東北まぐ42号 2015年01月
南三陸の交流イベント”第二のふるさとカフェ”、福島タイムラプス、東京大森の「海苔ワークショップ」、福島の白桃缶。
東北まぐ
震災の津波で43人が犠牲になった宮城県南三陸町の防災対策庁舎。震災遺構としての保存の是非が話し合われる中、県が町に代わって2031年3月まで管理し、保存する方針を固めた。
はじめに
さかのぼること3年半。はじめてこの町を訪れた日、支援者の拠点やボランティアセンターの前には、たくさんの物資や県外からの人が集まっていました。プレハブの事務所には、朝早くから深夜まで電気が灯っていた光景を思い出します。

そうした拠点の多くは、役目を終え現在はひっそりとしています。かつては支援者がスコップを持って行き来していた通りにも、現在は立ち入り禁止の柵が張られ、ダンプカーが往来しています。いま、そこに立つのは、数年後に完成する新しい町の地図をもった、工事関係者や行政の方たちです。

復旧から復興へ。
志を持った個人が、軍手と長靴を持って東北沿岸の再興に携わる場面は、もう少なくなってしまいました。そして、この地を訪れる支援者の数も、日に日に少なくなっています。

しかし、この土地の人々の暮らしは日々続いており、生活の不自由や人口流出などの課題は、未だに解決していません。スコップを持った勇ましい作業は減りましたが、関わり方が多様化しただけで、人々の力を求める状況はかつてと同様です。現地で耳を澄ますと、県外の人たちの協力を求める声は、あちこちから聞こえてきます。

皆さんが東北に足を運ぶきっかけとなる事を願って、東北まぐ第42号をお届けいたします。
“第二のふるさとカフェin南三陸” 〜繋がる事から一歩前へ〜
行ってきました東北
イベントを主催する伊藤孝浩さん(左)と、栗林美知子さん(右)。伊藤さんはUターン、栗林さんは東京と宮城を行き来する形で、現在南三陸に関わる仕事に携わっている。
東北沿岸に関わる人のIターン、Uターン、2拠点生活の実際を知る

被災地支援に携わっている人や、地元企業への就業などで、県外からやって来た人を数多く受け入れている、東北沿岸部の町。それぞれの活動や仕事で顔を合わせるメンバー以外は、同じ町にいてもなかなか知りあう機会もなく、交流のチャンスも少ないのが現状と言えます。

さまざまな理由で東北沿岸に移住し暮らす人たちや、県外の人たちと一緒に活動を行う地元の方との幅広い交流を促すため、交流イベント“第二のふるさとカフェin南三陸”が、南三陸ポータルセンターで開催されます。

このイベントを企画しているのは、県外出身でNPO法人の事務局運営に携わるため震災後に南三陸にやって来た栗林美知子さんと、南三陸町出身で東京や海外での会社員生活を経てUターンで起業し、海産物の直販サイトの運営を行う伊藤孝浩さんのお二人です。

栗林さんは、東京の企業で働いているときに震災が起き、ボランティア活動を通じて南三陸町にやって来たのがきっかけでした。「自分の人生にとって、とても大きな体験だった」と振り返る栗林さんは、より深く支援活動に携わるため仕事を退職し、東京と東北を行き来しながら、女性の支援を行うNPO活動の立ち上げを行いました。現在は別のNPO法人の事務局運営に携わるため、月の大半をここ南三陸町で暮らしています。

伊藤さんは、新卒で入った会社での海外赴任中に震災が起き、1年を経て当時の会社を退職し、地元の南三陸町に戻ってきました。「当時は地元に戻って何をすればいいのかわからなかったが、とにかく南三陸に戻ることだけは、震災後から心に決めていた」と伊藤さん。

こうした二人がともに今感じているのが、「多様な人材が被災地に集まっているにもかかわらず、お互いが知り合う機会が少なくもったいない」という思いでした。こうした背景から、昨年8月に“第二のふるさとカフェin南三陸”を開催し、たくさんの新しいつながりやアイデアの芽が生まれました。

被災地の「○○な問題を解決したい」という、課題に対してやりがいを持つ方のほか、その土地に愛着を感じ、「この町の未来を、この土地の人と一緒に作っていきたい」と考える人もいます。栗林さんは「異なる思考の人々が、それぞれの多様な考えで取り組むからこそ、よりよい答えが生まれるんじゃないでしょうか」と考えています。
「震災後の被災地では、顔の見える人々の間で“今日と明日の復旧に取り組む”比較的小さなチームでの活動が中心でした」と栗林さん。「震災から4年近くを経て、長期的な都市計画を行政単位で考える時期に変わってきたため、長大な話が増えすぎて個人のノウハウやバイタリティだけではクリアできない課題が増えてきたのも事実」といいます。

