日本のテールリスクを考える
今後、日本でブラックスワンがあるとすればそれは何か。
- 首都圏直下型M8レベルの地震
- 富士山の噴火(富士山は地学上の定義で活火山であるから、富士山の大爆発で極東一帯に航空機が飛べなくなるし、日陰となって農業大不況が来るか、酪農も全滅する)
- 日欧米の中で日本だけが取り残される金融政策の失敗(人災である)
- 欧米を徘徊するポピュリズムやテロリズムの動き
- 日本の国債が投資不適格銘柄として格下げされる事態
色々があるが、そういうことを列挙して心配しているうちは、それは「ブラックスワン」とは言わない。「リスク」と言う。その確率が計算できないからむしろ「不確実性」と言おう。
「(1)リスク→(2)不確実性→(3)ブラックスワン」という順番に、(1)起きる可能性は極めて少ないが、(2)起きたら激震をもたらし、(3)その数年後にはなぜ起きたかということが理路整然と後講釈が理論付けられる(ヘーゲル曰く「ミネルヴァの梟(ふくろう)は迫り来る黄昏に飛び立つ」)。
これを「ブラックスワン」と言っている。リスクというのは事前に予想できるし、ある程度の確率計算ができるものを言い、不確実性というのは確率計算が全くできないが起こり得ると予想できるものを言う。ブラックスワンというのはそのいずれでもない。
ここでブラックスワンの1つとして、日本の国債が投資不適格銘柄に認定される日が来るという仮説を考えてみよう。次の項で述べる。
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