早川正士さん まぐスぺインタビュー

【1週間前に地震を予知】早川教授の最新『WEEKLY 地震予報』

  • 電離層と電波の分析により地震を約1週間前に予知!
  • 日本地震予知学会会長である早川教授が自ら予報を配信!
  • 直後に迫った危険を知り防災、減災に役立てましょう!
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●電波の乱れを捉えて約一週間後の大地震を予知

――最近では、2017年2月28日に福島沖で発生した震度5弱の地震を、事前に予測されて注目を集めた早川教授ですが、一体どのような手法で地震を予測されているのでしょうか?

早川: 我々は地球上を行き交う様々な電波を受信し、その伝搬異常から地震の前兆を捉えているのですが、そのなかでも柱になるのが「VLF」というものすごい低周波の電波を用いた予測です。このVLF電波は上空約80km~100kmにある電離層と大地との間を反射しながら進む特性があるのですが、大きな地震が起きる1週間前になると、その受信状態がなぜかいつもとは変わってくるんです。

このことに初めて気が付いたのは、1995年の阪神淡路大震災の時だったんですが、その時も地震発生の4日ぐらい前から異常がはっきりと出ていて、地震が起きた翌日には消えているんです。そこで検証を重ねた結果、実は大規模な地震が起きる直前になると、電離層の下端の電波が反射する層が、必ず数キロに渡って押し下がるという結論を得ました。これは我々が一番最初に気が付いた、世界的な大発見なんです。

それを契機に、どうやら地球上を飛び交う電波と地震との間には相関関係があるということで、これまで20年以上に渡って研究を続けています。

――実際にそのVLF電波は、どのようにして受信されているのですか?

早川: 現在は、電波時計で用いる標準電波を発信している福島県の送信所からの電波、それに宮崎県にある海上自衛隊の基地が潜水艦との交信のために出している電波を、国内のいろいろな観測点(受信点)で受信し、それらのデータを東京に集め、独自に開発した解析手法で解析し予測に利用しています。

そうやって日々監視を続けていると、あるタイミングで電波に乱れが現れて、その約1週間後に必ず送信局と受信点との間のどこかで地震が起きるんです。ただ、それだけだと場所の範囲が広すぎて予測になりませんので、すべての受信点では海外の送信局から出ている電波も同時に受信しています。そうすることで、日本列島の大部分をメッシュ状にカバーすることができ、もしも電波に異常が現れたときも、どの地点で異常が発生したのかが特定しやすくなるんです。

――地震の規模に関しては、どのように予測されているのでしょうか。

早川: 地震予測は、その規模がどれくらいかを予測するのが一番難しいんですが、我々の予測法では、受信状態の荒れ具合をその前後のパターンなどと比較することで、だいたいのマグニチュードがわかります。

それにこのVLF電波の乱れなんですが、実はマグニチュード5以下の小さな地震の場合には反応しません。即ち、人的被害が出る可能性があるような大規模な地震が起きる前にだけ、異常が発生するんです。

――必ず1週間前に異変が現れるというのも、不思議な現象ですよね。

早川正士さん3

早川: そうですね。もちろんこれは3日前だったり2週間前だったりと、多少の誤差はあるんですが、それらの平均を取るとだいたい1週間前になるんです。これに関しても、原因に関してはまだ分からない点も多いのですが、現象的には間違いないと。

地震にもいろいろなタイプがありますが、熊本地震のような活断層型で例えるならば、割り箸をゆっくりと折り曲げた時に、最初はパチパチっと折れだして、最後にバチッと折れるじゃないですか。その最後に「バチッ」と折れるのが地震ですが、その前の「パチパチ」っというのが、その1週間前に発生する前兆なんです。

この地震の前の「パチパチ」っと割れ始めている段階というのは、摩擦電気とか圧電効果というんですが、地下に電荷、即ち電気が発生するんです。その電気(電流)が流れ出たり、あるいは電荷が振動して電波が発生します。そういった直接的放射電波も、VLF電波とはまた別に観測していて、それも予測に役立てています。

――活断層型以外にも、東日本大震災のような海底が震源のプレート型の地震も、同様に予測ができるのでしょうか?