伊藤さんは「被災地には、まだまだ未着手のやらなければならないテーマがたくさんあります」と話し、「個人のつながりやアイデアから生まれる、新しい取り組みを生み出すきっかけにしたい」という狙いがあるといいます。第2回目のイベントとなる今回は、ワークショップ形式で様々な立場の人が、各自のノウハウをシェアし、新しい動きにつなげる仕掛けも考えているそうです。

いま、東北の被災地に入って活動を行っている人、これから携わりたいと思っているが迷っている人、受け入れ側となる地元の方。それぞれの方にとって、良い出会いの場となる事を願って、“第二のふるさとカフェin南三陸”は開催されます。

「被災地で何かを始めたいがやりたいことがぼやっとしている、何からやったらいいかわからない、やりたいことはあるけれど一緒にやる仲間が欲しいーーーといった、これから現地で活動を始めたいと考えている方にも、ぜひ足を運んで欲しい」と栗林さん。「被災地が復興に向かうには、まだまだ長い道のりです。もう遅いと言うことはないので、気になった瞬間がスタートだと思って、是非飛び込んできて頂ければ嬉しい」と力を込めます。
岸田浩和
行ってきました東北
会場となる、南三陸ポータルセンター。地元の活動や県内外を結ぶ交流の拠点として昨年の8月にオープンした。

行ってきました東北
昨年8月に開催した、「第二のふるさとカフェ」1回目の様子。南三陸をはじめ宮城県の様々な地域で、復興支援や地元の事業に関わる人たちが参加し、交流や情報交換を行った。(写真提供:南三陸町公式ブログ 南三陸なう)

Information
“第二のふるさとカフェin南三陸” 〜繋がる事から一歩前へ〜

日 時:1月18日(日)13時〜16時
場 所:南三陸ポータルセンター
住 所:宮城県本吉郡南三陸町志津川字御前下51-1
参加費:500円(ドリンク付き)
申 込:shopmaster@odette-shop.com (担当者:伊藤まで)
地元の思いが詰まった場所を残したい!〜福島県いわき市〜
タイムラプス作家・清水大輔さんが伝える、在りし日の記録
タイムラプス
福島県いわき市の海岸で、津波に耐えて残っていたある建物を映した「タイムラプス映像」が、ウェブ上で話題を呼んでいます。海岸際に建つ建物に、色鮮やかなパッチワークが掲げられた、この映像を制作したのは、昨年11月号で紹介した、タイムラプス映像の作り手、清水大輔さん(38)。震災を契機に、地元福島の印象的な光景を、タイムラプスという手法を使って記録しています。

そして、この建物は、昨年12月号で紹介した、いわき市の湯本駅の近くで移転営業をはじめた「カフェ サーフィン」の鈴木富子さんが暮らしていた住まいでした。震災以前はこの建物の向かいに「カフェ サーフィン」があり、まさしく鈴木さんの半生の思いが詰まった土地でした。

現在、周辺地域一帯が、震災復興による整備工事の対象区域となり、建物の取り壊し工事が始まっています。「津波に耐えて残ってくれた我が家が壊されるのが、なんだか寂しくて」と感じていた鈴木さん。残された自宅の二階に上がると、子ども部屋だった場所には、宿題をしていた勉強机がまだ残り、窓の外は震災前と変わらぬ海岸線の光景が広がっています。押し入れには、数十年続けた趣味のパッチワーク作品の一部も残っています。「祖母が大切にしていた生地や、カフェの常連のお客さんがくれた生地を使って縫い上げた」というたくさんのパッチワークは、鈴木さんの半生を投影した分身のような存在だといいます。

清水さんは、鈴木さんの思いを受け、鈴木さんの薄磯海岸の自宅にパッチワークを掲げ、在りし日の姿として記録するためカメラに収めました。

2015年に入り、薄磯海岸にあった建物はすっかり取り壊されてしまいました。鈴木さんは「昔のことを思い出すと、涙がキューンと出そうになるの。でも、きっともう大丈夫よ」と笑顔を見せてくれました。
岸田浩和
タイムラプス
津波にも耐え、薄磯海岸に残されていた鈴木さんのお宅。外壁に、鈴木さんの手がけたパッチワーク作品が掲げられ、清水さんによるタイムラプス撮影が行われた。昨年末、地域の整備工事で解体された。

