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日本株はまだ追い風なのか? アベノミクス上昇第2波を見極める投資心得

日経平均が15年ぶりに高値をつけ、今後の展望がますますわからなくなってきました。日経の益々の上昇があるとなると、「今が第2波動の出発点」となり、ここからが本当に儲かる相場になる可能性があるそうです。かといって、いつまでも上昇し続ける相場もありません。投機家の山崎和邦さんは、ここから先は投資をする心得を大切に「買う」か「買わない」かを決めるべきだと述べています。

「今が第2波動の出発点」か

『山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年3月16日号)より一部抜粋

日経平均は15年前の高値を奪回したが、その15年間に中国は150%高、韓国90%高、ドイツ70%高、米国50%高、日本は0%(15年前と同レベル)、日本株は遅れに遅れた。主因は円高である。15年前から20~30%円高になり、それを放置するのみか礼賛する筋さえあった。諸悪の根源は円高に在り、それを見抜けなかった政治の貧困と世論の迎合であった。エコノミストも評論家も円高に迎合した。

いま、マトモな水準に戻した為替レベルで今からが出発点だという見方もあってもいい。だが、それは株式相場の超長期で見ての話と国家の経営というアングロサクソン族の得意芸の範疇での話しで、である。

週末の日経新聞にトヨタ株が日本株の先行きを占うシグナルだとあった。日経平均が07年高値18,261円を抜いたとき本稿は「トヨタはその当時の高値に届いていない」「This is Japan銘柄が8,350円を抜かねば本物でない」旨を述べたが、時価総額で日本トップで世界30位中にたった1社しか入ってないトヨタはいまだに僅かながら当時の高値を抜けない。

長期マネーが日本株に向かわねば、今が第2波動の出発点だとは言えない、このことは先週述べたとおりである。

こういう時は、多少の過熱感・スピード調整要請感・高所恐怖感と並行して第2波動への期待感、それを裏付ける実勢経済の良さ(★註)、これらが混在する。

こういうときが順張り組みは最高に儲かる。その味は経験した者しか解らない。物心共に満足感に満ちた日を送れる。

そしてそれが自ら損のもとを造っていくのだ。天まで伸びる木はないのだから。

こういう時に最も重要な物は実勢経済の分析や罫線ではなく、自分自身の心得の在りようであろう。梢めがけて“勇敢に”登り梢に在る美味に見える(実際に美味)の実を取りに行くか、または、枝が折れて墜落して怪我することを嫌って見ているだけにするか、2つに1つの選択である。

前者を取ればその勇猛果敢な行動の報いがあり自分でも物心ともに満足し大いに精神衛生は良い。後者を選べば、このときの精神衛生は良いものではない。そのマイナスと、墜落の怪我を未然に防ぐプラスとを比較計量して自分で決めるしかない。一番やりやすい方法は短期売買に徹し、想定通りに動かなかったら直ちに投げることだ。筆者ならばそうする。梢の先の空中戦でのナンピン買いは禁じ手である。

(★註)企業が90兆円と過去最高に貯め込んだ手元資金を賃上げに向けて使い、消費への波及に繋がってゆく。消費はGDPの6割を占めるから大きい。一昨年、安倍内閣が経団連企業に賃上げを「お願いして」いたころ、経済音痴の民主党は「民間企業に内閣が口出しするのは良くない」と言い、吉川洋.東大大学院教授は「『第4の矢』は正しい的に向かって放たれた」と週刊東洋経済誌で述べた。また企業が長年のお勤めを果たして貸し渋り恐怖症から脱して剰余金を増配とか自社株買い等の株主優遇に向ける、この傾向が顕著になってきたし海外勢はこれを敏感に感じ始めている。

『山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年3月16日号)より一部抜粋
著者:山崎和邦(大学教授/投資家)
野村證券、三井ホームエンジニアリング社長を経て、武蔵野学院大学名誉教授に就任。投資歴51年の現職の投資家。著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)など。メルマガ「週報『投機の流儀』」では最新の経済動向に合わせた先読みを掲載。
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