fbpx

意外に儲かる!? タイ・バンコクの屋台経営

アジアのローカル景気やおカネ事情を現地在住ウォッチャーがレポート。今回はタイ・バンコクのタリンチャン区でタイ料理の屋台を営む女将さんに直撃します!(取材・文 / あいさ)

【 取材時の為替レート: 1タイバーツ = 約3.6円 】

地元タイ人も驚く!激安タイ料理屋台はどれくらい儲かる?

皆さん、サワッディーカー!路地ウラウォッチャー・タイ担当の「あいさ」です。

沖縄出身27歳オンナ、今年でタイ在住6年目。縁あって、いまはタイ人の旦那、7ヶ月になる息子と一緒に、バンコクにある旦那の実家で暮らしています。よろしくお願いしますね!

さて第1回目となる今回は、タイと言えば屋台!ということで、地元タイ人も驚く安さのタイ料理屋台『パーティウ』に直撃してみましたよ。

タイ料理注文屋台『パーティウ』外観

いろんなタイ料理をその場で調理してくれる、パーティウさんの屋台

お店はバンコク北西部・タリンチャン区にあります。ドンムアン空港からクルマで約30分、
バンコク中心部からはチャオプラヤー川に掛かるピンクラオ橋を渡って約10分ほど。

「タリンチャン」といえば、お隣トンブリー区のタリンチャン水上マーケットは有名な観光地なのですが、こちらでは日本人の姿をほとんど見かけません。ローカル色の強い下町です。

こちらが店主のパーティウさん、58歳。

店主のパーティウさん

店主のパーティウさん。一品の調理時間は数分のスピード勝負!

日本で言うと還暦に近いお歳ですが、現役バリバリで中華鍋を振りまくります。こちらの屋台は、パーティウさん、妹さん、妹さんのご主人の3人で切り盛りしています。

パーティウさんの妹

こちらはパーティウさんの妹さん

パーティウさんの妹さんの旦那さん

その妹さんの旦那さん。家族経営の屋台です

営業時間は朝の6:30からお昼過ぎの14:00まで、だいたい8時間ちょっと。お休みはパーティウさんの気分しだい(笑)でも、実際にはほとんど毎日お店を開けています!

席は3席のみで、テイクアウトのお客さんのほうが多いかも。現地の屋台は、食べ物はもちろん飲み物や麺類も、ほぼすべてお持ち帰りOKなんです。

お昼の12:00をすぎて、お腹を空かせたテイクアウトのお客さんがたくさん集まってきました。かきいれどきです!

屋台テイクアウト注文の順番待ち

ご近所さんやお昼休みのワーカーさんたちがぞくぞく集まってきます

タイ・ティーもこのようにテイクアウト可能。ローカル屋台では、飲み物は使い捨てカップではなくビニール袋に詰めちゃうことが多いです。

屋台テイクアウト・袋詰め

お持ち帰りは、ドリンクのほか麺類やスープも袋詰めが一般的。ヤケドに注意!?

こちらのお客さんがテイクアウトしたのは米麺焼きそばのパッタイ。ほぼ毎日、家族分も含めて買いに来る常連さんのひとりです。

常連のお客さん

「ここには毎日来てるよ~」部屋着にサンダルで気軽にお買い物

パッタイ普通盛り 35バーツ

世界でいちばんタイ料理が安いのが現地屋台。パッタイ普通盛り 35バーツ(約126円)なり

パーティウさんの屋台の人気メニューベスト3は、1位:ガパオごはん 30バーツ(約108円) 2位:トムヤムスープ 60バーツ(約216円) 3位:パッタイ 35バーツ(約126円) とのこと。どれも安くて美味しいですよ!

25,000バーツで開業!お店の経営状況は?

パーティウさんは4年半前に、初期費用25,000バーツ(約9万円)でこのタイ料理屋台を開業しました。今では常連客が多くつき、多い時には1日約100人の来店があるそうです。

こちらのメニューはタイ語になりますが、数字を見ていただければ分かるように、一品30~50バーツ(約108~180円)。

パーティウ・メニュー表

ガパオ、レッドカレー炒め、米麺ラーメンなど30バーツ(大盛40バーツ)。おかずのみは50バーツ、飲み物10バーツ

これに飲み物をつけてもたったの60バーツ(約216円)で済んじゃいます。他の屋台だと、同じメニューで70~80バーツ(約252~288円)はするはずなのですが……。なぜ、こんなに安くできるのでしょうか?

