東北まぐ12号 2012年7月
かつお漁を終えた漁船が三陸の港に戻ってきました。活気づく市場と町に伝わる熱気。「東北のいま」をお伝えします
東北まぐ
宮城県石巻市/石ノ森萬画館と緑地化に励むボランティア
はじめに

気仙沼の唐桑では震災後初のウニ漁が始まりました。船や道具を失い途方に暮れていた人々も、たっぶりと身のつまったウニの重さを右手に感じ、再起の想いを確かめます。明日を描き始めた人々の熱が集まり、活気を取り戻しはじめた浜。
みなさまが東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。「東北まぐ」12号をお届け致します。

行ってきました!東北

~くじらの町によみがえる熱気~

行ってきました!東北
開店前にもかかわらず行列ができた、女川の臨時即売会場。
行ってきました!東北
ずっしりと重い鯨肉のブロックを前に「おれ、これ好きなんだよ」と笑顔を見せる地元客。
行ってきました!東北
大和煮缶を水菜に和えるだけで、「鯨のしゃきしゃきサラダ」が出来上がり。
行ってきました!東北
「美味しいくじらをどうぞー」鯨ベーコンと赤肉を手にする、市立女子商業高校の生徒たち。

 宮城県女川町の万石浦に「鯨(くじら)祭り」と書かれたのぼりが勇ましく並んでいます。くじら祭りとは、石巻の老舗缶詰会社「木の屋石巻水産」が企画する、地元では恒例となった鯨肉と鯨缶詰の即売会です。この日は、親交のある蒲鉾会社「高政」の駐車場を間借りする形で、鯨肉や大和煮缶詰を販売する露店を出しました。開店前の午前8時過ぎには、待ちわびる地元のお客たちが行列をつくり、周囲はにぎやかな雰囲気に包まれています。レンガのような大きさの赤肉を3つも買い求めた仮設住宅に暮らす老夫婦は、「こんど孫たちが遊びに来るから、竜田揚げ作るんだよ」と顔をほころばせながら話してくれました。
 宮城県三陸沿岸は、牡鹿半島の鮎川(石巻市)や女川を中心に日本有数の捕鯨の町として栄えてきました。近年、漁の規制や若者の漁業離れが進む中、震災で港が壊滅状態に陥り「くじらにかかわる食文化」そのものの衰退が心配されていました。港湾関係者による懸命の作業により港が復旧。昨冬から、部分的ながら水揚げも再開しています。
 くじら祭りが同時開催されていた石巻市内の同社直売所では、地元の商業高校に通う生徒たちが元気な声を張り上げて販売を手伝っていました。県外では鯨を食べる機会がずいぶん減ったという話を聞き、「うちら、子供の時から家でも学校でも食べてるし、(くじらが)珍しい食材なんて信じられない」と驚いた表情を浮かべています。学生の引率で来た先生は、「津波でたくさんのものが流され、石巻の歴史や文化がぷっつりと途絶えてしまった感覚がある。“くじら”というこの地域特有の漁業の歴史、食文化を通じて町の復興に貢献できることが、何よりもうれしい」と話ます。
 「予想以上の客足に、てんてこ舞いだった」という木の屋石巻水産の木村さんは、「来年は自社工場を再開させ、もっと沢山のお客さんにおいしいくじらを食べてもらいたいですね」と、汗に光る笑顔で抱負を語ってくれました。(H.K)

Information
木の屋石巻水産
http://kinoya.co.jp/eccube/
鯨横丁
http://www.e-kujira.or.jp/
蒲鉾本舗「高政」
http://www.takamasa.net/

