東北まぐ11号 2012年6月
初夏の東北から、成長と豊作を願う祭ばやしが聞こえてきました。全編レポートで「東北のいま」をお伝えします。
東北まぐ
八雲神社例大祭/釜石

はじめに

 夏のような太陽が照りつける日曜の朝、古くから鯨漁で栄えた三陸の港町に、鯨肉を売る露店が立ちました。開店前から地元客による長蛇の列が出来、あたりは熱気に包まれています。遠巻きに眺める観光客相手に「くじらの竜田揚げとか、ホントにおいしいですよー」と、地元の女子高生たちが売り子を買って出ます。「これ、私たちのソウルフード?!」と笑う彼女達の姿に、地元の水産業者が誇らしい表情でつぶやきます。「色んなもんが流されたけど、大事なもんは全部残ってっから」
 みなさんが、すこし元気を取り戻した、東北を訪れるきっかけとなること願って。東北まぐ、11号をお届けします。

行ってきました!東北

大槌の町を走る大事な足 ~大槌タクシー~

行ってきました!東北

大槌タクシー 岩崎松生さん

 岩手県大槌町で、車を持たない方にとって重要な足となるのは、何と言ってもタクシーです。中心部より少し離れた場所にある仮設住宅。病院、役場、スーパーなど行き来する際に、電話一本ですぐに来てくれて足となるタクシーは、大変重宝されています。三陸沿岸部には、数多くのタクシー業者が点在しますが、今回は株式会社大槌タクシーさんにお邪魔しました。お話をお伺いしたのは、代表取締役の岩崎松生さんです。
 もともと営業所は大槌町の中心部にありましたが、津波で被害を受け、営業所の建物は流されてしまいました。震災が起こった後はバスも走れない状況です。営業所もなくなり、再起を諦めかけたそうです。しかし、「こういう時こそのタクシーなんだ!」と、岩崎さんは奮闘。「タクシーを商売としてやっているという次元ではない。我々が先頭に立って、地元の人の生活を支えるんだ!」と思い、タクシーの使命を感じて営業を再開させました。
 当時、そのニュースを見た高知のタクシー業者が車両を数台寄付してくれたそうです。
 今では15人の運転手が勤務。彼らは驚く事に、町のすべての場所、ほとんどの人がどこに住んでいるのか把握していると言います。
 そんな間柄だからこそ、お客さんとの会話を通じて、安否情報の伝達もしていたそうです。
 「もし、この災害を視察したい、防災の為に記憶しておきたいという方がいれば、予約していただければ大槌の町をご案内しますよ」と、岩崎さんは話します。様々な思いをのせて大槌町を元気に走るタクシー。今後は、車椅子の方も、施設から病院やスーパーへスムーズに移動できるよう、タクシーでのバリアフリーを推進していくそうです。

Information
大槌タクシー
岩手県上閉伊郡大槌町大槌24-23-1
0193-42-2256

行ってきました!東北

笑顔が集う場所
 ~シーサイドタウンマスト~

 誰もが笑顔になる場所が存在します。国道45号線沿いに立地する、岩手県大槌町のショッピングセンター、「シーサイドタウンマスト」です。岩手県の三陸沿岸最大規模の商業施設とも言われています。
 震災で甚大な被害を受けましたが、昨年12月に再オープンしました。大槌の中心部にも近く、タクシーやバスを利用して多くの買い物客が訪れています。お話を伺ったのは、大槌で生まれ育った事務局の菊池正和さんです。
 マストはもともと、地元大槌の商店街との共同出資によりできた、この土地に根付いたショッピングセンターでした。震災時、店舗の1階は津波の被害を受け、復活できない程だったそうですが、地元の人々から「営業を再開してほしい」という署名が届きました。従業員も解雇状態だったそうですが、6月に再び集結。きっかけは仕事仲間からの「また、やりませんか?」という声だったそうです。
 「“もう一度、やるんだ…”とにかく、そういう考えしかありませんでした」と語る菊池さん。気持ちが塞ぎがちな日々でしたが、仕事仲間と再会し、人と会話する事で、「笑えるだけでも有難いんだ」そう思って再オープンまでの道のりを歩みました。
 現在は、スーパーマーケット、ホームセンター、銀行の複合施設として営業しており、震災後さらにたくさんのテナントが入店しています。そのうち23店は、大槌のお店です。再オープン当日は大盛況。菊池さんは涙を流して喜んだそうです。以前よりも営業面積を減らし、パブリックスペースを多くして、住民の憩いの空間を作りました。休日はキャラクターショーなどのイベントもあり大盛況です。
 店名の「マスト」とは舵取りの意味があります。
買い物の拠点となっているこのマスト。まさに大槌の復興の舵となり、躍進し続けます。

