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対面授業やらぬ大学に学費返還要求の訴え。集団訴訟に発展で経営難の私学にトドメか。手抜き教授への怒りほか賛否噴出、あなたの意見は?

新型コロナの感染拡大により、授業がオンラインになってしまった大学生が、通っている大学に対して「対面授業をやらないのは、大学として義務を果たしていない」として、学費の一部返還などを求める訴訟の準備に入っているとのニュースが、ネット上で大きな話題となっている。

訴えるのは都内にある明星大学に通う男性学生。20年4月に入学したものの入学式もなく、20年度の授業はオンラインのみ。録画された講義動画を見てリポートを提出するのが主な内容だったという。

原告側によると、文部科学省は20年7月と9月に、各大学などに対して「対面授業ができない理由の説明」「授業の代わりとなる学生同士や教授らとの交流機会の設定」などを要請していたが、明星大学の対応はそれに反していると指摘。さらに、大学側は施設を利用させるなどといった、学生との契約義務を履行していないと主張しているという。

放送大学並みの学費に?訴訟に対し賛否分かれる

記事によると、原告の学生が通っているのは明星大学の経営学部ということで、同大学のサイトで学費をチェックしてみると、「入学金」「授業料」「施設維持費」「教育充実費(実験実習費・保険費等)」などの名目で、初年次で年額1,228,600円。2年次以降は入学金分を引いて1,028,000円が必要とある。

原告側は学費の半額分の返還を含め、計140万円の損害賠償を大学側に求める予定とのことで、恐らくは大学進学にあたり都内で一人暮らしを始めるための引っ越し費用や、これまでの家賃なども請求額に含まれているとみられる。

とはいえ、大学の授業が対面からオンラインになったとして、どれぐらいの学費が妥当なものとなってくるのか。ちなみに比較対象としてネット上で取沙汰されているのが「放送大学」の学費だ。

放送大学のサイトによると、大学卒業資格を取得するまでにかかる学費は706,000円とのことで、4年で卒業するとして20万円弱程度。これが「ほとんどがオンライン授業」だとして納得して払える金額だと仮にすれば、今回原告側が返還を求めている「学費の半額分」でも、まだ払い過ぎといった印象もある。

もともと、私学の大学に関しては高額の学費を払わされるといったイメージが強いこともあってか、今回の訴訟の話に関しては「訴えられても仕方がない」「どんどん立ち上がれ!」といった賛意の声が。いっぽうで「さすがにコロナは不可抗力では?」「訴えるならコロナ対策で失敗した国だろ」といった声もあがるなど、ネット上は賛否が分かれる格好となっているようだ。

アメリカでは学費返還の集団訴訟が止まらない

地域によっては、昨年度から断続的に続いている大学のオンライン授業。学生の反応をまとめた記事によると、「対面授業とWeb授業どちらが好きですか」という質問に対して、その回答はほぼ五分五分に分かれたとのこと。まさに人それぞれの反応のようで「対面授業を取り戻せ」というのが必ずしも学生の総意では無いようだ。

ただオンラインになったことで、講義の質が大幅に低下しているという問題も多々指摘されているようだ。例えば、授業は配信されず授業の資料とリポートの課題だけがアップロードされているだけで、講師などからのフォローは一切なしといったケースや、午前中の授業がなぜか夜に配信されて当日中に授業の感想の提出を求められるといったことも。配信で講義するということで、いままでとは勝手が違うといった面もあるのかもしれないが、とはいえオンライン授業にかこつけて手抜きのようなことをされるのであれば、今回の学生でなくとも「金返せ」といった反応になるのは無理のないところだろう。

現にアメリカでは学生が大学を訴える集団訴訟が続々と起こっている模様で、昨夏の時点でコロンビア大学などの有名どころも含めて、100を超える大学が訴えられているという話も。日本でも、今回の訴訟をきっかけに、その動きが全国に波及することも大いに考えられそうだ。

とはいえ大学側としても、穏便に済ませたいからと少額でも学費返還に応じてしまったら、他の学生にも同様の対応が求められるということで、何が何でも強硬姿勢を貫かざる得ないといったところか。特に私大は、少子化によって経営難となっているところも多いと近年は伝えられているが、今回の訴訟の展開如何では、そんな厳しい経営状況に大きな影を落とす可能性も大いにありそうだ。

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