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トランプの北朝鮮攻撃プランは「安倍政権崩壊」を前提としている(前編)=高島康司

アメリカの北朝鮮攻撃シナリオと日本における安倍政権の森友学園スキャンダルは、連動している可能性がある。もし4月から5月頃にかけて安倍首相が辞任するなら、アメリカによる北朝鮮攻撃も想定しなくてはならないかもしれない。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年3月31日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。次回の後編も配信され次第すぐ読めます。

森友学園疑惑は米国が仕掛けた?北朝鮮攻撃の前に何が起こるか

常識的には「実際の攻撃はない」が――

メルマガ第422回の記事では、アメリカによる北朝鮮の攻撃はすぐにはないだろうとした。それというのも、北朝鮮の脅威は、東アジアに米軍を駐留させるための都合のよい口実であるし、また中国にとっても親米の韓国による朝鮮半島の統一を回避し、米軍基地のある韓国から中国を守る緩衝地帯として機能しており都合がよいからだ。

北朝鮮は、そのときどきの米中の都合によって脅威が調整できる便利な国である。この利便性がある限り、北朝鮮の存続は許され、攻撃はないと見たほうがよい。したがって、いまの北朝鮮の脅威は、アメリカがTHAAD迎撃ミサイルの配備を中国に容認させるための口実であり、また、いま国防省が進めている軍需産業再編計画の口実でもあるので、当面の間は実際の攻撃はない、とした。

ティラーソン国務長官の発言でにわかに高まる攻撃の可能性

しかし他方、アメリカの歴代政権は、北朝鮮攻撃の現実的なシナリオも作成しているのは間違いない。これが実行されるのは、北朝鮮という国の脅威が臨界点を超え、アメリカに与える利益よりも脅威のほうが大きくなるか、または米軍の東アジア駐留の口実として北朝鮮の脅威が必要なくなるか、どちらかの場合である。

そのためアメリカは、どのような状況にも臨機応変に対応できるように、キム・ジョンウン(金正恩)体制の崩壊を狙った攻撃計画を持っている。

北朝鮮の分析者の間では、いまも当面は北朝鮮攻撃はないとする見方が強いものの、状況次第では攻撃もあり得るとの意見が多くなっている。それというのも、日中韓の3カ国を訪問し、北朝鮮情勢を話し合ったティラーソン国務長官が、対北朝鮮政策の根本的な転換を示唆する、以下のようなニュアンスに富んだ発言をしているからだ。

・米国は外交、その他の努力を20年間やってきた。北朝鮮の非核化を求めてきたが、失敗した。新たなアプローチが必要なのは明らかだ。

北朝鮮の核は差し迫った脅威であるため、(北朝鮮の核)状況の展開によって米国は韓国と日本の核武装の容認を考慮しなければならないかもしれない。

・外交的、安保的、経済的なあらゆる対北朝鮮オプションを検討することもできる。

・北朝鮮が核実験を継続し核兵器と運搬システム開発を継続するならば、われわれは「誰も望まない所」へ進むだろう。

・最近の北朝鮮の行動を見ると(北朝鮮の威嚇は)バブルが弾ける直前。(対北朝鮮対応の)第1段階オプションは北朝鮮に対し非常に強力な制裁メッセージを伝えることであり、(その次に)北朝鮮政権に追加的圧力を強化すること。

・米国政府は韓国とそこに駐留している米軍が脅かされる場合、北朝鮮に対する軍事行動の可能性を除外しない

これらの発言を見ると、米政府の過去20年間の北朝鮮政策は完全に失敗だったとしながら、当面は北朝鮮への圧力と制裁の強化で対応するも、もし米軍と韓国軍に脅威が及ぶならば攻撃も辞さないという態度であることが分かる。

つまり、北朝鮮からの脅威の高まりが、アメリカが北朝鮮から受けている利益を上回りつつあるという認識だ。

トランプ政権が、キム・ジョンウンの北朝鮮は日米韓3カ国の本格的な脅威であると認識したのならば、以前から準備している北朝鮮攻撃計画を実行する可能性も現実味を帯びてくる。

「作戦計画(OPLAN)5015」とストラトフォーの報告書

内外の情報を総合すると、米政府はすでに北朝鮮攻撃計画をオバマ政権のときに準備していたことが明らかになっている。これは「作戦計画(OPLAN)5015」と呼ばれる先制攻撃の作戦で、2015年6月に作戦計画として正式に採用された。

内容は、キム・ジョンウンの排除とともに、米韓連合軍が核関連軍事施設など700カ所をピンポイント攻撃するというものだ。

この作戦は、先制攻撃という意味で、北朝鮮からの攻撃に対する報復にポイントをおいた従来の「作戦計画5027」よりも一歩進んでいる。また3月28日に終了した史上最大規模の米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」は、この「作戦計画5015」に基づいた演習である。

一方、北朝鮮は、これに「7日戦争作戦計画」で対抗している。これは、韓国に奇襲先制攻撃を加え、全面戦争に拡大させ、核・ミサイル等大量破壊兵器で韓国を総攻撃する。さらに同時に戦車部隊、特殊部隊を投入し、米軍が日本やグアム、あるいは米本土から援軍や装備、物資を送り込む前に韓国を占領するという電撃作戦だ。

Next: 北朝鮮攻撃プランの全貌、そして金正男暗殺と森友問題の真相とは?