早川: 私はもともと阪神淡路大震災のような、下からドーンと来る活断層型の地震が、人的に最も被害が出るだろうということで、それだけを予測出来ればと研究を続けて来たんです。ところが2011年に起きた東日本大震災は海溝型地震で、地震によって発生した津波によって多くの方が亡くなりましたのは御承知の通りです。

実はその東日本大震災の時も、前兆がデータに現れていて、私はそれを事前に確認していたんです。地震発生前の3月5日と6日のことでしたが、夜間の振幅が標準偏差の4倍ほど下がるという極端な異常があったんです。これは確率的にいうと、数年に1度くらい起こるか起こらないかといった、滅多にない異常だったんですね。

先ほども話した通り、当時の私は活断層タイプの地震だけチェックすればいいということで、国内の送信局からのデータを重点的に見ていたんです。ところがその時に限っては、どういったきっかけかは忘れたんですけど、海外の送信局からのデータも全部見たんです。するとシアトルから出ている電波に、そういう異常があったのです。一方で、国内の送信局から出ている電波を北海道中部の観測点では異常がなかったので、これは海岸からかなり離れた海の中で大きな地震が来るなとハッキリ分かったんです。

ただ、それがどこで起きるかは、当時は細かく予測できませんでした。シアトルと東京の間というのは分かるんですが、それだとカムチャッカ半島沖とかもあり得るわけですから。

そういう経験があって、津波を伴う海底を震源とした地震の予測も必要だろうということで、その直後から検証を始めました。すると、東日本大震災後に幾度ともなく発生した規模の大きな余震に関しても、必ず1週間前に同様な異常が出ていることが確認できたんです。

そこで、監視エリアをこれまでの陸上のみから、海のほうまで拡大しようということで、そこで海外の送信局から出ている電波にも注意を払うようにしたのです。しかし、そうやって監視の規模を拡大していくと、やはり直面するのがお金の問題なんですよね。

●早川教授の地震予知……気になる的中率は?

――国からは研究に対する助成金などは出ないものなのでしょうか?

早川正士さん4

早川: 私が地震予知の研究を始めたのが1991年だったんですが、1995年に阪神淡路大震災が発生して、その直後は地震予知の研究にも助成金が出たんです。これは最初で、最後でしたが。

当時の科学技術庁はトップダウンの省庁で、上のほうと直談判してうまく話を付ければ予算が下りるのではとのことで、私もプレートテクトニクスの第一人者で東大の名誉教授だった上田誠也先生らと、足繁く陳情を繰り返していたんです。

その甲斐があったかはわかりませんが、我々の研究にもフロンティア研究として助成金が下り、その際に整備した設備は現在も研究におおいに役立っています。また、国際会議も何度も開いて、地震電磁気学や地震予知学といった学問を日本が主導的にやるものとして体系化させたりと、頂いたお金を有効活用していたんですが。その後は、地震予知に関する研究には、助成金が一切出なくなったんです。

――助成金が出なくなったのは、どういった理由からでしょうか?

早川: それは簡単な話で、従来からの地震学の研究者たちが「地震は予知できない」ということを宣言し、国がその考えを採用したからなんです。でも「予知はできない」っていうのは、あくまで「地震学では」という話であって、われわれの結論では全くないんですが……。

だからそれ以降は、例えば文部科学省とかに「地震予知の研究をやりたいから、電波を使った予知研究をしたい」と申請しても、ほぼ門前払いのような形で却下。なぜなら、文部科学省でそういう案件を審議するのは「地震調査委員会」というところなんですが、そこのメンバーは100%地震学の研究者なんです。

そういうわけで全く埒が明かず、「もう国を頼るのはやめよう」ということで、わたしは民間の会社を立ち上げて、予知情報の配信で皆さんからお金をいただいて、研究費用に充てるという今の形になっていったんです。

――資金が限られているなかで、地震予知の研究を進めて来られたということですね。

早川: そうなんです。でもそれだと、日本全体を監視地域としてくまなくカバーするのはどうしても難しいんですよね。観測点が絶対的に足りません。というわけで現在は、首都直下地震の発生が懸念される東京周辺の予知だけは、差しあたっては責任を持ちましょうということで、その地域を重点的に見ています。

ただ最近は、我々の研究に理解を示してくれる企業も現れまして、予知するエリアを現在の関東中心から全国エリアに拡大しましょうという話も持ち上がっています。新たなアンテナの設置は、冬は積雪があって大変な場所もあるので、もう少し暖かくなってから始めて、夏ぐらいには態勢が整うのではと思っています。

――そんな早川教授の地震予知ですが、これまでの的中率はどれぐらいなんでしょうか?

