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英国EU離脱懸念の次に待ち構える米国発「イエレン・ショック」の中身=藤井まり子

米国債バブルは崩壊するか?

アメリカ・ドル国債の利回り低下が止まりません。

「イギリスのEU離脱懸念」の影響もあるでしょうが、アメリカドル国債10年物の利回りが、とうとう1.60%台に突入しています(6月16日には1.52%を記録)。

これはアメリカドル国債バブルです。これは何を物語っているかと言えば、国債マーケットが「向こう10年間のアメリカの名目成長率は、平均で1.60%台の低成長に留まる」と判断しているということなのです。

マーケットは、「向こう10年間、平均で2%インフレ成長を達成すれば、アメリカは平均すると実質で年率0.4%のマイナス成長に陥る」と言っているのです。あるいは、「向こう10年間、平均で1%インフレのディスインフレのままならば、平均で実質0.6%台の成長しかできない」と言っているわけです。

国債マーケットは、今後のアメリカ経済については、デフレかディスインフレ懸念を抱いているわけです(中央銀行が国債を買い支えて人為的に超低金利にしている日本国債やドイツ国債に至っては、10年物の利回りは、それぞれマイナス圏に水没しています)。

折しも、アメリカ国内の株式市場は、再びイケイケの「ゴルディロックス相場」に入っています。「ゴルディロックス相場」とは、しつこいようですが、「FOMCが二度目の利上げに着手するほどには、アメリカ経済は過熱していない。けれどFOMCが二度目の利上げを先送りしなければならないほど、アメリカ経済は減速していない」といった「熱からず寒か
らずの大変身勝手な相場」です。

いずれ必ず解消されるマーケットの「ひずみ」

アメリカドル国債市場が予測しているアメリカ経済と、アメリカ株式市場が予測しているアメリカ経済との間に「大きなかい離」が横たわっています。マーケットのひずみです。ひずみは必ず解消されます。

どちらのマーケットが将来をより正しく予測しているのか?

アメリカドル国債市場が将来のアメリカ経済を正しく予測しているのか?それとも、アメリカ株式市場のほうが正しく予測しているのか?

「アメリカドル国債バブル」もバブルですから長続きはしません。「ゴルディロックス相場」も長続きしたことはありません。どちらのマーケットも間違っているのです。

6月15日のイエレンFOMCは「超ハト派」であったのみならず、その後の記者会見の内容も、イエレン女史にしてはやや支離滅裂でマーケット関係者を落胆させています。この日のイエレン女史は、「アメリカ経済の回復に長期的に自信を抱いている」ようには、全く見えなかったのです。

ですからこそ、アメリカの次期大統領候補たちは、どちらが大統領になるにしろ、生産性アップのための27兆円~28兆円規模のインフラ投資を唱えているわけなんですが…。

イエレン女史は、次期大統領の大規模財政出動と歩調を合わせられるように、極力早いうちに、利下げか追加の金融緩和策へと方針転換しなければならないのではないでしょうか?

イエレン女史は引き返せるのでしょうか?

新債券王・ガンドラックの警鐘

折しも、新債券王の異名をとるガンドラックも、6月に入ってから、「銅はほぼ12か月も安値にある。世界経済は弱く、株式は危ういように見える」と、アメリカ株式市場に警鐘を鳴らし始めています。

折しも、アメリカドル国債10年物は、6月16日に1.52%と3年ぶりの安値圏を更新、その後急上昇を始めています。3年前と言えば、バーナンキがTaperingを開始したころですね。アメリカドル国債バブルは弾け始めているのではないでしょうか?

今現在進行形のアメリカ国債バブルが弾けて、アメリカ国内の金利が急騰して、アメリカ株が大きく調整するのか?

この夏はドル国債市場もアメリカ株式市場も、危ういように見えます。アメリカのマーケットが調整したならば、国債市場にしろ株式市場にしろ、日本やヨーロッパ市場にも大きな影響を及ぼすことでしょう。

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藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2016年6月21日号より一部抜粋、再構成

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