東北まぐ14号 2012年9月
東北の海と山が秋の味覚に彩られる季節。東北のいまを全編レポートお届けします
東北まぐ
木戸ダム/福島県双葉郡楢葉町
はじめに

 震災後、海沿いの半壊したビルの壁に、ひとつの落書きを見つけました。赤いペンキで書かれた「この町が好きだ」という文字。人けのない水浸しの廃墟の壁が、静かな決意を伝えていました。夏の日差しが残る2度目の秋。いまここでは、仮設の商店が再開し復興を目指す町の拠点として、光を取り戻しています。人々の願いがチカラとなり、新しい胎動がはじまっている東北のいま。みなさまが東北に足を運ぶきっかけとなる事を願って。東北まぐ14号をお届け致します。

行ってきました!東北

~地元唯一の製麺所「丸光食品」~

行ってきました!東北
熊谷敬子さんは東京出身。結婚を機に気仙沼へやってきました。
行ってきました!東北
海沿いにあった工場は跡形もない。この秋、隣県で新工場を稼働させる予定。
行ってきました!東北
おみやげの定番「ふかひれラーメン」から、業務用のうどんまで、丸光食品の手がける麺は多種多彩だ。
行ってきました!東北
自家製のそばに、地産のカキを載せた「牡蠣そば」

Information
丸光食品株式会社
http://www.marumitsu-foods.com
セキュリテ被災地応援ファンド
http://www.musicsecurities.com/
買って応援 セキュリテネット「丸光食品」
http://www.securite.jp/shopping/231/

 「正直厳しいですよ。いまの売り上げは、震災前の何十分の一ですから・・・」気仙沼湾を望む潮見町の工場跡で、丸光食品の熊谷敬子さんは近況を語ってくれました。震災後の地盤沈下でしばらく水が引かなかった沿岸地域では、1年半を過ぎた今も潮溜まりが出来たままです。「こんな状況ですから、復興って言葉が先走ってますけど、実際にはこれから始まるところですよ」と敬子さん。まぶしい太陽が照り付けるの夏の午後、海沿いにできた広大な空き地の上を、たくさんのうみ鳥がゆっくりと舞っています。
 創業53年を迎える丸光食品は、気仙沼唯一の製麺工場として親しまれてきました。丸光の袋入り「天ぷらそば」は、生麺とつゆに自家製の天ぷらが入った珍しいパッケージで、サクサクの天ぷらとこしのある麺の食感が特徴。「気仙沼で冷蔵庫をあければ、必ず丸光の麺が入っている」と言われる程の浸透ぶりで、小売店からスーパー、食堂にも必ず彼らの商品が並んでいました。現在は三代目となる熊谷茂専務と、敬子さんのご夫婦が中心となって事業の舵取りを進めています。
 震災後、熊谷さん夫婦は工場の様子が気になり避難先から早々に戻って来ましたが、折り重なるガレキに道路が覆い尽くされ近寄る事すら出来ませんでした。敬子さんは「工場も無い。残った土地も、地盤沈下で建築制限が掛かってしまった。何も考えられなかった」と当時を振り返ります。廃業という選択肢もある中、「もう一度、丸光の麺を食べたい!」と全国から届いたお客さんの声が励ましとなり、再建への思いが募ったといいます。
 とにかく事業を立て直そうと動き始めた熊谷さんたち。製品が作れないので県内の同業者から商品を仕入れ、小売店に配達する卸売で事業を再開させました。商品が無くても県外の催事に足を運び「丸光は再開します」と地道な案内を積み重ねて行きます。当初の見積もりでは、新しい土地の取得と工場建設に3億5千万の見積もりが上がってきましたが、被災企業には銀行の融資も厳しく、製麺機の購入すら出来ない状況でした。昨年末、隣県で居抜きの食品工場が空いているという話が舞い込み、ようやく工場再開も見えて来ました。被災地ファンドの支援を受け、今秋の稼働再開を目指しています。
 ボランティア団体の運営や2児の母としても休む間もなく動き続ける敬子さん。仕事はたいへんでは?と尋ねると「丸光は辞めないぞ!再建するんだぞって言い続けないと、世間に忘れられちゃうからね」と明るい声がかえってきました。「今が踏ん張り時、支援いただいた方のためにも頑張ります!」 元気な一人のお母さんが、気仙沼の味を取り戻すために今日も港町を走ります。(岸田浩和)

