東北まぐ25号 2013年8月
福島県南相馬の野馬追い、名取市のマラソン大会、気仙沼の隠れ家、石巻スタンドアップウイーク、お取り寄せは老舗のゆべし東北のいまを全編レポートでお届けします
東北まぐ
岩井崎の通称”龍の松”/宮城県気仙沼市
はじめに
 地元の人たちが「気仙沼には龍がいるんだよ」と、案内してくれた岩井崎。波打ち際に、津波に枝をもぎ取られながらも幹の一部を残した松の木が、龍のような形で残っていました。近くの木陰では、お弁当を食べる家族の姿が見え、楽しそうな笑い声が聞こえて来ます。その横では、地元の少年たちが虹色の西洋凧を空高く揚げていました。一瞬で舞い上がる凧の軌跡を、小さな子供たちが目を輝かせながら見上げています。初夏の陽光をうけ鮮やかなみどりの芝が映える岩井崎。朗らかな夏の休日を楽しむ人々を、龍が優しく見守っています。

 みなさんが東北に足を運ぶきっかけとなる事を願って。東北まぐ第25号をお届け致します。

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行ってきました東北
 
行ってきました東北
2日めの甲冑競馬。色とりどりの旗が音をたて、その迫力に観客が湧いた。
 
 7月27、28、29日の3日間、福島県南相馬市、相馬市で、震災から3年目となる「相馬野馬追」が開催されました。南相馬市原町区の雲雀ケ原祭場地で本祭を行い、甲冑姿の侍たちが、まるで戦国絵巻のような迫力で、神旗争奪戦や競馬を繰り広げました。まだ梅雨明けの声を聞かない福島で、当日は、行事が始まると不思議なことに雨が止み日差しが差し、行事が終わったとたんに激しい雷雨に。人々の思いが天に通じたかのようでした。

 相馬野馬追の魅力は、参加する侍たちや地元の人々の半端のない情熱。2011年、震災から約3ヶ月、多くの参加者の自宅が警戒区域にあり、武具や馬、仕事や家を失った状況で、被災当事者である関係者たちは開催の決断を下しました。例年500騎の騎馬武者が出場する中、82騎が参加し中止をとどめ、1000年以上続く歴史を止めることなく未来へとつないだのです。

 2012年の参加騎馬武者数は、368騎。例年の半分にあたる250騎を目指すという目標を大きく上回りました。 今年の参加騎馬はそれをさらに上回る410騎。また日本各地からこの日を楽しみに地元に戻ってきた避難者も多く、今年の祭場地への来場者数は、3日間を通して16万6500人(2011年は3万7400人、2012年は15万9700人)。参加騎馬約500騎、例年平均観客数20万人という震災前の状況に少しずつ確実に戻ってきています。

 「野馬追人の1年は野馬追に始まり野馬追に終わる。野馬追がばらばらの地に避難した仲間をつなげている。野馬追がなかったら、震災は乗り越えられなかった」と小高郷の騎馬武者、佐藤昭人さん(38)は言います。小高区をはじめ、浪江町、大熊町など、警戒区域にある野馬追の侍たちはいまだ避難生活を送っています。「まだ小高で皆が住むことができる見通しはついていないが、いつかまたふるさとの地から出陣したい」。侍たちの新しい年がまた来年の野馬追に向けてスタートしています。(高杉記子)
 
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Information
相馬野馬追 執行委員会HP
http://www6.ocn.ne.jp/~nomaoi/
 
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昨年行われた第一回大会の様子
 
 「あっちゃん、ナイスラン!」「あともう少し!」沿道の人達がゼッケンの名前を呼んで、声援を送ってくれました。思わず笑顔がこぼれ、ハイタッチ。雨の中、踏み出す一歩が力強くなります。空を見上げると、ジャンプしたら手が届くんじゃないかと思う程の近さで、飛行機が下りて行きました。
 
