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パナマ文書と東京オリンピック贈収賄疑惑、2つのスキャンダルを結ぶ点と線

「金で買った五輪」証明なら、東京での開催はほぼ絶望的に

ロシアも、ロンドンで開かれた「腐敗対策サミット2016」に代表を送り込んでいますが、ロシアのオリガルヒ(oligarch:ロシアの政治に影響力を持っているユダヤ系の寡頭資本家)とプーチン大統領の取り巻きの関与が疑われている腐敗の告発については拒否しました。

中国は、このサミットで、腐敗を取り除くためには厳罰化が必要であるとの認識で西側諸国と一致したものの、現在の中国には共産党から完全に独立した司法制度が存在せず、具体的で公正な対応については説明しませんでした。

どこの国でも、建設プロジェクト――それがビッグ・プロジェクトであればあるほど腐敗・汚職の温床となります。

日本の建設業と政治家との癒着は世界的に有名です。

このサミットを機に、特に関心が高まっているのは、2020年の東京オリンピック関連施設の建設を巡る贈収賄の問題です。西側先進国では、めったにない日本の随意契約が、政治家や政党への税金の還流に利用されていることは周知となっています。

これを徹底的に調べ上げているフランスの検察は、電通を通し、JOC(日本オリンピック委員会)と東京五輪招致委員会から実体のないコンサル会社に渡った2億2千万円の黒い金を発端として飛び交った黒い札束は、合計で37億円と見積もっています。

日本が東京五輪を金で買ったことが証明されれば、東京での開催はほぼ絶望的となるでしょう。

2020年東京オリンピック招致活動に仕掛けられた「罠」

東京オリンピックが取り消された場合、ロンドンが早々と「東京五輪を引き受ける用意がある」と名乗り出ていることから考えると、「東京五輪中止」は既定路線ではなかったのかとさえ勘繰りたくなります。

パナマ文書のリークから「腐敗対策サミット」への一大キャンペーンへの流れから見れば、東京五輪を中止させることによって、ロンドンの腐敗根絶への意気込みが並々ならぬ覚悟をもって臨んでいることを世界中にアピールすることができるのです。

これが、タックスヘイブン狩りにいっそうの弾みをつけることになり、国際機関による徹底的な摘発と懲罰的課税(実質的な没収)が正当性を持って世界中の人々に受け入れられるようになるからです。

東京オリンピックの招致活動には、最初からこうした罠が仕掛けられていたと考えないわけにはいかないのです。

巨額汚職事件で現職の副会長らが米当局に起訴されていた国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長(79)の辞任。

「FIFAが悪名高い組織であることなど誰でも知っていること。それが、なぜ今頃になって?」人々は一様に首をかしげたのです。

また、先月、ニューヨークタイムズが、2014年ソチ冬季五輪で、ロシアのドーピング検査機関元所長のグリゴリー・ロドチェンコフ氏がメダリスト15人を含む多数のロシア選手に禁止薬物を提供していたことを明かしたと報じた件で、国際陸連は今月17日、ウィーンで、ロシア選手がリオ五輪出場に必要なロシア陸連の資格回復の可否を決定する理事会を開催するとのこと。

今年3月、シャラポアの、突然、降って湧いたようなドーピング問題も、思えば、この前振りだった可能性があるのです。


本記事は『「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年6月2日第159号パート1)を一部抜粋、再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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「カレイドスコープ」のメルマガ』(2016年6月2日第159号パート1)より一部抜粋、再構成

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