東北まぐ37号 2014年8月
「前へ、前へ!!」福島わらじ祭りの力強い足取り、震災で感じた飲食店の役割、石巻「川開き祭り」に9万人来訪、なまどら焼
東北まぐ
前へ!沿道の大歓声を受け、懸命に山車を押す「わらじ競争」の参加者。/福島県福島市
(撮影/岸田浩和)
はじめに
 毎年8月の初旬に開かれる「福島わらじ祭り」。会場の栄町周辺には、はっぴや浴衣姿の人たちが今年もたくさん集まっていました。古くは、健脚や商売繁盛を祈って奉納された羽黒神社の大わらじの神事が、東北有数の夏祭りとして現在に受け継がれています。
 2日目の午後に行われる「わらじ競争」では、2騎の山車が会場に鎮座する全長12m、重さ2tの巨大なわらじの下で一騎打ちを行います。

はじめに
長さ12m、重さ2tの日本一のわらじ。

 重量のある山車が、参加者の息づかいとともに力強い足取りで進んでいきます。目の前を駆け抜ける山車に向かって、観客たちが大きな声援を送っています。
 「前へ、前へ!!」
 みなさんが、東北に足を運ぶきっかけとなることを願って「東北まぐ」37号をお届けします。
岸田浩和
 
行ってきました東北
震災を経て原点に返った、福島の農業のこれから(2)
行ってきました東北
左より、「ありがとうファーム」の筥崎晋さん、「やきとり大吉」の正木聡さん、「ファーム白石」の白石長利さん。
 
地産地消の先にある、顔が見える「食」のかたち

 6月の休日、いわき市小川地区の水田で「ありがとうファーム」の体験田植えが行われていました。 ここに関わる3人の「農業」と「飲食」のプロが、それぞれの立場から震災後の新しい「食」のあり方を模索しています。(前回記事はこちら
 震災後、東京の職場を辞めていわきで農業をはじめた筥崎晋(はこざき・すすむ)さん。震災後に参加した地元いわきのボランティア活動をきっかけに「自分に出来る事は何か」と考え、Uターンに踏み切りました。
 
 「使っていない田畑があるんだが、有効利用できないだろうか」という、「やきとり大吉」のマスター正木聡さんの問いかけをヒントに、地域再生と地域活性に繋がる農業に挑戦しています。
「放射能や農薬など、見えないものを気にしないといけなくなってしまった。こんな時代だからこそ、安心出来る美味しい野菜をいわきで作って行きたい」という筥崎さんは、長年自然農法に取り組んでいる「ファーム白石」の白石長利さんから様々な技術アドバイスを受け、あたらしい仲間とともに野菜作りに取り組んでいます。

 今回の体験田植えは、「やきとり大吉」のマスター正木さんが筥崎さんへ「お店のスタッフに、自分たちが提供する“食材”をつくる段階を知って欲しい」と話した事がきっかけで実現。約7反の田植えを行いました。「作る人、提供する人、食べる人、それぞれが同じ場所で同じ経験をすることで、食への理解が深まるんじゃないでしょうか」筥崎さん。放射能の問題や農産物の安全についても「消費者や提供者が直接栽培に関わったり自分の目で過程を見て、納得してもらう事が一番の安心につながる」と話します。

震災を経て感じた飲食店の役割

 震災から2週間足らずの2011年3月25日。原発事故対策に関わる人たちの前線基地になっていたいわき市には、緊迫した空気が流れていました。沿岸部では、津波被害者も多数でており、ほとんどの飲食店は営業を見合わせたままでした。
 「やきとり大吉」のマスター正木聡さんは、家族を一時避難させましたが、いわきに戻って店の再開準備を始めました。「こんな時期に店を開けても誰も来ないだろうし、何を考えているんだ?と批判されるかもしれない」と考えましたが、店の提灯に明かりをともしてのれんを上げました。

 いわきに残っていた常連客や友人が、店の明かりに吸い寄せられるように集まり、あっという間に満席となりました。店にやって来た正木さんの友人が席につくなり「家族が流されてしまった」と頭を抱え、話しながら感極まって涙を流しはじめました。たまたま隣あわせになったお客さんが「うちも家族と会社が流されて、どうしていいのかわからない。でも自分の命はこうして残ったんだから、とにかくがんばろうやっ!」と声を掛け、背中をどんとたたきます。この日ばかりは見知らぬお客同士も他人と思えぬ雰囲気で、お互いを励まし、支え合う姿が店中に広がっていました。

 また、悲壮な面持ちで「明日から原発の冷却作業に向かうんです」と話す復旧作業員へ向けて「僕らの命が守られるのは、あなたのおかげです」「ありがとう」「頑張って!」と、店に居合わせたお客さんが総出で握手を求め、励ましている様子を目の当たりにしました。

 このとき正木さんは、「僕たちは、単にお酒や食べ物を提供しているだけではないと気づいた」といいます。「居酒屋という場所を通じて、お客さんに対して“安らぎ”や“喜び”、人同士の“繋がり”を提供する事が出来る」と大きな可能性を実感しました。この経験を元に「お客さんに“ありがとう”と喜んでもらえる店を作ろう」という意識がより明確になり、「食」を通じて「おいしい」といっしょに「安心」や「たのしい」を体験してもらえる居酒屋のイメージが具体化してきました。

 地域の農産物を、一番おいしい時期に自然な形で届ける「地産地消」をキーワードに、生産者、提供者、消費者の三者が一体となって「地域活性」や「安心」取り組む、新しい「食」の挑戦が始まっています。
 「僕たちにも出来る事は、たくさんあると気づいた」という筥崎さんは、「多くの方が応援してくださり、今の自分がある。とにかく前に進むしかない」と話します。「震災以降の“福島”の問題に、自分たちの仕事を通して、前向きに取り組んでいきたい」と話す正木さんは、「8月下旬に、2店舗目の新しい店がオープンするんですよ」と笑顔で話してくれました。
(取材・執筆:岸田浩和
 
