東北まぐ22号 2013年5月
手仕事が伝える牡鹿のこれから、丸森町のタケノコ、食の魅力で巡る石巻、あの頃高校生だった君へ、全編レポートでお届けする
東北まぐ
太平洋をみつめる支倉常長(はせくらつねなが)の像(牡鹿半島月ノ浦/宮城県)
はじめに
いまから400年前、宮城県・牡鹿半島の月ノ浦から1隻の帆船が太平洋へと出帆しました。支倉常長(はせくらつねなが)が舵をとるこの帆船は、太平洋を横断しアメリカ大陸へ上陸。さらに大西洋を横断した彼らは2年の歳月を経てローマへと至ります。度重なる暴風と座礁に道を阻まれながら、再起を経て航海を成し遂げた常長たち。
彼らの不屈の精神は、この地で再起に掛ける人々の心に、いまも生き続けています。
 みなさまが東北に足を運ぶきっかけとなることを願って。東北まぐ、第22号をお届けします。
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行って来ました東北!
OCICA(オシカ)、手仕事がつたえる、その土地の物語
行って来ました東北!
2012年6月から石巻に常駐する、つむぎやの斉藤里菜さん(27)。
行って来ました東北!
1つ2800円のネックレスが売れると、作り手は1000円の収入になる。

行って来ました東北!
港の復旧に伴い、浜のお母さんたちが牡蠣むきの作業に復帰する日も間近。
   鹿の角を輪切りにした輪っかに、漁網の補修糸を丁寧に巻き付けて出来た幾何学模様が美しいネックレス。宮城県の牡鹿半島にある小さな浜のお母さんたちによって生み出されるアクセサリーブランド「OCICA」(オシカ)の商品です。一つ一つ違った表情を持つ鹿角のかたちと、鮮やかな色合いの糸が重なりあって出来たデザインは、やさしい手触りと洗練された雰囲気が印象的です。
 OCICAが目指しているのは、「被災地の製品だから」という一過性のブームではなく、デザインを見て「ほしい」と手に取ってもらい、ながく愛用してもらえるような商品をつくる事です。このプロジェクトを立ち上げた友廣裕一さんは、震災の数日後に宮城県沿岸部に入って、避難所の支援活動などをつづけていました。現地を歩き地元の人たちの声を聞きながら「雇用問題や崩壊した地域のコミュニティーを建て直す為には、その土地の資源を活かして、継続出来る事業をつくるしかない」と考えていました。友廣さんはアイデアを実行するため「一般社団法人つむぎや」を設立。試行錯誤の末、鹿の角を使ったアクセサリーの商品化が実を結んだのは2011年の秋でした。同年11月から翌年末の13ヶ月で累計2000個、620万円分の商品を販売しました。
 昨年の6月からつむぎやのメンバーとして石巻に駐在し、OCICAや鮎川での飲食プロジェクトに関わっている斉藤里菜さんは「私たちの取り組みの目的は、震災で仕事や居場所を失った浜のお母さんたちの笑顔を取り戻す事なんです」と話します。また「被災者の未来を考えて」と大きくとらえるのではなく、この浜の〇〇さんが日々の生活で笑顔を取り戻す為には何が必要なのだろうと考え、1対1のコミュニケーションが出来る規模で事業を組み立てています。「事業の主体はあくまでも浜のお母さんたち」と言う斉藤さんは、「お母さんたちには、自分たちの取り組みとして徹底的に考えを出してもらい、時には議論もする」といいます。
「私たちのやり方は、時間がかかるかもしれません。でも、商品を通じてこの土地の魅力やお母さんたちの思いが確実に伝わって行けば良い」牡鹿半島に暮らすお母さんたちと同じ風景を見ながら、ともに歩む斉藤さん。次回は、牧浜のお母さんたちのもとを訪れます。(岸田浩和)
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Information
一般社団法人つむぎや
https://www.facebook.com/TUMUGIYA
   
