはドラマチック』(横山茂彦)好評発売中。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/480021520X/yokotou01-22


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

★☆∵∴*・゜゜・*:.:*・゜゜・*:.:*・゜゜・*:.:*・゜゜・*:..:*:・゜★:* 
連載短編小説「Rの肖像」 前編
                       グラスマン

 中小企業の経営者にとって頭が痛いことの一つに春先に入社した新人の退職がある。池村久仁男の会社はここ数年高卒新人はほとんど採らず、大卒に絞って採用を進めてきたのだが、毎年10人前後の新卒新人を採用しても必ず数人は5月または6月に脱落してしまうのだ。だからといって脱落する人員を見込んで多めに採用したりすることは、バブル期ならいざ知らずこのご時世では業種を問わずご法度といって良い。
 辞める者のほんの一例を挙げれば、新人研修2日目に自分の未来ビジョンと合わないと言う奴がいたり、単に先輩社員が気に入らないとか同期入社した者の間で溶け込めないからというものがあるのだが、辞める理由はその他にも実に様々である。
 父親が興した小さな会社を継いで、今年で5年になる池村はここまで何とか業績を上げながら過ごせたことに満足はしているものの、更なる飛躍の為には抜本的な改革が必要だと考えるようになっていた。

「今年から中途採用を始めるぞ」
 10人程いる経営幹部が集まった会議で唐突にそう宣言した池村は、人事部長にまずは営業職の経験者を幅広く募集するように指示を出した。
 池村の会社は病院や薬局などで着用される白衣やケーシーと呼ばれる術衣を専門的に扱う商社である。起業当初は繊維問屋を一軒一軒訪ね歩いて仕入れをし、また一軒一軒売りに歩くという行商スタイルだったのを、池村の代でインターネットを利用した営業スタイルを導入し、業績を一気に伸ばすことに成功した。
しかし、扱う商品にオリジナリティーが無くライバル会社との差別化はやがて単なる価格競争になってしまっていた。それを打開する為の策として池村が打ち出したのが、営業先の拡大、つまり病院や薬局だけでなく、学校や飲食業界、その他様々な業界へ営業を掛けて商品を売りさばいていく作戦であった。もちろん扱う商品も今よりも格段に多くなるのは必至で、またその商品に対するプロフェッショナルを配置しなければライバル達に立ち向かうことは不可能だと考えていた。

 深夜に及んだ会議の後、ある若手の幹部社員を誘って食事に出かけた。そこで池村は社内での自分に対する意外な評判を聞かされた。
「社員は皆、池村社長は多くの修羅場を潜り抜けてきた人だからどんな場面でも動じずに冷静に判断ができるんだと思っていますよ。一度、ヤクザまがいの連中が押し掛けてきてウチの商品のクレームを大声で言われた時も、眉一つ動かさずに、いい加減にしとけって言った瞬間、僕は忘れられないんですよ」
 若手の幹部社員は嬉々として池村に向けて話すのだが、とうの池村はどうも居心地が悪そうにグラスのビールを飲み干しただけであった。しかし、池村は内心昔の自分を思い出していた。

 高校時代はあまり勉強をしなかった結果、池村は当時はあまり偏差値の高くない私大に進学した。学生時代も散々遊び歩いた後、卒業の数カ月前に応募した会社へそのまま就職した。その会社が扱うのは不動産で、会社は体育会系を飛び越え、まるで自衛隊かと思うほどの厳しい社風であった。歩合要素の強い給与体系で、高額な物件が売れた際の実入りは魅力的である反面、しばらく売れない時期が続くと毎朝の支店長の個人攻撃は半端なかった。
 同期入社5人中、7月のボーナス時期の前に自分ともう一人の二人だけになっていた。その年のボーナスはいわゆる寸志であったが、池村はその寸志を受け取った翌日に辞表を提出した。強面の支店長のまるで犯罪者を見るような眼差しが池村は今でも忘れられないでいた。
 他人と喧嘩などはすることの無かった池村だったが、一度だけ殺したいほど相手に腹を立てたことがあった。
 不動産会社を辞める頃、池村には彼女がいた。同じ支店で内勤をしている娘で、名前はレイミと言った。漢字ではなくカタカナの名前は当時は珍しかった。年は池村より2歳ほど下だったが、専門学校を卒業して入社したレイミは社内では先輩であった。結婚までは意識していなかったが、池村は心からレイミのことが好きだった。
 しかし、池村が会社を辞める際の送迎会の後、あの男がレイミを傷物にしたのだ。その事実を知った池村が数日後あの男を夜の公園に呼び出し、事実を認めさせようとしたのだが、逆に手下に捻じ伏せられ、ポラロイドで撮影したレイミの痴態を見せられ、世間にバラ撒かれたくなければ大人しくしておけと抑え込まれてしまったのだ。
 数日後、会社を去った池村はレイミとは何となく疎遠になり、やがて別れ話をすることもなく空中分解状態になっていった。
 いまでもレイミのことは悔やみきれない思いでいっぱいな反面、あの男のことを考えるとはらわたがグツグツと煮えくり返る思いであった。
(もしあの男が現れたら……)
 池村は時々そんなことを考える度、自分の不甲斐なさに後悔せずにいられないのである。

