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安倍総理は黒田日銀総裁を追加緩和に追い込めるか?=山崎和邦

中長期的な暗さを打ち破るには「政策総動員」しかない

率直に言えば、このテ─マ(Brexit後の大勢見通し)は避けて通ることが世渡りとしては利口であろう。証券営業を業務とする営業マンならばそうするであろう。野村時代の筆者も、以下の時はそうしてきた。

  • 1967年の第1次ポンドシック(ポンド切り下げ)
  • 1971年のニクソンショック(ドルの固定為替制度廃止)
  • 1972年の第2次ポンドショック(ポンドの変動相場制化)
  • 1973年の第1次オイルショック(原油価格が一挙に5倍になった)

だが、そういう態度は所詮は見透かされる。それは本稿の本意ではない。読者諸賢も許すまい。そこで、あえて大勢見通しを述べれば下記のようになる。

強気と弱気

NYは昨年5月の18,300ドルで大天井をつけたといったが、ドル安と原油価格の戻りで意外と強張る場面が出た。バフェット指数(時価総額÷GDP≧120%)はすでに超えている。

・PER、PBR、利回りで、アベノミクス始動点と概ね同レベルに並んだ時は6月24日だった(「里帰り現象」=大天井を付けた後の相場は故郷を慕う)。

・14,800円台で既にWボトム形成済み(2月12と6月24日)、この価格は2012年11月の始動点からの上昇分の半値押しと正確に合致する。

・7月に入りドル安値は99円台だった。 12日(火)は104円台だ。「1ドルに付き日経平均250円」から言えば日経平均と概ねのツジツマは合う。

一方、弱気の見方(長期大底を探る見方)ならこうなる。

・黄金分割比で62%安とすれば13,300円がらみとなる。もはや、ここまできて千円や2千円の動きに動揺しても意味は少ない。

・時価総額対現預金で見て大底圏内と見なしてきたレベルまでは、時価総額は今から100兆円減らねばならない。今から約2割減ることになる。既に昨年6~8月の2万円台から150兆円減った。あと100兆円は厳しい。こう機械的に言うと日経平均株価の算出の除数を配慮に入れてないから、本稿の最後項目「Yさんとの『目先の潮流変化と大底について』の交信」をご参照されたい。

追加予算と財政出動

この中長期を包む暗さを破るのは「政策総動員」をおいてほかにない。先日の選挙を経て衆参両院で物事を決めやすくもなった。日本株回復のシナリオは追加緩和と補正予算、特に後者だろう。財政出動は直ちに効くはずだ。

憲法改正問題への賛否はひとまずおくとして、安倍さんの幼児時代からの宿願であったはずの改憲を言い出すには、「株価連動内閣」と揶揄されている現状を超越し、露骨に追加予算と財政出動を敢行し麻生さんを急かせて追加緩和に黒田さんを追い込む、という動作を起こすことが必要だ。

コトの善悪を本稿ではあげつらわない。市場のダイナミズムのみに絞って論じている。

Next: 真に恐るべき、中国発「世界連鎖不況」は発生するか?

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