行ってきました東北
「ありがとうファーム」体験田植えの様子。筥崎さんが、参加者に田植えの手順を説明する。
 
行ってきました東北
「やきとり大吉」の店内で自家製のとり皮を焼く正木さん。
 
行ってきました東北
オクラはさみ(左)とズリ(右)。
 
行ってきました東北
いわき平店の店内。正木さんは、震災後2週間足らずでこの店を再開させた。8月には2店舗目がオープンする予定。
 
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Information
ありがとうファーム
やきとり大吉 いわき平店
●ファーム白石
福島県いわき市小川町下小川字味噌野16
TEL/FAX:0246-83-2153
いわき市見せる課プロジェクト

東北マップ
 
東北だより
9万人が来訪!石巻「川開き祭り」開催
東北だより
川開き祭りであがった花火。
写真提供:村上源(石巻復興プロジェクト
 
 8月1日夜、東日本大震災からの復興への祈りと希望を込めた約6000発の花火が盛大に打ち上げられ、宮城県石巻市域最大のお祭り、石巻川開き祭りが幕を閉じました。前日に行われた震災犠牲者を悼む灯篭流しや慰霊祭を併せて9万人の人々が訪れました。

 ISHINOMAKI 2.0では震災後の2011年から、川開き祭り前の約一週間を「石巻STAND UP WEEK」と銘打ち、その期間中は、未来について考える一週間として、毎日イベントやワークショップ、シンポジウムなどを開催しています。4年目となる今年のテーマは「未来作りの見本市」。今の石巻で起こっている新しい未来を切り開く取り組みや、これからの石巻にこんな未来があったらいいな、というような50を超える体験型イベントを市内中心部の商店街を主な会場として開催しました。今年は「食べる」「作る」「触れる」「遊ぶ」の4つのシナリオを軸に、様々な世代、肩書を超えた人々を巻き込みながら、連日イベントを行いました。ここでは少しだけどんなコンテンツがあったのかをご紹介したいと思います。
 
 「食べる」のコンテンツで今年初めて挑戦した「石巻夕凪ダイニング」では、地元の和食やフレンチのシェフ5組が、石巻の食材を使ったオリジナルコースを提供しました。3日間限定の野外レストランに100人以上のお客さんが集まり、今ここでしか味わえない一皿を楽しんでいました。反応も上々で、「このシェフのお店はどこにあるの?改めて行ってみたい」という声も聞こえました。

 また、「遊ぶ」のコンテンツでは、地元のスケートボーダーが作ったスケートランプのまわりの空き地で、スケートボードやBMX、けん玉、ブレイクダンスなど、ストリートカルチャーを集めた1日限定のパークを作りました。祭りの雑踏の中、足を止めて「カッコイイ!」と目を釘付けにしていた子どもたちの姿が印象的でした。

 石巻川開き祭りは、「海開き」のように川で遊泳できる解禁日を表すという意味ではありません。元来は、伊達政宗の家臣であった川村孫兵衛が治水事業のために北上川を開削した際の水難犠牲者や、海難事故の犠牲者を弔う鎮魂のための祭りでした。東日本大震災を経て、その意味合いはより強くなりました。その上で新しい石巻の未来を共に描く、そういう祭りが石巻の夏の風物詩になればと思っています。
(ISHINOMAKI 2.0 小泉瑛一)
 
東北だより
地元のスケートボーダーが子どもたちに向け、スケボーやけん玉、ブレイクダンスなど、体験型のストリートカルチャーを集めた1日限定パークを開催した。
 
東北だより
地元の和食やフレンチの一流シェフ5組が参加し、各々が腕を振るった屋外レストラン「石巻夕凪ダイニング」の様子。

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Information
●ISHINOMAKI 2.0/石巻2.0
http://ishinomaki2.com
●石巻掲載新聞
http://ishinomaki.keizai.biz
 
今月のお取り寄せ
 
今月のお取り寄せ
3種×5つあるので贈答品にもピッタリ。

今月のお取り寄せ
どら焼きのしっかりとした甘さは濃いお茶ともベストマッチ。
  ゴチまぐ!編集部
イチオシの理由は?

 宮城県の人気スイーツ「なまどら焼の3種セット」をご紹介します。

 生どら焼とは、どら焼の餡に小豆と生クリームを練り込んだもののこと。
 今回は通常の生どら焼に、ごま風味、サワークリーム味の3種類がセットになったものをお取り寄せしてみました。

 通常の生どら焼は上質な小豆とフレッシュな生クリームを練り込んだ一品。
 餡のクリーミーな口当たりと、皮のふっくらとした食感と絶妙にマッチ。

 ごま風味は小豆餡と黒ごま、生クリーム入った商品。
 黒ごまの香ばしさが鼻に抜け、実に風味が良いですね。

 サワークリーム味は餡にチーズが入っており、絶妙な塩味が付いています。
 これが皮の甘さを引き立たせ、非常に美味。甘い物が苦手な方でも楽しめるはず。

 3種の味があるので贈答品にも最適。
 関西ではお中元は8月15日までに送るのがことが多いようなので、「うっかり送るのを忘れてた」という人はぜひ参考にしてみてください。

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●菓子匠 榮太楼
https://ssl.namadora.com/tsuhan/
 
 
【東北まぐ】 2014/08/11号 (毎月11日発行)
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編集 岸田浩和
取材 :岸田浩和
表題写真 :岸田浩和
 
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