東北まぐ17号 2012年12月
冬を迎える東北では、稲わらを使ったしめ縄作りが佳境を迎えています。新たな年の実りを願い、祈りをささげる人々。東北のいまを全編レポートでお届けします
東北まぐ
夕暮れが迫る歌津の港(宮城県本吉郡南三陸町)
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はじめに
 三陸地方南部に伝わる神棚飾りのための縁起物「きりこ」。南三陸町志津川の町を歩くと、大きな白い鉄板をきりこに見立てた、鮮やかな装飾とことばに出会う事が出来ました。「塩水にも枯れなかったたくましい木のように」「親の背中を見て育ったこどもたちに、この背中を見せる」「父のパン復活。次代にバトンをわたす」
 いまは、ガレキに覆われ雑草が生い茂るふるさとの町。悔しさ、怒り、悲しみをないまぜに抱えたまま、それでも進むことをきめた人々の、町の記憶と決意が刻まれています。
 一人でも多くの方が東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。東北まぐ、第17号をお届け致します。
 
いま必要なもの
「田代ジャパン」南三陸レポート(その1)
いま必要なもの
ボランティアの参加者が、敷地を覆う家屋の残骸を丁寧に拾い集めて行く。
いま必要なもの
「この地域には、手つかずの現場が無数にある」と話す、現場リーダーの酒井真悟さん
 
いま必要なもの
津波でなくなった方の遺品が出てくる事もある。この日は、津波の時刻で止まった腕時計や、たくさんの食器がみつかった。
 
いま必要なもの
「現場に来て、初めてわかった事がたくさんありました」と話す、初参加の大学生、和田望佑さん
 
   被災地向けのボランティア・バスツアーを企画している大学生、田代直樹さん。震災後、被災地を目指そうとしましたが、現地へ行く"つて"もなければ情報もなく途方に暮れた経験を持っています。同じような思いの人たちが沢山居るに違いないと確信し、自らバスをチャーターし、ボランティアツアー「田代ジャパン」を立ち上げました。
今回は、7度目のツアーとなる宮城県南三陸町での活動現場を訪れ、参加者の声をお聞きしまた。

 前日の雨もやみ、ようやく晴れ間ものぞきはじめた南三陸町戸倉地区。朝もやの中、海が目前に迫る空き地に、ガレキが積上っている様子がうかがえます。もとは個人宅の敷地だったというこの土地は、住人が亡くなったり高齢で土地を離れてしまい、放置されたままになっていました。被災地ボランティアを展開するNPO法人-DSP災害支援プロジェクトが近隣住民の要請を受け、今回ようやくガレキの撤去作業に入る事になりました。

「テレビのリモコンが、地面からにょきって半分突き出ていたり、私の実家にあるようなお茶碗がそのまま残っていて、生々しい"生活感"に圧倒されました」こう話してくれたのは、 今回初めての参加となった学習院大学の和田望佑さん(20)。「震災のニュースはテレビや新聞を見て知っていたつもりでしたが、ここに来てようやく津波の恐ろしさや沢山の人が亡くなったという事実を実感できた」といいます。
 一度は現地に足を運びたいと思いながら、きっかけが掴めずにいた和田さん。学内で田代さんのツアー募集を知り、今回の参加を決めました。 周囲には、『いまさら被災地支援?』と驚かれた和田さんも、現地のNPOスタッフから「手つかずの現場は、まだ無数にある」という言葉を聞き、認識をあらためました。自身を振り返り「"いつか行きたい"ではなく、"行く"と決めることが大事」と感じた和田さんは、今後も友人を誘って参加しますと語ってくれました。

 震災後、宮城県石巻市に拠点を置く他のボランティア団体で9ヶ月近く活動した小林降徳さん(35)。「ボランティアが必要とされる現場は、去年の冬の時点である程度目処がついている認識だった」といい、震災直後と何ら状況の変わらない現場に、衝撃を覚えました。ここ南三陸町沿岸部では、自衛隊や行政の復旧作業がカバーしきれなかった"小さな手つかずの現場"がいまも無数に残っています。
 小林さんは「震災への関心も薄れて来たし、メディアも復興の様子を伝えるニュース中心なので、"とり残された場所"の事は、中々耳に入ってこない」と考えています。「必要な現場が残っている現状を、周囲にも伝えていきたい。まずはそこからですよ!」と話してくれました。(次号に続く)岸田浩和
 
Information
ボランティアツアー「田代ジャパン」
http://tashiro-japan.jimdo.com/
 
東北だより
石巻ユースカルチャーの現在進行形
 震災より1年8ヶ月。東北の被災地では地元の人たちが主体となったあたらしい取り組みがスタートしています。今号よりはじまった「東北だより」では、東北各地に根ざしたローカルメディアの記者たちの協力を得て、地元発信の小さなニュースをお届け致します。

