酒とつまみ編集部のメルマガ「まあ飲んでから考えよう。」

酒とつまみ編集部のメルマガ
「まあ飲んでから考えよう。」

  • 雑誌『酒とつまみ』の制作舞台裏が覗ける
  • 編集部にメールでメッセージや次号の督促(笑)が送れる
  • メルマガ購読という形で、資金難にあえぐ雑誌『酒とつまみ』をサポートできる
  • 発行日:月1回不定期配信
    (配信のなかった月は購読料をいただきません)
  • 登録料:毎月324円
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まず『酒とつまみ』という雑誌が、どういうコンセプトで編集されているのか教えてください。

それがコンセプトもテーマもほとんどないんですよ(笑)。「酒飲み人生謳歌マガジン」という雑誌のキャッチフレーズも、創刊した後にムリヤリこじつけたものですし……。『酒とつまみ』というタイトルにもかかわらず、いいお店を知ってるわけでもなく、お酒のウンチクが語れるわけでもないんですが、とにかく“酒にまつわるバカ話をやろう”と思い立ったのが、原点でしょうか。酔っぱらいが、酔っぱらいながら、酔っぱらいの話を書くみたいな。

『酒とつまみ』の創刊は2002年なんですが、その時ひとつの事務所スペースを、ライターである前編集発行人の大竹聡さん、カメラマンの齊藤正さん、デザイナーの井本ナオキさん、編集・ライターの私、それとバイトの葉子ちゃんでシェアしていたんです。紙媒体に関わるひと通りの人間が揃っていたので、“雑誌ができるじゃないか”ということになって、それで作ったのが始まりでした。

最初に『酒とつまみ』を出された時の反応はどうだったんですか?

創刊号は500部刷ったんですが、どこでどう売ったらいいのか全然わからなくて、知り合いにメールして買ってもらったりと、細々とさばいていたんです。その後、もともと営業の仕事をしていた大竹さんが、かつての“営業魂”に火が付いたのか、地方出版や少部数の出版物を扱う取次会社「地方・小出版流通センター」に掛けあって、扱ってもらえることになりました。それで各地の書店などにも置いてもらえるようになったんです。

それから2ヶ月ぐらい経った後に、雑誌を置いてもらっている「地方・小出版流通センター」の直営書店へ行き、どれぐらい売れたかを聞いてみたら、今月の1位だと言われ……。酔っぱらいの話しか載ってない雑誌なのに、どうしてこんなに反応があるんだ、とすごく驚いた覚えがあります。その後も反響が大きくて、最終的には2000部まで増刷したんですが、ただ少ないロットで無計画に増刷したばかりに、無駄にお金がかかってしまって、まったく儲からなかったという苦い経験もしました(笑)。

渡邉和彦さん

『タモリ倶楽部』で取り上げられたことも、『酒とつまみ』が世の中に広く知れ渡ったきっかけとなったんですよね?

あれは2005年ぐらいだったかな。その頃はまだ年2回ペースで出せていたので(笑)、おそらく第7号を出したころだったと思います。雑誌内容のいい加減さから、事務所にあった在庫の山まで、番組のなかでさんざんイジってもらったんです。

で、めでたく放送されたんですが、オンエア後どころか、オンエアの最中からホームページの掲示板やブログのコメント欄に書き込みがあったり、メールでバックナンバー購入の注文が殺到したりと、ものすごい反応で……。イジられるいっぽうで、すごく丁寧に雑誌の内容を紹介してもらったのもありますし、『タモリ倶楽部』を見ている方のノリと『酒とつまみ』のノリがなんとなく近かったのも、今考えるとあったのかもしれませんね。

では『酒とつまみ』には、具体的にどんなコーナーがあるんですか?