 今年10月に行われる「パラカップ仙台」は、走って東北の復興を応援しようと去年から始まった、チャリティーリレー大会です。周回2キロのコースを2~7人のチームで走り、3時間で何周走ったかを競います。会場は、宮城県名取市の仙台空港のすぐそば。東日本大震災で津波が押し寄せた場所です。大会を立ち上げたのは、仙台の市民ランナー達。コースをどこにするのか、実行委員会のメンバーの中では議論が重ねられました。「正直、被害を受けたところを走るのは、不謹慎なのではないかと悩みました。でも、単純にチャリティーのお金を集めるだけじゃなく、走って、見て、記憶に残してもらうことに意味があるんじゃないかと」(実行委員・長谷川良子さん)

 大会実現に当たっては、会場近くの空港ビルの協力、道路を使用するための警察の許可、そして何よりも地元・北釜地区の人達に受け入れてもらうことが必要でした。住民とのパイプ役となったのが、町内会の役員を務めていた高橋学さんです。「最初は『走る』って言われても、どんなイベントになるのか全く想像が出来なくて。でもどんな形でもいいから人に集まってもらって、今ここがどうなっているのかを知ってもらいたい。そういう気持ちが強くて、住民に協力をお願いしました」太平洋と空港に挟まれた北釜地区は、メロン「北釜クイーン」の栽培で有名で、小松菜・チンゲン菜の県内最大の産地。震災前は、数百棟のビニールハウスが並ぶ光景が広がっていました。現在は内陸部への集団移転が計画され、農地は除塩や土壌の瓦礫の除去などの復旧作業が進められています。

 去年の第一回大会には、約200チームのエントリーがあり、1188人のランナー・ボランテイアが参加しました。空港ビルで受付をし、離発着の飛行機を間近に見ながら走る。全国で数多く開催されるランニングイベントの中でも、珍しい体験です。スタート・ゴールの会場には、復興商店街「閖上さいかい市場」から、名物の水餃子(キムチをトッピング)やツナマヨネーズ入りはんぺんフライなど、地元グルメブースが出店。エイドステーション(給水所)では、北釜地区のお母さんたちが握った一口おにぎりが並びました。当日は土砂降りの悪天候でしたが、参加者がずぶ濡れになりながら、笑顔でタスキをつないで行く様子が印象的でした。

 「去年は一参加者として走ったんですけど、タイムを狙う人もちろん、ゆっくり走ったり、美味しいもの目当てだったり、いろんな参加の形があったのがよかったです」(実行委員・阿部寛行さん)「大会というよりは運動会のような感じ。マラソンが初めてという人の走るきっかけになったらいいですね」(実行委員・梅森千恵子さん)第一回大会で集まった収益金は、震災で親を亡くした名取の子供達の奨学金として寄付されました。

 今年の「パラカップ仙台」は、10月6日(日)に開催される予定です。高橋さんは、この大会が来年以降も継続的に開催されることを期待しています。「復興に長い時間がかかることは覚悟しています。だからこういう大会が開催されるおかげで、一年ごとに復興の進歩を確かめることが出来ます。皆さんに毎年来てもらって、この土地の復興を一緒に見守ってもらえたら嬉しいです」走る日常を取り戻しつつある喜び、一歩一歩進んでいる被災地の思いが、今年もタスキでつながれて行きます。(平沼敦子)
 
行ってきました東北
高橋学さんと実行委員会のメンバー
 
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スタート・ゴール地点は仙台空港のすぐそば
 
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昨年の参加賞は雄勝石の手作りメダル
 
行ってきました東北
地元で人気の惣菜屋さん「匠や」も出店予定
 
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Information
「第2回PARACUP SENDAI in SENDAI AIRPORT」
2103年10月6日(日)10:00~15:00
(宮城県名取市 下増田第二臨空公園跡地)
8月31日までエントリー受付中 ※定員に達し次第締切
一人で参加出来る「チームお任せエントリー」もあり。

http://www.paracupsendai.info/


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東北で見つけた看板娘
~カフェレストランSKY PIEA(スカイピア) 鈴木洋子さん~
東北で見つけた看板娘
ビーフカレーやステーキ、麺類などランチメニューが充実。「コーヒー1杯からでもお気軽にどうぞ」と鈴木洋子さん
 
東北で見つけた看板娘
店内から一望できる絶景


東北で見つけた看板娘
カレー風味のスパイスが効いたビーフたっぷりの自家製クラブサンドのセット(700円)


