ボートレーサーが国の持続化給付金を不正受給していたとされる問題で、なんと211人もの選手が関与していたことが分かり、ファンの間に衝撃が走っている。
ボートレースを運営する日本モーターボート競走会などが、30日午前に開いた会見で明らかとなった。各社の報道によると211人の選手は、新型コロナウイルスの影響による減収がないにもかかわらず、嘘の申請をして持続化給付金を受給したとされている。
受け取った総額に関しては、現在調査中とのこと。同競走会や日本モーターボート選手会は、不正に受給した選手に対して自主的に返還するよう指示を出しており、すでに39人が自主返還したという。
コロナ禍でも売上絶好調なボートレース業界
ボートレースのオフィシャルサイトによると、2021年1月1日時点でのボートレーサーの人数は1580人。そのうち今回の問題に関わっていたのは211人ということで、実に全選手中の八分の一、約13%という大量の選手が不正に手を染めていたことになる。
不正受給を行った選手の氏名などは、今のところ公表されていないようだが、人数的に見てもある特定の支部に所属する選手に限って行われた行為ではなく、全国各地にある複数の支部に渡ってそういった選手が存在する可能性が大だ。
そもそも今回の個人事業主への給付金は、コロナの影響で収入が大幅に減少していることを条件に支給されるもの。ただボートレースに関しては、コロナの影響によりレース場に客を入れない「無観客開催」こそ各地で行われたものの、レース自体はほぼ当初のスケジュール通りに行われている。コロナが原因で開催が中止・打ち切りになったのは、レース場に勤務する医療関係者の感染が判明した昨年12月のボートレース桐生(群馬県)、あるいはレースに参加していた選手1名の感染が判明し、開催が中止となった今年1月のボートレース戸田(埼玉県)ぐらいである。
それどころか無観客開催の最中は、逆に電話・インターネットによる投票の売上が大いに伸びており、今月末までの2020年度のボートレースの売上は、1992年度以来28年ぶりに2兆円を突破することがすでに確定。当然コロナによる選手賞金のカットといった話も無く、少なくとも200人以上といった多くの選手がコロナ禍によって収入が大幅に減少するといった状況は考えにくいだろう。
ボートレース新CMが不正受注に苦言?
今回のボートレーサーによる不正受給の実態発覚に対し、当然ファンからは怒りを含めた様々な反応があがっているが、やはり211人という関与人数の多さに衝撃を受けたという感想が多い印象。給付金不正受給問題に関しては、日本中央競馬会(JRA)における報道が先行していたが、その件よりも多い不正受給者の発覚で「むしろボート業界が本丸だった」との声もあがっている。
ボートレーサー・競艇選手『211人』が不適切受給
「 競艇選手211人が不適切受給 全員に自主返還を指示」211人は思ってたより、めちゃくちゃ多い
全体の約1/8か・・・ニュース動画有#給付金 #不正受給#競艇 #ボートレース #ボートレーサーhttps://t.co/ViSXa9qHN1
— ボートレース.net (@gambleking10) March 30, 2021
ちなみに、競馬界側の不正受給は165人、うち選手は13人との発表がなされている。寧ろ、ボートが本丸だった…。
→競馬界の給付金不正受給問題 騎手13人含む165人受給 総額1億8000万円返還へ https://t.co/h16G8rtlAM
— 木曽崇(夜遊びとカジノの研究者):「飯テロ」注意報発令中 (@takashikiso) March 30, 2021
いっぽう今回の不正受給発覚の報を受けて、昨日公開されたばかりのボートレース新CMの内容が、一部ファンから注目を集める事態になっている。
注目の若手俳優である神尾楓珠さんと芋生悠さんが、プロのボートレーサーを目指してレーサー養成所で奮闘する若者を演じる今年のボートレースCM。YouTube上にて今月29日に公開された新作「起床行動」篇は、芋生さん演じる女子養成員が起床直後の集合に遅れてしまい、全員が連帯責任で腕立て伏せをやらされるという展開なのだが、そこで神尾さん演じる男子養成員が「ルールを守れねぇ奴とは走れねぇよ」とのセリフを口にするのだ。
まさに不正受給という「ルール破り」に対して苦言を呈するかのようなセリフに、CMを見たファンからは「流石に引っ込めた方がいいと思う」といった意見も飛び出すなど、そのタイミングのあまりの悪さに多くの戸惑いの声があがっている。
不適切な発言だみたいな
住みにくい世の中なったけどボートレーサーの
コロナ給付金不正受給問題が
挙がってる中でルールを守れない奴とは
レースをしたくないと言う
新CMみたいなのは
流石に引っ込めた方がいいと思う— かー@ (@karkunn0617Go) March 30, 2021
ボートレースといえば、昨年1月に自らが出走するレースでわざと着順を落として高配当を創出する、いわゆる「八百長」を働いたとして選手1名が逮捕され、同年10月には名古屋地裁にて懲役3年、追徴金3725万円の実刑判決が下ったばかり。業界としても今一度襟を正して、信頼回復に努めようといったタイミングだったわけだが、今回の不正受給発覚でさらなるイメージダウンは避けられない情勢。また一部報道によると、今回の不正受給に関して、実は昨年7月時点ですでに疑惑を把握し、レーサーに対して警告は行ったものの、調査はその時点でしなかったという話もあり、競走会・選手会等の危機意識の低さにもファンからの批判が集まりそうだ。
Next: 「ボートは整備できるけど良心は整備してなかった人」