行ってきました!東北

ピンチの中から生まれた「移動保育」の挑戦

 猪苗代湖畔の原っぱを、元気に走り回る子ども達の姿が見えました。用水路でアマガエルを捕まえた男の子が歓声を上げています。その周りに、ほかの子ども達が集まってきました。「ねぇ、カエルさんおうちに連れて帰っていい?」という少年に、お兄ちゃんが「カエルはこの田んぼに住んでるんだから、返してあげようよ」と諭しています。
 今日、ここで遊んでいる子ども達は、郡山市や福島市に住む未就学児童と小学生たち十数名。移動保育プロジェクトポッケアの参加者でした。福島原発の事故後、屋外で遊ぶことが出来なくなった子ども達に、思う存分体を動かしてもらおうと始まった取り組みです。福島の子ども達に対する従来の支援は、県外避難がほとんどでした。県外で実施される子供向けの合宿プログラムもありますが、未就学児が参加出来るものはほとんどありません。多くの家庭は「仕事や家の都合で、長期にわたって福島を離れられないのが実情。堪え難い不安やストレスを抱えながら生活している」と代表の上國料竜太さんは話します。「完璧ではないが今出来ることをやろう」と考えた上國料さんは、県内で他県よりも線量の低い地域を探し、そこへ移動して子ども達に遊んでもらう仕組みを立ち上げ、この活動を続けています。また、利用するご家庭からお金を頂かず、寄付や援助をもとに運営する仕組みに取り組んでいます。
 この日、4歳と6歳の姉妹と甥っ子の3人を連れて参加した小幡真澄さんは、「子ども達が元気に遊んでくれている姿を見ると、ホッとするんです」と、安堵の表情で話てくれました。子ども達の元気な姿はお母さんやお父さんの笑顔を生み、それを見た子ども達の心の安定に繋がって行きます。
 ポッケアのプログラムは全て日帰りで、小さな子ども達も無理なく参加出来るよう工夫されています。古民家での餅つきや飛行場の見学、牧場でロバと遊ぶなど、遠足のような体験型の保育が特徴です。「移動保育には新しい可能性がある」という上國料さん。こうした体験学習を通じて、子ども達の好奇心や自主性を育むことが出来れば、引きこもりやニート問題の解消にも繋がって行くと考えています。
 この日も子ども達に囲まれ、肩車やおんぶをせがまれていた上國料さん。「出来ることは、やった方がいいに決まってますから!」という言葉と行動が、福島のピンチをチャンスに変えていきます。(H.K)

Information
特定非営利活動(NPO)法人
http://kidsbrain.jp/fihp/
移動保育プロジェクト

行ってきました!東北
「あっ川がある!」歓声を上げた子供たちは、一目散に用水路へ向かった。
行ってきました!東北
他の施設とも連携して「移動保育」の参加機会を増やして行きたいと、代表の上國料さん。
行ってきました!東北
お外で気兼ねなく遊ぶのは、何日ぶりだろうか。
行ってきました!東北
子供たちが「これ僕のお弁当だよ!」と見せに来てくれた。
復興へのみちのり

~10年後の未来を描く東北の右腕たち~

復興への道のり
黒沢さんは、東京の大手IT企業を退職し地元岩手に戻った。
復興への道のり
ほとんどの建物が残っていない大槌市街では、打ち合わせ場所もプレハブだ。
復興への道のり
黒沢さんのノートには、「新しい町を作る。」という文字が刻まれていた。
復興への道のり
「右腕派遣」に取り組むNPO法人ETICでは、報告会やマッチングイベントを今後も開催する予定。

Information
みちのく仕事(右腕募集)
http://michinokushigoto.jp/admissions

特定非営利活動法人エティック
http://www.etic.or.jp/index.php

 岩手県沿岸部の大槌町では、仮設住宅の運営を支援する「地域支援員」の打ち合わせが行われていました。地域支援員は仮設住宅の集会所に常駐し住民に声かけしながら、困りごとや要望を行政につなぐ役、外部支援者による集会所でのイベント、物資配布の手伝い役として業務を行っています。こうした支援員は被災により失業した地元の方からなり、自治体の負担軽減と雇用創出として機能しています。
 ここでお会いした黒沢惟人さん(25)は岩手県奥州市の出身。約百名が働く地域支援員事業の運営やサポート業務を行っています。大学卒業後は、東京の大手コンピューターシステム会社に勤務しますが、震災直後から地元岩手のためになにか役に立つことは出来ないかと考え、休日を利用したボランティアにも積極的に参加していました。活動を行いながら「復興には、一時的な支援ではなく長期的な取り組みが必要になってくる」と感じた黒沢さんは、現地に長期的に関わる手段を模索しはじめます。起業家輩出で知られる特定非営利活動法人エティックが、東北で活躍出来る人材を現地に派遣するプロジェクト「東北の右腕派遣」を行っていると知り応募。専門性を生かしたPC関連の業務を皮切りに、今では地域支援員事業の運営全般を担っています。
 前職の経験が大いに役立ったという黒沢さん。住民と自治体双方の意向を汲みながら、調整を行い業務を組み立てていくミッションは、「社会人として直面したどんな場面よりもハードルが高いが、将来の岩手のためと思えるからやりがいも大きい」と話します。
 こうした「右腕」は有給ボランティアとして募集され、原則として3ヶ月以上・フルタイムで活動することが要求されます。対象は20代や30代の志のある方で、すでに100名以上の右腕が東北に赴きました。震災で崩壊した地域医療の体制を立て直す事業や人口流出の続く地域での新規事業立ち上げなど、派遣先の目標は5年後10年後の地域の原動力となるような、前例のない取り組みが中心です。
 このプロジェクトを担当するエティックの山中資久さんは震災直後に『がれき撤去ではあまり貢献できなさそう・・・』と二の足を踏んだ人も、これまでの経験を生かして専門的なスキルを復興に役立ててもらえるチャンスがある」と話します。
 被災地で働くことに迷いはなかったのか聞くと「やるという選択しか思い浮かばなかった」と笑う黒沢さん。たくさんの課題をチャンスと捉え、この地に未来を描こうとする若者たちが今日も汗を流しています。(H.K)