アメリカの「対北朝鮮先制攻撃」は何をターゲットにするのか?

ところで、「作戦計画5015」の具体的な内容と思われるものは、計画が正式に認可された翌年の2016年5月、CIA系シンクタンク『ストラトフォー』のレポートを通して明かになっている。これは第382回のメルマガでも紹介しだが、再度一部を紹介しよう。

ちなみにこのストラトフォーのレポートでは、ポイントはキム・ジョンウンの排除ではなく、核関連施設への先制攻撃にあるとしている。

北朝鮮攻撃の目的と目標

この攻撃が実施されるのかどうか、また実施されるとしたらいつ行われるのかはいまの段階では言うことはできない。しかし、この攻撃目的には次の2つの選択肢がある。

目標を(1)とした場合、これはキム・ジョンウン体制との本格的な全面戦争となる。北朝鮮が北米西海岸に核ミサイルを打ち込む可能性もあり、相当なリスクを覚悟しなければならない。だから、この目標は現実的とはいえない。

したがって、攻撃の目的は必然的に(2)に限定される。キム・ジョンウン体制の壊滅ではなく、攻撃目標を核開発とミサイル発射施設の2つの壊滅に絞る。壊滅されるべき攻撃目標には次の施設が含まれる。

<主要な核開発施設>

<補助的な核施設>

<核貯蔵施設>

現在北朝鮮は、10から25発程度の核弾頭を保有していると思われるが、その正確な貯蔵場所ははっきりとは分からない。

<陸上のミサイル発射機>

北朝鮮はムスダンリとトンチャンリに固定されたミサイル発射台を持っている。その他にそれぞれのミサイルのタイプに応じた発射機を持つ。

さらに北朝鮮は、KN-08/KN-14と呼ばれる移動式ミサイル発射機を開発している。

<核爆弾搭載可能な航空機>

北朝鮮空軍は800機の航空機を保有しているとされるが、それらは時代遅れの古い航空機である。しかし、800機のH-5爆撃機を保有しており、これは核爆弾を搭載できるように改造することができる。

<核ミサイル発射可能な潜水艦>

北朝鮮は、シンポクラスのディーゼルエンジン潜水艦を保有し、それから発射可能な核ミサイル、KN-11 SLBMを開発している。しかしこれまでの発射実験ではターゲットに到達したことがない。

<通常ではない手段>

さらに北朝鮮は、民間機や民間船舶を使った特攻作戦として核爆弾の攻撃を実施することができる。おそらくすでに準備していると思われるが、方法は予想ができない。

Next: アメリカの先制攻撃は成功するか?中国は「了解済み」の可能性も



攻撃のシナリオ

これらの目標に対して米軍は以下のような攻撃を実施できる。

<航空機による攻撃>

前掲した北朝鮮の核関連施設とミサイル発射機の壊滅には、おもに航空機を中心とした爆撃で対応できる。10機のB-2ステルス爆撃機、24機のF22攻撃機で十分なはずだ。

B-2は米本土の基地から、またF22は日本と韓国の米軍基地から出動する。出動準備は完全に極秘理に進められなければならない。

F22は、450キロのGBU-32 JDAM爆弾などを搭載し攻撃する。さらにB-2は13600キロのGBU-57爆弾を搭載可能だ。

攻撃目標を上記の施設に限定するのであれば、特に地上軍の出動がなくても航空機の攻撃だけで北朝鮮の核兵器と核開発能力は壊滅することが可能だ。

キム・ジョンウン斬首作戦

これが、ストラトフォーのレポートにある「作戦計画5015」と思われる内容の一部である。

しかし、昨年になって北朝鮮攻撃の目標を変更し、キム・ジョンウン体制そのものの崩壊を目標にしたキム・ジョンウン斬首作戦を実行すべきだという意見が、米軍と韓国軍で強まっているとの情報も多い。

これは、米海軍の特殊部隊、ネイビーシールズが2011年にアフガニスタンに潜伏しているオサマ・ビン・ラディンを殺害した際と同様の方法を用いてキム・ジョンウンを殺害し、本人の死亡を確認するという作戦だ。

そのとき、北朝鮮軍の報復能力を壊滅するため、朝鮮人民軍司令部へのピンポイント空爆も同時に実施するとしている。

中国は了解済みか?

