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国民年金「目減り」対策で厚生年金のお金を回す?給料天引きのサラリーマン涙目、どっちの年金も減額必至か。総裁選中の発表は争点化回避策との説も

田村憲久厚生労働相が先日の記者会見で表明した「公的年金制度改革」への着手が、国民の間で大きな波紋を呼んでいる。

注目を集めているのは、財政基盤が弱い国民年金の将来的な目減りを緩和するために、財源が比較的潤沢な厚生年金から財源を振り分けられるように、財政調整を実施するという点。田村厚労相は「所得の低い方々に手厚い年金に変わる。非常に意味のある改革になる」と意義を強調する。

ただ、実際に国民年金と厚生年金間の財政調整に着手すれば、厚生年金では年金収入の多い人ほど支給額が目減りするとみられるという。

「厚生年金目減り+定年45歳制」のコンボに不安の声

国民保険を維持するために、なぜか厚生年金から補填するという今回の年金制度改革案だが、この報道に対して敏感に反応しているのは、やはりサラリーマンなどの厚生年金を払っている側の人々。「本当舐め腐ってる」「まずは議員年金を削れや」といった怒りの声はもちろん、「何のために頑張って稼いで厚生年金納めてるのか」という悲哀の声も多くあがっている。

そもそも国民年金には、節税のノウハウが多々存在し、それを大いに活用している自営業者も多いのに対し、厚生年金は給料から問答無用で天引きされてしまう。このことに関して、日頃から理不尽だと考えているサラリーマンは多い模様で、「自営業の人の所得控除とかもサラリーマン並にしてくれよ」「税金はまともに納めず、サラリーマンのための税金から貰うなどあり得ない」などと、今回の件でその不満が爆発している格好だ。

いっぽうで、今回の件でやはり一番割りを喰うのは、やはり現在40代あたりの氷河期世代かという声も。熾烈な採用競争を潜り抜け、やっと見つけた働き口で厚生年金を約20年ほど納めたはいいが、貰える頃には大幅な目減りが大いに考えられ……ということだが、それにくわえて影を落とす形となっているのが、今回の報道とほぼ同タイミングで大いに取沙汰された「45歳定年制」の件である。

サントリーHDの新浪剛史社長が、経済同友会のオンラインセミナーで述べた「45歳定年制にして、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」という発言に端を発したこの騒動。ネット上で批判の声が高まると、新浪氏は「定年という言葉を使ったのは、ちょっとまずかったかもしれない」とトーンダウンしたものの、実際多くの企業では「早期退職」という形で、40代以上を対象とした退職勧奨が行われている状況だ。

「45歳定年制」の話題が大いに取沙汰された際には、「年金が貰えるまでの20年間をどうすれば……」といった声も多く見られたが、たとえその20年をなんとか乗り切ったとしても、今回の年金制度改革案によって、貰える額が目減りする可能性も無きにしも非ず……。氷河期世代を中心とした現役サラリーマンからすればこのダブルパンチに、絶望しかないといった心持ちになるのは当然のことだろう。

選挙の頃には忘れているタイミングでの方針表明?

いっぽうで、今回の件に関しては、「なんで選挙前のこのタイミングで公表したのか……」という疑念も、一部からはあがっている状況だ。

菅首相が自民党総裁選には出馬しないことを表明したことから、来る衆院選のスケジュールは、当初の想定より大幅に「後ろ倒し」されることが確定的。新総裁が決まった後は臨時国会が開かれ、新首相の決定と新内閣の発足。その後、新首相による衆院解散か臨時国会の閉会によって、ようやく選挙戦に突入となる。

そうなると、衆院選の投開票は11月中旬か下旬と、現時点から約2か月後となる公算が大。その頃には、今回の件もすっかり忘れている人もいるのではといった見方とともに、仮に選挙で自民党が一定の支持を集めれば、今回の件が国民の認証を得たと見做されそう、といった声も多い。

自民党側とすれば、あまり選挙の争点にはしたくなさそうなこの一件。とはいえ、多くの人の老後の生活にも関わって来そうな問題なだけに、今後も大いに取沙汰されていきそうだ。

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