fbpx

すんなり上がるわけがない。英国民投票で最初に試される東京市場=E氏

米利上げ見通しは明らかに後退、「全くやる気がなさそうだ」

イエレンFRB議長は、先月下旬の講演で「向こう数カ月の利上げが適切…」と発言しているのに、今回「利上げを巡るガイダンスの提示を拒否した」というのは、利上げ見通しは明らかに後退したと言って良いでしょう。

なぜならば、このところFOMCメンバーは、不意打ちを避けるために、利上げ確度が上がった場合はマーケットに織り込ませるように事前に発言をすると言ってきたからです。なので、5月以降多くの要人たちが6月利上げを支持する発言をしてきたので、マーケットは6月か7月の利上げを織り込み始めていたのです。

なのに、今回のFOMC声明と会見では、7月利上げをするのなら絶対にするはずの「不意打ちを避けるための準備」が全くと言っていいほどなかったのです。

しかも、マーケットが最近織り込み始めていた9月利上げすら考えていなさそうなのです。先のコメントの2段落目を見ると分かるように、今後2会合での利上げは躊躇われるという言い方をしているので、可能性はかなり低いです。もし、現時点で9月利上げを少しでも考えているのなら、「向こう数カ月での利上げが適切となる…」という言い方をするはずだからです。

とどめは、最後の文章です。7月利上げをするにあたって乗り越えないといけない壁がいつの間にか高くなってしまっています。少なくとも、利上げを議論し始めた昨年夏以降で、ここまで理想的な経済指標を無理強いするような表現をしたことはありません。

私が知る限り、FOMCメンバーが「完全に順調なコースを歩んでいると確信させるようなデータ」というのがどのくらいのものなのか、一度も示していない以上、「やる気がないので、絶対出てこないような激しく強い指標をイメージして返答した」としか思えないのです。

つまり、今回のFOMCから感じるのは、「やるやると言っていたけど、全くやる気がなさそうだ」というのがばれてしまったということです。

FOMCメンバーへの信頼度が低下

前から弱気ならともかく、6月利上げを主張するメンバーが過半したのに、なぜここまで劇的に変わってしまうのか、私には理解できませんし、それは多くの市場関係者も同様です。なので、今回のFOMCで、FOMCメンバーたちに対する信頼度がかなり低下したことは間違いありません。

これは、マーケットに対して著しくネガティブな結果を招くでしょう。たとえば、彼らが本気で利上げをしようと考えて発言を増やしても誰も信じなくなるでしょうし、マーケット急落時のハト派的なリップサービスも意味を持たなくなります。今年1月のリスクオフ時は、利上げしたばかりだったのに、FOMCメンバーが相次いでハト派的メッセージを送ったことで、過度なリスクオフが解消された恩は記憶に新しいでしょう(私の記事でも再三、マーケットを危惧しているのは彼らも同じなので、どこまでも弱気になるのは危険だと書いたと思います)。

しかし、今回こういう発言をしたら、マーケット急落時にハト派発言をしても効果がなくなってしまいます。なにしろ、どうせ数年利上げしないんだろ?と思われてしまったのですから。

昨日の記事で紹介したブラード総裁はつい1か月前は6月利上げを主張していたのに、先週は2年半で1回の利上げで十分と発言していますし、同氏は先の経済見通しすら提供しなくなってしまいました。

いろいろ理屈をこねましたが、マーケット関係者は「ずっと外している見通しなので出せないのだろうが、見通しを出せないのなら、利上げの判断もできないではないか?何か金融政策の変更ができるのか?」と感じてしまいました。

この結果、7月利上げ見通しはもちろんのこと、年内の利上げ確度は4割程度まで一気に低下してしまったのです。

Next: FRBの優柔不断は米大統領選を見据えた演技か?それとも――

1 2 3 4 5 6
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー