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交通量調査員ついに廃止へ。AIとカメラが奪った“コミュ障”バイトの受け皿、コンビニも無人化加速で学生・フリーターの死活問題に

国土交通省が定期的に行っている道路交通量調査において、調査員ら人手による観測を廃止し、人工知能(AI)に置き換える方向で検討していると報道され、大きな波紋が広がっている。

これまで道路交通量調査のデータ収集は、調査区間に配置した調査員が走行する車を目視で確認するなどして行っていた。しかし今年秋に行われる調査では、国が担当する区間に限り調査員による観測を廃止。AIがカメラ映像から車種などを解析する手法を導入するとのことだ。

国交省は自治体とともに、全国の国道や都道府県道などを対象として、大規模な交通情勢調査を実施。走行する車の台数や速度を調べ、道路整備計画の立案に生かしている。

道路交通量の常時観測を目指す国土交通省

今回の報道で取沙汰されている「全国道路・街路交通情勢調査」だが、これは昭和3年度に始まり、以降は原則5年に1度のペースで全国的な規模で実施されているという伝統ある調査だ。

本来ならば、昨年2020年に実施される予定だったが、通常同じタイミングで実施されていた旅客流動の実態を調べる「全国幹線旅客純流動調査」が、コロナの影響で延期になったことを受け、テータ連携の都合上、あわせて延期になっていたという。

道路交通量の調査に関しては、各地でトラフィックカウンターの設置が進んでいるのにくわえ、今回の報道で取沙汰されているカメラ映像をAI解析する手法も着々と普及。今年9月に国土交通省が公開した資料によると、国が維持・改修や災害時の復旧などを行う直轄国道の約5,200区間のうち、上記2つの方法による常時観測が約半分ほどの区間で行われているそうだ。

そんなAIによる解析だが、夜間の調査精度が低いなどの課題もあり、同じカメラ映像からの観測なら目視のほうが精度が高い模様。決してAIが人の能力を上回ったワケではないようである。

ただ国土交通省としては、渋滞対策や道路の防災機能向上、災害発生時での緊急対応などに役立てるため、道路交通量などを常時観測したいと考えているようで、2025年度という近い将来での完全移行を目指しているといったも。

今回の人手による観測の廃止は、人件費などのコスパ云々といった問題というよりも、この「常時観測」実現のための施策といえそうだ。

若者は就職難どころか「バイト難」

国土交通省は廃止の方針を決めてしまったが、この手の道路交通量調査といえば、単発バイトの代表格だったこともあり、過去に従事したことがあるという人はかなり多い模様。

ネット上では、多くの人が過去の道路交通量調査バイトの思い出話に花を咲かせており、「座ってるだけで日給一万」「喋らなくていい」と、好待遇な割にはラクチンで、コミュニケーション能力が低くても務まるといったメリットが語られるいっぽう、「クッソ寒かった」「日差しとか雨とか結構ヘビーなバイト」などと、野外作業が故の苦労談も多く見られた。

昔やったことがある定番バイトのひとつが消えつつある状況ということで、感傷的な声も見られる今回の件。とはいえ、従来ならこの手のバイトに今こそ従事していたであろう現役の若者層とすれば、割のいいバイトが無くなるということで、言ってみれば死活問題だ。

定番のバイトといえば、コンビニチェーンのファミリーマートも時を同じして、店員を介さずに無人で決済できる「無人コンビニ」を、令和6年度末までに約1,000店舗まで拡大すると発表したばかり。今はコロナの影響で飲食店などの働き口も相当少なくなっているとあって、就職難どころか「バイト難」といった状況だ。

「AIが人間の職を奪う」とは近年大いに叫ばれてきたフレーズだが、今回の件はそれが如実に表れたケースとあって、ネット上では危機感を訴える声も。さらにAIが奪っているとされるのが、いわゆる「ラクな仕事」ばかりで、何らかの理由でそういった仕事に従事せざる得ない人は、ますます苦境に陥るといった指摘もあがる。

AIの普及が進むなかで、それによって職にあぶれてしまう格好となる人たちを、どう救っていくのか。ベーシックインカム導入の是非なども含めて、今後議論が急がれるところだろう。

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