ニチマNCコース通信

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愛知県名古屋市中村区にある専門学校、専門学校日本マンガ芸術学院(通称:ニチマ)の小説クリエイトコースが発行しているメールマガジンです。 「在校生、卒業生、そして入学を考えている方が創作に役立てられるよう、興味の幅を広げ、あらゆるものに好奇心を持ってもらう」ということを目的に、様々な考え、事柄、物品を紹介していきます。 ニチマの名前を初めて聞いたという方にも、ちょっと役立つお話をいろいろ紹介していますので、是非ご購読いただければ幸いです。

 

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メルマガ名
ニチマNCコース通信
発行周期
ほぼ 月刊
最終発行日
2017年11月30日
 
発行部数
23部
メルマガID
0001673084
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
教育・研究 > 専門学校・各種学校 > 全般

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メールマガジン最新号

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2017/11/30 ━━━━━●
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 ■□■■■□□□      【ニチマNCコース通信 No.20】
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おはようございます。日本マンガ芸術学院、NCコースです。

東京研修とイタリア研修は如何でしたか?
それにあわせて進級制作・卒業制作……と、学生にはどうにも忙しい時期ですね。
皆さん師走の慌ただしさに直面しているようです。

……まだ11月ですが。


教室でも暖房をつけることが多くなり、いよいよ冬到来か、といったこの頃です。
後期の授業ももうすぐ半ば。
もう1年分の授業が3/4、終わってしまいます。

長編の完成を急がねば、という声も聞こえてきます。
なにかとやることの多い時節ではありますが、諸々片づけて一区切り、といきたいところです。

◇─目次─────────────◇

  1.新人賞・受賞作のすすめ
  2.ネタになるうんちく
  3.作品紹介/漫画編

◇────────────────◇

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新人賞・受賞作のすすめ
>遍柳一「平浦ファミリズム」
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今回紹介させていただくのは、
第11回小学館ライトノベル大賞でガガガ大賞を受賞した、

「平浦ファミリズム」

です。
著者は遍柳一(アマネ・リュウイチ)先生。
キャッチコピーは、
「家族がいれば、それでよかった。」

家族以外の人間と関わることを好まない主人公が、事件や偶然のために他の人々と関わらなくてはいけなくなる。
――というのが本作の大雑把な説明です。

作品ではかなりストレートに青少年の葛藤や周囲との摩擦(時に衝突)を描いています。雰囲気がちょっぴりライト文芸的なのは、そういうところも理由なんでしょう。


〇平浦家

「平浦ファミリズム」にファンタジックな設定はありません。ですが、ファンタジックに思える要素ならあります。それが主人公たち平浦一家です。

まっすぐだけどどうしようもなく不器用な父。
母親譲りの行動力を持つトランスジェンダーの姉。
描画能力はピカイチな、ひきこもりの妹。
そして天才的なプログラミング技術を持つ一方で、他人のことを理解できない主人公。
母親は結構に成功したIT系ベンチャー企業の社長で、五年前に他界。

このあたりはキャッチーだな、と思います。
ただこの話では、具体的にどう個性的なのかまではあまり重要でないみたいです。


重要なのは個性的で一般にマイノリティとでも呼ばれるようなキャラクター性です。
彼らは世間から見れば「ちょっと……」と思われるような性質を持っていますから、どうしても周囲との間に溝ができてしまうわけです。
そういう状況は家族の結束力を高める上で有効ですが、今回のお話はそういうものではありません。

平浦家はすでにそのあたりのイニシエーションを終えたものとして書かれています。
母が他界した後、世間との折り合いもついて、一家は平穏に暮らしている、というところから物語が始まるのです。


〇主人公にとっての家族・他人

主人公はかなり理系な思考の持ち主です。
物事に、自分の理解できる理屈を見いだせないと済ませられないタイプでもあります。
頭はすこぶるいいのですが、直感的・感覚的な話に滅法弱いやつです。
家族が人から冷たい目を向けられやすいこともあって、幼いころから他人の悪意に触れてきました。
そんなわけで主人公の思考は、

・家族以外は他人である。
・人が、真に他人を想って行動することはない。

どうもこんな感じみたいです。
で、そのために主人公が物語中苦しめられることになるのが、

「なぜ人が他人のために行動するか」

になります。
青臭いなあ、と思う人、いますかね。
このあたり子供っぽいというか、いつかどこかで「恋の定義とはなにか」とか考えそうな気配が、いかにも大人になり切れていない感じでとてもいいです。
青春の匂いがしますね。