「俺は対して修羅場を経験してないし、胆も据わってないよ。何なら人一倍臆病だし、厳ついクレーマーが来た時も実はブルブル手が震えて仕方なかったんだよ」
 ある程度アルコールが回った頃、池村は若い幹部社員に優しく話しかけるのだった。自分を飾らず、どちらかと言えば低く表現しておくことが池村にとっては安心できるからである。そんな控えめな姿勢で生きることで、やがて忌まわし記憶が消え去ってくれるのを願ってもいた。

 しかし、あの男との再会の時は突然やってきた。

                続く
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
★☆∵∴*・゜゜・*:.:*・゜゜・*:.:*・゜゜・*:.:*・゜゜・*:..:*:・゜★:* 
ミステリアス官能巨編 『危険なボディ』 連載第16回
                           高輪茂

 真の恋愛は死の観念をありふれた、容易な、少しも怖くないものにする。(スタンダール『恋愛論』断章46)

【前回までのあらすじ】25歳の銀行員・有馬大輔は派遣会社のシステムエンジニア・三好奈緒美に憧れているが、彼女の素顔がわからない。40歳の飯沼次郎は自動車メーカ―から販売会社に派遣されたエリートだが、趣味のスポーツバイクで知り合った名も知らぬ女性が気になっている。還暦をむかえた福原総一郎は、飯沼の会社のイベントを手がける代理店社長。彼はいきつけの酒場のパート店員に、高校時代の記憶の女を重ね合わせている。仕事で接点のある三人が、それぞれに憧れる想い人は、30歳ほどの美女なのである。