 
行って来ました東北!
タケノコの里のいま
行って来ました東北!
丸森町のタケノコ農家・八島哲郎さん
 「竹がどれぐらいのスピードで成長するか知ってます?なんと1日に最高で4尺(約120センチ)も伸びるんですよ。びっくりでしょう。」地面から顔を出したタケノコを指して、丸森町のタケノコ農家・八島哲郎さん(51)が説明してくれました。
 福島との県境、宮城県最南端に位置する丸森町は、宮城県内でも有数のタケノコの産地です。タケノコは4月下旬から出始め、今がまさに最盛期。例年であれば直売所に朝採りのタケノコが山積みになり、20年以上続くタケノコ狩りツアーは大型バスでツアーが組まれるほどの人気で、地元農家の大きな収入源となっていました。しかし震災以降、春の山里の風景は一変します。原発事故の影響で町内の一部のタケノコから放射性物質が検出され、昨年5月から丸森のタケノコは出荷停止になっているためです。
 美味しいタケノコを収穫するには、一年を通じて竹林の手入れが必要です。理想の竹の本数は1坪に1本。それ以上増えると日当たりが悪くなるため、古い竹は間引き、下草は刈り、地面には肥料用に砕いた竹のチップをまきます。「竹は3~5年モノが、いいお母さんになるんだねえ。春になるとたくさん子供が生まれるんです」そのままにしておくとタケノコは、どんどん成長して竹になってしまいます。そこで、昨年はボランティアを募り、出荷できないタケノコを鍬で切り倒しました。処分したタケノコは4000本以上。一ヶ所に集めると、大きな「ゴミ」の山が出来ました。「今まで収穫したものを山に置いてくるなんて、やったことがないのよ。それが今は一本も持ち出せない。タケノコに『なんで置いてくのか、連れてって食べてくれ』って言われている気がしたなあ。」
 今シーズンのタケノコの検査は、4月22日から始まりました。しかしタケノコの収穫時期は5月中旬までと短く、基準をクリア出来たとしても今年の出荷再開は難しいのが現状です。2年空白期間が続くことで、地元の人がタケノコ作りを諦めてしまわないか、そして竹林が荒れてしまうのではないか、八島さんは心配しています。
 結局今シーズンも、出荷出来ず伸びるタケノコを処分するため、ボランティアの募集を始めました。「竹林を渡る風、ウグイスが鳴く声。山と川、田んぼが連なる景色。昔話に出てくるようなほんわりとした生活が、丸森の魅力だったのよ。それが傷付けられてしまった。だから作業を通じて、一人でも多くの人に丸森の農家や竹林の現状を知ってもらいたいんです」八島さんはこれからも、丸森から情報を発信し続けていきます。(平沼敦子)
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  行って来ました東北!
えぐみが少なく柔らかいと人気のタケノコ

行って来ました東北!
4年前に開発したタケノコのレトルトカレー

行って来ました東北!
ボランティアは5月14・18日に活動予定

Information
「いなか道の駅 やしまや」
丸森町耕野字沼62-1
TEL: 0224-75-2111
八島さんの営む直売所。新鮮な野菜やへそ大根、柿ワインなどの丸森の特産物が買える。

(丸森町観光物産協会HP内)
http://www.marumori.jp/02_fm/
bibitto.html
 
いま必要なこと
~あのとき高校生だった君へ伝えたい東北~
 TYC3.11 5/18開催
いま必要なこと
震災から二年が経ちました。
“まだ復興支援活動してる学生団体なんて無いんじゃないの?” いえいえ,そんなことはありません。東北各地で,精力的に活動を継続している学生団体が多数あります。実際に現地へ足を運んで活動している彼らが、新入生に向けて皆さんの疑問にお答えするイベント「Tokyo Youth Conference for 3.11」が5/18(土)に開催されます。

「何でまだ続けているの?」「今,どんな活動をしているのですか?」「復興ってまだ終わってないの?」「大学1年ですけど,何か手伝えますか?」「いま私の住む町で、出来る事はありますか?」

主催者の一人で「ガクつな」を運営する細田侑さんは「東北に興味はあったけど、いま一歩踏み出せなかった人たちに参加して頂ければ嬉しい」とはなします。是非,気になること聞きに、足を運んでみてはいかがでしょうか。