Information
シーサイドタウン マスト
岩手県上閉伊郡大槌町小槌27-3-4
0193-42-8100

行ってきました!東北
昼も夜も、家族連れのお客がたくさんやってきます。
行ってきました!東北
笑顔で語る 事務局 菊池正和さん。
行ってきました!東北
広々とした店内。
行ってきました!東北
食品売り場には、地元で揚がった新鮮なカニが。

復興へのみちのり

子ども達の笑顔を取り戻すために!
「福島っこ 元気村キャンプ」

復興への道のり
東京西多摩の緑に囲まれた武家屋敷が会場です。
復興への道のり
南米の打楽器「カホン」作りに挑戦した子ども達。
復興への道のり
福島の子ども達にとっては、外でのびのびと遊べる環境が何よりも嬉しい。
復興への道のり
「次のキャンプは、もっと長い期間がいいね!」と、次回の予定表を作ってくれた綾音ちゃん。

 子ども達が集まっている武家屋敷につくと、縁側に不思議な箱が並んでいました。サッカーボール大の木の箱に、カラフルなサインペンで花や猫の絵が描かれています。まじまじと眺めていると、小学校高学年らしき少年が走って来て「これ、カホンって言うんだよ。おととい作ったの。太鼓みたいに叩いて音を出して使うんだよ」と教えてくれました。あっという間に4~5人の子ども達が集まってきます。縁側にみんなで並んでポコポコとカホンを叩き始めました。
 この日集まっていたのは、福島市と郡山市からやって来た小中学生たち22人でした。学校の休みを利用して、東京・西多摩の森で約1週間のキャンプ生活を送っています。このキャンプを統括したのは「みんなの森財団」で理事を務める堀内拓馬さんです。この財団では、荒廃した放置林を買い取り整備を進める活動をおこっています。森の維持にボランティアとして関わってもらい、多くの人に自然体験を深めてもらう様々なプログラムを企画運営しています。
 震災後、堀内さんはすぐにでも被災地に駆けつけたいと思いながら「 自分たちには現地に渡す物資もないし、医者のような専門知識もない」と、もどかしい思いを感じていました。「 福島の子ども達は、原発事故のあと、外で遊べなくなった」という状況を知り、東京の森で気兼ねなく子ども達に遊んでもらいたいと考え、このキャンプを計画しました。
 キャンプが始まると、堀内さんは福島の子ども達の姿に何度も驚かされます。道具がなくても上手に遊び、たき火でも火を怖がらないなど、都会の子ども達にはないたくましさや素朴さを感じたと言います。日に日に明るい表情を取り戻していく子ども達をみながら、「とにかくこのキャンプは続けるしかない」との確信を深めました。より多くの子ども達に参加してもらうため、年数回の開催と5年間の継続を目標にしています。現在は、運営の礎となる基金の設立や他団体との連携など、仕組みづくりにも取り組んでいます。
 キャンプ最終日、小学校5年生の木曽綾音ちゃんは「次は、3週間のキャンプにしてもらいたいな」と感想を話してくれました。「参加してくれた子ども達、手伝ってくれたボランティア、お金の支援をいただいた方全てに感謝したい」と話す堀内さんは、夏の開催に向け、準備をすすめています。(H.K)

