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ウーバーイーツ報酬3割減で配達員が苦境に。「下がるの当然」「同情できない」利用者からは冷ややかな反応も

フードデリバリーサービスの代表格であるウーバーイーツが、3月から一部地域で配達員に支払われる報酬体系を引き下げたことが判明し、大きな波紋が広がっている。

報道やSNS上の反応などによると、報酬がダウンしたエリアは福岡県と京都府の各エリア。配送距離などに応じて算出する基本料の水準を下げ、報酬総額は平均で約3割下落したとのことだ。

なおウーバーイーツの報酬体系の大幅改定は、2019年冬以来とのことだという。

配達員たちからは「足元を見られている」との声

今回の新しい報酬体系だが、SNSで発信しているウーバー配達員たちの声を見ると、事前に詳細な内容の告知がなくスタートされたようで、3/1当日には配達員からの困惑の声が続々とあがるなど、ある種の混乱状態に陥ったようだ。また一部の配達員の間では、報酬体系改定後の報酬データを共有し、新たな報酬体系の全貌を解明しようとする動きも見られた。

その後、報酬体系引き下げの内容が徐々に露わになるにつれて、配達員たちからは「足元を見られている」といった怒りの声が多くあがる事態に。「こんな低賃金で配達しちゃダメ」「配達する人がいるから運営側はそこまで危機感もなく平然とできる」といった、配達のボイコットを呼びかけるような声も一部ではあがった。

それらの影響もあったのか、報酬体系の引き下げが行われた京都と福岡の各エリアでは、配達員の稼働数が極度に減るという事態も起こった模様。一部では、注文を受けて作られた料理が、配達員不足のために客先にデリバリーすることができず、やむなく処分されたという悲しい出来事もあったようだ。

利用者サイドからは冷ややかな反応

新型コロナウイルスの感染拡大による外出の自粛や飲食店の時短営業を背景に、急成長を遂げたウーバーイーツ。ただ昨年後半の段階で、配達員の数が飽和状態に達するなどして、配達員も会社も厳しい状況が続いていたようだ。

当時の報道を振り返ると、新型コロナが拡大した3月ごろから配達員が急増したウーバーイーツだったが、その後「GoToイート」キャンペーンが始まり宅配の需要がにわかに減少。これにより仕事量と人員数の均衡が崩れ始め、仕事を奪い合う状況に陥ったという。

さらには「フードパンダ」「ウォルト」といった新規参入も相次いだこともあり、業者間での価格競争が激化。当該記事は、そのしわ寄せが配達員の待遇に来るのではと指摘し、「今後の報酬引き下げもあり得る」という形で〆られていたのだが、それが今回現実のものとなった格好だ。

しかし、いくら厳しい状況とはいえ、いきなり報酬を3割減らすというのは、あまりにも穏やかでない話。そのようなことが起きてしまうのは、ウーバー配達員が労働法に基づく労働者ではなく、ウーバー社から配達業務を請け負う「個人事業主」扱いだからというのは、度々指摘されている問題だ。

ただ他国の状況を見ると、フランスでは2020年にウーバーテクノロジーズと同社運転手との間に雇用関係があるとの判断が、現地の最高裁で下された。さらに今年2月にはイギリスの最高裁でも同様に、従業員として最低賃金や有給休暇が認められる判断が示されるなど、ウーバー配達員も含めたいわゆる「ギグワーカー」の権利を守る動きは、世界各地で出てきているようだ。

ところが、今回の「ウーバー配達員報酬3割引き下げ」に対する、利用者サイドからの反応を見てみると、「これだけ配達員が増えたら報酬が減るのも当たり前」「同情の感情が湧かない」といった、冷ややかなものが多いのが実際のところ。こういった層からの理解や支持が進まないことには、日本国以内のウーバー配達員を取り巻く厳しい状況が改善されることは、到底望めなさそうだ。

Next: 「3割近く報酬を下げられたらとても生活できていけません」

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