そうですね、世の酔っぱらいたちの色々なエピソードを紹介するのが主で……。著名人インタビューのコーナーもあるんですが、これももっぱら“酒の失敗談”がほとんどですしね。あとは「思いつき研究レポート」といって、酒のつまみをテーマに、何の役にも立たない実験をしたりとか。

読者の方々のなかには、『酒とつまみ』に対して、もはやまっとうな企画を期待していない人も多いようなんです。もっとも、企画担当の私自身、バカな企画しか思い浮かばないというのもあるんですが……。そんな感じなので、基本的にくだらなすぎる企画のほうが、読者の方がより喜ばれるという傾向があるんです。

「思いつき研究レポート」では、色々なおつまみをマドラー代わりに使ってみたりとか、飲み残した気の抜けたビールのうちどの銘柄がウマいかなど、いろいろ実験してみましたが、なかでも好評だったのが、市販の魚肉ソーセージを比較した「魚肉ソーセージ・勝手に大研究」。包装フィルムを剥いた時に中身がどれだけくっつくかとか、振ってみてどれぐらい耐久性があるかなどを試してみたんですが、それをご覧になられたタモリさんには「味については何ひとつとして書かれてないね」と呆れられました。

渡邉和彦さん

渡邉さんはいろいろな酒場に行かれていると思うのですが、どんなお店が好きですか。

それが、あまりいろんなところには行かず、だいたい同じ店しか行かないんです。開拓したいっていう意識がほとんどないというか。いつも同じ所に行って、同じような話をして、同じところで笑って……、そんなことの繰り返しでいつも進歩なく、どんどん脳みそが小さくなっているような、そんな感じです。

編集部がある界隈だと、浅草橋のやきとん屋さん。従業員に気のいい兄ちゃんが多いところ、フランスパンの串といったおしゃれなメニューも置いたりといった節操のなさ(笑)、よく言えば柔軟性のある品揃えも魅力ですね。それで休日は、東京競馬場に行くことが多いので、最寄りの府中駅の近くにある飲み屋にだいたい行ってますね。

その競馬場の近くの店には、3年ぐらい前からG1などのビッグレース以外の馬券も買うようになった大竹さんも通っているんですが、なかなか当たらないので、現在その店のマスターに弟子入りしています。で、馬券をしくじると「何やってんっすか」「日和るな」って、店で怒られてるんですよ。……そのマスターは大竹さんより20歳ほど年下なんですけど(笑)。

渡邉さん自身、お酒の失敗談も多いんじゃないですか?

若いころはよくあったんですよね。泥酔して自転車で自宅に帰る途中にコケたらしく、翌朝目覚めたらジーンズがビリビリに破れてて、ヒザが血みどろだったとか……。歳を取ると、お酒に弱くなったこともあるのかもしれないですけど、そういう派手な失敗は少なくなりましたね。

最近あった失敗だと、ある日また泥酔して終電で帰って来たときなんですが。そこでもう飲めないのに“まだ飲んじゃおう”って意識が生まれちゃって、途中コンビニに寄って安い1升の紙パック入り焼酎を買ったんです。帰宅して僕はそれを多分飲もうとして、パックの口も開けたんだけど、案の定飲めなくて、そのまま寝ちゃったんです。

それで目が覚めたら、ホットカーペットの上に焼酎パックが倒れていたんで「ああ、やっちゃったな」と思って、カーペットのカバーを拭いてたんですが、それが拭いても拭いても濡れているので、おかしいなと思ってカバーの部分をめくったら、下のヒーター部分に焼酎が染み込んでビッショビショ。えっ?と思って焼酎パックを見てみたら半分以上なくなっている状態で……。布巾で何度も拭いても一向に乾かず、拭いては絞りを繰り返している午前7時の中年男の光景……という、地味ですがとても切ない失敗はありましたね。

創刊は2002年とのことでしたが、現在『酒とつまみ』は、何号まで出ているんですか。

創刊から10年以上経つんですが、最新号は第14号……、それも出たのは2011年の夏ごろなんです(笑)。2012年の夏に、創刊号から第10号までに掲載した記事を集めた傑作選『酒とつまみチャンポン』という単行本を出したんですが、当初の計画では立て続けに第15号も……、と考えていたんですが、そうはうまく行きませんでしたね。

ネックとなっているのは、やはりお金の問題です。もともと前号の売り上げを次号の印刷費に繰り越しできるようにやりくりするにしても、それほど利益があるわけでなく、同時にそういうやりくりが自分自身とても苦手というか大雑把なんで……。さらに2008年からは、組織を「酒とつまみ社」として法人化したんですが、その分お金もかかるようになり、さらに苦しくなっちゃいました。

