【展望】小型株堅調の裏で日本株から資金を抜き出す外国人投資家たち(3/21)=國澤晃

先週は怒濤のイベントラッシュでしたが、拍子抜けする程に無風で通過。債務上限問題も予算教書も、好感も失望もする判断材料がなく、投資家の気迷いばかりが目立ちます。(『KA.Blog(有料版)』國澤晃)

※本記事は有料メルマガ『KA.Blog(有料版)』2017年3月19日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:國澤晃
防衛大学校理工学部通信工学科卒業後、海上自衛隊幹部候補生学校(江田島)へ。退官後、東京八重洲の某東証1部上場証券会社(合併前)で6年間勤務するも、家族の事情で富山へUターンし退社。富山では会計事務所勤務を経て独立。証券アナリスト、FPなど金融・財務・税務関連の資格を保有し、企業業績や業界動向を読み解きながら、テクニカル分析で株価の動きを見極めるのが得意。新光証券(現みずほ証券)主催の仮想株取引「S-1チャンピオンシップ」において75000人中5位を獲得。

外国人による日本株売りの証拠、大型株と小型株の差に注目せよ

大山鳴動して…

金曜のNYは日本のSQにあたるクアドルプルウィッチングで出来高こそ盛り上がったものの、小幅安程度に止まり小動き。一方、フランス大統領選挙に向けた世論調査で極右政党のルペン氏の支持率がトップだったことから円高が進捗。ドル円は112円台に明確に入り込んできました。それを受けた日経平均先物は19320円となっています。

先週は怒濤のイベントラッシュでしたが、結局は拍子抜けする程に無風で通過しました。債務上限問題は延長の議論がまだ続き(さしあたって現在は予算内でまかなえているので、実務レベルで政府閉鎖に至るような深刻さがない)、予算教書に関しても結局「驚くべき税制」は発表されることなく、5月まで議論が持ち越しとのこと。それらに対して好感も失望もする判断材料がなく、投資家の気迷いばかりが目立ちます。

こうなってくると、次の世界的な大きなイベントというのは4/23に第1回、5/7に第2回目が行われるフランスの大統領選挙(現状、2回目の決選投票で決定と見られ、重要度が高い)、また上述の予算にまつわる議論(特に税制)ということになってきそうです。そこまでくると「Sell in May」と合わせて材料視されやすくなってくる時期でしょう。

もちろん、それまでに色々なイベントはそれぞれあります。とりあえず目先のG20の方も、為替市場はこれまでの合意を維持するとムニューシン財務長官との間で一致。現状維持であれば、ひとまず日本にとってはホッと一安心というところです。ただ、為替は良いとしても、保護主義色が強まれば輸出立国日本には結局打撃になりますから、この辺りの交渉は引き続き粘り強くやっていってもらいたいものです。

日本株から逃げ始めた外国人投資家

その為替に関してですが、今回のポイントはユーロ。様々な欧州諸国の政経問題が山積のユーロ圏ですが、実は16日までにユーロドルは今年の高値圏に迫っていました。そこに17日はフランス大統領選挙に向けた極右候補ルペン氏の支持率が上昇したというニュースで、売られる展開になりました。ただ、その割に対ドルでも対ユーロでも円高が進んでいます。

先般投資主体別売買動向から「実は外国人が足音を立てずにバレないよう、ソロリソロリと日本株から資金を抜き出している」としましたが、日本株を買うと同時にヘッジ目的で入れていた円売りポジションを解消しているため、結果円高圧力が続いていると言えるのでしょう。

小型株の強い動きは何を意味するか?

その証拠としてもう一つ挙げられるのが、「大型株と小型株の差の拡大」です。ここ半年間のTOPIXと大型株指数の動きを比較すると、大型株はTOPIXに比べて出遅れているのに対し、小型株指数は買われる動きが続いています。日経JASDAQ平均の連騰などにより新興市場の強さばかり目立ちましたが、東証1部の中でも中小型株指数設立の動きもあって、小型株が強い動きになっています。
(こちらのSBI証券のサイトなどでそれぞれ確認してみてください)

外国人は大型株を買う(資金許容量の小さい小型株なんて、いちいち調べて買っていられない)ので、外国人が売ると大型株が売られる、という構図です。逆に言えば、足元これだけ日銀が買っているのに(日銀が買うETFはほとんど大型株に比重が大きいのに)相対的に弱いということでも、その傾向が明らかになっているとも言えます。

そう考えると「外国人が日本株を売り続ける限り、為替の円高基調は変化しない」という言い方ができるかも知れません。先般「ドル建ての日経平均が上がっているのだから、日本株が更に上がるかどうかは為替がどう動くかを見るのみ。本来は日米の金利政策の差で、もっとドンドン円安が進んでも良いはず」としましたが、簡単に円安に進まない(=円建ての日経平均が上がらない)のもこの辺りにあります。

さらなる円安の条件は?

それ以外にも「購買力平価」では1ドル=95円水準が、また「過去の日米金利差で算出される理論推計値」では、FOMC後の水準ですら109円水準が妥当なのだそうです(アベノミクス以降、極端に理論値から円安に振れ過ぎたため、今の水準ですらやや理論値よりも円安)。

そう考えると、少なくともさらなるアメリカの追加利上げがまた現実味を帯びてこないと、なかなか日米金利差という論点でも説得力は持たないのかもしれません。

Next: アメリカの雇用環境にも影響大、急落した原油相場のポイント

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