第四章 南島の愛の物語


 那覇への機上で眠っている奈緒美の横顔を眺めながら、有馬大輔はこれからのことを思った。
 ホテルで彼女の身体をマッサージしているうちに、おそらく男と女の関係になるのだろう。この二日間、彼女の美しさと逞しさに接してみると、もう年齢の差は関係ないと思えた。むしろ、彼女の肉体のほうが若々しく、運動能力でははるかに大輔を凌いでいるのだから。
 つまり、結婚を前提にした男女関係を考えはじめていたのである。昨夜は彼女のコンディションを考慮して何もしなかったが、ベッドに入ってきたのは奈緒美のほうなのだ。今夜は、疲れている彼女を寝かさないつもりだ。
 男としてのテクニックを駆使して、彼女を燃え立たせるつもりだった。奈緒美がどんなエクスタシーをあらわし、どれほど激しくベッドで燃えるのか、そう思うと早くも鼓動が高鳴っていた。
 那覇の上空で奈緒美が目を覚ました。
「よく寝たわ」
 そう笑うと、彼女は大輔の手を握った。
「応援してくれて、嬉しかったわ。最後、あれでも頑張れたの、君のおかげよ」
 年上の女らしい振る舞いが、いつ肉欲に目覚めた女のものになるのか、大輔は愉しみながらそれを待つことにした。
 ホテルに着くと、奈緒美はなぜか周囲を警戒するような気配を見せた。何度も尾行を巻いた時のように、これは彼女の習性になっているのだろうか。と、大輔は奈緒美の中にある謎を意識させられた。
「部屋に行きましょう。お腹が空いたら、ルームサービスを取りましょうね」
「……」
 いったい何を警戒して……?
「いっしょに」
 と、奈緒美は大輔をシャワールームに誘った。
「どうしたの」
 大輔は不安そうにしている奈緒美を落ち着かせるように、軽く肩を抱いてみた。すると、奈緒美は反射的に彼の胸に抱きついてきた。
「怖い……。ええ、大丈夫よ」
 あれほど大人の女を演じては、大輔をすべてにおいてリードしてきた奈緒美が、突然の変化だった。やっぱり普通の女だったか……。大輔にはそれが嬉しくも、残念にも感じられるのだった。
「もう、大丈夫」
 それにしても、シャワールームで初めて肌を合わせてみると、奈緒美の筋肉は本物だった。柔らかいにもかかわらず、いかにも芯の詰まった硬さがあり、はじけるような弾力があった。
「洗ってくれるかしら」
 と、奈緒美が大輔の指を股間に導いた。
 ボディソープのヌルリとした感触と、彼女自身の体内の感触が混ざり合い、そこは特殊浴場で使用するローションそのものだった。
「奥まで、おねがい」
 と、奈緒美が目をとじた。
 彼女の唇が喘ぐように動き、そこに感じている反応をあらわした。息づかいが声にはならない、女の陶酔が艶かしい。
 大輔は彼女の身体の内側を指先に感じながら、その感触を堪能していた。いま自分が、憧れの三好奈緒美の中に指を入れているのだと思うと、硬くなった股間が激しく収縮しそうになる。
 そうしている間も、ボディソープを塗りたくった胸が合わさり、お互いの乳首がそれを刺激し合う。このままでは、ここで果ててしまうだろうと大輔は思った。
「ベッドに。奈緒美さん」
 奈緒美の乳首の硬さが彼の胸板に押しつけられ、あるいは大輔の乳首が彼女の筋肉と戯れる。
「いいわ、ベッドに」
 と、ようやく奈緒美が許可をくれた。
 ベッドに上がると、奈緒美がめずらしく真顔になった。
「あなた、恋人は?」
 こんどは笑みを見せながら、
「恋人は、いるの?」
 と、奈緒美が問い詰める言葉を小さくした。
「え……」
 大輔は一瞬、声を出せなかった。
「いてもいいの。こうしてあたしと居ると、危険な目に遭うかもしれないから、訊いてみたかったの」
「……」
 大輔は奈緒美の真意をはかりかねた。
 恋人がいるくせに自分を抱くのか、という問いならば、大輔にも理解できる。
 だが彼女は、大輔にいるはずの恋人を気づかうように、危険な目に遭わせるが、恋人は大丈夫か、などと訊いているようなのだ。
「いますけど、いまは奈緒美さんのほうが」
 と返した大輔に、奈緒美は鷹揚にわらった。
「いいのよ」
 と、彼女は大輔を抱き寄せた。
「素直な人。あなたみたいな素直な人、好きだわ」
 もうここからは、互いに遠慮がなかった。
 大輔が彼女のバストを抱えるようにして、その先端にキスをすると、奈緒美は身悶えながら反応した。脚の爪先で大輔の股間を刺激し、硬くなったそれをいっそう奮い立たせるのだった。
「もう、来ていいわ」
 と、奈緒美がささやいた。
「素敵よ」
 奈緒美が素肌が密着する一体感を口にした。
 だが、その至高のひとときは、突如として邪魔されたのだった。
「誰か、ドアをノックしたわ」
 と、気づいたのは奈緒美のほうだった。
「ロック、してるわよね?」
 奈緒美は身体を起こしたので、大輔の身体も立ち上がった。
「してると思うけど……」
「おねがい、確かめて」
 大輔はやむなく、彼女から離れなければならなかった。
 チェーンロックを掛けてから、ドアを開けてみた。どうやら子供の悪戯のようだ。少し離れた部屋の前で、男女の幼児がこちらを伺いながら笑っているところだった。
「子供の悪戯でした」
 と、大輔はすぐにベッドにはもどらなかった。
 仕切り直しをしないと、出来ないような気がしたのである。
「ごめんなさいね、あたし……」
 と、奈緒美が短い髪を指で弄んだ。
「ヘンだと思ったでしょ、昨日の夜からだけど」
「何なの?」
 大輔はもう遠慮しなかった。
「ハッキリと教えて欲しいんです。俺は、あなたのためなら、いままでの恋人だって捨てられる」
 嘘ではなかった。
 奈緒美が意を決したように、大輔の顔を見た。
「あたし、悪者に追われてるのよ」
「悪者……?」
 彼女にしては稚拙な表現だったが、大輔にもおおよその察しはついた。
「俺が護りますよ」
 思わずこぶしを身構えながら、大輔は心からそう思った。
「尾行を巻かれたときから、そうじゃないかと思ってたんです。どんなヤツなんです? ヤクザですか」
「まぁ、そんなようなものね。シャブをやられたの」
 大輔はそれ以上、彼女自身に語らせないようにしたかった。
「それで、トライアスロンに挑戦して、心身ともに健康を回復しようと。素晴らしいな、俺は絶対に護ってみせるよ」
 などと先走りながら、大輔は真夏の誓いを立てたかった。
「シャンパンでも飲みましょう」
 と、空気の重さを奈緒美が嫌った。
 彼女の予告したとおり、ルームサービスの世話になったのだった。それはそれで、沖縄最後の夜にふさわしい演出になるはずだった。
「相手は、何人ぐらいなの? 二人までなら、自信があるんだけどなぁ」
 と、なごんだ空気に大輔はおどけてみたものだ。
 やがて、ルームサービスがドアをノックした。シャンパンが来たと、大輔は小躍りしたものだ。
 だがそれは、地獄からの使者だったのである。
「シャンパンでございます」
 ドアの向こうでそう会釈した相手の態度は、入ってくるなり一変した。
「久しぶりだな、奈緒美!」
 若くはないが、屈強そうな男だった。
 しかも、相手は三人連れである。
「こんな若造を銜(くわ)え込みやがって、淫乱女が。お前の病気は直らんようだな」
 サングラスの男がそう言うと、あとの二人が大輔を羽交い締めにした。
「やめて! その子には関係ないでしょ」
「お前、トライアスロンをやってんだって? ウチは全国組織なんだぜ、どこに逃げても無駄ってもんだ。地獄の果てまで追いかけて、身ぐるみさらってやるよ。おいっ! そいつをふん縛れ」
 男たちが大輔を縛ろうとすると、奈緒美が猛然と反撃に出た。
 バスローブが肌けるのもかまわず、電気スタンドを投げつけてはシーツで目くらましにしようとする。
「大輔、逃げて! こっち!」
 サングラスの男が、小瓶から布に液体を塗布している。おそらく、ルームサービスのギャルソンも、同じ手口で眠らされているのであろう。
 大輔がようやく逃れてくると、奈緒美はもう一度ふり返り、こんどは冷蔵庫の中身をぶちまけた。
 そしてベランダに出ると、大輔を先に立たせた。
「飛び下りるのよ、足から下りれば何ともないわ」
「ここから?」
 大輔は力を込めて、ベランダのドアが開かないようにしている。低く顔を伏せているのは、相手の拳銃を警戒しているのだった。
「大丈夫よ、こいつらは拳銃なんか持ってないから。持ってても、撃つ度胸があるもんですか、飛び下りるのよ!」
 大輔が躊躇(ためら)うのを見ると、彼女はみずから踊るように中空に舞ったのだったすぐにバシャッという水音がした。男たちがドアを破るのを見て、大輔も奈緒美に倣った。
 見事な脱出劇だったが、ほとんど素っ裸の男女がいきなり落下してきたのである。
「大丈夫ですかっ?」
 すぐにホテルの警備員が寄ってきたので、奈緒美は大きな声で訴えた。
「すぐに救急車を呼んで! 警察もよ」
 前方に跳躍しなかった分だけ、大輔はプールの土手に足を打ちつけていたのである。上を見ると、下を覗き込んでいた男たちが、慌ただしく部屋の中にもどるところだ。
「五八号線に、非常線を張って! 犯罪者よ、凶悪な極悪人!」
 しかし、そんな怖い指示にすぐ反応してくれる者がいるわけではなかった。救急車とパトカーのサイレンが鳴ったのは、大輔がプールサイドでガウンにくるまれてから、なおしばらくあとのことだった。

