東北まぐ15号 2012年10月
山海の味覚が朝市に並ぶ秋の東北。東北のいまを全編レポートでお届けします
東北まぐ
八戸市上空より、岩手県北沿岸を望む
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はじめに
 合唱コンクールの全国大会。表彰式の壇上では、福島県の代表校が、金色の盾を受け取っています。まばゆいスポットライトに照らされる代表の女子生徒。「いろいろあったと思いますが」という司会者の問いかけに、まぶたをぎゅっと閉じ「みんなでまた、笑って歌おう。それだけでした」と声を詰まらせました。失われた日常とかつて経験したことのない障壁。いま被災地の人々は、新しい日常を切り拓くため困難な道のりを歩み始めています。県外の人々の励ましと東北への関心が「希望の光」だという被災地の願い。
皆さんが東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。東北まぐ第15号をお届けします。
 
行ってきました!東北
まちのリビング「りくカフェ」
行ってきました!東北
この日、迎えてくれたのは、運営メンバーの吉田さんと鵜浦さん。
 
行ってきました!東北
温かいぬくもりが感じられる「りくカフェ」の看板。室内も外壁も、すべて木が使われている。
 
行ってきました!東北
この日の来訪者は県外の大学生。運営メンバーの地元のお母さんたちを囲んで、話が弾んだ。
 
Information
「りくカフェ」
岩手県陸前高田市高田町字鳴石22番9号
月曜~金曜=10~16時、土曜=10時~正午、日曜・祝日=休館
http://rikucafe.com/
   室内のほとんどが見渡せる大きな掃き出し窓と、とんがり屋根のたたずまい。明るく陽当たりのよい室内には、やさしい木の香りが漂っています。ここは、地元住民と都市計画の専門家・東京大小泉秀樹准教授らで取り組む「まちのリビングプロジェクト」の拠点、「りくカフェ」です。
 津波被害で都市機能を失い多くの仮設避難者を抱える陸前高田市では、まちの成り立ち自体が大きく変わろうとしています。かつての市街地に代わり、仮設の医院や薬局、コンビニが集まった鳴石地区は、震災後の陸前高田の暮らしを支える重要拠点の一つとなりました。一方で「ご近所さんとお茶を飲んだり、気軽に集まっておしゃべりする場所がなくなった」というような声も多く聞こえてきます。こうした問題を解消しようと、今年の1月にコミュニティースペース「りくカフェ」が誕生しました。
 日々の運営は、地元のお母さんたち12名がボランティアで勤めています。地元の方だけでなく、県外からの支援者にも分け隔てなく開かれています。バスを待つ間に休憩がてらお茶を楽しむおばあちゃん。現地の最新情報を収集しにやってきた、東京からのボランティア。ミュージシャンのライブやイベント会場に早変わりすることもあります。お祭りを控えた地元青年団の一人は「みんなで集まるスペースが流されて困っていた。打ち合わせしたり重宝しています」と話します。
 この日、部屋の中央にある大きなテーブルには、東京や隣県からやってきた十数人の大学生がいました。彼らの輪の中心には、このカフェを運営する吉田和子さんと鵜浦淳子さんが座っています。被災地支援に取り組むこの学生達は、震災当時の様子を話す吉田さんらの声に真剣に耳を傾けています。数時間後には、笑い声も聞こえる和やかな雰囲気の中、りくカフェ名物の、おいしいケーキと香ばしいコーヒーを飲む彼らの姿がありました。地元の率直な声を聴いた彼らは帰り際「頭の中で考えていた計画と、現場の事情の差を埋めることが出来ました」と、りくカフェ訪問が大きな収穫となったようです。
 まちの「リビングスペース」や、「中と外をつなぐ場」として機能し始めているりくカフェ。運営メンバーの鵜浦さんは、「陸前高田に来られるなら、おいしいコーヒーを用意してますからぜひお越しくださいね」と見送ってくれました。
 
