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最低賃金引き上げは竹中平蔵「一億総非正規化」の序章か。コロナ禍で“中小企業潰し”が始まった

毎年、国によって定められている最低賃金が、2021年度に関しては全国平均で28円の引き上げ、3.1%のアップとなることが決まり、大きな波紋を呼んでいる。

最低賃金は、企業が労働者に支払わないといけない最低限の時給のことで、国の審議会が目安を毎年決め、これを基に各都道府県が実際の金額を決める。第2次安倍政権において年3%の引き上げ目標が掲げられ、実際に16~19年度は約3%ずつの引き上げに。ただ20年度は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮し、審議会が目安を示せず。実際の各都道府県による引き上げは全国平均で0.1%増にとどまった。

今回の21年度に関しては、コロナの影響をどう捉えるかで労使の意見が対立。中小企業の団体などは現状維持を訴えたが、産業全体では利益水準が回復していると判断され、引き上げが決まったという。

コロナ禍に喘ぐ中小企業からは不満噴出

今回の最低賃金引き上げに対してだが、報道によると連合の担当者は「コロナ禍でも最低賃金を引き上げていくことの必要性が受け入れられた」と大いに評価するいっぽう、日本商工会議所など中小企業3団体の担当者は「極めて残念であり、到底納得できない」とコメントするなど、その反応は正反対に分かれている。

現に、コロナ禍の影響が特に深刻な中小企業にとって、今回の最低賃金引き上げによって発生するとされる人件費の増大は、まさに「泣きっ面に蜂」といったところ。その経営体力がさらに奪われることは容易に予測でき、それによって雇用を抑制する動きが加速する可能性も。生活を守るためのはずの賃上げが、逆に雇用を圧迫してしまうというのだ。

シンクタンクの研究員からも「企業の売り上げも利益もコロナ禍前の水準に戻っていないのに、賃金だけを上昇させるのは非常に違和感がある」という疑問の声があがる今回の最低賃金引き上げ。ネット上では、かねてから「中小企業潰し」を狙っているという竹中平蔵氏の思惑が、大きく作用したのではという見方も浮上している状況だ。

竹中平蔵が狙う「中小企業の淘汰」

小泉政権時に総務相や経済財政政策担当大臣を務め、数々の経済政策を打ち出すも、結果的には賃金が下がり非正規雇用が増大するという、いわば日本の雇用環境を滅茶苦茶にしたとの評価が定まりつつある竹中平蔵氏。現在も「成長戦略会議」の主要メンバーとして、菅政権の経済政策に深く関わっているのはご存じの通りだ。

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そんな竹中氏だが、今年の4月に自身の公式YouTubeチャンネル「竹中平蔵の平ちゃんねる」において、最低賃金に関しての持論を展開する動画をアップしている。

動画のなかで竹中氏は、最低賃金とは最低限の生活を保護するという、あくまで社会福祉のための制度で、そのための最低賃金引き上げには賛成するが、中小企業のために最低賃金を引き上げろというのは、話が違うのではないかという持論を展開する。

さらに中小企業の多くが生産性が極めて低いと断じたうえで、それを高めることが景気の底上げにも繋がるとするいっぽう、生産性の低い中小企業を延命させている補助金や税制、技能実習制度といったサポートシステムを無くし、それによって生産性の低い中小企業は淘汰されるべし、と語っているのだ。

別の媒体でも、コロナ禍での中小企業支援策に関して大事なのは「もともと経営が危なかった企業は救済しないということ」と語り、「淘汰されるべき企業を残しておくと、将来的に日本経済の弱体化につながります」とも述べている竹中氏。先の動画のなかでは「中小企業の話と社会福祉の話を混同するな」とわざわざ言っているものの、いわゆる中小企業潰しのために「最低賃金引き上げ」を利用しようとしているのは明白といっていいだろう。

竹中氏が力説する中小企業の淘汰が進めば、失業者が増加するのは火を見るよりも明らかで、その余剰労働者の多くは低賃金の非正規労働者に転ずる……。今回の最低賃金引き上げに関して、そのことを危惧する声も多くあがっており、さらに大企業や公務員の組合は、正規と非正規という「身分差別」を隠蔽するために、それに乗っかっているとの指摘も。そう考えれば、先に紹介した連合担当者による最低賃金の引き上げ決定を評価するコメントも、さもありなんといったところだろうか。

東京では4度目の緊急事態宣言が出されるも、新規感染者数は連日4ケタが続くなど、どう考えてもコロナ禍の影響が当分は続きそうな状況下で決まった最低賃金の引き上げ。昨年「朝まで生テレビ」での発言がきっかけで、「#竹中平蔵つまみだせ」「#竹中平蔵に殺される」といったハッシュタグが、SNS上でトレンド入りしたことがあったが、今回の件でそういった声が再び多くあがることも大いに考えられそうだ。

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