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京急、驚きの低賃金&重労働が明らかに。「異常なまでの称賛も原因?」鉄道ファンからあがる自省の声

大手私鉄のひとつである京浜急行電鉄の社員が、低賃金かつ重労働という環境下で働いているとの記事が、ネット上で大いに取沙汰されている。

それによると、京急では乗務員を中心に退職者が続出し、運転士・車掌といった乗務員が1割近く欠員の状態になっているとのこと。退職した職員は、JR東日本や都営地下鉄などといった同業他社への流出が多いという。

その原因となっているのが、京急の劣悪な労働環境。休日に関しても、京急の乗務員は完全週休2日制ではないようで、2~3週に1度は週6日の勤務が入るようで、さらに欠員の穴を埋めるために休日出勤を余儀なくされるという。また残った休日も、欠員対応や有給休暇を取得する乗務員の代番として出勤することで、13連勤といったケースも多いのだとか。

このように休日出勤が増えている背景には、賃金の低さもあるとのこと。基本給だけでは生活ができないため、若手を中心に望んで休日出勤をする人たち多いようで、13連勤を含む月27日勤務で、手取り20万をようやく超える程度だという。

ビックサンダーマウンテンよりも速い京急

京急といえば、東京都内から横浜・三浦半島へと路線を伸ばし、羽田空港へのアクセスでも知られるいっぽうで、一部鉄道ファンの間からある種熱狂的な支持を誇る鉄道会社としても知られる。その魅力のひとつが、その異様なまでのスピードぶりだ。

つい最近話題になったこのツイートからも、「京急はとても速い」というパブリックイメージがすっかり浸透していることが窺える。実際「快特」なら、京急川崎~横浜間で時速120キロのスピードを出しているようで、東京近郊を走る通勤電車のなかでは最速の部類。ちなみに、ビックサンダーマウンテンの速度は時速40キロ程度のようだ。

さらに各駅に停まる「普通」も、他の優等列車のダイヤを縫うように走る必要があるため、駅発車後に急加速して次の駅へ向かうといった、ある意味スリリングな運転が常だという。沿線住民にとっては、それがもう当たり前なのかもしれないが、たまに乗る程度の利用者からは「暴走列車」「怖い」との声もあがる。

さらに、京急が一部の鉄道ファンから支持を受ける由縁となっているのが、人身事故や悪天候などでダイヤが乱れた際に発動されるという、通称「逝っとけダイヤ」という京急特有の運用である。

一般的な鉄道会社なら、その手のトラブルが起こった際には運転見合わせにするところを、京急の場合は完全復旧を待たずにとりあえず列車を走らせ、その都度の現場の状況に応じて途中駅からの種別変更や列車の運転打ち切り、さらに途中駅での折り返しといった力技を駆使して、正常運転に復帰させるという。

他社とは異なり、ポイント切り替えや出発信号の管理を自動化していないからこそ可能なこの芸当。それにより京急は「ダイヤが乱れにくい」「回復が早い」との評価を得る格好となっているのだ。

鉄道ファンからも「過剰な称賛」を自省する声が

このように、運転士など乗務員も含めた現場職員たちの力量の高さが同業他社以上に問われる環境にも関わらず、その待遇は驚くほど悪く、人員の流出が止まらないという実態が明らかになった今回の記事。それに対しネット上では様々な反応が見られるが、なかでも多いのが2005年に起こった「JR福知山線脱線事故」と絡めた見解だ。

乗客と運転士合わせて107名が死亡したこの事件。列車のスピード超過が直接的原因とされるいっぽうで、いわゆる「日勤教育」などで乗務員の精神的プレッシャーを増大させることで、現場を大いに疲弊させていたJR西日本の企業体質にも批判が集まった。今の京急の状況も、今回の記事を読む限りでは、その状況にとても近いものがあるのではという印象を持つ方は、結構多いようだ。

いっぽうで鉄道ファンからは、異常ともいえる京急への称賛が、今回取り上げられた乗務員たちの労働環境悪化にも繋がっているのではという、いわば自省の声もあがっている。上記の「逝っとけダイヤ」など他社にないイレギュラーな取り扱いが、マニアの間で支持を集めている京急だが、それ故に現場の職員たちにかかる負担は従来のまま放置され、改善されないのではというのだ。

日頃利用する沿線住民のみならず、鉄道ファンからも心配との声があがる今回の件。乗客の安全にも大いに関わって来る問題だけに、早急な改善が求められるところだ。

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