高田馬場と池袋に店舗を構え、ゲーマーからは聖地とも称されるゲームセンター「ゲーセンミカド」が、緊急事態宣言の再々延長があったとしても、通常営業を再開すると宣言したことが、大きな波紋を呼んでいる。
【営業時間について】
ゲーセンミカドは緊急事態宣言延長に伴い、お客様の健康を第一に考え3月21日まで営業時間を20時までとさせて頂きます。しかし資金的にこれ以上の時短要請受け入れが厳しい状況です。3月22日以降、再々延長があったとしても通常営業を再開致します。ご確認宜しくお願いします。 pic.twitter.com/K6yagTzY0e— ゲーセンミカド総合アカウント (@babamikado) March 5, 2021
これまで自治体からの時短営業への協力呼びかけに応じ、営業時間を20時までとしていた「ゲーセンミカド」。ところが、資金的にこれ以上の時短要請受け入れが厳しいとして、3月22日以降は緊急事態宣言の有無を問わず、通常営業にすることとしたという。「ゲーセンミカド」のこの決断に対し、ネット上の意見は好意的なものが多いようである。
MKD NEWS Live 緊急報道特別番組 池田店長記者会見 https://t.co/ARJg5MGYwl
ゲーセンミカド 応援します!
コロナに負けるな! 普通に通常営業していきましょう!— ねずさん@エヴァ見終わり (@nez524) March 7, 2021
先日ゲーセンミカド様(@babamikado)のクラウドファンディングに、少額ではありますが支援させて頂きました。
また3/22以降の通常営業再開を祝し、勝手ではありますがイラストを1枚描かせて頂きました。
影ながら応援しております。また遊びに行かせて頂きます!#ゲーセンミカド pic.twitter.com/19QLFZiSkg
— 直樹 (@Naoki_Shinkiro) March 10, 2021
時短営業に応じても協力金なしのゲームセンター
もともと、その斜陽ぶりが伝えられていたゲームセンターだったが、長らく続くコロナ禍による入場者や売上の減少により、その経営状況はさらに悪化する格好となっている。
また緊急事態宣言下での営業時間の短縮要請に関しては、協力金が出る飲食店などでは、いわゆる「協力金バブル」といった状況も多く報じられているが、ゲームセンターに関しては、時短営業への協力を呼び掛けられるものの協力金はなしという、なんとも不公平なことになっているのだ。
そういった状況もあり、20年11月にはセガサミーがゲームセンターの運営から撤退するとの報道が。さらに今年に入ってからは、老舗ゲームセンターの「シルクハット池袋」や、対戦格闘ゲームブームの中心地として知られた「GAME SPOT21新宿西口」が営業を終了。また3月21日には、新宿西口の「タイトーステーション」も閉店予定と、有名店・好立地店を問わず相次いで閉鎖の憂き目に遭っている。
お客様へ
23年間という大変長い間、ありがとうございました。
先ほど営業を終了し、最後のお客様に「ありがとうございます」を言える事ができました。
永きにわたる御声援と御愛玩を、誠にありがとうございました。 pic.twitter.com/RGeVp3o79L— シルクハット池袋 (@SILKHAT_ike) January 11, 2021
仕事帰りに今日閉店する新宿西口のゲーセン、#SPOT21 へ。格ゲーの聖地と呼ばれてますが自分は80年代によく行ってました。今クレーンゲームが有る外にハングオン、ギャラクシーフォースⅡの筐体が置いてあったのとダライアス筐体の席に酔っ払いが寝ていたのが印象。
40年以上も長い間お疲れ様でした! pic.twitter.com/nG14AZyjaD— GCCX公認ニセ課長2 タニン (@tanin1971) January 20, 2021
【お客様各位】
いつも当店をご利用いただき
誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら
タイトーステーション新宿西口店は
2021年3月21日(日)をもちまして、
閉店させていただきます。
短い期間ではございましたが
多くのお客様の
ご愛顧を賜りました事を
心より感謝申し上げます。#タイステ pic.twitter.com/TlIOThqrbI— タイトーステーション 新宿西口店 (@Taito_shinjuk_w) February 21, 2021
そんな厳しい状況は、もちろん「ゲーセンミカド」も例外ではない。首都圏の1都3県に緊急事態宣言期間が出された21年1月上旬に報じられた東京新聞の記事によると、通常なら午前0時まで営業しており、午後7時過ぎから店が賑わうにも関わらず、東京都からの時短要請によって、閉店時間を午後8時に変更。緊急事態宣言が発出された8日午後の取材時は、ゲーム機約250台を備えるビル1~2階の店舗はほぼ無人だったという。
また最初の緊急事態宣言時には、20年4月から同年6月中旬までの休業を余儀なくされ、毎月約2,000万円という売上をほぼ2か月分フイにすることになった。その後クラウドファンディングによるファンからの支援で、なんとか危機を乗り切ったものの、その資金も底をつき、現在も再び寄付を募っている状況。もはや時短要請には付き合ってられないという「ゲーセンミカド」の判断も十二分に理解できるところだ。
ゲーセン離れならぬ「ゲーセンが離した」との声も
このように、もはや苦境を通り越して業界崩壊のドミノ倒しがすでに始まった感もあるゲームセンター界隈。このところネット上では「ゲーセン離れ」なるワードが取沙汰され、ここまでの厳しい状況に陥った理由を検証する動きが活発だが、やはり家庭用ゲーム機の進化やスマホゲームの充実ぶり、さらにゲーセン文化の中心を担うことを期待したい若者層に金銭的かつ時間的な余裕がないことを指摘する声が多いようだ。
個人的なゲーセン離れの理由
アプリも含めて携帯ゲーム機がこれだけ進化してるっていうのもある。
確率やらアームやらの設定厳しい。裏ワザ対策しすぎで自由度が低い。実力で楽しめない。ゲームというより流れ作業。クジみたいなのは好きな景品狙えないので無駄。
景品は大概買った方が安い。— まこと (@akuiwo) March 11, 2021
若者のゲーセン離れが深刻とのことですが…今の若者が金銭的にも時間的にも余裕はないからだと思います。そもそもゲーセンはコスパが悪すぎます。例えばUFOキャッチャーだと何千円もかけて挑戦しても獲得できない可能性があるなら『確実に買えるネットショップやオークション』に流れるのは必然です。
— Childish Teacher (@TeacherChildish) March 11, 2021
ただ、それらの意見以上に多い印象なのが、UFOキャッチャーをはじめとする「クレーンゲーム」に対する不満だ。アームの握力をごく弱くするなどの設定で景品が極度に取れなくした点や、著作権無視のパチモノ景品の横行など、あまりにも客を蔑ろにした店側の姿勢が今日の状況を招いたという、いわゆる「ゲーセン離れ」ならぬ「ゲーセンが離した」といった、厳しい指摘も飛び交う。
ゲーセン離れの原因(クレーンゲーム)
①景品が200円超えスタート
②アーム激弱&押しも制限
③持っても落とされ変な方向に弾む
④イラつく左右移動
⑤景品に届かなくなる→店員「初手位置になります。」⑥鬼滅、ツイステなど人気作品のパチモン景品
モーリーファンタジーの設定は許さない。 pic.twitter.com/jn7qh3UKaR
— 時鐘@趣味垢 (@tokigane62) March 11, 2021
ゲーセン離れを嘆く前にクソ弱アームと著作権違反の商品どうにかすることから始めろ。
— こーすけさんたまりあ⛩️新刊委託中 (@kousuke_LP) March 12, 2021
クレーンゲームの設定いじって全然取れんようにしたからやろ。運良く100円で取れる事がなくなった。ゲーセン離れというよりゲーセンが離したって感じ https://t.co/3WwuX9ulf5
— マキシマムザくまモン (@kumakumamon8356) March 11, 2021
そのいっぽうで、今後のゲームセンターはマニア向けのものが細々と残るのではといった指摘も。その点「ゲーセンミカド」のようなマニアック路線の店は、生き残る余地があるのではという声は多い。ゲーセンミカドは定期的にプレイヤー同士の対戦会や交流会を開催しており、ファンが集まって楽しめる「場」を提供する役割を担っていることが最大の魅力と言えるだろう。
※参考:定期イベントスケジュール – 高田馬場ゲーセンミカド
※参考:定期イベントスケジュール – 池袋ゲーセンミカド
ゲーセン潰れ、格ゲーなどのビデオゲームに限っていえばハード高すぎでプレイ料金が 100 円じゃ元取るまでクソ時間かかる、からの消費税 10% で死って感じかな。ミカドのようなマニアックな路線が生き残る道なんだろうか
— うん娘。 (@undaughter) March 12, 2021
用事で寄ったので、またミカド
すごいゲームを見つけた
2020年リリースっぽい格ゲーだけど、狙いがあまりにもピーキー過ぎる…
ゲーム画面も恐ろしく地味
キャラ名じゃなく、武道とか流派でキャラ選
しかもやたら数が多いわ、ジークンドーとか沖縄空手…マニアックなラインナップさいこうすぎる pic.twitter.com/OSCUfzlHLU
— のすけ (@nosnosnoske) February 18, 2021
仮に緊急事態宣言が解除されたとしても、当分は厳しい状況が続きそうなゲームセンター界隈。ゲームは家庭用ゲーム機やPC・スマホで十分に楽しめる時代とはいえ、雑多で賑やかなあのゲームセンターの雰囲気は、何物にも代えられないもの。それだけに「ゲーセンミカド」の存続を願うファンは、きっと多く存在するはずだろう。
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