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ゲーセンミカド、時短要請「再々延長には応じぬ」宣言をファン後押し。飲食より悲惨なゲームセンター業界、協力金なく閉店相次ぐ

高田馬場と池袋に店舗を構え、ゲーマーからは聖地とも称されるゲームセンター「ゲーセンミカド」が、緊急事態宣言の再々延長があったとしても、通常営業を再開すると宣言したことが、大きな波紋を呼んでいる。

これまで自治体からの時短営業への協力呼びかけに応じ、営業時間を20時までとしていた「ゲーセンミカド」。ところが、資金的にこれ以上の時短要請受け入れが厳しいとして、3月22日以降は緊急事態宣言の有無を問わず、通常営業にすることとしたという。「ゲーセンミカド」のこの決断に対し、ネット上の意見は好意的なものが多いようである。

時短営業に応じても協力金なしのゲームセンター

もともと、その斜陽ぶりが伝えられていたゲームセンターだったが、長らく続くコロナ禍による入場者や売上の減少により、その経営状況はさらに悪化する格好となっている。

また緊急事態宣言下での営業時間の短縮要請に関しては、協力金が出る飲食店などでは、いわゆる「協力金バブル」といった状況も多く報じられているが、ゲームセンターに関しては、時短営業への協力を呼び掛けられるものの協力金はなしという、なんとも不公平なことになっているのだ。

そういった状況もあり、20年11月にはセガサミーがゲームセンターの運営から撤退するとの報道が。さらに今年に入ってからは、老舗ゲームセンターの「シルクハット池袋」や、対戦格闘ゲームブームの中心地として知られた「GAME SPOT21新宿西口」が営業を終了。また3月21日には、新宿西口の「タイトーステーション」も閉店予定と、有名店・好立地店を問わず相次いで閉鎖の憂き目に遭っている。

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そんな厳しい状況は、もちろん「ゲーセンミカド」も例外ではない。首都圏の1都3県に緊急事態宣言期間が出された21年1月上旬に報じられた東京新聞の記事によると、通常なら午前0時まで営業しており、午後7時過ぎから店が賑わうにも関わらず、東京都からの時短要請によって、閉店時間を午後8時に変更。緊急事態宣言が発出された8日午後の取材時は、ゲーム機約250台を備えるビル1~2階の店舗はほぼ無人だったという。

また最初の緊急事態宣言時には、20年4月から同年6月中旬までの休業を余儀なくされ、毎月約2,000万円という売上をほぼ2か月分フイにすることになった。その後クラウドファンディングによるファンからの支援で、なんとか危機を乗り切ったものの、その資金も底をつき、現在も再び寄付を募っている状況。もはや時短要請には付き合ってられないという「ゲーセンミカド」の判断も十二分に理解できるところだ。

ゲーセン離れならぬ「ゲーセンが離した」との声も

このように、もはや苦境を通り越して業界崩壊のドミノ倒しがすでに始まった感もあるゲームセンター界隈。このところネット上では「ゲーセン離れ」なるワードが取沙汰され、ここまでの厳しい状況に陥った理由を検証する動きが活発だが、やはり家庭用ゲーム機の進化やスマホゲームの充実ぶり、さらにゲーセン文化の中心を担うことを期待したい若者層に金銭的かつ時間的な余裕がないことを指摘する声が多いようだ。

ただ、それらの意見以上に多い印象なのが、UFOキャッチャーをはじめとする「クレーンゲーム」に対する不満だ。アームの握力をごく弱くするなどの設定で景品が極度に取れなくした点や、著作権無視のパチモノ景品の横行など、あまりにも客を蔑ろにした店側の姿勢が今日の状況を招いたという、いわゆる「ゲーセン離れ」ならぬ「ゲーセンが離した」といった、厳しい指摘も飛び交う。

そのいっぽうで、今後のゲームセンターはマニア向けのものが細々と残るのではといった指摘も。その点「ゲーセンミカド」のようなマニアック路線の店は、生き残る余地があるのではという声は多い。ゲーセンミカドは定期的にプレイヤー同士の対戦会や交流会を開催しており、ファンが集まって楽しめる「場」を提供する役割を担っていることが最大の魅力と言えるだろう。
※参考:定期イベントスケジュール – 高田馬場ゲーセンミカド
※参考:定期イベントスケジュール – 池袋ゲーセンミカド

仮に緊急事態宣言が解除されたとしても、当分は厳しい状況が続きそうなゲームセンター界隈。ゲームは家庭用ゲーム機やPC・スマホで十分に楽しめる時代とはいえ、雑多で賑やかなあのゲームセンターの雰囲気は、何物にも代えられないもの。それだけに「ゲーセンミカド」の存続を願うファンは、きっと多く存在するはずだろう。

Next: 「ミカドだけは守りたい」支持するファンは多い

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