東北で見つけた看板娘
「気仙沼カントリークラブ」のクラブハウス2Fが店舗です。ゴルファーだけでなく一般の利用も大歓迎。


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   店内に入ると飛び込んできた絶景。周囲のお客さんたちからも、おもわず感嘆の声があがっていました。海側は全て大きな窓になっており、目の前一面に、太平洋を望む大パノラマが広がっていました。気仙沼市の中心部から車で20分。太平洋を望む高台に広がる「気仙沼カントリークラブ」のクラブハウス2階に、カフェレストラン「SKY PIER(スカイピア)」があります。

 自家製のクラブサンドやランチのビーフカレーには、肉の旨味がしっかり詰まった赤身の牛肉がふんだんに使われており、さっぱりしているのに食べ応えがあると好評です。

 チーフとして店を切り盛りする鈴木洋子さんは、気仙沼出身。震災後、ボランティアとして町の復旧作業に参加ていました。この活動がきっかけとなり、スカイピアの開店を計画していたオーナーと知り合い、2012年1月の開店から店の切り盛りを任されています。

 「被災地と言うと、壊れた建物や海沿いのイメージがあると思うんですけど、ここは少し雰囲気が違うでしょ」と鈴木洋子さん。
地元の人たちからは”日常の喧噪から離れてリラックス出来る隠れ家”として、親しまれています。
ゴルフ場の敷地の中という立地のため、ゴルフ客の利用が多いそうですが「県外からの観光の方や、カフェのみの利用も大歓迎」とのこと。特に、ゴルフコンペの少ない平日は、ゆっくりとくつろいでいただけるのでおすすめです。

 鈴木さんは「ぜひ県外の方にも、気仙沼にこんな所があったんだと知ってもらえたら」と言いながら、気仙沼湾や大島も望む事が出来るテラスを案内してくれました。
「震災のイメージが強い気仙沼ですが、もともと自然豊かな土地だったので、ぜひ本来の気仙沼の姿にも触れてもらえれば嬉しいですね」(岸田浩和)

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Information
カフェ&レストランSkypie(スカイピア)
電 話:0226-27-3150
住 所:宮城県気仙沼市長磯大窪152-38 気仙沼カントリークラブ 2F
営 業:11時頃~17時、不定休 https://www.facebook.com/pages/%E6%B0%97%E4%BB%99%E6%B2%BCcc-caferestaurant-Skypiea/350552151637488?fref=ts
 
東北だより
 
東北だより
【photo01】 7/31川開き祭りで建物の壁に投影された映像をみる観客(撮影:楠瀬友将)
 
 石巻では7月31日、8月1日に市内最大のお祭り「川開き祭り」が開催されました。市街地では車の通行が規制された道路に多くの人が溢れ、震災以降活発になった石巻の人と人との交流を象徴するように、圏内外から多くの人がまちなかに訪れました。 【photo01】

 「川開き祭り」に向けて、まちがそわそわし始めるころ、石巻では様々な学びのプログラムが行われました。東北ライブ大作戦のサポートを受けて完成したライブハウス「ブルーレジスタンス」では、パンクバンド「ハイスタンダード」のドラマー恒岡章さんらによるカホンという打楽器のワークショップが行われました。会場には小学生から大人まで幅広い人たちが訪れ、恒岡さんがカホンで表現できるリズムパターンを披露すると、参加者たちは熱心に学んでいました。実は石巻は、この打楽器カホンの代表的な生産地、このライブハウスの隣には国内でも有数なカホンメーカー「アルコ」の工房があります。もともとある石巻の資源を活かしながら交流とともに、学びの場が持たれることは震災から3年目を迎える石巻各地でおこってきたことのひとつです。【photo02】
 
石巻のライブハウスでカホン演奏ワークショップーハイスタ恒岡さんら講師に

 7月には大分県別府で始まったオンパクの手法を石巻に導入した体験型交流プログラム「石巻に恋しちゃった」の第2回が開催されました。8月11日まで石巻の様々な「達人」から学ぶことができます。達人と参加者たちが交流を通じて石巻の魅力を発見し、交流する仕組みです。参加者も達人も8割以上が地元の方だといいます。興味深いプログラムとしては築150年を超える古民家レストランで親方おすすめのビールの飲み方を伝授してもらうプログラム、刺し網漁体験のあと、その場で穫れた魚を調理するプログラムなど。同プログラムの実行委員の一人から、まちづくりは交流の密度を上げることといった言葉を聞きました。学びというキーワードを手がかりに、石巻の魅力的な人たちを通じて、さらに石巻のことを知り、育てるといった感覚を生み出しています。【photo03】