行ってきました!東北

陸前高田・栃ヶ沢ベース 「おかし工房木村屋」

 陸前高田に、甘い香りが漂わせる一軒のお菓子屋さんがあります。
 国道340号線沿いに立つ仮設商店街「栃ヶ沢ベース」内の「おかし工房木村屋」です。もともと陸前高田に古くからある菓子店でしたが、震災で店舗をなくしました。しかし、復活の声を受け、こちらに開店しました。「きばらずに、あまり頑張らないで、自然体でやっています」と語るのは、店主の木村昌之さん。
 仮設である事を感じさせない明るい店内。赤で統一。「ホッとする空間」であってほしいと、内装に力を入れています。
 お菓子以外にパンも並んでいますが、なんといってもこちらの目玉は、バウムクーヘン「夢の樹バウム」です。新店舗を建てる際に、みんなが愛するようなお菓子を…という事で考案しました。バウムクーヘンは本来は特別な日に食べるお菓子。年輪の形をイメージしていて、「年を重ねる」事を祝うお菓子なのだそうです。そして、陸前高田のシンボルである“奇跡の一本松”の年輪もイメージしています。いつまでも心に残る高田松原の風景を思い出すように…という願いが込められています。
 一人でも多くの人に食べてほしい、甘くて幸せになる味です。
 素材はすべて岩手のもの。三陸で採れた卵に、小岩井農場のバターを使用しています。こちらの卵は、魚のアラを餌に与えているそうです。
 厨房をのぞくと大きなバームクーヘン製造機が目に入ります。色は赤。「お店の色に合わせたんですか?」とお聞きしたところ、「この機械がもともと赤だったんです。だからこの機械に合わせる為に店も赤にしたんです。」と笑顔で語ります。「夢の樹バウム」はとても濃厚な味。学生さんが放課後に食べるのはもちろんですが、他県からこの味の為に訪れるお客さんもいるそうです。陸前高田の新たな名物であり、復興を感じる希望の味がします。「お菓子を囲んで人が集うと、会話が生まれるんです。」木村さんは笑顔で語ります。様々な思いが詰まった新名物「夢の樹バウム」。希望の味がします。

行ってきました!東北
赤をイメージした外観
行ってきました!東北
御主人 木村昌之さん
行ってきました!東北
夢の樹バウム

Information
おかし工房 木村屋
岩手県陸前高田市高田町字栃ヶ沢26-1
0192-54-5511
買って応援 セキュリテネット
 「おかし工房 木村屋」
http://www.securite.jp/shopping/309/

行ってきました!東北

“福興”バスツアー乗車体験記~後編~

行ってきました!東北
実際に歩いて、現状を知ります。
行ってきました!東北
偶然流れついた79年前の石碑
行ってきました!東北
大槌町を案内する臼沢和行さん

Information
株式会社岩手県北観光
http://www.kenpokukanko.co.jp/

 岩手県を中心に運行するバス会社「岩手県北バス」が運行している「被災地“福興”支援ツアー」。震災から1年を経て、ボランティア目的では無く、復興に向けて「応援」するツアーです。「みやこ浄土ヶ浜遊覧船と大槌・語り部の津波体験講話」(8000円)の乗車記、後編です。前編でご紹介したのは、宮古市の浄土ヶ浜遊覧船から山田町の「復興かき小屋」。その後は、津波体験の講話をお聞きする事が出来る、大槌町へと入ります。
 大槌町役場に到着したところで、バスガイドを務める戸草内絵梨奈さんが、「ここで案内を交代したいと思います」とアナウンス。
 ここからは地元の有志が立ち上げた団体「おらが大槌夢広場」の臼沢和行さんが案内をします。バスを降り、大槌町役場前で黙祷。臼沢さんは、ご自身の体験を交えながら「この町の現状を見て、愛する人をもっと大事にしていただきたい。かけがえのない人の事を思ってほしい。
 そんな思いで案内します」と話します。
ここでは、町を歩きながらの案内です。最初に訪れたのは、一見すると何もない空地。しかし、もともと、大槌の子供たちが皆遊んだ公園なのだそうです。
 そして、案内するのは一つの石碑。
 1933年の「昭和三陸地震」の津波の教訓を伝える石碑ですが、もともとあった場所から150メートルほど流されてきたのだそうです。「地震があったら津波の用心せよ」「津波が来たら高い所へ逃げよ」「危険地帯に住居をするな」といった教訓が書かれていて、改めて防災に対して啓蒙しています。
 その他、みんなが毎日使っていた湧水の後など…様々な思い出を交えて現在の状況を伝えてくれます。テレビや新聞ではなく、歩いて案内される事により、思いが伝わります。案内が終わり、帰路に。遠野市の道の駅にて休憩。夜には盛岡駅に到着。すべて日帰りで、車を運転しなくてもこれだけの事を体験できるのです。9月以降にも、便数は減りますがツアーは開かれます。10月13日(土)には、地元放送局と巡る北山崎サッパ船クルーズと、田野畑村の被災地を見学するツアーも開催されます。興味がある方は是非チェックしてみてください。