早川正士さん2

早川: 2016年の9月から地震予知情報の配信を本格的に始めて、そちらのほうはまだ事例数が少なくて何とも言えませんが、過去に予測した分も含めると、控えめに言って6割半ぐらいでしょうか。

「控えめに」というのはつまり、地震予知というのは「いつ」「どこで」「どれぐらいの規模」という3つの要素が、すべて当たっていないとダメなんです。例えば2016年の熊本地震の場合ですが、我々もそれを事前に予知していて、「いつ」「どこで」は当たっていました。ただ「どれぐらい」に関しては、マグニチュード5.0~5.5と予測していたんです。実際にはマグニチュード7.3の地震が起きたので、これは厳密に言うとハズレなんですよね。そういう風にカウントしていくと、6割半ぐらいの的中率になるわけです。

この6割半っていう確率ですが、サイエンスの世界を知っている方なら分かっていただけると思うのですが、かなり高いというか「結構いいな」と言う水準なんです。……天気予報と比較すると分かりやすいですが、あれは予測としては最近では至極簡単な部類に入りますが、厳密な的中率はどれぐらいか皆様も評価できるのでは。せいぜい5割では。

――ところで最近は民間の研究機関による地震予知・予測が盛んですが、早川教授は他の団体の地震予測などをご覧になられたことはありますか。

早川: ありますよ。……最近は『MEGA地震予測』とかが人気なんですか? でも、あれは国土地理院が観測から1週間後に一般開放している地殻変動量のデータを使っているとのことで、中長期予測としては有効かもしれませんが、一週間後や10日後といった直近で起こる地震の予測は、そのままの仕組みではなかなかしにくいのではと。更に、東海大学の長尾先生がやっているDuMA(地下気象研究所)なんかも、同じように中長期予測の類いに入るのではと思っています。

個人的には、現時点で短期での地震予測が可能なのは、我々のような電波を使った予測だけではないかと考えています。だから同じ地震予測でも、『MEGA地震予測』などと我々とは違うカテゴリーなのかなという気もします。

とはいえ、いろんな研究団体が地震予測にチャレンジしている今の状況は、悪くないことだと思います。天気予報なんかだと、最近では気象庁以外にも民間の気象予報会社がたくさんあり、独自の予報を提供しているわけで。同じように地震予知に関しても、国や民間団体が競争していく時代になればいいと思いますし、情報を受け取る側も各予測の特性を見極めたうえで、選択していけば良いのではと。例えば『MEGA地震予測』などの中長期予測を行うメルマガと、一週間後の短期予測を行う我々のメルマガを合わせて読めば、巨大地震に対する情報的な備えとしては完璧になるわけですしね。

――そんな短期予測が特徴の早川教授のメルマガですが、情報を受け取る側としては、それをどのように生かせばいいでしょうか。

早川正士さん1

早川: 我々は約一週間前に起こるであろう地震を予知して、メルマガを通じてお知らせするわけですが、この「一週間後」というのがちょうどイイ期間なんですよね。例えば「今後一週間後に東京が揺れるぞ」ということなら、その一週間だけはしっかり注意しながら、日々の生活を送っていただければいいのです。これが「10秒後に揺れるぞ」だと予知として全く役立ちませんし、逆に半年後とかだと、警戒しようにも長すぎて途中で気が緩んでしまいますからね。

具体的に言えば、もし自分がお住まいのエリアで大きな地震が起こりそうということになれば、自宅やオフィスにある非常用持ち出し袋を改めてチェックして、その一週間はいつもよりも多めに食料を入れておいたり、外出をする際に歩きやすい靴を選んだり、また地下鉄には絶対に乗らないようにするとかできるわけです。……そうそう、地下鉄は駅こそシェルターになっていますが、駅と駅との間で地震が起きて電車が止まったら、火事が起きても水が入って来ても対応できずに、確実に死にますよ。

そういう風に日ごろから情報の備えがあれば、もしも大地震に遭遇したとしても、気持ち的に不意打ちを喰らわない。これがとても大きいんですよ。逆に心構えがないまま地震に遭えば、たいていの人がパニック状態になって、冷静な判断ができなくなりますからね。そこが非常時においては決定的な差となりますし、生死を分けてしまうことも大いにあります。0と1とでは比を取ると無限大の差になりますが、それは情報においても同じことはないでしょうか。

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早川正士さんプロフィール

電気通信大学名誉教授、日本地震予知学会会長、株式会社早川地震電磁気研究所 代表取締役。

近著に「直下型地震 誰でも予知できる 生き残る戦略」がある。

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