行ってきました!東北
石巻・ボウリング場「プレナミヤギ」
 誰もが笑顔になれて、汗を流せて、チームワークの面白さ感じるスポーツ「ボウリング」。宮城県石巻市にある、市民に長年に愛されるボウリング場「プレナミヤギ」に行ってきました。被災時は2mの津波により、ボウルやピン、レーンなど損壊。復帰を諦めかけていたところ、プレナミヤギの社長さんは「やるから!」と一言。その2週間後、従業員みんなでスコップで泥をとり、300人ほどのボランティアの皆さんも手伝い、営業再開に向けて改修しました。損壊した機械の改修は偶然にも神戸のメーカー。阪神大震災を経験した事があるということで、復活までのノウハウをきちんと教えてくれました。ピンや椅子などは、ちょうど昨年閉鎖された四国のボウリング場が譲ってくれました。半年経て、10月17日営業再開。当日は無料開放でした。「この状況の中、本当にボウリング場に遊びに来てくれるのだろうか?」と心配していた支配人の阿部信貴さん。なんと350人の行列が出来たそうです。
 「仮設住宅暮らしで、子供さんが遊べるところが少ない。次の石巻を築き上げるのは子供たちだから、この町ですくすく育ってほしい。そのお手伝いをしたい」と阿部さんは話します。プレナミヤギの中には、ボウリング以外にも、子供たちが遊べるスペースも設けました。これまでは、イベントはプロボーラーを招くようなボウリングが好きな人の為のイベントが多かったそうですが、再オープン後は初心者が楽しめるイベントを開催。気仙沼出身のマギー審司さんを呼び、一緒にボウリングを楽しむイベントは大評判でした。プレナミヤギでは、「点数を競うボウリング」ではなく、「みんなが笑顔になるボウリング」になりつつあるそうです。「ボウリングは、年齢関係なく体を動かせるスポーツです。知らない隣のレーンの人とも仲良くなる事もあるでしょう。」と笑う阿部さん。改修の時、壁の色は、希望の意味を込めたレインボーカラーに変えました。今日も、プレナミヤギには、笑い声、ハイタッチの音が響いています。
 
行ってきました!東北
ボウリングのピンが目印の「プレナミヤギ」
 
行ってきました!東北
レインボーカラーのレーン
 
行ってきました!東北
支配人・阿部信貴さん
 
Information
プレナミヤギ
宮城県石巻市不動町2-15-24
0225-93-3325
http://www.plena.co.jp/
 
いま必要なモノ!
参加募集!!手作り ボランティア・ツアー「田代ジャパン」
いま必要なモノ!
初夏には、陸前高田市の小学校でグラウンドに芝生を植える作業を行った。
 
いま必要なモノ!
現在、大学3年生の田代直樹さん。田代さん主宰のバスツアーは、次回で7回目になる。
 
いま必要なモノ!
田代さんの呼びかけに、観光バス一杯の参加者が集まった!
 
いま必要なモノ!
参加者の年齢層は多彩。学生ばかりでなく、家族で参加してくれる方も。
 
いま必要なモノ!
参加者同志や地元の方との交流が深まることもツアーの魅力。
 
Information
ボランティアツアー「田代ジャパン」
・11/23(祝)~25(日)ツアー情報【募集中】
http://tashiro-japan.jimdo.com/ボランティアバス/
   自ら企画したボランティアツアーを率いて、月に一度は被災地に向かうという田代直樹さん。通算6回、のべ200人近いメンバーを集め1年以上も現地に足を運んでいる。他の団体が活動を縮小・撤退していく中、継続的に現地に通うグループは貴重な存在だ。「ニーズが無くなったわけではないんです。人手の足りない拠点や支援の届きにくい地域はいくらでもあります」と話す田代さんは、自らの足で稼いだ情報やコネクションを生かし活動を展開している。
 並外れた行動力とは裏腹に、見た目は柔和な印象の田代さん。 震災以前は「ボランティアの経験も無ければ、特に興味も無かった」という。現在も都内の私立大に通っており、平日は就職活動を控えた”普通の大学生”だ。
 昨年の3月13日、宮城県の塩竈に行く予定があった田代さんは、東京で震災に遭う。自分が2日後に向かう筈だった町が、津波で水没するニュースに釘付けになった。「人ごとではない思いがした」
 真っ先に現地に駆けつける事を考えたが、どうしたら現地に行けるのかわからない。震災後1ヶ月、2ヶ月と時間が経つにつれ、「自分は何も出来なかった」という無力感が湧いてきた。そんな折、インターネットでボランティア向けの夜行バスが出ていると知り、ようやく一人で現地に向かう。
 現地では、自分と同じような思いでやって来た若者がたくさん居ることに気づいた。また、足を運ぶうちに、受け入れ団体や主催者の意向で、思ったような活動が出来ない事も経験した。限られた時間と費用で有効に活動出来ないかと考えるうちに、一つのアイデアが浮かぶ。「自らボランティアツアーを企画して、最適なスケジュールを組み、参加者を募ればいいんじゃないか」早速、バス会社に電話をかけ、中型バスをチャーターした。最初は人が集まらず肝を冷やしたが、中間支援団体の助けを借り、参加者の費用負担を軽減する仕組みなど、特色を設けた。誰かが日本代表をもじって「田代ジャパン」と呼びはじめ、呼称が定着した。徐々にツアーの噂が口コミで広がって行き、問い合わせが増え、継続開催に繋がった。
 前夜に都内を出発し、翌朝現地のまちの様子をバスの中から参加者に観てもらう。作業場所に到着したら、現地の受け入れ団体と連携しながら時間一杯、作業に汗を流す。夕方、近くの温泉に立ち寄ってから、地元の方との交流もかねた夕食会を開く。夜半に現地を出発し、翌朝東京に戻って来る車中二泊の行程。参加者からは「旅行会社のボランティアツアーと違って、観光時間がない分作業に取り組める」と評判で「夕食会での交流会が印象的」「費用が安く週末メインなので、何回も参加出来る」などの声が多いそうだ。「意外と、被災地は初めてという参加者も多い」そうで、学生だけでなく30代、40代の社会人の参加者が増えて来ている。「ボランティア作業を通じて、被災地のいまを知りたいという方は、是非!」という田代さん。次回は、第7回目のバスツアーとして宮城県石巻市の北上エリアに向かう予定。11月23日出発で現地のボランティアセンターに1泊するツアーを計画中だ。「経験や年齢は不問なので、たくさんの方に参加してほしい」という。
 
