東北まぐ44号 2015年03月
東北まぐ3年半の歩み、移住~気仙沼大島に生きる、東北まぐ・伝えたかったこと&次の一手、福島ブナの森ハチミツ。
東北まぐ
東北まぐ第1号の取材で訪れた、2011年7月の南三陸町。3年半の取材で最も印象に残った光景。暗闇の中に浮かび上がった防災庁舎のシルエットは、今でもこの目に焼き付いている。(宮城県南三陸町)
はじめに
はじめに
震災半年後の木野屋石巻水産の倉庫の様子。社員とボランティアの有志が協力し、汚泥に埋もれた缶詰を掘り起こした。東北まぐでは創刊第1号から、当時の工場の様子を半年にわたり連載した。

私たちは、メールマガジンだからこそ出来る「東北の伝え方」があるのではないかと考え、2011年8月に「東北まぐ」をスタートしました。読者が興味のある見出しだけを選択する一般的なネット媒体と異なり、メールマガジンは読者の手元へ、手紙のように届きます。
災害や事故の記憶は時とともに関心が薄れ、人々の記憶から消えていきます。しかし、復旧や復興には長い年月がかかり、多くの人たちの協力が不可欠です。だからこそ、メールマガジンの「読者のもとへ届く」という特徴を生かして、定期的に東北の人々の声をお届けする事にしました。

毎月1回、「震災以降の東北」を、みなさんに思い出してもらうために、300万人の読者へ「東北まぐ」をお届けしています。

創刊第1号から連載した木野屋石巻水産の「缶闘記」は、ドキュメンタリー映画「缶闘記」としても発表され、世界5カ国8箇所の映画祭でも発表されました。

私たちのお届けする「東北まぐ」は、一人でも多くの読者の皆さんに震災以降の東北を訪れ、そこにある人と物に触れ、感じて頂きたいと願っています。

これからもつづく長い道のりをともに。東北まぐ第44号をお届けします。

東北とともに生きる
〜ACTION Students' Project for 3.11/神田大樹さん〜
行ってきました東北
支援団体の活動で、気仙沼大島の子どもたちと親交を深める神田さん。

学生による被災地支援団体の代表を務める神田大樹さん(24)。
震災当初は、大阪大学に通う大学生でした。昨春から気仙沼大島に移住し、この3月で2年目を迎えます。大学では研究者の道を目指していた神田さんですが、現在は進路を教職へと変更し、気仙沼を拠点にした生活を送っています。神田さんの歩んだ震災以降の4年間を振り返り、いま必要な東北支援のかたちのヒントと「東北に関わることで見えてきた大切なもの」について考えます。
前編こちら

■まだ他にも出来ることがあるんじゃないか

震災直後から気仙沼大島に通い、がれき撤去のお手伝いから活動をスタートさせた神田さんたち。がれきの作業が一段落したあとも島の人たちとのコミュニケーションを続けていました。がれきの残った地域へ移動する団体もいる中、神田さんたちは「ここ大島で、まだ他にも出来ることがあるんじゃないか」と考え、活動の継続を模索していました。

そんな折、「島の子どもたちの元気がない」、「復旧作業で慌ただしい大人に子どもたちが萎縮している」という話を聞きました。以後、運動会や絵を描くワークショップなど、子どもたちに関わる支援活動に的を絞って展開します。

■生きる目的や未来を伝える

震災2年目を迎え、多くの支援団体が活動を縮小したり撤退する中、神田さんたちは継続して大阪から気仙沼へ通い続けました。島の子どもたちは、小さな頃から漁業関係に従事する大人たちを大勢見ながら暮らしています。「学校を卒業したら、自分も島の漁業に携わるんだろうなぁ」と考えている子どもたちが多く、実際の進路にも大きく影響しています。神田さんも「これが、離島という小さなコミュニティーで、島の産業基盤を支えてきた原動力だ」と理解する一方で、「島の外側の世界に触れ、こんな世界があるんだ!と驚き、自分の将来を決める際に選択肢を1つでも多く持ってほしい」とも感じていました。

大島小学校の菊田校長が「震災を経た今、子供たちには夢を持ってほしい」とお話しされたことを受け、神田さんたちは、将来のことや夢について考えるワークショップを企画しました。

■古いスタイルのつきあいに飛び込む

「当たり前のように大学に入って、疑いもなく研究者の道を歩んでいたが、このままでいいのだろうか?」震災から3年を迎える頃には、神田さん自身の心境にも変化が現れます。

月に一度の週末を利用して、地元大阪と気仙沼を行き来しながら、常に感じていたのは「もう一歩踏み込んで、島の事に関わっていきたい」という思いでした。漁師さんとお百姓さんが、それぞれがとった魚や野菜を物々交換しながら、お金を介さずに支え合って暮らしている島の風景が、神田さんにとってはとてつもなく豊かで贅沢な光景に見えてきました。

最初は震災で傷ついた人たちの助けになりたいとやって来た神田さんですが、島の人々とふれあううちに、一方が施すのではなく、お互いが不足するモノを融通し合い、助け合って生きる「物々交換」のような関係があることに気づきました。「島にある、古いスタイルの人付き合いは、一見面倒に見えましたが、いざ飛び込んでみると生きる知恵が詰まった、非常に合理的な仕組みだと気づきました」と神田さんは話します。

