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また竹中平蔵か。五輪スタッフに日当35万円、下請けパソナは日給1.2万円の求人で批判集中。「日当と日給は違う」との擁護も。あなたの意見は?

開幕まで2か月を切った現段階にも関わらず、開催の是非を巡っての論争が続く東京五輪だが、その準備・運営を行うディレクターなどスタッフの日当が、常識を超える高額に設定されているとして、大きな波紋を呼んでいる。

話題となっている「AERA dot.」の記事で取り上げられているのは、立憲民主党の斉木武志衆院議員が衆議院文部科学委員会にて示した、東京五輪・パラリンピック組織委員会と大手広告代理店「東急エージェンシー」が交わした業務委託契約書。それによると「<本大会に向けての準備業務>のディレクターが最高額で1人日当、35万円。40日間で2人とされ、計上された予算が2800万円」「<大会準備期間における会場運営計画策定業務>のディレクターが一人、日当25万円。40日間で1人、1000万円」などと、高額の日当が設定されている。

いっぽう、これらの案件は代理店の東急エージェンシーから、人材派遣サービス大手の「パソナグループ」におろされることだが、パソナのサイトでは「時給は1650円」「1日あたり実働7時間45分」と記載されているということで、おおよその日給は1万2,700円だとAERA dot.は指摘。「そういう業務をパソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている」との斉木議員のコメントを紹介している。

過去にもあった「高すぎる人件費」疑惑

日当25万円弱にも関わらず、実際に支払われているのは1万2,700円となれば、それは確かに酷すぎるピンハネ。しかしこの手の話題だが、ちょっと前に同じような騒動があったのを、記憶している方もいるかもしれない。

20年10月に「テレ朝news」が伝えた『GoTo事務局で日当7万円 「国民の理解得られぬ」』なる記事。GoToトラベルの事務局の人件費について、政府が事務局長のポストに日当6万9,800円という額を設定していたのに対し、立憲民主党などの野党議員は「一般の感覚からするとちょっと高すぎるのでは」と猛反発。ネット上でも「日当7万円」というワードが、政府批判のタネとしてトレンド入りするまでの事態となった。

ところが、それらがどうやら「日当」と「日給」との違いを理解せず叩いていたことが判明するや、批判の声は一気に終息。当初は政府側を猛批判していた原口一博氏も、後に「ニュースの見出しは、ミスリードです」と弁明するに至っている。

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いっぽうで、今回取沙汰されている記事のほうに目を向けてみると、最初のページに「<本大会に向けての準備業務>のディレクターが最高額で1人日当、35万円。」とある同じページに「斉木議員は委員会で日給35万円のディレクターを例にしてこう訴えた。」との記載が。さらに、東急エージェンシーが営業管理費を上乗せして請求した“日当42万円”に関して「週休二日制にしてみれば(月給)924万円、1000万円近い、高すぎませんか」と、要は「日当×1か月分の稼働日数=月給」と計算している箇所があったりと、どうやらこの記事も「日当」と「日給」を混同しているフシがある。

さらに記事には、日当20万円の「<大会期間中における会場運営業務>の運営統括、ディレクター、スーパーバイザー」が、日給約12700円で働かされて中抜き率は95%、との記載があるが、その日給で働くのは、斉木氏が国会で示した業務委託契約書にあったという「マネージャー5万円。日当の最低金額はサービススタッフ2万7千円」に該当するスタッフでは、という見方も。万が一そうであれば、記事中でのキャッチーなワードのひとつとなっている「中抜き率95%」という数字も、また異なったものになってくる。

そもそも、この「中抜き率」に関しても細かいことを言えば、元来「中抜き」という言葉は「中間業者を抜かした取引」という意味で、記事中で用いられているような「中間業者のピンハネ」という意味ではなく、それどころかむしろ真逆……などと、ツッコミどころは少なからずあるこの記事。「日当」と「日給」を混同している点に関しては、斉木議員あるいは記事の書き手があやふやなのか、それとも分かっててあえてやっているのか、その真相は不明である。

どこにでも暗躍する「竹中パソナ」に国民失望

このように、内容自体は少々あやふやな個所も見受けられるものの、それでもこの記事が大きな波紋を呼ぶ格好となっているのが、やはりというべきか五輪利権にもしっかり竹中平蔵氏率いる「パソナグループ」が食い込んでいた、ということが鮮明となったが故だろう。

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竹中氏といえば、適当な数字を入力しても予約ができてしまうという、とんでもない欠陥が発覚した大規模接種予約システムに関しても、その運営会社の役員・経営顧問に名を連ねていたことで、ちょっとした話題になったばかり。また地方移住促進のために、移住者に対して家電などが買える最大100万円分のポイントを付与する新制度を政府がぶち上げた際も、淡路島への本社機能移転を進めるパソナの社員へのいわゆる「福利厚生」が主目的では、といった声もあがるなど、この手の怪しげな話にはほとんど全てに絡んでいるとの指摘もある竹中平蔵氏とパソナグループ。今回も同様に「また竹中か」と失望の声が広がる格好となっている。

国内では「開催中止」の機運が日に日に高まりを見せ、海外からも「本当にやるの?」といった反応がここに来て続出している東京五輪。それでも政府などは「開催強行」の姿勢を頑なに崩そうとしないが、五輪利権の一端をこれでもかと見せつけられる格好となった今回の件を受けて、「五輪をやりたがる理由が良く分かる」との意見もあがっている。

今回の報道が、さらなる「五輪忌避」の機運醸成に一役買いそうなのは、もはや間違いなさそうな情勢。記事をみると、今回取沙汰されている契約に関して、オリンピック組織委の布村幸彦副事務総長は「民間事業者との契約」であることを理由に、契約内容の詳細な説明を拒んでいるとあるが、ここまで大きな波紋を呼んでいるうえに、色々と誤認した形で伝わっている可能性もあるとすれば、事態収拾のためにもこの金額が本当に妥当かどうかを検証したうえでの、改めての説明が必要となってきそうだ。

Next: 「バッハに負けず劣らずぼったくり男平蔵」との批判も

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