「道半ば」のウソ。破綻への道を突き進むアベノミクス
さらに、円安でインフレを高め、挙句の果てには日銀がマイナス金利策まで始めたため、国民は将来のインフレに備えて貯蓄を増やさなければならなくなり、今度はその貯蓄にマイナスの金利がついて、預金が減少するのではないか、との不安が高まりました。
これは国民に「期待」ではなく「不安」をあおる結果となり、消費意欲が一層萎縮(消費性向の低下)を引き起こしました。これでは消費が増えないばかりか、選挙にも悪影響が及びかねません。
慌てた政府は、低所得年金生活者や弱者中心に、給付金やプレミアム商品券などの給付を検討し始めました。
これは、これまで進めてきたアベノミクスの失敗を絆創膏で覆い隠そうというもので、アベノミクスそのものに問題があることを示唆しています。
つまり、アベノミクスは「正しい方向に向く中で道半ば」にあるのではなく、方向そのものが間違っている可能性があり、それを道半ばとしてさらに突き進めば、傷口が一層拡大して、日本経済へのダメージが大きくなります。
政府はこれを進める前に、海外も含めた「失敗」の声に、真摯に耳を傾け、正面から向き合った方が良いのではないかと思います。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年6月12日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。