■気仙沼で見えてきた、支援の形

神田さんは進路を教職に切り替え、2014年の春から生活の拠点を気仙沼に移します。大島の中学校で放課後の学習指導に携わる仕事に就きながら、趣味のインドカレー作りをイベント化して人をつなげる場づくりに発展させたり、気仙沼の特産品を産学協同で開発し商品化するプロジェクトにも関わり始めます。

「私が、皆さんを助けにやって来ましたーーーと言う大上段から支援の形は、いまは減ってきたんじゃないでしょうか」と神田さん。「今も継続している支援活動の多くは、一方向の関係ではなく、共存の関係性があると思います」。そこから見えてきたのは、足りないモノを物々交換し、ともに豊かな暮らしを作り上げる、昔ながらの生活の知恵でした。

■被災地に暮らし、見えてきた景色

神田さんは、気仙沼に滞在する目的を、「支援をすることがすべてではありません」と言います。「ここに暮らす人たちと一緒に、この土地の未来を一緒に眺めてみたい。助けるのではなく、一緒につくること。その仲間に入れてもらいたいというのが今の心境です」と話します。

被災地に関わることで見えてくる景色の一つに、「生と死の身近さ」があります。普段の生活ではなかなか実感することが出来なかったたくさんの死の先に、自分たちの暮らしがある事に気づかされる震災以降の東北。だからこそ、自分の道を選択する「瞬間の連続」に生きていることが実感できます。

「気仙沼と大島に関わって、自分に何が出来るのかを突き詰めたら、迷ったり失敗しながら、自分の生きる道がうっすらと見えてきました」と柔らかな表情で話す神田さん。「将来どうなるかなんてわからないけど、もう少しここで、自分の出来ることをがんばってみようと思います」。
(取材/岸田浩和

行ってきました東北
子どもたちに、将来の夢や希望を持ってもらえるよう、ワークショップを行った。

行ってきました東北
教職を修めるために大阪大学に籍を置きながら、気仙沼大島の中学校で補習授業の臨時講師をつとめる神田さん。気仙沼の人たちと一緒に、この土地の未来を見てみたいからと、移住を選択した。

Information
● ACTION Students' Project for 3.11
ブログ/最新情報
公式サイト
東北まぐの伝えたこと、東北まぐのこれから
海苔まつり
岩手県陸前高田市にて

「東北まぐ」の取材で東北3県を訪れた回数は約50回、インタビュー総数120名、のべ発行部数1億通。
創刊から変わらずたったひとつのメッセージを伝えるために、発行を続けてきました。『一人でも多くの方に、震災以降の東北に足を運んでもらいたい。そのきっかけとなるよう、現地で活躍する人々の声を届けること』です。

そして今、私たちが想像したよりもずっと速いスピードで、風化が進んでいることを実感しています。

震災5年を迎える2016年3月に向け、一人でも多くの方が震災以降の東北に関心を持ち、自らの足で訪れてもらえるように、まずは無関心の壁を乗り越えられることを願っています。多くの方の行動につながるアウトプットをめざして、次の1年間はこれまでにない「新しい表現」で「東北まぐ」のメッセージを発信することにいたしました。

まぐまぐの公式メールマガジンとしての「東北まぐ」発行は、今号で一区切りとなります。そして次号以降は、動画を使った新しいプロジェクトをスタートします。

長きにわたり東北まぐを応援下さりありがとう御座いました。そして引き続きよろしくお願いいたします。

「東北まぐ」のこれから
http://tohokumovie.strikingly.com/

「東北まぐ」責任編集 岸田浩和

今月のお取り寄せ
ブナの森はちみつ 栃の花(150g) 1,404円(税込)
今月のお取り寄せ
値段は少々お高めですが、買って損はない美味しさです!

今月のお取り寄せ
トロリと甘い蜂蜜ですが、甘さがしつこくないのもポイントです。
東北まぐ編集部
イチオシの理由は?

今号でご紹介するのは福島県の『ブナの森はちみつ 栃の花』です。栃の花の蜂蜜は、東北地方で生産量が多い、まさに東北地域を代表するはちみつ。今回は蜂蜜そのものをしっかりと味わえるように、全粒粉パンにたっぷりと付けて味わってみました。
まず感じられるのが上品で優しい爽やかな香り。口の中には深み、コクのある甘さが広がっていきます。蜂蜜というと、濃厚な甘さを感じるものもありますが、こちらの商品はどちらかというとさっぱりとしていてキレのある印象。マイルドな味わいは素材そのものの味を邪魔しません。紅茶に混ぜたり、お料理で使ってもマッチしそうなテイストです。ぜひぜひお取り寄せしてみてください!


Information
松本養蜂総本場

そして突然ですが、今回の配信をもちまして「東北まぐ」はひとまず月刊体制での最終号を迎えます。東日本大震災からはや4年経ちましたが、まだまだ復興は道半ば。「今月のお取り寄せ」コーナーでは東北ならではの特産物を少しでもみなさんに知っていただけるよう、様々な美味しい食べ物をご紹介させていただきました。
中には「東北まぐが、自社が作っている商品を多くの方に知っていたくきっかけになった」と嬉しいご意見をお寄せ頂いた生産者の方々もいらっしゃいました。これもひとえにご愛読頂きました読者の皆様のおかげだと考えております。
東北の本当の意味での復旧復興を祈念致しまして当コーナーを締めたいと思います。3年半の長きにわたりご愛読頂きましてまことにありがとうございました。

バックナンバーはこちら
 
【東北まぐ】 2015/03/11号(毎月11日発行)

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