消費税は廃止しかない。財務省データで暴く財務官僚「亡国の過ち」=矢口新

現在の消費税率は8%だ。安倍首相が2017年4月に予定されていた10%への引き上げを、2019年10月へと、2年半延期すると決めたことで、「財政再建はどうするんだ?」「社会保障の財源はどうするんだ?」との懸念が起きている。

安倍首相は財政再建を諦めたのだろうか?増え続ける社会保障費の財源はどうなるのだろうか?そういった点を、財務省がWebサイトで提供しているデータをもとに、共に考えてみたい。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』矢口新)

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

※本記事は『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』(2016年7月4日号)の抜粋です。興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。月初の購読は特にお得です!

「消費税ゼロ」こそ財政再建の道、答えは財務省サイトにあった

今の税収は27年前の約9割

以下の資料は、2016年6月時点に財務省のWebサイトにあるもので、データとしては少し古く思えるが、私の「そもそも論」には十分に活用できる本質的な問題が示されているので、そのまま引用する。

消費税率3%が導入されたのは平成元年(1989年)4月だ。日本の税収はその翌年度に60.1兆円のピークをつけ、以降の税収は現在に至るも27年前に遠く及ばない。

そして、平成9年(1997年)4月に消費税率が3%から5%に引き上げられ、その年度に税収の次のピーク53.9兆円をつけてから以降は、グラフにはないが2015年度の56.3兆円まで、18年間更新できないできた。

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つまり、前2回の消費税率引き上げでは、直後に税収がピークをつけたが、今回の5%から8%への引き上げでは、何とか、前回のピークは超えることができた。とはいえ、税収はこの27年間で約1割減っている。一方で、歳出は基本的に増え続けてきたので、累積赤字が膨らむことになった。

歳出と税収の差額である赤字幅は拡大中で、公債(国債)を発行することで穴埋めしてきた。そして、いわゆる「国の借金」残高は、2015年度末時点で1049兆3661億円になったと発表されている。

日本の財政と公債発行額

日本の財政と公債発行額

景気拡大期でも法人税収の伸びは弱く、所得税収は横ばいか減少

ここで税収の内訳をみると、最大の財源は赤色線で描かれた所得税となっている。黄色線の法人税とは、法人の所得金額などを課税標準として課される税金で、広義の所得税の一種だ。これが、消費税を導入した平成元年にピークをつけ、現在はその半分もない。

企業経営者の団体が概ね消費増税に賛成なのは、法人税を払いたくないからなのかと疑いたくなるくらいだ。

所得税の方も、導入2年後にピークをつけた後は、右肩下がりの展開となっている。これで見ると、日本の税収低迷の原因は、消費税導入後に広義の所得税が急減したことにあることが分かる。

税収の内訳

税収の内訳

グラフの青色部分は景気後退期だ。景気後退期には、所得税も法人税も減少する。これは企業収益の悪化、給与所得の低迷などを勘案すると、十分に納得がいく。しかし、消費税導入後は、景気拡大期でも法人税収の伸びが弱く、所得税収に至っては、横ばいか減少する。

一方で、税率を引き上げた消費税収は着実に増えている。これが、増税派が財政再建に役立つとする論拠だ。

とはいえ、消費税収の伸びは景気拡大期、後退期に関わらず、ほぼ横ばいに推移する。このことは、8%から10%への増税では、消費税収は3兆円ほど増えることが予想できるが、それ以上でもそれ以下でもないことを意味する。一方で、所得税収や法人税収は、これまでの例では、更に減少することが見込まれる。2015年度の実績では、所得税収と消費税収はほぼ同額だった。

このトレンドが続けば、日本の税収の最大の財源は消費税収となるが、それは税率を10%に引き上げても20兆円がいいところだ。

税収のボトムは平成21年度(2009年度)の38.7兆円だが、消費増税後は所得税収の減少により、景気後退期に落ち込むことはもとより、景気拡大期でも、税収がそれ程増えないような構造になってしまう恐れが生じる。

つまり、歳出が100兆円もあるのに、税収の上限が50兆円を切るようなことも想定され、「財政再建はどうするんだ?」「社会保障の財源はどうするんだ?」との懸念どころではない、恐ろしい事態が出現しかねないのだ。

Next: 政治家と官僚の「自惚れ」が日本経済を窮地に追い込む

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