“東北で見つけた”名物親父・看板娘

復興屋台村「大漁丸」の元気おかみ

東北で見つけた名物親父・看板娘
とにかく元気な菊池幸江さん。お客さんと小気味よい会話を交わしながら、店を切り盛りしていきます。

 三陸の港町の活気を体験したいなら、気仙沼の南町にある「復興屋台村・気仙沼横丁」に足を運んではいかがでしょうか。
 気仙沼を代表する旬の味覚と三陸の食文化が、この屋台村ですべて堪能できるかもしれません。
 赤い提灯がぶら下がる門をくぐると、約20軒の地元の店舗が軒を連ねています。この日、おじゃましたのはまぐろと魚介の専門店「大漁丸」。店を切り盛りするおかみさん・菊池幸江さんにおすすめを聞くと「今は、かつおの季節だね!」と元気な声が返ってきました。シーズンの真っ最中とあって、水揚げ直後の新鮮なかつおが頂けるとのこと。お昼は、旬の魚を使った定食やどんぶり(ボリューム中落ち丼¥800~)が人気です。夜はお刺身や焼き物などが充実しており、日本酒や焼酎の品ぞろえも豊富です。元まぐろ船の料理長だったというご主人・菊池正男さんにリクエストすれば、他では味わえないまぐろの希少部位や、カマや尾っぽ・腸などを使った「珍味」が堪能できるのも魅力です。

 今日もおいしい魚を求めて、復興ボランティア、漁業関係者、観光客など、様々な人々が「大漁丸」にやってきます。看板娘の幸江さんに最近うれしかったことを聞くと、「気仙沼来たら、みんな元気で楽しかったよーってお客さん言ってくれたことかなぁ」と、満面の笑顔で答えてくれました。(岸田浩和)

東北で見つけた名物親父・看板娘
今はとろけるような味わいの、かつおが旬。刺身やどんぶり、たたき等が楽しめます。

Information
復興屋台村・気仙沼横丁
「大漁丸」水曜休
11:30~14:00、17:00~22:00


〒988-0017 宮城県気仙沼市南町4丁目2-19
http://www.fukko-yatai.com/
TEL 080-1692-8000(事務局)

今月のお取り寄せ
今月のお取り寄せ
ほろほろ燻製が1羽に粗挽きウインナーが170g、粗挽きフランクが230g、角ハム200gがセットになっている。

今月のお取り寄せ
加工品は軽く焼いただけで驚きの美味さ。見た目も豪華な薫製は蒸すとより一層風味が増す。
ほろほろセットA 6000円

ゴチまぐ!編集部
      イチオシの理由は?

 今回ご紹介するお取り寄せ商品は「ほろほろ鳥」のギフトセットです。「ほろほろ鳥」とはヨーロッパでは「食鳥の女王」とまで呼ばれたキジ科の鳥のこと。コクがある味わいと柔らかい肉質が特徴で、一般的な鶏肉と比べ、高タンパク、低カロリー、低コレステロールなのも魅力です。しかし、とてもデリケートな鳥としても知られ、寒さにも弱いため、なかなか日本での飼育は難しいとされてきました。そんな中、石黒農場では、四方を山に囲まれた静かな環境で育て、寒さ対策も農場内から出る温泉を使い、床暖房にすることで克服。飼育に成功しています。
 今回のセットでメインになるのがほろほろ鳥を一羽まるごと使った燻製です。山桜の木を使い、じっくりスモークした味は一口食べるごとに良い香りが鼻に抜けていきます。肉もぎゅっと旨味が凝縮しており、それでいてクセやクドさは皆無。誰にでも好まれる味と言えるでしょう。
 セットに同梱されている加工品は粗挽きウインナー、粗挽きフランク、角ハムの3種。こちらは非常にジューシーさが際立った逸品。粗挽きフランクを軽く焼き、一口囓ると口の中に深いコクと肉汁が溢れます。
 贈り物にはもちろん、友人を招いてのホームパーティーなどでも活躍すること間違いなしのこのセット。一度食べたら他の鳥肉じゃ満足できなくなってしまうかもしれません!是非お試し下さい。

Information ご注文はこちら↓
ほろほろ鳥 石黒農場
http://ishikuro-farm.ocnk.net/
product-list/1

【東北まぐ】 2012/09/11号 (毎月11日発行) ツイートする
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編集 寺坂直毅 岸田浩和 梅澤恵利子
ゴチまぐ 関 裕作
スタッフ 野瀬紗也佳
表題写真 岸田浩和

発行元 :株式会社まぐまぐ
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http://www.mag2.co.jp/contact/adinfo.html
配送技術:株式会社アットウェア http://www.atware.co.jp/

「まぐまぐ」は株式会社まぐまぐの登録商標です
株式会社まぐまぐは、プライバシーマーク認定企業です
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