 第1回は、宮城県石巻市を中心としたビジネスとカルチャーニュースを配信している石巻経済新聞より寄稿頂きます。
東北だより
石巻漁港近くの被災倉庫に出来たスケートパーク「Onepark」。パンクバンドのライブが行われた。
 「石巻経済新聞」は、全国70都市以上のネットワークをもつ「みんなの経済新聞」の石巻版として、今年の4月に創刊しました。「経済新聞」といっても、「商店街のあのお店が再開したよ」とか「◯◯っていうアーティストが駅前でライブをやるよ」といった街の人たちの顔が見えるニュースを配信する“ハイパー・ローカルメディア”を目指しています。当コーナーをお借りして、石巻復興の現在を私たちの目線でご紹介していきたいと思います。
 秋の深まりとともに、ここ石巻では地元の若い人たちが中心となり、あたらしい文化発信の拠点づくりや活動をスタートさせています。今年11月に、地元高校生たちがつくるカフェ「『 』(かぎかっこ)」が石巻市役所1階にオープンしました。
 子ども支援プロジェクト「ドアウェイ・トゥ・スマイルズ」が運営をサポートする形で始まったこの取り組みは、地元の高校生38人が主体となり店舗の企画からインテリア、メニュー開発を手掛け、カフェの運営も行っています。
 また、ストリートカルチャー・シーンでは、新しい拠点が2つ誕生しました。1つ目は石巻漁港近くに出来たスケートパーク「Onepark」。地元のスケーターたちが、被災して使用できなくなった水産会社の冷凍倉庫を期限付きで借り受け、自らの手で修復しオープンにこぎ着けました。10月には人気パンクバンド「Hi-Standard(ハイスタンダード)」のベースボーカル難波章浩さんも現地を訪れライブイベントを開催。スケートだけでなく、ストリートカルチャー全般を発信する拠点として、今後の展開が期待されています。
 2つ目は市内の中心部にできたライブハウス「ブルーレジスタンス」。音楽関係者有志による活動「東北ライブハウス大作戦」の支援を受けて、震災前にはなかった新しいライブハウスが10月に誕生しました。オープン早々、人気ロックバンド「BRAHMAN(ブラフマン)」がライブを行うなど、日本中のロックシーンから注目を集めています。
 拠点だけでなく、新しい文化活動も始まっています。石巻市民で立ち上げた劇団「夢まき座」が河北総合センタービッグバンで旗揚げ公演を実施、音楽と演劇のイベント「R」が第3回を迎えて、2週連続2デイズ公演を行いました。今までの石巻にあまり馴染みのなかった演劇という文化が花開こうとしています。

 若い世代が新しい視点でまちの文化発信を先導しようと走りだしている石巻。気になった方はぜひ気軽に遊びに来てみませんか?では、次回もお楽しみに。(石巻経済新聞 小泉瑛一)
 
東北だより
石巻経済新聞の取材・編集に携わる小泉瑛一さん
 
東北だより
地元高校生たちが運営するカフェ「『 』(かぎかっこ)」
 
東北だより
浸水した物件を改装し、新しいライブハウス「ブルーレジスタンス」が誕生。
 
東北だより
音楽と演劇のイベント「R」を主催する地元出身の若手脚本家、矢口龍汰さん
 
Information
石巻経済新聞
http://ishinomaki.keizai.biz/
 
東北からの“お便り”
福島・土湯温泉の「エゴマ豚の蒸し鍋」
毎月、東北のレポートお届けしている「東北まぐ」。
今回から、東北にお住いのみなさまや、現地へ足を運んだ読者のみなさまからのお便りを紹介したいと思います。第1回目のテーマは「わたしの好きな東北の味」です。
 
東北からの“お便り”
土湯温泉の旅館「小滝温泉」で頂いた「エゴマ豚の蒸し鍋」
  大阪市 古井香澄さんのお便り

昨年の紅葉の季節に、福島県の土湯温泉へ行きました。
ここの夕餉で出会った「エゴマ豚」には本当に驚きました。
蒸し鍋で頂いたのですが、“豚肉の香りに感動した”という感じです。
何とも言えない甘みを含んだ芳香と味のする豚肉は初めてでした。
福島の新米は美味で、紅葉も艶やかでした。
 
寄稿募集のおしらせ
「東北まぐ」では、引き続き読者からのお便りを募集します。
次回のタイトルは、「わたしの好きな東北の景色」。
字数は140字以内、写真を添付する場合は、合計2枚(1M)まで。場所の名前やお店の名前やメニューは正式な名称でご記載ください。お寄せいただいたお便りの一部は、来月の誌面でご紹介したり、時には現地へ取材にお伺いするかもしれません。応募の際は、誌面で紹介される可能性があるとひとことお伝えくださいますようお願いします。
 おたよりはこちらまで
 