ともあれ、そういう考えから他人との間に壁を作ってしまう主人公なのです。
本作ではこの「家族と他人の乖離」とでもいいましょうか、両者の間から「友達」とか「恋人」といった要素がすっぽり抜け落ちてしまっている、そんな主人公の考えがスポットを浴び続けることになるのです。


〇未熟な高校生

本作では、高校生は未熟なものとして描かれています。
高校生が未熟なのは、当たり前と言えば当たり前ですが……やはりそれを明確に意識して書いているか、そうでないかは大きいです。
悩むのは若者の特権とでも言わんばかりに、主人公や彼と関わる高校生たちは悩み苦しみます。

で、まだまだ心が安定しきっていない彼らですから、漫画のヒーローやヒロインみたいに格好良く・可愛くはいられません。
彼らの間違いや空回りは、時に露悪的に、より嫌厭されるように描かれます。
魅力的、とはお世辞にも言えません。

ただ、いわゆるビルディングスロマンと呼ばれるジャンルでは、それもまたうまみのひとつです。
子供が大人になる過程で、嫌な人間になり、痛い目を見て、成長する、というのはやっぱり王道です。
それを、たとえキャラクターが嫌われようとがっつり見せてくれた本作は、だからこそ面白いと思えました。



最後に。
これを読んでみるのなら、一番のポイントは、
「主人公がどう変わるか」
「どれだけのことがあれば主人公は変わるのか」
です。
読んでもらえれば、きっと「ああ、うん。こいつはここまでやらなきゃ変われないよな」と思ってもらえるはず。

頑固者の成長ですからね。そりゃあここまでやらなきゃいけないか。
なんて納得できてしまうのが、今になってちょっと可笑しく思えてきました。

                             講師A

『平浦ファミリズム|小学館』
https://www.shogakukan.co.jp/books/09451689

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ネタになるうんちく
>サイボーグの話
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前回はロボットの話をしました。機械仕掛けで人間と似たような動きをするロボットは、SF作品において欠かせないガジェットの一つですよね。

そうそう、前回書き損ねたのですが、人型ロボットを示す「アンドロイド」という言葉を皆さんご存知ですよね?
実はこれ、基本的には男性型ロボットを示す言葉なんですよ(アンドロ、が男性のことなので)。女性型ロボットは「ガイノイド」と呼ぶと、
「わかってる」感が出ます。覚えておくと役に立つかもしれません。


さて、そのロボットとの関係も深く、同じようにSFに欠かせないのが「サイボーグ」です。
人間の体の一部を人工物で置き換え、失った機能を補完したり、本来以上の力を発揮させたりするものです。そうして置き換えた部分を「義体」と言ったりしますね。

サイボーグといったら、皆さんはどんなイメージがありますか?
この言葉を普及させた作品は何と言っても石ノ森章太郎「サイボーグ009」でしょう。
秘密組織「黒い幽霊」によって改造された九人のサイボーグ戦士は加速装置や飛行、火炎放射などそれぞれの特殊機能を持っていました。

同じ石ノ森作品を原作とする「仮面ライダー」も、昭和の頃は改造人間=サイボーグであることが主でした。
ライダーの強さ、速さ、そして何よりもジャンプ力は改造によって体に組み込まれた機械(だけでなく生体部品もあったかもしれませんが)の力であったわけです。
近年では子供向け作品として人体の改造はイメージが良くないのか避けるようになりましたが。

映画作品に目を向けると「ロボコップ」というのもあります。実はあれ、「ロボ」と言ってますが殉職した警官の身体を使っているのでサイボーグなのです。
そうそう、映画化で良くも悪くも話題になっている「鋼の錬金術師」にも機械鎧(オートメイル)という名前で、人間が失った身体を機械で置き換える技術がありましたね。


もう少し具体的に、SF作品に出てくるサイボーグの能力、機能を掘り下げてみましょうか。
まず、単純な機能拡張ですよね。
機械だから普通の人間より強い力を発揮でき、体表面に効果的な装甲を貼り付けることができ……というのはわかりやすい理論です。

