日経平均はなぜ2万円の大台を超えられないのか? 厄介な伏兵=櫻井英明

日経平均は2万円を目前に足踏み。日経新聞がカバードコールと日経平均リンク債を要因として挙げているが、日経平均EPSが1300円台乗せの風向きもあり青天井を期待したい。(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)

「兜町カタリスト」木曜後場 2017年5月11日号より

「2万円目前に足踏み」要因にカバードコール取引

2万円を目前に足踏み」として日経朝刊で指摘されていたのはオプション。登場したのは「カバードコール」。
株2万円阻む先物売り 利回り重視、潜在リスクに – 日本経済新聞(2017年5月10日配信)

理論的には「現物を持ちながらコールを売る」という作業。オプションの売りはオプション料をもらえるので、オプション料稼ぎの手法だ。もしも株価がそれ以上に上昇したら値上がり益を諦めることとの交換条件となる。

東京だけでなく「世界でカバコー(カバードコール)の取引増加観測」とも言われている。オプションの売りが増えるとボラティリティは低下するので、世界的なボラ低下の要因ということ。

「低金利時代にインカムゲインを求める投資行動」であるならば、金利上昇はボラの上昇をもたらす。ここが待ち望まれるというのは小数意見でしかないが…。

「7500億円の売り圧力」日経平均リンク債

あるいは、またもや登場してきたのは「日経平均リンク債」の存在。早期償還条項付きでノックアウトプライスが2万円というのが結構多いと指摘されている。
株、2万円で待ち構える日経リンク債の大量償還 1兆円規模の見方も – 日本経済新聞(2017年5月10日配信)

プットを売って、やはりオプション料を配当原資にしているのがリンク債。プット売りにヘッジ対応した先物買いの存在。これがノックアウトしそうになると、先物売りになって相場の頭を抑えているという指摘。

日経平均リンク債は公募の残高で1兆5500億円。2万~2万3000円の間の早期償還条項ノックイン債は6300億円程度との観測。表に出てこない私募を含めれば1兆円程度あるのではないかと見られている。

20300円までの売り圧力は約7500億円という観測もある。225先物に換算すると3.7万枚の売り要因。これが切れた時は、凧の糸が切れたような動きになると信じたい。「伏兵」の存在は厄介なものである。

日経平均EPSの1300円台乗せが話題に

日経平均採用銘柄のEPSの1300円台乗せが市場では話題になっている。しかし、これはトヨタを反映しているのかどうかが不明なところ。本稿は5/11執筆だが、明日(5/12)になって下がってしまうのでは身も蓋もない。3月決算企業の集計は明らかに変化した。

前期売上高:昨日(5/10)▲3.7%→▲3.2%
今期売上高:昨日(5/10)4.4%→3.7%
前期経常利益:5.9%→0.8%
今期経常利益:7.5%→4.4%
前期純利益:19.0%→18.1%
今期純利益:14.7%→3.2%
※全体の38.8%通過時点の数字

足を引っ張ったのは上場製造業全体の1割に相当するトヨタの18%の減益。だから日経元旦朝刊のアンケート1位の筈はなかったと言えよう。トヨタが邪魔して東芝が妨害した利益の増加とも言える。明日(5/12)の225採用銘柄のEPSが1300円台をキープしてくれれば風景は変わろう。(※編注:5/12の日経平均採用銘柄EPSは1,315.94円となった)

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「兜町カタリスト」』(2017年5月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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