(つづく)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ∧_∧       
(・ω・` )_
O┬O ) /   
◎┴し'-◎ ≡   
メルマガ全文を読む
 
 
メルマガ名
月刊小説クラッシュ
発行周期
ほぼ 月刊
最終発行日
2017年05月15日
 
発行部数
46部
メルマガID
0001670194
形式
PC向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 小説

まぐまぐ!メールマガジンの用語集です。
下記の用語以外の不明な点はこちらをご覧ください。

 
発行周期
週1回、月1回などの発行頻度です。
部数
メルマガの配信数を記しています。
カテゴリ
まぐまぐ!に登録されているカテゴリです。
形式
メルマガには以下の配信形式があります。下部「メルマガ形式」をご参照下さい。
 
最終発行日
最後にメルマガが配信された日付です。
メルマガID
メルマガを特定するIDです。
RSSフィード
RSSを登録すると、更新情報を受け取ることができます。

― メルマガ形式 ―

  • PC向け
    パソコンでの閲覧に最適化したメルマガ
  • 携帯向け
    スマートフォンやフィーチャーフォンでの
  • PC・携帯向け
    PC・携帯どちらでも快適にご購読いただけます。
  • テキスト形式
    文書だけで構成された、一般的なメールです。
  • HTML形式
    ホームページのように文字や画像が装飾されたメールです。
  • テキスト・HTML形式
    号によって形式が変更する場合があります。

閉じる

 

▲ページトップへ

▲ページトップへ