専門家が予測するトランプ失脚と「2020年アメリカ内乱」のシナリオ=高島康司

今回はトランプ大統領が弾劾される可能性と、その後に起こりうるアメリカの混乱について解説する。このままだと米国は、2020年代には分裂するとの専門家の予測もある。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年5月12日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

想像以上に高い「トランプ弾劾」の可能性、米国大混乱は不可避か

深刻さを増すアメリカの政治的分裂

今回のテーマは、「2020年代におけるアメリカ分裂の可能性」についてである。

トランプ政権が成立してからというもの、これまでにないくらいにアメリカの政治的な分裂が深刻さを増している。政権発足時ほどの勢いはないものの、いまだに全米でさまざまな理由で反トランプの激しいデモが行われている。

また、国務省を中心に依然として多くの幹部人事が決まっておらず、これから外交と内政の運営ができるのかどうか不安が出てきている。さらに、共和党主流派との関係がいまだにギクシャクしており、オバマケアの修正案は辛うじて下院を通過したものの、上院で可決されるメドはまだ立っていない。

そして、1兆ドルのインフラ投資と大型減税を含んだ予算案だが、これに至っては議会の反発が激しく、通過する見通しはまったく立っていない。予算案が通過しなければ、早ければ7月末には現行の予算を使いきり、2011年に起こった連邦政府施設の一部閉鎖に追い込まれる可能性が出てくる。

それだけではない。オバマ政権時の期限法が3月15日で失効したため、新たに債務上限引き上げ法案を可決しない限り、新たに国債を発行することはできない状態だ。いまのように議会と対立している状況では、この法案は通りそうもない。すると、たとえ予算案が可決したとしても、国債の発行ができないので現金が不足し、予算を組むことができなくなる恐れもある。

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大統領の弾劾を望む声

このような状況に対して、トランプ政権は機能しないのではないかとの疑念が強くなっている。野党の民主党だけではなく、共和党内部からも、あまりに問題の多いトランプを早々に辞任させ、穏健なペンス副大統領を大統領にしたほうがよいのではないかという声が強くなっている。

一方、CIAFBIはトランプ及び政権の閣僚がロシアとの不適切な関係にある可能性が高いとして、本格的な捜査に乗り出している。ロシアとの関係が証明されると、トランプを弾劾できる可能性が高くなる。トランプの選挙参謀であったロジャー・ストーンは、すでに水面下で情報機関による弾劾裁判へと向けたトランプ追い落としの策謀が進んでいるとしている。

それを見越しての処置か、5月10日、トランプはロシアとの協力関係を調査していたFBIのコミー長官を突然解任した。これは歴史的にも異例なことで、コミー長官で2人目となる。これでトランプに対する批判は高まり、弾劾に向けての動きは加速する可能性もある。

もしトランプが失脚すると?

だがトランプが弾劾されると、これが引き金となり、アメリカの分裂が一層深刻になり、取り返しのつかない事態になるのではないかと懸念する声も多い。

それというのも、トランプ政権の主要な支持母体であるオルトライト(オルタナ右翼=主にネット発の保守勢力で、白人至上主義など過激な主張を掲げる)を代表し、政権内で依然として大きな勢力を維持している主席国家戦略官、スティーブ・バノンの一派は、トランプ政権をワシントンの支配層を一掃するための革命政権としてとらえ、既存のシステムの抜本的な改革を目指しているからだ。

もしトランプが弾劾されたならば、バノン一派は野に下り、オルトライトや没落した中間層と一緒になり、過激な政治運動を展開する可能性がかなり高い。

トランプが大統領に留まり、バノン一派がホワイトハウスで強い勢力を維持している間は、過激な革命思想を信じるオルトライトは政権内でコントロールされる。しかし、トランプが弾劾されると、このコントロールが効かなくなるということだ。

Next: 「トランプ大統領は必ず弾劾される」複数の専門家が口々に警告

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