日銀が新たに公表を始めた「消費活動指数」とコアCPIの動向をグラフで重ね合わせて見てみると、消費増税によって物価の上昇が削がれたと結論づけることはできないことが分かる。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)
※『牛さん熊さんの本日の債券』は、毎営業日の朝と夕方に発行いたします。また、昼にコラムの配信も行ないます。興味のある方はぜひこの機会に定期購読を。
日銀の新指数とコアCPIの動向をグラフで重ね合わせて検証する
日銀、「消費活動指数」の公表開始
日本のGDPの約6割を占める個人消費に関して、日銀は新たに「消費活動指数」という指数を作成し公表を始めた。
消費活動指数は、財とサービスに関する各種の販売・供給統計を基礎統計とし、月次のような短期的な消費活動を把握することが可能となり、速報性も有していると日銀は解説している。
この日銀の消費活動指数は消費活動指数は、基本的には、販売・供給統計である商業動態統計(財)や第三次産業活動指数(サービス)に含まれる個別の統計系列に加え一部の業界統計を統合して作成したそうである。
名目値と実質値、旅行収支を調整したものと調整していないものなど複数の指数が存在しているが、ベンチマークとなっているのが「実質消費活動指数(旅行収支調整済)」のようである。
個人消費に関しては総務省統計局が行っている家計調査によるデータが毎月発表されているが、調査対象が限られることで、そのデータでどこまで個人消費の動向を的確に示されるのか疑問も出ていた。
このため日銀のこの新たなデータは個人消費の動向をみる上で参考になるものと期待される。
ただし、日銀がなぜこのタイミングでこのような新たな指数を発表したのか。これはなかなか物価目標が達成できないため、その理由を示すものと用意したのではないかとの見方もある。
物価の新コアコア指数はまさにそのような指数に思えたが、その隠れた目的はさておいて、実際の消費活動指数とコアCPIの動向をグラフで重ね合わせて消費とそれによる物価への影響を見てみた。
Next: コアCPIの上昇が止まったのは消費増税が主因とは言えない