また、機械を組み込むことで普通の人間にはできないことができます。
ウルヴァリンめいた刃が体から飛び出したり、指先や手のひらに銃口があったり、
背中から翼が生えたりジェット噴射のための機構が備えてあって空が飛べたり、
目が機械(サイボーグ・アイ)に置き換えてあって赤外線感知やカメラ、あるいはAR(拡張現実)機能を備えていたり、という具合ですね。
特に脳にコンピューターを埋め込んで(「電脳」といいます)通信したりネットに繋いだりというのはいかにもSF 的な出来事です。

これらの機能・能力の多くはアイテムを身につけることでサイボーグでない人間も手に入れられるものではありますが、
ゴテゴテしたパワードスーツを身につけたり、特別なヘルメットをかぶったりしなくとも、自身の体に組み込むことができるというのは、
様々な点でアドバンテージがあると言っていいでしょう。


もう少し、サイボーグという概念そのものを掘り下げて見ましょう。
人間の身体を人工物で置き換えるという考え方で言いますと、実は私たちのイメージする「腕や脚や目玉を機械にした人間」だけとはいえない可能性があります。

例えば服です。……意外でしょうか?
でも、服って「皮膚や体毛を追加するもの」ですよね? 本来の皮膚や体毛が持つ「人体の一番外で、寒さや外傷を防ぐ」機能を置き換えている、ともいえます。
あるいは、入れ歯。あるいは、眼鏡。あるいは、義手。人体を人工物で置き換えるというのは実は意外と昔からある発想なんです。
人口の血管や内臓などもすっかり定着しましたしね。

それらの「古いサイボーグ」と近未来、いや現代すでに生まれつつあるサイボーグの違いは、人間の意思を読み取って動いてくれることでしょう。
例えば、義手といえば普通はただの棒であったり、あるいは体の他の部分を使って動かすものであって、本物の身体のように動かせるものではありません。

しかし、筋電義手といって脳から発する命令を電気という形で読み取るタイプの義手は、まるで本当の身体のように動きます。SF 的なサイボーグは基本的にこれですね。
実はこの筋電義手、何十年前に実用化されてますし、今でもどんどん進歩しているのです。詳しくは
https://www.mugendai-web.jp/archives/6323
この辺の記事を読んで見てください。SFの世界は実はもう現代に現れているのです。


最後に、一つ。サイボーグとロボットの境目の話をしましょう。物語で扱う時にここは面白くなるポイントです。
サイボーグと(人型)ロボット、どこが違うのでしょうか。
単純にいえば「人間に機械をつけるか、機械で人間を作るか」ですよね。この定義はわかりやすいです。

しかし、定義というのはあくまで言葉です。
例えば、脳以外すべてを機械に置き換えてしまった時、そのサイボーグは自分を人間だ、サイボーグだ、ロボットではないと思うことができるでしょうか? 脳だってある程度は機械になっているかもしれないのに?
自分が人間なのか、機械なのか、というのはサイボーグを扱う時の古典的テーマです。挑戦してみるのも面白いでしょう。
                             講師B

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作品紹介/漫画編
>『ワンパンマン』
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肌寒さを越えて、いよいよ本格的な冬の寒さが身に沁みてきましたね。
なんだかあっという間に年末イベントの時期になりました……
在学2年生は今、イタリア(研修旅行)に行っております(-_-)

さて、今回は人気の高い有名漫画作品である『ワンパンマン』について書きたいと思います。

定評ある著名な作品に対していまさら感もあろうかと思いますが、
『ワンパンマン』は私的に、最も続きを楽しみにしている作品で
個人的にも最大級評価の漫画の一つ。要するに「今、一番好きな漫画!」です (^з^)

まだ読んでいない人はこれを機に興味を持ってもらえたらと思います。


●『ワンパンマン』の出現

『ワンパンマン』は普通の漫画とは違うカタチで登場した作品です。
現在も昔もWeb連載漫画なのですが、元々はプライベート(アマチュア)作品です。

この作品は、当時(2009年頃)プロ作家ではないONEさんがWebで発表。
個人サイトで発信した「下描きみたいな雑然としたもの」で、いわゆる「ネーム」レベルの作画でした。

