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ユニクロ、ウイグルでもセルフレジでも「搾取か」の声。下請け会社の特許技術“無断使用”で敗訴のファストリに批判殺到

商品が入った買い物かごを置くだけで、瞬時に計算をしてくれる「セルフレジ」。これに用いられている技術を巡って、ユニクロを展開するファーストリテイリングと大阪のIT会社・アスタリスクが争っていた訴訟で、ユニクロ側が敗訴したことが大きな話題となっている。

取沙汰されているのは、上ぶたのない装置内に商品の入ったかごを置くと、電波が自動的に電子タグの商品情報を読み取るという技術。報道によると、アスタリスクは2019年1月にこの技術に関する特許を取得したものの、ファーストリテイリング側は「同様の技術は既に存在している」と異議。特許庁も昨年8月に、その特許の一部を無効とする判断を下していた。

今回の訴訟で、アスタリスクは特許庁による判断の取り消しを求めたのに対し、ファーストリテイリングは特許全部を無効とするよう主張したものの、森義之裁判長は「容易に開発できない技術」とし、特許は有効だと判断。一部を無効とした特許庁の審決を取り消した。

アスタリスクは今回の訴訟とは別に、ファーストリテイリングの特許権侵害を主張し、国内各地のユニクロにある全てのセルフレジの使用差し止めを求める裁判を、東京と大阪の両地裁にて起こしており、今回の結果はその判断にも影響を及ぼしそうだ。

裁判への経緯から窺えるファーストリテイリングの「尊大」ぶり

セルフレジの技術を巡っての争いが今後も続いていきそうなファーストリテイリングとアスタリスクだが、この両社はもともと取引関係があったという。

アスタリスクの社長自身が、ファーストリテイリングとの係争に至った経緯を語った記事によると、どうやらファーストリテイリングは問題の技術に関して、アスタリスクが特許を出願し、その後取得されたのにも関わらず、その技術を無断で使った新型セルフレジを店舗に導入していたというのだ。

アスタリスク側にとっては、だまし討ちにも近い扱いではあるが、ファーストリテイリングには他に製品を納品しているということで、同社製品の納入かライセンス契約を結ぶことで話をまとめる方向、つまり事を穏便に済ます方向で交渉したようだ。

ところがファーストリテイリング側は「この特許は金を払うに値しない」と、アスタリスク側の要求を拒否。その後の交渉も平行線のままで、最終的にはファーストリテイリング側から「ゼロ円でライセンス提供してください」との要求があったことで、堪忍袋の緒が切れたアスタリスクが法廷闘争の道を選んだというのだ。

これらはアスタリスク側一方の見解ではあるものの、とはいえ他社の特許申請技術をパクる、「金を払うに値しない」発言、果ては無償でのライセンス提供要求など、相手が下請けであることをいいことに繰り返された傲慢な態度やムシの良すぎる要求に対して、ネット上では「メチャクチャな話」「本当に悪質」「悪魔の所業」など、ファーストリテイリングへの怒りの声が湧き上がる事態となっている。

ウイグル問題でもさらなる苦境に

最近のファーストリテイリングといえば、一連のウイグル問題でも批判の矢面に立たされているところ。日本国内でも「不買」の声が高まり、さらにアメリカでは現地の税関がユニクロ製シャツをロサンゼルス港で差し止めしていたことが、つい先日発覚したばかりである。

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ファーストリテイリング側は「サプライチェーンにおいて強制労働などの深刻な人権侵害がないことを確認している」との言い分で、今もウイグル綿を用いた製品の生産・販売を続けている。とはいえ、今回のセルフレジ問題で垣間見えた、下請け会社に対しての人を人とも思わぬような尊大な態度をみると、たとえウイグルで非人道的な奴隷労働が行われているのを目の当たりにしても、もしや全く意に介さないのでは……とも訝しんでしまうところだ。

柳井正氏の一代で世界的企業にまで成長したファーストリテイリングだが、その成功も数々の「搾取」の上に成り立っているとなれば、向けられる視線も厳しくなってくるのは必至だろう。

Next: 「これが今最先端のコンプライアンス違反ショッピング」

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