Information
一般財団法人 みんなの森財団
http://www.minnanomori.org/

福島っこ 元気村キャンプ
http://www.minnanomori.org/camp

福島っこ 元気村キャンプ基金
http://fuku-genki.minnanomori.org/
advertise_sponsor.html

“東北で見つけた”看板娘

スナック「リヴァル」
小澤浩美さん

 震災以降、明かりが消えてしまった釡石の繁華街にも、少しづつネオンが灯りはじめています。雑居ビルの2階に見えた白馬の看板が気になり階段を上ると、リヴァルという店の前にやってきました。扉をすこし開けると、中にはオレンジ色のやさしい光がこぼれています。ちり混じりの潮風が吹き抜ける外の様子とは打って変わって、店内は温かい空気に包まれていました。
 「いらっしゃいませ、今日はお仕事でしたか」カウンターに座ると、ママの小澤浩美さんが湯気の立つおしぼりを手に笑顔で迎えてくれました。ここリヴァルは津波で店内が水没したものの、キッチンカーでの臨時営業を経て昨年末に再開にこぎ着けたと言います。2杯目の水割りが半分ほど減った頃「これ、作ってみたんだけど良かったら食べてみてくださいね」と、地元野菜を使った手製の煮浸しを小皿に添えてくれました。 ボックス席には、グラスを片手に相好を崩すお客たちの笑い声が響いています。明日は非番という20代の消防署員2人が、「この店、落ちつくから皆んな帰らないんだよね」と話してくれました。それを聞いた浩美さんは「そのために頑張ったんだから」といたずらっぽく微笑みます。「うちに来てくれた時ぐらい、難しいことは忘れてゆっくりしてほしいから」と壁紙の柄もすべて震災前と同じモノを探し、以前の店を再現させたという浩美さん。町の再起に掛ける地元の男たちを見守る、やさしい看板娘です。(H.K)

Information
スナック「リヴァル」
岩手県釜石市大町1丁目9-12 NEXTビル2F

東北で見つけた看板娘
浸水した店を、約9ヶ月で再開させた小澤さん。
東北で見つけた看板娘
あたたかい雰囲気に惹かれて、店を訪れるお客が多い。
今月のお取り寄せ
今月のお取り寄せ
気仙沼のふかひれを使ったスープです。
ふかひれ濃縮スープ
R200g×6袋入 1800円

ゴチまぐ!編集部
      イチオシの理由は?

今回ご紹介するのは気仙沼の名物、ふかひれを使ったスープです。6袋で1800円となると割高感があるでしょうが、実はこれ、濃縮タイプ。一袋で3~4人前程度作れるため、6袋だとなんと18~24人前! 実はお得なんです。作り方も非常に簡単。濃縮スープを鍋に出し、水400mlとともに沸騰させ、溶き卵を入れればOK!ベースとなるスープは魚介、鶏ガラ、豚ガラ、野菜の旨味がしっかりと出ており、深い味わいが実に魅力的です。ふかひれも、大量ではありませんが、値段に見合う分はしっかりと入っていますし、満足度は高いです。
アレンジとしてチンゲン菜などを入れても良いでしょう。また、スープだけでなく、雑炊や中華風茶碗蒸しを作る時に使える逸品。かなり使い勝手の良いアイテムですので、気になった方は是非チェックしてみてください。

今月のお取り寄せ 今月のお取り寄せ 今月のお取り寄せ
濃縮スープを鍋に出し、水を加えて沸騰させます。 最後に1個分の溶き卵を入れれば完成! スープはしっかりと出汁の利いた味わいです。

Information ご注文はこちら↓
気仙沼ほてい株式会社 オンラインショップ
http://www.kesennumahotei.co.jp/products/popularity.htm

 
【東北まぐ】 2012/06/11号 (毎月11日発行) ツイートする
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編集 寺坂直毅 岸田浩和 梅澤恵利子
ゴチまぐ 関 裕作
スタッフ 野瀬紗也佳

発行元 :株式会社まぐまぐ
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配送技術:株式会社アットウェア http://www.atware.co.jp/

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