毎日のように手紙は来るけれど

毎日のように手紙は来るけれど

  • 枡野さんの短歌や詩や散文が毎日のように受け取れる
  • 枡野さんが親しい友人だけに公開しているmixi日記も読める
  • 直接メールで、相談や質問を送れる
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糸井重里さんが枡野さんの短歌を「かんたん短歌」と命名されたとのことですが。

そうなんです。糸井重里さんはすごく初期から応援してくださっていて。僕の『石川くん』(集英社文庫)という、石川啄木のことを書いた本は、糸井さんのプロデュースで世に出た一冊です。

僕自身も加藤千恵さん、佐藤真由美さんという人気歌人の最初の本をプロデュースしたんですが、彼女たちがいま、小説も書いたりして売れっ子作家になっているので、そのおかげで自分も評価されるようになってきたような気がしています。

佐々木あららくんという、ネットで昨今話題になっている歌人は僕の一番弟子で、2006年にだした、短歌をつくる若者たちを描いた僕の初の青春小説『ショートソング』(集英社文庫)の企画と執筆も手伝ってくれています。

それにしても、二年後の春から高校の教科書に僕の短歌が載るらしいのですが、それはちょっと面白いなと自分でも思う(笑)。

どんな時に短歌が生まれてくるのでしょうか。

心が傷つく出来事があると、ずーっと覚えていて、ある日その悲しみが結晶するように短歌になります。「つくろう」と思って短歌をつくったことはほとんどなくて、自然にうまれてしまうんです。

幸福なときには短歌はうまれないです。最近は、ほどほどに不幸なので(笑)短歌はどんどんうまれます。

ツイッターは始めて一年以上、すべてのつぶやきを五七五七七の短歌にしていたんですけれど、その短歌の中で特に人気が高かったものだけを集めて、iPhone用の電子書籍にしました。
『枡野浩一短歌集 ロングロングショートソングロング(字と絵=後藤グミ)』。
自信作なので、iPhoneかiPadかiPod touchを持ってる人は、買ってください(笑)。

枡野浩一さん

ツイッターを拝見していると、とてもマメな方だと思うのですが、ご自身は自分の性格をどのように自覚されていますか?

「あきらめが悪い」(笑)。やろうと決めたことが実現しないと、ずーっと引きずります。
そして時間をかけて実現させます。短歌も、もし賞をとってしまっていたら、あっさりやめていたかもしれない。最初の頃に短歌の世界で認められなかったから、続けてきたんだと思います。

いまネットには「粘着質」という悪口がありますが、それってよく言えば「粘り強い」ということですよね?物書きの仕事って、狂おしいくらいに粘り強くないと、とても続けられないと思ってるんですが。

ある日のつぶやきに「キスをしたくてたまらなかったことがないのはもちろんのこと、女とやりたくてやりたくてたまらなかったことも一度もなかった気がする。男とも。」とありましたが、枡野さんにとって恋愛、男女、とはどういうものですか?

あー。キスが気持ちのいいことだって、思ったことないんですよ(笑)。女性はともかく、男はみんな、キスをサービスとして儀式的にやってるのかと思ってました。

ツイッターでそう書いたら大騒ぎになってしまって……。そのときの激しいやりとりは、まとめサイトに残っています( http://togetter.com/li/57816 )。

「キス嫌い」をテーマに、このあいだ、短い自主映画もつくったんです!いずれメルマガで、もっと詳しく書くつもりです。

なんというか、自分は「草食男子」どころか、「草男子」だと思ってて(笑)。
草食動物は一応まだ動物ですけど、僕は植物……。そのことも詳しく書きたいんですが、それは自分一人のメルマガにではなくて、中村うさぎさんや伏見憲明さんたちと新しいメルマガを立ち上げて、そこに書くかもしれません。

そもそも枡野さんは、なぜ“歌人”になったのですか?

僕は大学を半年でやめて、その翌年に予備校生になったんです。結局進学はあきらめて、働き始めてしまいました。

最初は長期アルバイトで、そのあとフリーの音楽ライターになったり、広告会社の正社員としてコピーライターになったり。またフリーのライターに戻ったりもしました。

第二期フリーライター当時に、コラムニストの中森明夫さんと知り合い、中森さんが「週刊SPA!」で担当していた中森文化新聞にも、同時期に関わるようになりました。二十四、五歳くらいかな?

