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2050年予測~米中覇権争いの「次」を見据えるバフェット、ソロス、ロジャーズ=東条雅彦

バフェットの予想はゴールドマン・サックスの予想と一致している

20世紀、アメリカはソ連(ロシア)との冷戦を制して、覇権国となりました。21世紀に入り、中国が台頭してきました。2007年にゴールドマン・サックスが次の予想レポートを発表しています。

2010年 GDPランキング

1位 アメリカ
2位 中国
3位 日本
4位 ドイツ
5位 イギリス
6位 フランス
7位 イタリア
8位 ロシア
9位 ブラジル
10位 インド

2050年 GDPランキング

1位 中国
2位 アメリカ
3位 インド
4位 ブラジル
5位 メキシコ
6位 ロシア
7位 インドネシア
8位 日本
9位 イギリス
10位 ドイツ

日本とドイツはBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に抜かれてしまいます。アメリカは2050年時点において、中国に抜かれるものの、第2位という地位を維持するという予想です。

ゴールドマン・サックスが発表した資料には、GDPの金額も記載されています。

参考資料 2050年時点の主要国予想GDP

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中国経済がアメリカ経済の2倍の規模になると予想されています。一人当たりのGDPは、この表ではアメリカがトップになっていますが、ルクセンブルクやスイスの方が上です。
(ゴールドマン・サックスが作った表は、主要国のみしか掲載していません。一人当たりのGDPランキングは、世界経済のネタ帳が参考になります)

アメリカと中国、それぞれの一人当たりGDPは次の通りです。

2010年⇒2050年 一人当たりGDP ※単位:USドル
アメリカ:47,014⇒91,683 (2.0倍)
中国:3,463⇒49,650 (14.3倍)

今年に発表した「2015年度版 バフェットからの手紙」の中で、バフェットはアメリカが今後も重要な国であり続けることに変わりはなく、未来は明るいと宣言していました。ウォーレン・バフェットの見方は正しいと思います。

21世紀に入り、中国が台頭してきているというのは事実です。しかし、一人当たりGDPではアメリカが中国の約2倍の差をつけています。全体のGDPでは、中国が70,710、アメリカが38,514となっています(単位:10億USドル)。

全体では約2倍の差で負けますが、反対に一人当たりGDPでは約2倍の差でアメリカが中国を上回ります。こうした予想を元に考えると、ジム・ロジャーズとウォーレン・バフェットとでは、見ている視点が異なると言えるでしょう。

ウォーレン・バフェットは「2015年度版 バフェットからの手紙」の中で、一人あたりGDPに着目していました。アメリカ国民の一人当たりGDPは次のようになると予想していました。

2015年 56,000ドル(約616万円)
↓25年後↓
2040年 75,457ドル(約830万円)

概ね、バフェットの予想はゴールドマン・サックスの予想と一致しています。

また、ウォーレン・バフェットは次のように発言しています。

マクロに関する見解をこしらえたり、他人によるマクロや市場の予測に耳を貸したりするのは時間の無駄です。実のところ、危険なことです。

売上高が1000万ドルで利益率が15%の会社Aがあり、売上高が1億ドルで利益率が5%の会社Bがあるとします。私なら、Aをとります。

この2つの発言からわかることは、バフェットはあくまで規模の大きさは関係なく、利益率の高さ(ROEの高さ)を重視しています。一方、ジム・ロジャーズは、「21世紀は中国の時代」として、国全体のGDPに着目しています。

なぜなのでしょうか?実はジム・ロジャーズは株式よりも、商品や通貨などマクロ経済に連動する投資の方が得意だからです。

●ウォーレン・バフェットの得意分野
株式

●ジム・ロジャーズの得意分野
商品、通貨、株式

どちらが正しいとか間違っているという話ではなく、「二人とも自分の得意分野に投資しているだけ」という話なのです。

Next: 米国も中国も超長期的には衰退?だが挑戦国が覇権国と入れ替わったことはない

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