東北で見つけた名物親父、看板娘!
ふかひれ食堂「大自然塾」の澤田正さん(南三陸町戸倉)
名物親父、看板娘
被災した食品会社の再建に取り組みながら、食堂の運営も行う澤田正さん。「三陸のおいしい魚介を、知ってほしい」と、厨房で腕を振るう。
 
 この冬一番の冷え込みと、朝のニュースが伝えていた日曜日。南三陸の沿岸部には、小雪がちらついていました。かじかんだ手を擦りながら国道398号線沿いを歩いていると、一軒の食堂が目に飛び込んできました。看板には大自然塾、のれんにはお食事処の文字が。店内では、付近の沿岸部でボランティア活動を行っていた人たちでごった返しています。
 
名物親父、看板娘
限定メニュー「ふかひれの姿煮」(500円)を提供中!
 
名物親父、看板娘
週末の昼時は、県外からのボランティアやツアー客で活気づく。
 
Information
お食事処「大自然塾」
宮城県本吉郡南三陸町戸倉字津の宮23-2
営業時間:10時~16時頃
   メニューを見る間もなく、厨房に向かって「なにか温かいものが食べたいんですが・・・」と声をかけると、中華鍋を振るご主人のやさしい笑顔がかえってきました。「じゃあ"フカヒレの姿煮"ならすぐ出来るけど、どうかな?」しばらくして出て来たのは、あつあつのあんかけの中に浮かぶ、尾びれの形をした大きなフカヒレ(フカヒレ姿煮500円)でした。「こんなに大きいフカヒレ入れて、大サービスですね!」と問うと、ご主人が「まぁ、うちの本業だから・・・」と笑いながら答えてくれました。他にも、ふかひれラーメンや魚介の具がたっぷり入った焼売など、海の食材を使ったメニューが並びます。
 ご主人の名は澤田正さん。海産物の卸売りや養殖を手がける株式会社エスエスフーズの代表取締役です。学業の修了後は家業の漁業を継がず、料理の道に入った澤田さんですが、2008年に地元に戻り現在の会社を起業しました。2011年3月、事業が軌道に乗り始めた矢先の被災でした。工場と1億円以上の在庫を津波にさらわれ自宅も被災。会社を潰さないように奔走する中、自分たちでも町のために何か出来ないかと考え、昨年11月に「大自然塾」をオープンさせました。
 家や職場を失ったたくさんの被災者が仮設住宅に身を寄せる昨今、まちの様子も大きく変わってしまいました。「近所づきあいも減ったし、笑うことも少なくなった」と澤田さん。 もういちど町に力を取り戻すためにも、人が集まる活気のある場所が重要と考え、食堂の運営に乗り出しました。「ぜひ、三陸のおいしいものを食べに来てください。それが町の活力ですから!」(岸田浩和)
 
今月のお取り寄せ
今月のお取り寄せ
缶切りを使わずに開栓可能なイージーオープン缶を採用しています。

今月のお取り寄せ
脂の乗りも最高。中骨なんか気にならないくらいしっかりと炊かれています。
さんま醤油味付け 330円
  クッキングまぐ!編集部
イチオシの理由は?
 今回ご紹介するのは宮城県石巻市にある缶詰加工会社、木の屋の「さんま醤油味付け」です。
 この木の屋も東日本大震災により被災した企業。会社のシンボルでもあった缶詰型の巨大タンクが津波に流されている映像や画像を見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。
 津波により大ダメージを受けた木の屋ですが、現在は徐々に復活しつつあります。2013年春には新工場もオープン予定。震災から立ち上がり、新たなる一歩を踏み出しています。
 ご紹介する「さんま醤油味付け」も木の屋を代表する名品の一つ。
 刺身でも食べられる新鮮なさんまをふんだんに使用。醤油と砂糖で甘辛く炊きあげており、ごはんとの相性はとにかく最高です。
 中骨も柔らかく、そのまま食べられるほどしっかりと煮てありますので、小骨が理由で魚が苦手という方にこそ食べて欲しい一品。
 もちろん、ごはん以外に、お酒のおつまみとしても非常に美味しく頂けます。是非一度お試し下さい。

Information  ご注文はこちら↓
木の屋石巻水産
http://kinoya.co.jp/eccube/
 
 
【東北まぐ】 2012/12/11号 (毎月11日発行)
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編集 :寺坂直毅 岸田浩和 梅澤恵利子
クッキングまぐ! :関 裕作
スタッフ :野瀬紗也佳
表題写真 :岸田浩和
 
発行元 株式会社まぐまぐ
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