そんな中、ライターをしながらつくった短歌を角川短歌賞に応募しましたが落選。で、落選作が中森文化新聞で大々的に紹介された。それがまたNHKの「ソリトン」という番組で紹介されたりして、話題になって最初の短歌集が商業出版されることになったんです。
そのへんの詳しい話は『かんたん短歌の作り方』(筑摩書房)という本に書いたので読んでください(笑)。

1997年の誕生日に、『てのりくじら』『ドレミふぁんくしょんドロップ』(共に実業之日本社)という、絵本のような短歌集を2冊同時に出してもらいました。世の中にある短歌の本は99%が自費出版だから、僕の場合は賞に落ちたことが、かえってラッキーだったなと思っています。

小さい頃から運動も勉強もできなかったんです。作文だけはずっと得意でした。
短歌は予備校時代……二十歳の頃から作っています。替え歌をつくるのが好きだったので、その流れで七五調に興味を持ったんですよ。

俵万智さんのブームがあったのが十八歳くらい。俵さんの短歌は、なにげないけれど非常にテクニカルで、僕には絶対に真似できないと思っていました。のちに突然、短歌がつくれるようになったのは、どうしてなのかはわかりません。予備校の漢文の時間に目覚めたんです(笑)。

歌人デビュー後は短歌に関する本ばかり出していて、三十冊以上ある著書は、ほとんど短歌関係の本です。

短歌以外にも色々書いていますけど、本当の意味で自信があるのは短歌だけなんですよ。
たまたま短歌というジャンルが枡野浩一という人間を必要とした……みたいなイメージですね、偉そうですけれども。

『ショートソング』がヒットして、小手川ゆあさんの手で漫画化されて以来、小説を依頼されるようになって、『僕は運動おんち』(集英社文庫)など青春小説を書いています。

枡野さんは、歌人としてのみならず、映画やコマーシャル、テレビ出演と多岐にわたって活躍されてますが、役者として演じること、テレビなどに出演することもお好きですか?

もともとは好きではありませんでした。映画も、たまたま僕と顔がそっくりな河井克夫さんという漫画家がいて、僕と彼でニセ双子ユニット「金紙&銀紙」を結成したんです、劇作家の松尾スズキさんの命名で。紙のように痩せてるからって(笑)。それで松尾スズキ監督作品『恋の門』などに出るようになって、『金紙&銀紙の 似ているだけじゃダメかしら?』(リトルモア)という、タレント本まで出したんです。売れませんでしたが。

コマーシャルは、むかし「現代詩手帖」という雑誌に投稿していた二十歳のころ、投稿ライバルだった詩人がいて……。彼がいま電通マンになっていて、それで歌人・枡野浩一が登場するCMを、知らないうちに企画してくれてたんです。

そのCMの仕事で会うまでは会ったことはなかったんですが、お互い、名前と作品はよく知っていたんですよ。二十歳の頃にやっていた詩の投稿が、三十半ばで仕事に結びついたんです。

自分から積極的に飛び込んだのは演劇だけですね。五反田団という、人気劇団の舞台に立ったんですが、それは自分でオーディションを受けたんです。ものすごく粘り強い独特の男を演じたんだけど、友達はみんな「いつも通りの枡野くんだった」って(笑)。

あと、杉田協士さんという新鋭映画監督が、今年公開する予定の劇場用デビュー映画『ひとつの歌』に、わりと重要な役で出ているんですが、これはツイッターでスカウトされたんですよ。監督が僕の本を読んでくれて、なにかピンと来て、起用してくださったみたいです。

いまは演劇や映画に関わっているときに一番「生きてる!」って感じます。これからもご縁があれば、ぜひやってみたいですね。

ちかごろは趣味として、短い短い自主映画をつくったりもしています。出演も自分、脚本や監督も自分。役者として自分自身を起用するときは、その粘り強い存在感を大切にしています(笑)。

枡野さんにとって憧れの存在は誰ですか?

詩人の谷川俊太郎さん。歳を重ねて、あんなにかっこいい存在でいられるなんて。
対談もさせていただきました
http://www.bungaku.net/wasebun/read/tanikawamasuno.html )。

日常の会話が、五七調になってしまったりしませんか?

なりません でもそうしろと 言われたら できると思う こんな感じで

枡野浩一さん

どんなメルマガにしたいですか?

創刊してから本日まで、とりあえず、毎日発行してるんです。

しつこいが、完全には嫌いになれない昔の恋人から、毎日のように手紙が届く……、そんな、ちょっとストーカーちっくなメルマガにできたらと思っています。ふふふふ。

枡野さんのメルマガを購読しようとしている方に一言お願いします。

いまから申し込むと、創刊号から本日までのメルマガのバックナンバーが一日にまとめてどっと届いてしまうらしいので(笑)、覚悟して申し込んでください!

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枡野浩一さんプロフィール

1968年、東京生まれ。1995年に応募した第41回角川短歌賞で、審査員5人中4人の最高得票を受けながら落選、このことが雑誌やテレビに取り上げられ話題となる。古語などを使わない口語短歌が主な作風で、糸井重里氏から「かんたん短歌」と命名される。若者から圧倒的な支持を集め、「世界一売れている現役男性歌人」とも言われている。その活躍の場は歌壇のみにとどまらず、小説・コラム執筆、テレビ・演劇・映画出演など多岐にわたる。

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