泊まる東北

交流の宿「ゲストハウス梅鉢」

 東北旅行の起点となる仙台に、被災地ボランティアやバックパッカーたちが絶大な信頼を寄せる宿があると聞きました。ゲストハウス「梅鉢」です。JR仙石線・苦竹駅(仙台市宮城野区)から徒歩7分の住宅街にあるこの宿は、昨年8月にオープンした収容15名のゲストハウスです。2部屋の個室と男女別のドミトリー(相部屋)がそれぞれ1室づつあり、素泊まりは1人¥2500円から利用出来ます。リーズナブルな宿泊料金もさることながら、梅鉢の魅力は快適な共有スペースにあります。漆喰が塗られた土間にはソファーが並び、宿泊者同士の交流の場となっています。「一人で行っても寂しくない」「被災地を行き交うボランティア達の情報が口コミで入ってくる」と、他の宿にはない魅力がここにはあるようです。
 土間の手前にはバーカウンターがあり、17時以降は元調理師のオーナー加賀真輝さん(30)が厨房に入ります。地元の食材をふんだんに使った日替わりディナー(¥500~)が好評で、ご近所さんが食事に訪れることもあるそうです。
 20歳の頃、仙台から沖縄へヒッチハイクの旅で向かった加賀さんは、各地の宿で出会った個性的な人々のことが、未だに忘れられないと言います。魅力的な人々との出会いは、いつも旅先の宿だったと振り返る加賀さん。いつしかゲストハウスを開くことが夢になり、旅人が集う宿「梅鉢」が出来たと話してくれました。
 この夏、東北を目指す方はぜひ、旅の目的の一つに「梅鉢への宿泊」を加えてみてはいかがでしょうか。(H.K)

Information
ゲストハウス梅鉢
宮城県仙台市宮城野区平成1丁目3-14
TEL:022-231-7447(8:00~23:00)
http://umebachi2009.com/

泊まる東北
旅好きのオーナー夫妻がお出迎えします!
泊まる東北
和風の落ち着いた相部屋(ドミトリー)。清潔な室内と快適な共有スペースは安宿の概念を覆す。
今月のお取り寄せ
今月のお取り寄せ
最初は味そのものを楽しめるロックから試飲。

今月のお取り寄せ
グリーンとゴールドを基調にした高級感がありながらも落ち着いたデザイン 福島の風出逢い 1460円

ゴチまぐ!編集部
      イチオシの理由は?

 今回ご紹介するのは福島県のそば焼酎「福島の風出逢い」です。この焼酎が生まれたそもそものきっかけは2003年。福島市内でそば屋「峰亀」を経営する斎藤武二社長が、特産品のそばを使った焼酎を何とか事業化したいとの思いから、福島県飲食業生活衛生同業組合の戦略室長でもあった、福島大学経済学部の西川和明教授へ相談。企業や県庁などから人材が集まり発売元である「プロジェクトF21」が発足されました。その後、モンドセレクションの評価なども受け着実に人気を伸ばしています。
 ということで早速取り寄せ、飲んでみました。やはり最初は焼酎の味わいをダイレクトに感じられるロックから。口当たりは非常に上品な感じですね。ほんのりとした甘み、すっきりとした蕎麦の香りもします。
 続いてお湯割り。こちらは一層香りが立つ感じですね。スルスルと飲み進められます。蕎麦焼酎は「そば湯割り」も有名ですね。卵焼きや板ワサで「そば湯割り」を楽しみ、最後に茹でたてのお蕎麦で締めるというような飲み方も良いのではないでしょうか。
 本当に口当たりも良く、香りも良い焼酎です。焼酎好きではないという方も是非チェックしてみて下さい。

Information ご注文はこちら↓
みてくなんしょ福島
http://osakenet.tv/fukushima/index.php?
main_page=product_info&cPath=399_454
&products_id=9880

【東北まぐ】 2012/07/11号 (毎月11日発行) ツイートする
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編集 岸田浩和 梅澤恵利子
ゴチまぐ 関 裕作
スタッフ 野瀬紗也佳

発行元 :株式会社まぐまぐ
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配送技術:株式会社アットウェア http://www.atware.co.jp/

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