「作戦計画5015」のような規模の大きい作戦になるにせよ、また斬首作戦のようなキム・ジョンウンの殺害を目的にしたものにせよ、北朝鮮攻撃が行われる場合、中国の了解はどうしても必要になる。

中国が北朝鮮を軍事的に支援すると、1950年から53年の朝鮮戦争の再発となり、とてもキム・ジョンウン体制の除去だけにはとどまりそうもないからだ。

ところが、中国もキム・ジョンウンには手を焼いており、米軍を主体とした北朝鮮攻撃を全面的に容認したとの情報も多い。

これは、2月に行われた3時間に及ぶトランプと習近平との電話首脳会談で話し合われ、その後、2月27日、28日の両日、楊潔チ国務委員が訪米し、北朝鮮攻撃の可能性について詳細が伝えられたとの見方だ。

Next: 「中国の心変わり」を察した北朝鮮。だから金正男は暗殺された



北朝鮮は「中国の心変わり」を察したか?

これを証明するように、北朝鮮が中国の変化を察知した可能性も指摘されている。

北朝鮮の国内情報を伝える『デイリーNK』によると、朝鮮労働党宣伝部は中朝国境にある100人以上の従業員を擁する企業や工場、そして国境警備隊の軍部隊に対して、「朝中関係の破局を準備せよ」という重要講和の学習会を頻繁に行っているという。

記事では、朝鮮人民軍内部でも同じような内容の学習会が実施されているとしている。

2014年に準備、キム・ジョンナム殺害の真意

このように、すでに2015年には、アメリカは必要があれば北朝鮮を攻撃する作戦計画の立案を終えていたようである。

実は今年の2月13日に実行されたキム・ジョンウンの兄、キム・ジョンナム(金正男)の殺害に北朝鮮が踏み切った理由に、アメリカのこの「作戦計画5015」があったという見方が出ている。

すでにオバマ政権は、北朝鮮攻撃を行った際の中国の協力を取り付け、キム・ジョンウン排除の後、兄のキム・ジョンナムを帰国させ、中国の監督下で新政権を成立させる計画があった可能性が指摘されている。

キム・ジョンウンはこれを察知したため、キム・ジョンナムの殺害を決行したのだという。

攻撃のカギは安倍政権の崩壊?

もちろん、このような北朝鮮攻撃が必ず実行されるというのではない。以前の記事でも書いたように、北朝鮮の脅威が臨界点を越えず、アメリカや中国にとって便利な国である限りは、攻撃は行われない。

しかし他方、アメリカは必要があればいつでも攻撃できるように、確実に準備は進めているということだ。

北朝鮮は、6回目となる核実験を準備していることが分かっている。この核実験に成功することで、北朝鮮の脅威が臨界点を越えたと判断され、アメリカが主導する北朝鮮攻撃の実施につながるかもしれない。

では、攻撃は実際に行われるのだろうか?そして、もし攻撃が行われるとしたなら、その時期はいつだろうか?

実は、攻撃の実施とその時期の判断は、安倍政権の崩壊と連動している可能性があるのだ。

Next: 北朝鮮攻撃計画と森友学園、安倍政権崩壊はなぜリンクするのか?



「ジャパン・ハンドラー」の失脚と新しい操作システム

こちらの記事(日本を裏で操る米国「ジャパンハンドラー」はなぜ排除されたのか?)に詳しく書いたように、トランプ政権の成立前後から、アメリカの日本操作専門チームであるジャパン・ハンドラーはすべて解雇された。

この解雇の背景には、トランプ政権による東アジア政策の根本的な転換があると見られている。

それに伴い、日本のマスメディアのコントロールの中核である電通が過労死問題で批判されたことをひとつのきっかけとして、これまで管理されていた情報が一気に報道され、日本の影の支配構造の実態が次第に明らかになってきた。このようなことは過去にはなかったことである。

しかしこれは、情報の単なるリークではない。トランプ政権による東アジア政策の転換で、日本をこれまで管理してきた操作の構造が必要なくなり、新しい操作のシステムへの置き換えが図られているということなのだ。

その過程で、安倍首相や昭恵夫人が森友学園による国有地取得で口を利いたのではないかとする疑惑が出てきたのだ。

これは、これまでのジャパン・ハンドラーを中核にした情報コントロールの構造がほころび始め、過去の操作システムに依存した権力の排除が進められている証拠だと見ることができる。

むろん、森友学園疑惑がアメリカによって仕掛けられたとする明確な証拠はいまのところない。しかし、これまであれほど安倍政権を支えていた読売新聞や産経新聞などの保守系メディアが、それこそ手の平を返したように、森友学園疑惑では安倍政権の批判を始めた。

なぜこのように、急激に立場を変更したのだろうか?それは、安倍政権の上に君臨する上位権力の意向に従ったと見るべきだろう。そして、その上位権力が志向しているのが、安倍政権の崩壊を条件とした北朝鮮攻撃なのである。

これはどういうことなのだろうか?次回の後編でさらに詳しく書く。
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※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年3月31日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。次回の後編も配信され次第すぐ読めます。

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未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ(2017年3月31日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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