タイ風チャーハンのカオパットが35バーツ(約126円)で食べられる地元感覚では、1回のお買い物で10~20バーツ(約36~72円)浮くのは大きいんですよ。

安さのいちばんの理由は、お店をパーティウさんの自宅敷地内に出しているため、場所代がかからないこと。たとえばバンコク中心部で、集客の良い立地に出店しようとすると、どうしても場所代がかさんでしまいます。

その点、パーティウさんの自宅は郊外にあり、道路を挟んだ向かいにはガソリンスタンド(ESSO)があるという好立地!給油や休憩のついでにお店に立ち寄ってくれるお客さんが多いそう。

パーティウさんの自宅敷地

自宅敷地の広さを生かして、入り口に屋台、日陰にテーブルを配置しています

さらに、ふつうの屋台では調味料やドリンクは既製品を仕入れるのが一般的なのですが、パーティウさんのお店ではほぼすべてを「手作り」することでコスト削減に努めているとのことです。

タイ料理の手作り調味料

唐辛子をはじめレモン系、ナンプラー系などタイ料理に欠かせない調味料はすべて手作り

実はいま「経営危機」!? その意外な理由とは

『パーティウ』の仕入れは一月あたり42,000バーツ(約15万円)。ほぼ毎日、近くの朝市で、鶏肉・豚肉やムーヨン・ルークチンなどの加工肉、魚介類、白菜・空心菜・カナーなどの野菜、お米など、1,500バーツ(約5,000円)分の食材を買い付けています。

調理などにかかる光熱費は月300バーツ(約1,000円)程度。自宅兼用なのでハッキリとは分からないそうですが、かなり安く抑えられていますね。

現在、平均的な大学新卒のタイ人が会社勤めで貰えるお給料が、15,000バーツ(約5万4,000円)/月程度。そんな中、パーティウさんのお店では、テイクアウト用の容器・袋など諸費用を差し引いて、約40,000バーツ(約14万円)/月の利益が残るそうです。

とはいえ、3人でお店を回して40,000バーツですから、儲かりすぎて笑いがとまらない、というわけでもありません。それに自営業では、不測のトラブルがいろいろ起こります!

休業中のガソリンスタンド

集客の頼みの綱、ガソリンスタンドが改装のため昨年から休業中!

実はパーティウさんのタイ料理屋台、いまはちょっと景気が良くないんです。先ほどお話したガソリンスタンドが、3ヶ月前からごらんの通り絶賛改装中で……。お客さんの6割がスタンド経由だったため、いまはかなり厳しい状況なんだとか。立地が命の屋台商売としては死活問題です。

でも、それもガソリンスタンドの改装が終わる5月いっぱいまでの我慢!工事が予定通りに終われば(タイでは予定が予定通りに進まないことも多いのですが……)、その後はまたお店に活気が戻るはず!楽しみです。

タイでは屋台がいたるところにあり、庶民の胃袋を支えています。日本で言うコンビニや、オフィス街の移動販売に近い感覚でしょうか。こちらでは、会社帰りの若いOLさんが、屋台の袋をぶら下げて帰宅するのは日常風景です。

もちろんタイにもコンビニはたくさんあるのですが、B級グルメに関しては、安さとボリューム、そして何より味の面で、まだまだ屋台が健闘しています。パーティウさん、がんばって!

パーティウさん、がんばって!

58歳のパーティウさんにとって、重い屋台を移動させるのは重労働です

パーティウさん(58)屋台経営
に景気アンケート!

ROJI_001_TH_014

あなたの景気は100点満点で何点?
「40点!日本人にはバンコクの景気が良いように見える?タイ人だけの地域じゃ景気の良さは感じないよ。物価上昇でメニューを値上げしたりで、生活が楽になった実感はないねえ」

これから景気は良くなると思う?悪くなると思う?
「今後どうなるかは分からないねえ……。とりあえずうちの店は、向かいのガソリンスタンドが改装を終えて営業を再開すれば客足も戻るだろうけどね。将来は不安だよ!」

いまいちばん欲しいモノは何?
「新品の屋台!15,000バーツ(約5万4,000円)するのよ。いまの屋台は中古でとにかく重たくて。アタシももう歳だし、坂の下の自宅から、毎日3人がかりで息を切らして引いて来るのは大変!」

路地ウラウォッチャー – あいさ

27歳、沖縄県出身。タイ・バンコク在住6年目。語学学校通いや現地就職などを経てタイ人の夫と結婚し定住を決意。2014年に生まれた息子の育児に奮闘しつつも持ち前の好奇心とタイ語を駆使し、まだ行ったことのない場所に突撃しては驚かされる毎日。

無料メルマガ好評配信中

タイに嫁いで子育て中!あいさのバンコク日記

[無料 不定期刊]
タイ生活事情やタイ人夫のふしぎな行動など現地生活のアレコレをゆる~く綴る、路地ウラウォッチャー「あいさ」さん個人の無料メルマガです。こちらもぜひご購読ください!

ご購読はこちら!

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー