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参院選後の憲法9条をめぐる「どつき合い」が日本国民を分断する=三橋貴明

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016年7月10日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

「改正して、ハッピーエンド」にはならない日本国憲法第9条

国民投票による国民分断

施先生が『【施 光恒】日本は英国から学べるか』で詳しく解説して下さいましたが、今回のイギリスにおけるEUからの離脱の是非を問う国民投票で、イギリス国民は「分断」されてしまいました。

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元々、いわゆる「ツーネーション(二つの国家)化」の元祖はイギリスでございますが、それにしても今回の両派の「衝突」は、凄まじかったです。日本のテレビでも、両派が怒鳴り合い、どつき合い、「敵対派」に水をぶっかける光景が映し出されていました。

何しろ、EU離脱問題は、
「離脱するか。それとも残留するか」
オールオアナッシングであり、いわゆる「落としどころ」は存在しません。

あくまで、残留するか、離脱するか、二つの選択肢しかないのです。

二者択一的な「国民投票」と言われると、昨年5月の「いわゆる」大阪都構想の住民投票を思い出しますが、オールオアナッシングの選択を国民投票や住民投票で決着させようとすると、国民・住民の「連帯意識」「同胞意識」が破壊されていくと、つくづく感じ入りました。

何の話をしたいかといえば、「憲法改正」です。三橋は、憲法「九条」については改正するべきだと考えていますが、自民党の憲法草案については反対しています。何しろ「財政均衡の憲法化」という、最悪の政策までもが含まれているのです。

それはともかく、現在の日本が憲法九条を改正しようとすると、間違いなく日本国民が「分断」されることになるでしょう。改正派と、維持派が喧々囂々の議論を続け、後半には怒鳴り合い、どつき合い、水のぶっかけ合いに突入すると思います。

何しろ、憲法九条は「改正か、改正しないか」の二者択一です。無論、三橋は改正派に「理」があると思いますが、憲法維持派の方は長年の伝統があり、ほとんど宗教化しています。すなわち、両派が分かり合うことはないのです。

二者択一の国民投票は、国民統合を破壊する可能性が高い。もちろん、それでもやる必要がある場合もあるとは思いますが、改正派が想定しているような「改正して、ハッピーエンド」にはならないでしょう。

今後、憲法改正を進めるならば、国民は「国民投票による国民分断」を想定した上で、議論していく必要があると思うのです。

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