今でこそ『モブサイコ100』などでも評価の高い漫画家、ONEさんですが
リアルタイムで知った当時のONEさんは単なる漫画好きの素人に過ぎません。

しかし、この『ワンパンマン』を読み進めると、ストーリー展開が抜群に面白いし
原稿を量産する馬力と情熱は非凡なものを感じたため、只者ではない!? と感じつつも
残念ながらこの「絵」では世に出ることは無いだろうなぁと思っていたのが正直なところでした。

(数々の無礼な表現、すみませんm( _ _ )m 当時のリアルな状況を伝えたくて書いてます)

そして同じ頃、『アイシールド21』などで有名な漫画家、村田雄介先生も
この『ワンパンマン』を一読者として見ていたらしく、そこから色々な経緯を経て
村田先生の作画、表現力を駆使したリメイク版『ワンパンマン』が集英社の商業ベースで誕生することになりました。

・ONEさんによる元祖『ワンパンマン』(個人発表/2009年~)
・村田先生作画のリメイク版『ワンパンマン』(となりのヤングジャンプ/2012年~)

ということですが、現在も両作品共に読めますし、まだ完結しておりません。
そしてこの二つは、同じストーリーを共有しつつ、違うストーリーや展開もあり、
並行世界(パラレルワールド)なワンパンマンとしてそれぞれを楽しむことができます。


●『ワンパンマン』の内容

ここで語るのは主にリメイク版『ワンパンマン』について。

あらゆる敵をパンチ一発(ワンパン)で倒してしまう
最強のヒーロー「サイタマ」が主人公のギャグ系アクション漫画……
というのが全体の説明になるのですが、これではちょっと魅力が伝わらないですよね。

上記プロットを具体化しただけのストーリーだったら凡庸な作品になってたでしょうし、
そもそも村田先生も関心を持たなかったでしょう。

・主人公は「サイタマ」25歳。スキンヘッド、身長175cm、体重70kgの男
・正義のヒーロー「サイタマ」は最強である(少なくとも今のところ)
・舞台は現代の日本。架空の都市。頻繁に怪人や侵略者、大災害が襲ってくる
・国家の治安維持組織(警察など)とは別に民間の「ヒーロー協会」という組織がある
・そこに属する大勢のヒーローたちはそれぞれの戦い方で怪人たちと戦う
・ヒーロー協会所属のヒーローはC級最下位からS級1位までランキングされている
・ヒーローには格付けに見合った報酬があるらしい(プロのヒーローである)

タイトルの「ワンパンマン」とは「サイタマ」のことですが
劇中、ヒーロー協会や世間では彼の真の実力と実績を理解していません。

「サイタマ」のキャラクター像はこんな感じ。

・風貌は脱力感溢れるコスプレヒーロー
・威厳や威圧感は皆無だが、最強である
・ゲーム好きの普通人。名誉欲や物欲、上昇志向などはほぼ無い
・ヒーロー協会が付けた「サイタマ」のヒーローネームは風貌から「ハゲマント」
・彼の知名度は低く、実力を知る者は僅か
・無敵なのに何故かC級にランクされ、今でもA級39位というポジション
・彼の考えるヒーロー像や正義は単純でユルいが迷いは無い
・一方でやりがいの薄さには悩んでいる(無敵ゆえに)
・「ジェノス」という「サイタマ」とは対照的なサイボーグ戦士の弟子がいる
・S級ヒーロー「ジェノス」は「サイタマ」の実力を知っており、盲目的に尊敬している

ここまで書くと、勘のいい人はおわかりかと思いますが、物語において
本当の意味では「サイタマ」の活躍を軸に置いていません。

彼は主人公でありながら、ほぼ「狂言回し」として、各エピソードを繋ぐ
キーポイントになっている程度であり、最終的な段階でエピソードを終結させる(解決する)
『水戸黄門』のご老公と印籠みたいな役割です。

読者向けに説明をしてくれるのはエピソードによって様々ですが、
基本的には「サイタマ」のことを語ることができる「ジェノス」の役割。

「絶対的な主人公」が存在するも、君臨する王者としてではなく
無名な存在である矛盾とユーモア、もどかしさがどんなにシリアスな展開になっても
緩やかなギャクマンガベースに回帰できるテクニックとして成立しています。
(ONE氏の『ワンパンマン』は若干、違う気がします)

ちょっと真面目な切り口から言えば「ワンパンマン」のテーマは

・正義と悪の定義
・本当のヒーローとはどういうものなのか?