東北で見つけた“看板娘”
気仙沼・藤崎気仙沼店の看板娘 三浦沙知さん
東北で見つけた“看板娘”
 気仙沼市内にあるギフトショップ「藤崎気仙沼店」。仙台市内の老舗百貨店「藤崎」の支店です。
洋服、雑貨などの生活必需品から、お中元、お歳暮などのギフトなどが販売されているお店です。
ここに、いつも笑顔の看板娘の三浦沙知さん(19)がいます。
 もともとこの近辺で生まれ育った三浦さん。多くの人とかかわる仕事がしたいと、藤崎に入社しました。復興のお役に立ちたい、そして愛する地元から離れたくないという気持ちが日に日に強まり、この気仙沼で働くことを決めました。
 デパートですから、様々な年齢層のお客さんが来店します。同級生はもちろん、学校の先生もたまに来られるそうで、同窓会のような感じになってしまう事もあるそうです。大型のショッピングモールとは違い、デパートは、店員とお客さん、1対1で密に対応するのが特徴です。三浦さんは現在仮設住宅暮らし。お客さんも仮設にお住まいの方が多く、お互い気持ちを分かち合いながら接客します。
「狭いですから、この商品の方がいいですね…」
「冬は寒いですから、この生地のほうが…」
「この服、お似合いですよ。」
 そんな心の通う対応をしています。お店の人気者です。これからも多くのお客様と出会いたいという三浦さん。店内には気仙沼名物の「ふかひれスープ」も販売されています。ぜひ藤崎気仙沼店に訪れてください。
 
Information
藤崎気仙沼店
宮城県気仙沼市神山1-5
0226-22-2461
 
今月のお取り寄せ
クッキングまぐ!編集部イチオシの理由は?
今月のお取り寄せ
 今回ご紹介するのは青森県の特産品、瓶詰め粒うにです。販売元の岩谷水産も被災した企業の一つ。震災で原料、製品をすべて失いましたが、工場、社員は皆無事だったようです。
 いまだ震災の影響はありますが、金融機関等の支援を受け、何とか日々製造に励んでいるとのこと。
 本商品は八戸近海で採れたうにの中でも、特に良質のものを厳選し使用。保存料等の添加物は一切使用せず、うに本来の風味を残したままの自然の味を堪能できます。
 今回は温かいご飯に乗せて試食してみました。
 一口食べると贅沢な磯の香りを堪能できます。
 濃厚でクリーミーな味わいはご飯ともベストマッチ。非常に滑らかで上品な舌ざわりは、うに好きならずとも必食の味です。
 ご飯だけでなく、クリームパスタなどに使っても濃厚な味が楽しめそうな気がします。もちろん、お酒にも好相性。
 これを食べてしまうと他の瓶詰めうにが食べられなくなってしまいそうな逸品です。
 ぜひ、この贅沢な味をご堪能下さい。
 
今月のお取り寄せ
高級感のあるパッケージに入った粒うには70gとたっぷりサイズ。
 
Information
ご注文はこちら↓
岩谷水産オンラインショップ
http://www.iwayasuisan.com/
 
 
【東北まぐ】 2012/10/11号 (毎月11日発行)
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編集 :寺坂直毅 岸田浩和 梅澤恵利子
クッキングまぐ! :関 裕作
スタッフ :野瀬紗也佳
表題写真 :岸田浩和
 
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