体験型教室イベント「石巻に恋しちゃった」第2弾-市民が特技・技能を伝授

 また、石巻経済新聞編集局がデスクを置くISHINOMAKI 2.0でも、川開き祭りの前一週間をまち開きイベント「石巻STAND UP WEEK2013」として連日まちづくりを考えるイベントを開催しました。野外映画上映会に始まり、一箱古本市、アプリ開発イベント石巻ハッカソン、まちづくりシンポジウムなど数々のイベントを開催しています。【photo04】

石巻で実験的まちびらきイベント-「石巻スタンドアップウィーク」開催へ

 「川開き祭り」は石巻の子どもたちが、楽しみで楽しみで前日は眠れないほど、にぎやかなお祭りだったといいます。今石巻のまちなかに起こっているこうした交流の取り組みは、まちを変えてしまうのではないかという期待感さえも秘めています。世界中から様々な人材が集まり、アイディアの種と、まちの文化や資源が入り乱れている今の石巻だからこそできる学びがここにはあるのではないでしょうか。人を育てることがまちを育てること。これからのまちの担い手を育て、知的好奇心を刺激し続けられるまちづくりとともに石巻は一歩ずつ進んでいきます。 (勝邦義、小泉瑛一)

 
東北だより
【photo02】 ハイスタンダード・恒岡さんによる打楽器カホンのワークショップ
 
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【photo03】 体験型交流プログラム「石巻に恋しちゃった」のひとつ、陶芸家の亀山英児さんによる陶芸教室
 
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【photo04】 「石巻STAND UP WEEK2013」プログラム野外映画上映会(撮影:楠瀬友将)
 
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Information
石巻経済新聞
http://ishinomaki.keizai.biz/

一般社団法人 ISHINOMAKI 2.0
http://ishinomaki2.com/
 
今月のお取り寄せ
 
今月のお取り寄せ
大きすぎず小さすぎず絶妙のサイズ感。お茶請けにもぴったりだ。

今月のお取り寄せ
中には胡桃がたっぷりと練り込んであり、同時に異なる2つの食感が楽しめる。
胡桃ゆべし 8個入り 880円
  ゴチまぐ!編集部編集部
イチオシの理由は?
 今回は宮城県の伝統的な和菓子、胡桃ゆべしをご紹介します。
 ゆべしというとゆずを使った珍味・和菓子が全国にありますが、宮城県のゆべしはゆずを使わずに、胡桃や胡麻を使っているのが特徴です。
 ということで、早速お取り寄せしてみました。
 もっちりとした食感なんですが、胡桃がまんべんなく練り込んであるのでカリッとした食感も同時に楽しめます。
 胡桃独特の香ばしい香りも感じられますね。
 和菓子というと過度に甘い物を想像する方が多いかも知れませんが、こちらは「甘じょっぱい」という印象。
 お餅に、みたらし団子のタレと胡桃を練り込んだようなイメージです。
 これならばそんなに甘い物が得意でない方が食べても美味しく頂けるのではないでしょうか。
 1つ1つの大きさも、大きすぎず、小さすぎずちょうど良いサイズ。
 お茶請けにはもちろん、仕事終わりなど「ちょっと甘い物が食べたいな」という時にも重宝しそうです。
 気になった方はぜひお取り寄せしてみてください。
 1週間程度常温で日保ちしますので会社に持って行き、みんなで食べるのも良いのではないでしょうか。
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Information  ご注文はこちら↓
御菓子老舗ひろせ
http://shop.0141hirose.jp/?pid=32652259
 
 
【東北まぐ】 2013/08/11号 (毎月11日発行)
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編集 :岸田浩和
取材 :岸田浩和、平沼敦子、高杉記子
デザイン :九門 淳(有限会社セカンドリビングプロジェクツ)
スタッフ :本村彰英
表題写真 :岸田浩和
 
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