大学生だけではなく、これから復興支援に携わりたいと考えている、ある種の新入生も歓迎だそうです。当日は、現地で活動中の団体の方に、東北支援のいまとこれからについてのパネルディスカッションや質疑応答、各団体の活動紹介、懇親会なども予定されています。いまから始まる東北支援のカタチがあります。TYC3.11 vol.3 奮ってご参加ください。
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Information
Tokyo Youth Conference for 3.11 vol.3
日時:5月18日(土)14:00~18:30
場所:明治大学和泉キャンパスメディア棟(仮)
対象:新1,2年生/東北や復興のために何かしたいと思っている学生
定員:200名~250名
参加費:無料!(懇親会参加費は別途徴収)
Webサイト
http://youthfor311.com/tyc-vol3/
Facebook
https://www.facebook.com/events/132881266900008/
 
東北だより
 雄大な北上川の流れに沿って広がる水田群と、世界三大漁場・金華山沖を抱える石巻。そのひとつの魅力はなんといっても「食」です。震災以降に活発になった内外の交流を通じて、石巻の「食」の魅力を再度、見直そうと様々な新しい取り組みが行なわれています。
東北だより
立町商店街にオープンした「日和キッチン」。地元の伝統料理や牡鹿半島の鹿肉を使った料理を提供する。
 石巻の立町商店街に3月31日、石巻の伝統料理や牡鹿半島のジビエ料理を提供するレストラン「日和キッチン」がプレオープンしました。ジビエとはフランス料理の用語で野生の鳥獣の肉のこと。牡鹿半島で捕獲される鹿肉を使った鹿カレーは早くも人気メニューになっています。オーナーは都内で活動する建築家の天野美紀さん。自ら築100年の建物を設計・施工しリノベーションした上で店主も務め「夜行バスで石巻を訪れている人たちにもおいしい朝ごはんを」と土日のみの営業ながら朝6時30分から営業しています。
 
東北だより
平孝酒造(石巻市)の新酒披露

東北だより
開店一周年を迎えた石巻・鹿又(かのまた)のカンパーニュ専門店「OJ60(オージェィロクマル)」

東北だより
石巻駅前市役所1階で高校生がつくる、いしのまきカフェ「」(かぎかっこ)が大人のスタッフも募集。


Information
「石巻経済新聞」
http://ishinomaki.keizai.biz/
   石巻は自然の恵みを活かした日本有数の米の産地でもあります。その良質な米を活かした酒蔵が二つあり、そのひとつである酒蔵・平孝酒造が造る日本酒銘柄「日高見」の新酒披露宴が4月7日、石巻グランドホテルで開催されました。震災で損傷した蔵を2年かけて修復した同社。毎年恒例の新酒披露宴を楽しみに仙台からバスツアーで訪れる人や、遠く九州から駆け付けた招待客の姿も見られ参加者に大変な賑わいをみせました。

 震災を契機として生まれたお店も地域の人気店に定着しつつあります。石巻・鹿又(かのまた)のカンパーニュ専門店「OJ60(オージェィロクマル)」は5月11日、開店1周年を迎えます。店内の全てのパンは試食ができ、「お客さまは、ただパンを買いに来るのではなく、おいしいパンを求めて買いに来ているはず。その期待に添えるように毎日丁寧にパンを作りたい。」と店長の伊藤さんの意気込みが伝わります。

 本紙でも何度も取り上げている取り組みも新たな展開をむかえています。石巻駅前市役所1階で高校生がつくる、いしのまきカフェ「」(かぎかっこ)。昨年11月のオープン以来、地元内外に人気を博し、現在同プロジェクトが地域に根付き継続的な運営を続けるため現地大人スタッフを募集しています。地元漁業者や農家、企業、団体とのつながりをつくり、高校生の手助けをし、まちをよくしていこうという思いを共有できる人を募っています。

 先月には石巻観光協会のホームページもリニューアルされ、訪れる人たちに魅力的な情報を発信しています。この機会に石巻の「食」を触れに来てみませんか? (石巻経済新聞:斉藤誠太郎)

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【東北まぐ】 2013/05/11号 (毎月11日発行)
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編集 :岸田浩和 平沼敦子 梅澤恵利子
デザイン :千葉光範(JLDS)
スタッフ :野瀬紗也佳
表題写真 :岸田浩和
 
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