またお金以外にも、マンパワー的な問題もありまして……。「酒とつまみ社」なんですが、実は在籍しているのは私一人だけなんです(笑)。それで雑誌作りに関する仕事以外にも、書店や読者の方から注文を受けたら本を届けたり発送したり、また決算など法人として必ずしないといけない作業もあったり、そんなこともあって雑誌作りになかなか時間が割けない。それでいて会社の運営資金や次号の印刷費も稼がないといけないので、「酒とつまみ社」以外の編集・ライター仕事などもこなしていくと、さらに時間がなくなっていくという、まあ典型的な悪循環ですね(笑)。

第15号発行のメドですか? メールやTwitterなどでも「次号いつ出るんですか?」というお問い合わせは、断続的にいただくんですが、残念ながらまったく立ってません。

そんななか、メルマガの創刊を決意されたのは、どういう思いがあったからなんですか。

もともと『酒とつまみ』がメルマガを出すなんて、全然考えていなかったんです。もし雑誌のほうが仮に季刊ペースで出せていたら、それの案内とかをお伝えするメルマガということで成立するかなと思うんですが、肝心の雑誌がこういう状態ですからね(笑)。

で、メルマガについて改めて考えてみたんですが、これまでの『酒とつまみ』を作ってきた経験のなかで、雑誌にはちょっと使えないけど、面白いネタって結構あるんですよね。雑誌のなかで取りあげるにはちょっとボリューム的に広がらないかな、例えば5行ぐらいで完結してしまうような小ネタであったり、それとは逆にページ数の都合上どうしても削らないといけなかったネタもあったりして、そういうネタを出せる場所としてメルマガは使えるんじゃないか、と思ったんです。

メルマガでは、そういった実験的な企画を大いにやってみて、それで読者の反応を見る、という風にも活用できるのではと考えています。それで好感触なものは、雑誌のほうの企画として盛り込んでいくといったような……。いかんせん、雑誌のほうが諸事情で出せないという今の状況下で、感触を確かめることができる数少ない場ですからね。それだけに購読者数は増やしたいところなんですが、実際に配信が始まらないことには、読者の方もこれまでのことがあるので、不審がられるかもしれません。“本当に出るのか?”と(笑)。

配信ペースは月1回の不定期配信とのことですが、やはりきちんと配信されるかどうかは、読者の方も大いに気になるところだと思うですが……。

もちろん、そうしたい願望は100%あります(笑)。さらに慣れてきたら、月1回の配信にくわえて、面白い酔っ払いエピソードを耳にしたときなどに、号外も出せればいいなあと考えていますが、はたして……。

渡邉和彦さん

最後に、どんな方に『酒とつまみ』メルマガを読んで欲しいですか。

『酒とつまみ』を知っていただく手段のひとつとしてTwitterやFacebookを使っていますが、フォローしていただいている方で実際に『酒とつまみ』を長年読んでくださっている人って、少ないと思うんですよね。そこで、そういう“なんとなく気になっている”方々に、まずはメルマガで『酒とつまみ』に触れていただけるといいなと思ったりしています。そこから、過去に出した号に興味を持たれて手にとっていただければ、万々歳と。バックナンバーの在庫は、事務所にまだ気絶するほど残っているので(笑)。

また、雑誌としての『酒とつまみ』に慣れ親しんでいただいている既存の読者の方が、雑誌とは異なるメルマガというスタイルを受け入れてくださるかは、一抹の不安はあります。ただ、こればかりは紙媒体とは別物として捉えていただくしかありません。もし興味を持っていただけるようでしたら、嬉しい限りです。もちろん雑誌としての『酒とつまみ』を止めるつもりは今のところありませんので、メルマガを続けていくなかで、次号の発行へとつなげていければいいなと考えています。

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渡邉和彦さんプロフィール

1969年生まれ。出版社勤務を経て1996年よりフリーランスのライター・編集者に。2002年にライターの大竹聡氏らとともに、お酒にまつわる武勇伝や失敗談などを集めたヨッパライ雑誌『酒とつまみ』を創刊。2008年からはその編集発行人を務める。

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