という項目をなぞりつつ「追い詰められた人間の境地」を随所に描いているところが
読者の共感を得るのだろうと思います。

でも別に「サイタマ」がそれを求道してるわけではなくて
豊富に登場する様々な立場のヒーローや登場人物、敵役がそれらを多彩なエピソードで
多角的に描いているところが面白く、飽きさせず、深刻ぶらず、
それでいて爽快感も得ることができる結末を展開している構造です。

マンネリになりやすい切り口とテーマだと思うのですが、
それを跳ね除けてバリエーション豊かなストーリーを進行できるのは
キャラクターの豊富さとその表現力の高さでしょう。

アクション漫画として、歴代トップレベルの描写力と演出力が備わっていることも
容易に真似できない素晴らしい長所です。
現代的なデジタル作画技術を駆使して描いている漫画原稿ですが、CGに頼り過ぎず
モノトーンの「日本漫画」としての記号性を失わない使い方とバランスが絶妙なのです。


●『ワンパンマン』が切り開いたこと

エンタメとして素晴らしい『ワンパンマン』はアニメ化もされており
その存在感は増すばかりですが、それとは別にこの作品が切り開いたものがあります。

日本における、本格的なWeb漫画の成功と作家としての新しい可能性を見せてくれた点です。

まず、ONEさんの才能はこの時代でなければ、埋もれていた可能性が高いと思います。
『ワンパンマン』だけではないことは『モブサイコ100』の面白さを見てもわかりますが
持ち込みや投稿による旧来の新人賞では、業界の表舞台に立てなかったタイプでしょう。

長所を武器に広い世界に発信し、様々な人に「発見されて」支持されて
SNSを通した評判の広がりとコミュニケーション、
それが一人の漫画ファンでもある村田雄介先生を巻き込みました。

村田先生も、何か新しいコラボができそうなワクワク感や挑戦意欲が
おそらく仕事以前のモチベーションを刺激したのだと思います。

現在、ONEさん自身が描く『モブサイコ100』も決して上手な作画ではないですが
元祖『ワンパンマン』と比べ、明らかに見やすくなった味わいある作画として成立しています。
また『ワンパンマン』の実績が信頼となり、読者が期待して読んでくれることも大きいです。

『ワンパンマン』も何度かプロモーション的に集英社の雑誌媒体に掲載されたことはありますが
生粋のWeb連載として売れて、知名度を上げた功績はピカイチ。

それまでのWeb漫画は、雑誌より格下でお安く済む「二軍扱い」だったことを思えば
Webから生まれたヒーローは、アマチュアとプロの垣根を低くした先駆者です。

ワンパンマンという看板を軸にスタートした「となりのヤングジャンプ」も
勢いが増して今やいろいろな新しい才能が芽吹いています。

集英社に限ったことではなく、雑誌掲載という「限られた枠」には躊躇したけれど
何かを感じさせる才能を試せる市場として大きく活性化してきたのは確か。
最近の作品の生きの良さを見れば、それは実感できます。

今回は村田先生が描いたリメイク版『ワンパンマン』を軸にお話いたしましたが、
まだ見てない方は(慣れるまで読み難さは少々我慢)
オリジナル『ワンパンマン』も是非、読んで見てくださいね。

                             講師C


コミックスは間も無く15巻が発売される
リメイク版『ワンパンマン』(となりのヤングジャンプ/WEB掲載)
https://tonarinoyj.jp/episode/13932016480028985383

これは紙媒体のものは無い……はず。
ONEさん作画による元祖『ワンパンマン』
http://galaxyheavyblow.web.fc2.com/

ONEさんが作画まで手掛ける「裏サンデー」の『モブサイコ100』
平凡で内気な少年によるエスパーもの。2014年年末からスタートして
2017年、第62回「小学館漫画賞」(少年向け部門)を受賞。
こちらはWeb連載ですが、コミックスでしかすべては読めません(現在15巻)
http://urasunday.com/mobupsycho100/index.html




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編集・発行/専門学校日本マンガ芸術学院 小説クリエイトコース・メールマガジン

http://www.nmg-nagoya.ac.jp/

編集長:小川 翔梧(小説クリエイトコース講師)

本誌の記事・コラムは、基本的に小説クリエイトコース在学生のみなさんに対する情報提供や話題提供を目的としたものです。一部、内輪ネタや内部連絡の様な話題が書かれることもございますが、ご了承ください。
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