タイムラプス
一眼レフカメラを使い、タイムラプス映像の撮影を行う清水さん。ファインダーには、鈴木さんのお宅の二階から見える薄磯海岸の光景が写っている。

タイムラプス
鈴木さんのパッチワーク作品。

タイムラプス
鈴木さんのパッチワーク作品。

Information
● 清水大輔

Youtubeチャンネル
Vimeoチャンネル
東松島の海苔を堪能したい!「海苔漁師さんに学ぶ海苔ワークショップ」
海苔ワークショップ
この海から採れる、おいしい海苔を食べながら、海苔漁の現状や生産者のについて学ぶ。
石巻マルシェin東京・大森

いつも食べている海苔は、どうやって作られているのでしょうか。生産者は、どういう想いで海苔を育て、私たちの食卓に届けてくれているのでしょうか。産地直送の新鮮でおいしい海苔を食べながら、海苔のこと、宮城県東松島のこと、東北の一次産業のことを学ぶことが出来るワークショップが、東京都大田区の「石巻マルシェ・大森ウィロード山王店」で開催されます。

ここ「石巻マルシェ」は、JR大森駅近くの商店街にある、宮城県石巻市のアンテナショップです。
石巻市に縁のある人々が中心となって、2011年11月にオープンしました。現在は、毎週1回土曜日の10時から18時の間で営業を行っています。地元石巻や三陸地方の海産物と産直品を販売するほか、三陸地方に関わるさまざまなイベントが、ほぼ毎月開催されています。

石巻に縁のある方はもちろん、震災後石巻に行って石巻が好きになった人、石巻や東北の食材が大好きな人、東北の生産者やメーカーの方たちと、地元大森や関東近郊の方々が集う場所として、貴重な拠点となっています。
「東京からでも気軽に参加出来る、石巻や東北を応援する活動は、まだまだたくさんあります。石巻や東北と東京を行き来しているメンバーも在籍しているので、興味があればスタッフに遠慮せず声をかけて下さると嬉しいです」と話してくれたのは石巻マルシェの代表、村上源さん(43)。今回の企画を担当する鵜澤昌美さんは「ワークショップイベントは、毎回ほのぼのした雰囲気が特徴で、お一人の参加や初めての方でも楽しめる内容になっています。ぜひ、気軽に訪れください!」と呼びかけています。

Information
「海苔漁師さんに学ぶ海苔ワークショップ」
日時:2014年1月24日(土)12時〜13時、14時〜15時の二回開催
場所:石巻マルシェ 大森ウィロード山王店
〒143-0023 東京都 大田区山王3丁目1-6
費用:500円程度を予定。

石巻マルシェ
石巻復興プロジェクト
今月のお取り寄せ
福島応援缶 まるごと福島の白桃 594
今月のお取り寄せ
桃の木がプリントされたどこか懐かしさを感じさせるデザイン。

今月のお取り寄せ
2つ割の白桃がゴロっと入った缶詰。満足度は十分。
東北まぐ編集部
イチオシの理由は?

新年あけましておめでとうございます。1月というと、風邪やインフルエンザが流行する時期でもありますよね。もちろん、病気にならない事にこしたことはないのですが、今回ご紹介するのは、そんな風邪をひいた時に食べたくなるものの代表格「福島応援缶 まるごと福島の白桃」です。なんでも白桃の缶詰は生の桃に比べ、水分量が豊富で糖分もあり、あまり食欲がない時にも食べやすいため、好まれるのだとか。
早速編集部でも食べてみました。缶を開けてみたところ2つ割りの桃が2個分入っていました。トロッとしたシロップに漬かった桃は十分な甘さを感じさせてくれますが、過度に甘すぎず、まさに絶妙な味。非常にジューシーで、疲れた時などに食べると元気になれそうです。そのまま食べるのはもちろん、プレーンヨーグルトなどに混ぜたり、クリームチーズ、生ハムと一緒に食べても美味しいのではないでしょうか。缶詰なので日保ちもしますのでストックしておくというのもオススメですよ。ぜひお取り寄せしてみてください。
 

Information
福鳥商店街
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【東北まぐ】 2015/01/11号(毎月11日発行)
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