ドル円の反発は短命に。米国の本音はドル安誘導、問題は水準だけ=江守哲

ドル円は何とか戻し始めました。しかし110円を明確に超えてこないと、次のステージは見えてきません。超えたところで、111円台から112円台には多くの重要なポイントがあります。これらを上抜くのはかなり難しいでしょう。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年4月24日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

やっと戻し始めたドル円相場だが、上昇トレンドへの転換は難しい

ドルが大きく上がる環境ではない

ドル円は何とか戻し始めました。

先週は底値と見ていた水準を割り込み、このまま下げるかと思われましたが、売り込む動きも止まっていました。

しかし、売り方もさすがに108.80円を売り込んでも、下値は限られていると考えたのでしょう。

とはいえ、ドル円がどんどん上げていくには、初動としては米国株高が必要でしょう。

その結果、米国の長期金利が上昇し、ドルが買われることが必要になります。

そのうえで、110円を明確に超えてこないと、次のステージは見えてきません。超えたところで、111円台から112円台には多くの重要なポイントがあります。

これらを上抜くのはかなり難しいでしょう。

したがって、ドル円の反発は短命に終わる可能性も否定できません。

いずれにしても、ドル円を取り巻く環境を考えれば、ドルが大きく上げていくということはないでしょう。

その前提で見ていかないと、変な期待感だけが強まってしまい、下げたときにがっかりすることになります。

この点だけはよく理解しておく必要があります。もっとも、このメルマガの読者はくどいほど聞いているので、もう十分でしょうけど(笑)。

米国は、自国通貨のこれ以上の上昇を受け入れない

さて、為替市場では材料がなくなりつつあります。何かぴんと来ない感じです。

そんな中で、G20財務相・中央銀行総裁会議が20・21日にワシントンで開催されました。

会議では世界経済の現状やリスクなどを議論し、「足元の世界経済は着実に回復しているが、先行き懸念が膨らんでいる」との認識を共有しました。

また、為替政策では、競争力の強化のために自国通貨を切り下げる通貨安競争を回避するなどの原則を確認しました。

今回は個別の議論はされなかったようですが、欧州の政治リスクについては共有しているようです。

また、為替に関しても突っ込んだ議論はされなかったようですので、従来からスタンスは変わらなかったといえます。

一方で、米国の主張で「保護主義に対抗する」との決まり文句が盛り込まれなかった点は気がかりです。

いずれにしても、米国は自国通貨のこれ以上の上昇は受け入れがたいというスタンスであることは間違いないでしょう。

ムニューシン財務長官は「巨額の経常黒字国は積極的な財政史支出で世界の経済成長に貢献する責務がある」としています。

そのうえで、「極端に大きい貿易黒字や貿易赤字は、自由で公正な貿易システムに支えられていない」との認識を示しています。

米国の主張は、通貨体制が公正ではなく、これが一部の経常黒字国に利益をもたらしているというものです。

ムニューシン財務長官は「強いドルは長期的に良い」と発言し、ドル高是正一辺倒のトランプ氏とスタンスの違いを見せているとされていますが、本音はドル安政策です。

この点を認めない為替アナリストが多いのに驚きますが、やはり本質を見るべきでしょう。

しかし、ドル安と彼らが考える水準がどこなのか不明なことが、市場を混乱させていると言えます。

Next: アメリカにとって望ましい為替水準はいくらか?

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